粘着テープ

粘着テープとは

粘着テープ

粘着テープとは、表面に粘着剤が塗布されたテープです。

貼り合わせた面の強度を出すためには接着剤が有利ですが、粘着テープは接着剤と比較して貼り合わせた瞬間から一定の強度を出せて、必要に応じて貼り合わせた面を破損させることなく可逆的に剥がせます。

粘着剤にはチューブに入った製品も存在し、接着剤の欠点を補う目的で使用されるため、一般的には粘着テープとして用いられる場合が多いです。

粘着テープの使用用途

粘着テープは工業分野で幅広く利用されています。

物同士を貼り合わせる使い方が最も一般的ですが、粘着テープの容易に貼って剝がせる特性を利用し、建設現場などでのマスキングや分解を前提とした工業部品の組み立てなどに利用されています。目的に応じてテープの素材や粘着剤を選べるため、電気製品の絶縁や基盤の保護などにも利用可能です。

市販のテープの大半が粘着テープに分類されますが、工業目的の水に濡らして使うガムテープは「接着テープ」に分類されます。

粘着テープの原理

粘着テープはテープと物質の間に粘着剤を介して働く分子間力を利用して物を貼り合わせます。分子間力は十分に接近した物質間でのみ有効に作用する力で、通常2つの物質同士を近付けても表面の微細な凹凸が密着を妨げるため分子間力は働きません。しかし粘着剤は力を加えると液体の性状を示し、物質間の微細な凹凸を埋める働きを持つため、粘着テープと貼り付けた物質の間に分子間力を発生させます。

粘着剤は広義の接着剤の一種です。通常の接着剤が硬化させる投錨効果や化学結合を利用しており接着が不可逆的ですが、相対的に弱い作用である分子間力を利用した粘着は可逆的に剝がせます。

粘着テープの構造

粘着テープは粘着剤、表面基材、剥離紙 (剥離フィルム) で構成されています。

1. 粘着剤

粘着テープに使用される粘着剤の種類には、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤などがあります。アクリル系粘着剤は材料の自由度が高く、透明性や耐久性に優れています。シリコーン粘着剤は使用可能な温度範囲が広く、貼った後に気泡が抜けやすいです。ウレタン粘着剤は貼り直し作業に適しています。

2. 表面基材

不織布にはポリプロピレンやポリエステルのような合成繊維が多く、柔軟性があります。塩化ビニルは硬質と軟質の両方の性質を有し、加工適正に優れています。ポリエステルは寸法安定性、機械強度、平滑性、透明性が高いです。発泡体は厚みを持ち、剥離強度に優れ、振動や被着体の凹凸を吸収しやすいです。銅やアルミのような金属箔は耐薬品性と導電性に優れています。

3. 剥離紙 (剥離フィルム)

一般的に剥離紙が用いられますが、剥離フィルムは透明性や平滑性が高く、紙粉が出ません。

粘着テープの種類

粘着テープの素材によって特徴は異なります。

1. フィルムテープ

種類が豊富なため特徴も多種多様です。ポリ塩化ビニルは軟質PVCと硬質PVCに分類されます。軟質PVCは柔軟性や電気絶縁性が良く、硬質PVCは形状安定性に優れています。ポリエチレンやポリプロピレンは表面の保護や部品の一時固定に使用可能です。ポリエチレンテレフタレートは熱伝導性や耐UV性に優れています。ポリウレタンやポリイミドは軽くて柔軟性があり、高温環境で使われます。

2. フォームテープ

柔らかく厚みを持ち、衝撃を吸収します。冷蔵庫、窓、家具のような装飾部材を固定する際によく用いられます。

3. 布テープ

コットンやレーヨンは丈夫なため、亀裂部分のカバーやケーブル類の結束に使われます。手でも繊維に沿って割くようにちぎれて使い勝手が良いです。

4. 紙テープ

麻、パルプ、靭皮繊維が原料で、柔軟性、伸張性、耐熱性を有します。

5. アクリルフォームテープ

耐候性、耐久性、粘弾性に優れています。例えばプラスチックと金属や金属とガラスのような異種材料の接合に向いています。

参考文献
https://www.tesa.com/ja-jp/wikitapia/liquid-glue-or-adhesive-tape-who-wins.html
https://www.dic-global.com/ja/products/adhesive_tapes/about.html
https://www.neion.co.jp/faq/adhesive_type.html
https://techtimes.dexerials.jp/bonding/what-is-glueing/
https://magazine.cainz.com/article/708

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