白熱電球とは
白熱電球とは、ガラス管の中に封入したフィラメントに電流を通して2,000~3,000°Cに発熱させ、発光させる装置です。
ガラス管にハロゲンガスを封入して寿命を延ばしたものをハロゲン電球と呼びます。
白熱電球は蛍光灯やLEDと比較して寿命が短くエネルギーの消費量が多いため、最近では置き換えが進められています。調光が可能で独自の色味を出せるため、店舗や事業用の照明を中心に白熱電球を引き続き利用可能です。
白熱電球の使用用途
白熱電球は導入コストの安さや色味の良さから、かつては家庭用や事業用を問わず照明器具として幅広く用いられていました。最近ではより特性を活かす形で利用可能です。
蛍光灯やLEDの分光分布が特定の部分に強いピークを持つのに対して白熱電球は連続的であるため、白熱電球に照らされた対象物は自然な色合いに感じられます。そのため白熱電球は色の再現性が求められる飲食店や落ち着いた雰囲気が好まれるリビング向けの照明などによく利用されます。
白熱電球の構造
白熱電球は口金及びタングステン製のフィラメントやガラス管で構成されており、ガラス管の中にはアルゴンや窒素が封入されています。
1. サポート線
バルブ内の導入線の一種です。ニッケル線などが使用されます。
2. 封着線
バルブを貫通する導入線の一種です。一般的に銅被覆ニッケル鋼線が使われ、ハロゲンランプにはモリブデン薄箔が使用されます。
3. ヒューズ線
外部導入線の一種です。コンスタンタン線が使用され、フィラメント折損時に生じるアーク放電による過電流を防止するヒューズになっています。
4. フィラメント
白熱電球の発光部分です。
5. アンカ
モリブデン線が使われ、フィラメントを支える補助線です。
6. バルブ
フィラメント部を封入したガラス球です。軟質ソーダガラスや硬質硼珪酸ガラスが用いられ、ハロゲンランプには石英ガラスが使われます。
白熱電球の原理
口金部分を照明器具に取り付けて電源を入れるとフィラメントに電流が流れ、フィラメントは電気抵抗により発熱し、発光します。光は赤外領域にピークを持ち、可視光も含んで連続的です。封入されたアルゴンや窒素は高温の状態でフィラメントが切れることを防ぐ役割を担っています。
ハロゲン電球は発光効率の改善を図るため、より高温環境での運転を想定して設計可能です。ガラス管にはより高温にも耐えられる石英ガラスが使用されており、ガラス管の中にはアルゴンや窒素に加えてハロゲンガスが封入されています。
フィラメントが発光している状態ではタングステンの一部が蒸発します。しかし蒸発したタングステンと封入されたハロゲンガスが相互作用し、ハロゲンサイクルの形成によってフィラメントの再生が起こるため、通常の白熱電球と比較して長寿命です。
白熱電球の種類
1. シリカ電球
シンプルな仕組みの白熱電球で、くもりガラス仕上げになっています。
2. クリア電球
透明で輝度が非常に高く、きらめきを演出する場合に採用されます。
3. ボール電球
形状が丸型で、落ち着いた雰囲気を出します。
4. ミニ電球
小型で寿命が短いため、ランプの交換頻度が多いです。
5. 小丸電球
小型で長寿命で、寿命は5,000時間を確保しています。ナツメ球とも呼ばれます。
6. レフ電球
内部に反射板が設置され、光に指向性があります。ディスプレイ照明やスポットライトに使われます。
7. クリプトン電球
電球内にクリプトンガスが封入されています。一般的な電球と比べて2倍ほど長寿命で、消費電力を10%程度削減可能です。
8. ミニクリプトン電球
非常に小さいクリプトン電球で、輝度を高く設計可能です。トイレ用ブラケットやパウダーコーナーによく用いられます。
9. シャンデリア電球
炎の形状を模したバルブ形の白熱電球です。きらびやかな演出ができ、ブラケット照明やペンダント照明に使用される場合もあります。
参考文献
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/shomei_kigu/pdf/2016_01_03_00.pdf
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color/vol36.html
https://electric-facilities.jp/denki3/denkyu.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ha/harogen_sycle.html