発振器

発振器とは

発振器

発振器とは、電子回路を用いて持続的に交流信号を発生するものです。

オシレータ (英: Oscillator) とも呼ばれています。一定の周波数の正弦波を発生する回路から成りますが、発振回路には抵抗 (R) とコンデンサ (C) を組み合わせたRC発振回路、コイル (L) とコンデンサ (C) を組み合わせてその共振を利用したLC発振回路、水晶振動子やセラミック振動子を使ったものなどがあり、用途に応じて使い分けます。

発振器の使用用途

発振器は、放送機器や通信機器における送受信周波数を得るために使われます。放送では、定められた周波数の電波に変調された番組情報を送信し、受信機はその周波数の電波を受けて番組内容を再生するため、発振器は送受信機どちらにとっても重要な回路です。通信の分野でも同様に、一定の周波数で送信し、受信側ではその周波数に同調することで情報のやり取りが可能になります。

また、マイクロプロセッサを含むデジタル回路においては、ロジック回路の同期をとるシステムクロックが重要な役目を果たしますが、システムクロックの基となる安定した周波数の発生源として発振器を使用されています。さらに、電子楽器の音源でも発振器を備え、その信号を基に楽器の音色を形成しています。

発振器の原理

発振回路は、増幅回路と正帰還回路から構成されています。正帰還とは、ポジティブフィードバックとも呼ばれ、増幅回路の出力信号の一部を帰還回路を介して入力側に戻す際、同位相にするものです。

帰還回路に周波数選択性を持たせて信号を正帰還させることで、一定の周波数の正弦波信号が得られます。なお、周波数選択性を実現する手段としては、帯域通過フィルター、コイルとコンデンサの共振回路、水晶振動子やセラミック発振子などがあります。

発振器のその他情報

1. 振動子の種類

水晶発振回路
水晶振動子は、電気的特性からみると損失がほとんどない純粋なリアクタンス素子です。そのリアクタンスは非常に狭い周波数範囲でのみ誘導性 (コイルの特性) を示すため、水晶振動子にコンデンサを接続すれば、その周波数範囲内で共振周波数が定まります。

LC発振器の代表例であるコルピッツ発振器において、コイルを水晶振動子に置き換えると、水晶振動子が誘導性となる狭い範囲内でのみ発振します。極めて安定した周波数で発振を続けるので、優れた発振器となります。

セラミック発振回路
水晶振動子は鉱物である水晶を高精度で加工して発振周波数を決定するため、製造コストは高くなります。そこで、比較的安価なセラミック振動子を用いたセラミック発振回路も採用されるようになりました。

セラミック振動子も特定の周波数範囲で誘導性リアクタンスを示しますが、水晶振動子ほど急峻な特性ではないので、発振周波数の精度が劣ることが欠点です。

時計用水晶発振回路
水晶、セラミック何れも発振周波数は数百KHzから数十MHzの範囲ですが、時計用の水晶振動子として32.768KHzのものがあります。時計向けの発振回路は周波数精度が非常に重要なので、セラミック振動子は採用されません。

2. 発振器の関連製品

水晶振動子、セラミック振動子
振動子単体で販売されている部品で、発振回路が内蔵されている集積回路に接続して使われるものです。

発振器モジュール
発振器モジュールは、発振回路と水晶振動子を組み合わせた発振回路を1つのパッケージにまとめたものです。電子部品として販売されています。

用途の応じて様々な発信周波数の製品があるため、必要とする周波数のものを選択することが大切です。デジタル回路のクロック用として、正弦波を方形波に変換して出力するものが主流となっています。

周波数シンセサイザー
通信機などでは発振周波数を可変することが求められますが、水晶発振器単体では発信周波数が一定値に固定されてしまいます。可変周波数を求める用途向けに、周波数シンセサイザーが対応します。

信号発生器
電子計測器の一種に、周波数を可変できる信号発生器があります。低周波用にはRC発振回路を用いたもの、高周波用には周波数シンセサイザーを用いたものが主流です。

参考文献
https://www.ieice-hbkb.org/files/01/01gun_07hen_04.pdf
https://www.murata.com/ja-jp/products/timingdevice/ceralock/library/basic/oscillation
https://jeea.or.jp/course/contents/12124/

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