電子はかり

電子はかりとは

電子はかり

電子はかり(電子秤)とは、測定対象物の質量を測定するための計量器です。

一般的に普及している電子はかりとしては、電磁力平衡式(電磁式)とロードセル式の2種類が代表的です。電磁力平衡式の電子はかりは天びんにおける分銅の代わりに電磁力を用いる機器で、高精度の測定が行える点が特徴的です。その反面、構造が複雑になりがちで小型化が困難という課題があります。

ロードセル式の電子はかりは、電磁力ではなく電気抵抗を利用して測定を行う機器です。電磁力平衡式のものより構造がシンプルなため、大型製品も比較的容易に製造できます。一方で、精度面では電磁力平衡式の製品に劣る傾向があります。

電子はかりの使用用途と原理

電子はかりには測定原理が異なるさまざまなタイプの製品が存在し、前述の通り電磁力平衡式とロードセル式の2つが主流です。

電磁力平衡式は分銅の代わりとして電磁力で受け皿の試料と釣り合わせることで重量を測る方法です。図の通りの機構となっており、フォースコイルに電流を流すことで下向きの力が働きます。光源と位置センサーにより釣り合う位置を確認しながら、フォースコイルの電流値を制御することで釣り合いを制御します。この時の電流値を読み取ることで重量を読み取ります。

電磁力平衡式の電子はかりは、前述の通り高精度測定が得意です。そのため、高精度が要求される実験向けに作られた分析用電子はかり(電子天びん)に用いられています。ただし、正確な測定のためには必要に応じて校正を行うことが重要です。

電磁力平衡式の電子はかり

図1. 電磁力平衡式の電子はかり

次にロードセル式は、アルミなどでできた起歪体のたわみから重量を読み取る方法です。起歪体に張り付けたひずみゲージが伸び縮みし、これにより電気抵抗値が変化します。この抵抗値の変化を電気信号として読み取ることで重量を測定します。

ロードセル式の電子はかりは、構造がシンプルなことが特徴的です。体重計など大型の電子はかりに採用されているほか、コストを抑えて製造したい場合には小型のものにも使われます。

ロードセル式の電子はかり

図2. ロードセル式の電子はかり

電子はかりの選び方

電子はかりを選ぶ際は測定試料の特性や使用目的などによって適切なものを選ぶ必要があり、基本的に受け皿の大きさ、ひょう量、最小表示で選びます。

まず、測定試料の大きさに合わせた受け皿を有するはかりである必要があります。

ひょう量ははかりが精度よく測定ができる最大量です。測定する対象の重量がひょう量以内である必要があります。

最小表示ははかりが測定で表示可能な最小の値であり、測定対象をどの程度まで細かく測定した以下により選ぶ必要があります。注意が必要な点として、最小表示値はあくまで表示される最小値であり、その値のサンプルまで正確に測れるという意味ではないということです。対象を精度よく測定可能な最小の重さは最小計量値であり、繰り返し測定した際の標準偏差の2倍が95.4%の確率で0.10%以下に収まる最小の大きさです。測定精度を重視する場合、はかりの直線性や繰り返し精度にも注意する必要があります。測定精度が高いほどはかりの価格も高くなってくるため、測定したい精度に合わせて適切なはかりを選ぶことが重要です。

電子ペーパー

電子ペーパーとは

電子ペーパー

電子ペーパーとは、紙のように視認性や携帯性が高く、かつ電気的に表示内容を書き換えられる表示媒体のことです。

液晶や有機ELと違ってバックライトを必要とせず、反射光を利用して画像を表示します。そのため、目に優しく、直射日光下でも見やすく、低消費電力で動作します。電子ペーパーは、薄型・軽量・フレキシブルな特徴も持ち、紙に近い感覚で使用可能です。

1970年代に米国ゼロックス社のパロアルト研究所に所属していたニック・シェリドンが開発したGyriconが始まりです。電子書籍リーダーや電子看板、電子棚札などの製品に利用されています。

また、省エネや環境保護の観点からも注目されています。今後は、カラーや動画表示などの機能向上やコストダウンなどが進められることで、さらに多くの分野で活用される可能性があります。

電子ペーパーの使用用途

1 電子書籍リーダー

電子ペーパーの代表的な使用事例は、電子書籍を読むための端末が挙げられます。電子ペーパーは反射により表示を行うため、消費電力がディスプレイより大幅に少なく済む点が特徴的です。

軽量・薄型の表示媒体ですので、その点からも電子書籍リーダーに適した製品だといえます。

2. 電子書籍リーダー以外

電子ペーパーの特性を活かし、電子書籍リーダーやタブレット端末での表示以外にも、看板やポスターなどの表示にも利用されています。屋外でも見やすく、夜間でも照明が必要ないため、省エネルギーになります。

また、表示内容を簡単に変更できるため、情報の更新が容易になります。さらに、電子ペーパーは、時計やファッションアイテムなどのデザイン性の高い製品にも有用です。

電子ペーパーの特性を活かした、独自のデザインが可能であり、高級感や技術的なイメージを演出することができます。

電子ペーパーの原理

電子ペーパーは反射を利用した表示媒体ですが、表示方式は製品ごとにさまざまです。各製品の表示方式は、主に下記4つに大別されます。

  • 粒子の移動と回転を用いた方式
  • 液晶方式
  • 電気化学方式
  • MEMS (Micro Electro Mechanical System) 方式

電子ペーパー業界で広く普及しているのは、粒子の移動と回転を用いた表示方式です。こちらでは広く普及している「粒子の移動と回転を用いた表示方式」の原理について説明します。

1. マイクロカプセル電気泳動方式

マイクロカプセル電気泳動方式はMIT (Massachusetts Institute of Technology) メディアラボで開発され、電子書籍端末で主流となっています。マイクロカプセルに封入した白黒2色の帯電粒子を移動させてコントラストをつけ、文字や画像を表示します。

2. マイクロカップ方式

同じくよく用いられるマイクロカップ方式も、粒子の移動・回転を表示に利用しています。マイクロカップ方式で特徴的なのは、マイクロカプセルでなく、マイクロカップに粒子を封入している点です。

カップへの封入時にラミネート処理を行うことで粒子の漏れを防止しているため、電子ペーパーがよりフレキシブル・頑丈になります。電気泳動によって粒子を移動させるなど、基本的な原理はマイクロカプセルと共通です。

電子ペーパーのその他情報

1. 電子ペーパーの長所

電子ペーパーは、従来の液晶ディスプレイとは異なる特性を持つ画面技術です。電子ペーパーの特徴は、以下のとおりです。

非常に低消費電力
電子ペーパーは、表示中の電力消費が非常に低いため、バッテリーの持ちがよく、長時間の利用が可能です。また、充電の頻度が少ないため、利便性も高くなります。

直射日光下でも見やすい
電子ペーパーは、外部光源によって反射されるため、直射日光下でも見やすいのが特徴です。このため、屋外での利用にも適しています。

目に優しい
電子ペーパーは、バックライトが不要であるため、目に優しいのが特徴です。また、液晶ディスプレイと比較して、フリッカーが少なく、長時間の利用でも目の疲れを軽減することができます。

2. 電子ペーパーの短所

反応速度が遅い
電子ペーパーは、液晶ディスプレイに比べて反応速度が遅いため、動画再生やゲームなどの動的な表示には向いていません。また、画面の更新に時間がかかるため、連続的な情報の表示にも不向きです。

色の表現が制限される
電子ペーパーは、白黒やグレースケールの表示には向いていますが、カラフルな表示には制限があります。特に、色の再現性が低いため、写真やイラストなどのカラフルなコンテンツを表示する場合は、液晶ディスプレイなどの他の画面技術を利用する必要があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/6/1/6_20/_pdf/-char/ja

電流ヒューズ

電流ヒューズとは

電流ヒューズ

電流ヒューズは、電気機器の安全装置の一種です。

電気回路がショートするなどの事故が発生すると、異常に高い電流が回路に流れて発熱し、火災の原因になる恐れがあります。この危険性を回避する手段の一つが、回路に電流ヒューズを入れるということです。

異常電流が流れると、電流ヒューズ内のヒューズエレメントと呼ばれる金属の可溶体が発熱して溶けて回路がオープン状態になり、異常電流が抑制されます。 なお、溶けてしまったエレメントは元に戻せません。電流ヒューズが一度安全装置としての役割を果たした後は、新しいヒューズに交換することになります。 

電流ヒューズの使用用途

電流ヒューズは異常電流に対する安全装置なので、家電製品、配電盤、自動車など様々な場所で使用されています。

特に、自動車分野は、マイコンによるエンジン制御など電子部品が増えてきたこともあり、安全装置としての電流ヒューズの需要が高くなっています。

一方、電流ヒューズは安価に設置できるというメリットがあるものの、一度エレメントが溶断してしまうと、新しいヒューズに交換するという手間が発生します。そのため、過電流遮断後すぐに復帰する必要がある配電盤などでは、異常電流を遮断する安全装置として電流ヒューズよりもスイッチ型ブレーカーが主流になっています。

電流ヒューズの原理

電流ヒューズは、ヒューズの定格電流値を超える電流が流れると、ヒューズ内のエレメントが発熱して溶断し、回路を遮断するという単純な原理で動作します。

エレメントの熱抵抗は中央部の方が両端部よりも高いため、熱は中央部から両端部へと伝導します。通常時はエレメント内の熱は両端へ逃げていきますが、定格電流を超える電流が流れた場合は、熱伝導が追いつかず、エレメント中央部が溶融温度を超えて遮断されるのです。

電流ヒューズは、異常電流が流れたときに回路を遮断するだけでなく、通常動作時には電流を通す必要があります。そのため、電流ヒューズを選定する場合は、通常動作時の定常電流が定格電流よりも低くなるよう考慮しなくてはなりません。

実際は、定常電流は定格電流に対して、安全規格が定める定常ディレーティングと、金属エレメントの抵抗温度係数を考慮した温度ディレーティングを、定格電流に加味した値以下にする必要があります。

また、起動時電流やON/OFF電流のように、電気回路の動作電流よりも高い値であっても異常ではない電流値に対して、電流ヒューズが遮断することがないよう、ヒューズを使用する機器のパルス電流や突入電流の値を測定して電流ヒューズを選定し、選定後は必ず実機テストを行うことが重要です。

参考文献
https://www.pecj.co.jp/fuse/outline/index.html
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/support/analogware/09/chap2.pdf
https://www.jeita.or.jp/japanese/exhibit/2014/1117/pdf/fuse.pdf

電力監視システム

電力監視システムとは

電力監視システム

電力監視システムは、電力量を計測することで省エネ活動を支援するシステムです。

以前は電力計を目視で検診していたところを、電力監視システムで複数箇所の電力使用量を自動で計測できるようになったことで、効率よく正確な電力量計測が可能になりました。

電力監視システムの基本的な機能は電力使用量を常時計測して監視することですが、それ以外にも、一定周期で電力使用量を監視し、目標値を超えると予想された場合にアラームを発生する機能や、重要度の低い電気機器から順に停止するなどの緊急措置を講じる機能など、単に電力を監視するだけでなく、監視内容をフィードバックして電力の使用状況を制御する機能を持つものがあります。 

電力監視システムの使用用途

電力監視システムは、ビル、工場、受電発電設備、小規模店舗など様々な場所で、使用電力の監視と制御を行うために使用されています。

オフィスビルにおける電力監視システムは、フロアごとの電力監視を行うことで、効率の悪い電力使用箇所を抽出し、空調や照明に使用される電力を管理して省エネルギー化を実現します。

工場における電力監視システムは、生産ラインごとに電力監視を行い、設備の稼働状況と電力使用量の関係を一括監視することで、生産設備の効率向上につながる省エネルギー化を図るだけでなく、設備異常を監視する効果もあります。 

電力監視システムの原理

電力監視システムの基本構成は、現場の電力使用量を計測する電力計、電力系と電力管理コンピュータをつなぐ有線または無線システム、電力監視ソフトウェアなどです。このような基本構成とIoTとを組合せて、電力使用量の遠隔監視システムへ拡張することも可能です。

電力監視システムには、30分間の使用電力の平均値(電力デマンド)を監視するとともに、現状の電力使用が続いた場合の電力予測も行い、使用電力が契約電力または目標電力を超えると予測された時にアラームを発生する機能を持つものがあります。これは、省エネ意識を向上させ、使用電力を抑えてコスト削減につながります。

また、電力監視結果の見える化によって、電力の使用状況が明確になり、電力削減対策が考案しやすくなるというメリットもあります。

電力監視システムは、もともと電気料金というコストを削減する目的で各所に導入されたものですが、使用電力削減が発電における二酸化炭素排出量を削減することにつながることから環境保護の目的が加わりました。そのため、事業活動の中でどれだけ二酸化炭素を排出しているかを電力量から換算する機能を持つ電力監視システムもあります。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/501/290/index.html
https://www.watanabe-electric.co.jp/purpose/case/
https://power.mhi.com/jp/products/control-systems/diasys/electricity-monitoring

投光機

投光機とは

投光機とは、発電機を持ち、光を照射する装置のことを指します。

一般的に、『機』という字を使用した場合、自ら駆動する部分を持つ装置に使用されます。発電機や電動機が使用される代表例です。それに対して、『器』という字が使用される場合、自ら駆動する部位がない装置を指します。熱交換器遮断器などが該当します。

投光器と言った場合、建屋に付帯する照明部分や、電池駆動の投光装置を指します。対して、投光機と言った場合、発電機などの駆動部分を内在した投光装置を指します。

投光機の使用用途

投光機は、主に暗所で工事や作業を行う際に使用されます。

作業を行う際の照度は、JIS基準で大まかに決められており、粗な作業を行う場合でも、作業場所の照度は200lx程度必要となります。照度が足りない場合、周囲や手元足元の確認ができず、作業員が危険にさらされることとなるからです。作業場所の安全確保は元請業者の義務であり、事故や怪我が発生した場合には責任問題を問われることとなります。

元請業者は、作業場所の照度確保を目的とし、投光機を提供することが一般的です。

投光機の原理

投光機は、燃料タンク、発電機部分、照明部分からなります。

燃料タンクには、発電機で使用する燃料が収納されています。一般的には灯油や軽油などが使用されます。稀にガソリンを使用する場合もあります。作業中に燃料が切れないように、少なくとも8時間程度の燃料が収納できるようになっています。

発電機部分では、燃料タンクの燃料を使用して発電機を回し、照明部分に供給する電気を発生させます。発電機は構造が簡単で小型にしやすいエンジン発電機が採用されます。国内では電源電圧に100Vまたは200Vが使用され、過電流から発電機を保護するためにほとんどの場合遮断器が取り付けられます。

照明部分は、近年ではLED投光器を使用するのが主流です。発光ダイオードに電圧を印可して光を取り出しています。発電機を使用するような照明には、蛍光灯換算で400W~800W級の大型投光器が使用されます。360度全方位を照らしたい場合には、バルーン型投光機も使用されます。

 

同軸コネクタ

同軸コネクタとは

同軸コネクタ

同軸コネクタ (英: Coaxial Connector) とは、同軸ケーブルを接続するためのコネクタです。

主に電子機器や通信システムで使用されています。同軸ケーブルと同軸コネクタの組み合わせは、電磁干渉やノイズから信号を保護する点で有利です。適切に設計された同軸コネクタは、信号の損失を最小限に抑えることができます。

また、同軸コネクタは一般的に堅牢な設計をしており、振動などから接続部を物理的に保護することが可能です。ただし、同軸ケーブルの性能はシールド線や接地に依存しています。同軸ケーブル用の接地が不十分である場合、遮蔽が損なわれてノイズの影響を受ける可能性があるため注意が必要です。

同軸コネクタの使用用途

同軸コネクタはその堅牢な設計と信号保護の能力により、さまざまな用途で使用されています。同軸コネクタの使用用途は、以下の通りです。

1. テレビ

テレビアンテナや衛星アンテナからの電波信号を受信する際、同軸コネクタが使用される場合が多いです。アンテナの信号は同軸ケーブルを介してテレビ受信機に伝送され、同軸コネクタによって信号を確実に伝達します。これにより、テレビ画像と音声のクリアな受信が可能です。

2. ラジオ通信

ラジオ通信では、アンテナと送受信機器を接続するために同軸コネクタが使用されます。アマチュアラジオや航空機通信などの分野で広く使用されており、信号の劣化を最小限に抑えて安定した通信を実現することが可能です。

3. コンピュータネットワーク

コンピュータネットワークでは、ノイズの多い環境で信号の安定性を保つために同軸ケーブルと同軸コネクタが使用されます。LANケーブルは100m以内の長さで使用しなければならないため、特に長距離通信において同軸ケーブルが使用されることが多いです。

4. 製造業

産業機器の分散型制御システムにおける通信ケーブルとして、同軸コネクタが使用されます。バス通信用に同軸コネクタと同軸ケーブルを使用する場合があります。遠隔監視用カメラについても、映像信号を同軸ケーブルで伝送するケースが多いです。

同軸コネクタの原理

同軸コネクタは外部からの電磁的干渉を遮蔽し、信号の安定性を確保するための特殊な構造を持っています。オス形状とメス形状のコネクタがあり、それぞれプラグとジャックと呼びます。以下は同軸コネクタの構造部品です。

1. コネクタ本体

コネクタ本体は、同軸コネクタの構造部品です。通常はねじ込み式のスレッドやベイネットロックなどの接続機構が備わっています。これにより、コネクタが確実に固定され、信号の安定性が保たれます。

2. 内部導体

内部導体は、同軸ケーブルの中心に位置する導体です。通常は銅やアルミニウムなどの導電性材料で作られ、信号がこの導体を通じて伝送されます。

コネクタ本体に取り付けられた中心コンタクトピンに接続され、信号の流れを確保します。

3. 中心コンタクト

内部導体同士を接続する部分です。信号は内部導体を通じて中心コンタクトに流れ、コネクタ本体と接続された他の装置に伝送されます。中心コンタクトは精密な設計が必要で、信号の損失を最小限に抑えることが求められます。

4. 外部導体

内部導体を取り囲むように配置される導体で、シールド層と接続される部分です。内部導体の信号を外部環境から遮蔽し、電磁的干渉を防ぐ役割を果たします。

同軸コネクタの種類

同軸コネクタには、以下のような種類が存在します。

1. RFCコネクタ

ベイネットロック機構を持つコネクタで、アナログおよびデジタルの信号伝送に使用されます。高周波の用途が多く、カメラやモニターなどの信号伝達に有利です。

2. N型コネクタ

高周波用途や広帯域の通信で広く使用されるコネクタです。基地局や無線通信などで使われ、高い信号品質と耐久性が求められる場面に使用されます。

3. SMAコネクタ

小型で高周波の信号伝送に使用されるコネクタです。衛星通信やワイヤレス通信などの用途に使用されます。

4. F型コネクタ

受信した映像信号を分配するためのコネクタです。テレビのアンテナ接続やケーブルテレビ、衛星放送などの用途で広く使用されます。一般的に低コストで取り扱いが容易です。

参考文献
https://coaxial–connector.com/about.php
https://www.to-conne.co.jp/dojiku_connector.html

排水トラップ

排水トラップとは

排水トラップ

排水トラップとは、排水管や下水道から発生する悪臭や害虫などが屋内に進入するのを防ぐ部品です。

排水トラップにはS字型、P字型、U字型などの複数の形式があり、いずれも水封と呼ばれる水で配管内に栓をして、望ましくないガスや害虫の侵入を物理的に防ぎます。

構造の性質上ごみなどが溜まりやすいですが、簡単に取り外して清掃可能な設計です。

排水トラップの使用用途

排水トラップは事業用や家庭用を問わず排水が発生する水回りへの設置が義務付けられており、用途に応じた形状を使用可能です。

排水内にオイルや毛髪、土砂などの環境に有害で排水管の詰まりの原因になる物質が含まれている場合、排水からそれらを分離するための阻集器がトラップと一緒に設置されます。

ただし経路中に複数の排水トラップを用いるとトラップ間の空気が抜ける場所がなくなり、排水を阻害するため禁止されています。施工ミスで二重になるケースも多く、途中のトラップを除去してパイプで繋げて改善が必要です。

排水トラップの原理

排水トラップは水が常温で液体で気体分子を通しにくい性質を利用しており、ガスや害虫などの進入を防ぐ栓として機能します。しかし水封自体は排水により常に洗浄されるため、それ自身がガスなどの発生源になることを防ぎます。トラップに貯める水の量が少量の場合にはトラップとしての機能を果たさず外乱により機能を失う恐れがあり、多量の場合には洗浄が十分に行われない可能性があるため、深さは50mm~100mmが適切です。

最もよく排水口と排水管の間に繋がれるS字型の排水トラップにはステンレス、真鍮、樹脂製を使用可能です。排水管内のガスが直接排水口へ流れ込むのを防ぎ、メンテナンスの際には取り外せます。

トラップの水量が少なくなり機能を失った状態を破封と呼びます。破封の原因は長期間使用されない場合の水分の蒸発や排水口の上に水が貯まって排水管に大量の水が流れた場合のサイフォンの原理による吸出しなどです。

排水トラップの種類

排水トラップにはサイフォン型と非サイフォン型があり、7種類に分類できます。

1. Pトラップ

器や排水管をP字を右に倒した形状にカーブさせ、封水を貯めます。排水口から注いだ水が封水と合流し、封水の水位が上昇して器の上部横に直結した排水管に水が流れます。

2. Sトラップ

器や排水管をS字にカーブさせ、封水を貯める構造です。Pトラップと同様に排水口から注いだ水が封水と合流し、封水の水位が上昇します。ただし器の上部から下に繋がった排水管に水が流れます。

3. Uトラップ

排水管をU字にカーブさせ、封水を貯めます。排水口から注いだ水は横の排水管に入って封水と合流し、封水の水位が上昇して器の上部から横に直結する排水管に水が流れます。汚れて詰まりやすいです。

4. ワントラップ

排水口の器と直結する排水管に円筒を差し込み、上に椀状の部品が覆っています。器と円筒の間のドーナツ状の隙間に封水を貯めて、水が流れると椀の外側に流れて封水と合流し、封水の水位が上昇すると円筒に水が溢れて排水管に流れます。

5. 逆ワントラップ

椀に貯めた封水に排水口から円筒を入れた構造です。注いだ水は排水口から円筒に流れて封水と合流し、封水は水位が上昇して椀の縁から溢れて排水管に流れます。

6. ボトルトラップ

封水を貯めた器に円筒を挿した構造です。排水口から注がれた水は円筒を通過して封水と合流し、封水は水位が上昇して器の上部横に直結する排水管に水が流れます。

7. ドラムトラップ

封水を貯めた器の下に汚水を受け入れる管があり、上に汚水を下水に流す管が付いています。排水口から注いだ水は排水管を通過して封水と合流し、封水の水位が上昇して器の上部横に直結する排水管に水が流れます。

排水トラップの選び方

排水トラップを取り付ける際に寸法を測る必要があります。具体的には排水口パイプの内径と外径、排水口中心と壁の距離、排水口の深さなどです。

参考文献
https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/business/pdf/kanko/kankou/haisuisetubiyoukou/chap03.pdf
https://www.cr-net.co.jp/topics/other/16/
https://www.qracian.net/common/1172/

発電機

発電機とは

発電機

発電機とは、機械的エネルギーを電気的エネルギーへ変換する装置です。

交流電源用発電機や直流電源用発電機があり、一般的に発電機と言えば交流電源用発電機を指します。世界的に商用電源は交流電源が用いられています。

発電機は1本以上の回転軸を持ち、回転軸に外部から機械的エネルギーを加えると電力エネルギーに変換可能です。消費する電力エネルギーが上昇するほど回転軸に必要とされるエネルギーが大きくなり、軸が回りにくくなります。消費エネルギーがほとんどない状態では、軸は自由に回転できます。

発電機の使用用途

発電機は産業用から一般家庭用まで幅広く用いられています。

一般家庭で電力会社から送電される電力は電力会社の同期発電機から送られます。電力会社では同期発電機が多く用いられ、火力、原子力、水力などの動力源を問わず使用可能です。

再生可能エネルギーとして着目されている風力発電機には近年では構造が簡便な誘導発電機が多く採用されています。家庭用の非常電源にもディーゼル発電機等が用いられ、交流電源を必要とするほとんどの場所で発電機を使用されています。

発電機の原理

発電機は原理の違いから大きく2種類に分類され、同期発電機と誘導発電機です。構造は誘導発電機の方が簡単ですが、電力系統に必ず1台以上の同期発電機が必要です。

1. 同期発電機

永久磁石や直流式等の励磁装置を持ちつつ回転子に磁界を発生させ、その磁界と巻線の位置関係を時間的に変化させて発電可能です。ポール数と回転数によって発電電圧と周波数が決まります。回転速度が上がるほど電源周波数が上昇し、発電電圧が上昇します。電力会社の火力発電機や原子力発電機など、主電源には主に同期発電機を利用可能です。

2. 誘導発電機

電磁誘導作用で発電を起こす原理で、励磁装置を持っていません。機械的エネルギーを変換する装置を付けずに電力系統と連携すると電動機として機能します。タービンや風車などを接続し、同期速度以上で回転させると発電機となります。主に風力発電機や水力発電機などの補助電源として使われ、回転速度を上昇させて周波数の調節に使用可能です。

発電機の種類

使用する燃料で4種類に分けられます。

1. 軽油発電機

ディーゼルエンジンに繋いで発電します。空気を吸い込んで圧縮し、高温にして燃料を噴射して爆発燃焼させます。

2. ガソリン発電機

小さくて持ち運びやすく、機種の流通量や種類が多いです。

3. ガス発電機

カセットガス用とLPガス用の2種類があります。

4. インバーター発電機

インバーター搭載やサイクロンコンバーター搭載に分類されます。

発電機の選び方

発電機の種類でメリットやデメリットが違うため、用途によって選択する必要があります。

1. 軽油発電機

出力が強力かつ一定で、空気環境に影響されません。運転時に騒音や振動が大きく、排気に黒煙が多いです。高額なため家庭用には向いていませんが、軽油は安価なためランニングコストは安く、重量があるため持ち運びが困難です。

2. ガソリン発電機

稼働音や振動が小さく、比較的安価です。

3. ガス発電機

カセットガス用は小型なため持ち運びやすいです。LPガス用には業務用が多いです。

4. インバーター発電機

サイクロンコンバーターと比べてインバーターは安定して良質な電気に変換可能です。無線機やパソコンのような精密機械にはインバーター搭載しか使えません。インバーター非搭載は電気の損失が少なく、インバーター搭載が最も多いです。

発電機の構造

発電の仕組みで直流発電機、交流発電機、三相交流発電機の3種類に分けられます。

1. 直流発電機

磁石間に設置したコイルを回転させると帯電し、流れた電流が直流になります。コンパクトな災害用のグッズなどに使用されます。

2. 交流発電機

コイルが固定されているため磁石が回転します。インバーターを通さずに家電を使用でき、小型発電機に利用可能です。

3. 三相交流発電機

3個のコイルを120°ずつずらして設置し、一つの回転子で3系統の電力を取り出せます。発電所などの高電圧の大電流が必要な場合に使われます。

半田コテ

半田コテとは

半田コテ

半田コテとは、電子部品の足と基盤上の配線など金属同士を接合する半田付け作業に使われる工具です。

半田を加熱して溶かす金属部分に、プラスチック製の持ち手がついたシンプルな構造で、針金状をした金属の半田に熱を加えて溶かし、接合していきます。半田付けでは、接合する金属と半田との間に、金属と半田が融合した合金層を作って接合します。

半田付け作業の目的は、主に接続した金属部分に電気が通るようにすることです。そのため、溶接作業のような強度は求められていません。半田は金属にしては融点が低いため、半田コテによって電子部品や配線の金属を溶かすことはないのが特徴です。

また、一度配線した後でも、半田を再加熱すれば修正が可能というメリットもあります。

半田コテの使用用途

半田コテは、製造製造現場で電子部品の配線や一般家庭の電気配線や修理などに使われています。半田コテにはセラミックヒーターとニクロムヒーターの2種類があり、使用用途によって使い分けます。

1. セラミックヒーター

セラミックヒーターは、タングステン製のヒーターをセラミックで包んだ構造をしており、こて先を内側から加熱します。半田付けの適温に達するまでの時間が短く、絶縁性に優れているため、ICなど扱いがデリケートな電子部品の配線に適しています。

2. ニクロムヒーター

ニクロムヒーターは、こて先にニクロム線を巻きつけて外側から加熱するタイプの半田コテです。安価なので、簡単な電気配線や修理など家庭での作業や学習用に向いています。

半田コテの原理

半田コテを使用する際は、まずデバイスの足などの接合箇所にコテ先を接触させて金属部分を温め、半田がなじみやすい状態にします。このとき、コテ先と金属部分とが直接当たる面積が大きいほど、効率的に熱が伝わ理やすいです。

コテ先のサイズが小さいと、熱がうまく伝わらず作業効率が落ちます。逆に、接合箇所より大きいサイズのコテ先を使うと、金属部以外の部分を損傷する恐れがあるため注意が必要です。

半田コテで接合箇所の金属を十分温めたら、コテ先を金属部に当てたまま、半田の先端を半田ごてと金属の接触箇所に押し当てます。半田はすぐに溶け、十分温まっている金属部分になじんで広がります。半田が金属部分に広がり少し盛り上がったところで、半田を離し、次に半田コテを離します。この手順によって、金属の接合部分は電気的に接続された状態になります。

半田付けの構造

半田付けは電気や電子回路内の部品を配線するために使用する溶接です。ものを固定するというよりも通電した際の接続性能が優先されます。半田付けは、「ぬれ現象」と「毛細管現象」という現象を用いて溶接しています。

ぬれというのは、例えば水滴をガラスと金属に落とした時ガラス状では薄く広がり、金属上では球体のようになります。これは水の分子同士の凝集力に比べ、ガラスとの付着率が大きいためで、この状態をぬれといいます。はんだが母材とよくなじむためにはこのぬれがを起こすことできちんと溶接しています。

もう一つは毛細管現象で、これは狭い隙間に液体が浸透する現象です。半田付けは母材に隙間に溶けた半田を浸透させることが仕上がりを左右する重要な要因です。

半田コテのその他情報

1. はんだ付けとろう付けの違い

はんだ付けは、溶接の中のろう接に分類されます。はんだ付けと類似しているのが、ろう付けと呼ばれるものです。こちらもろう接に分類されている溶接方法で、接合原理は全く同じですが、接合部の要求性能や道具が異なります。

また、溶加材 (ロウ材、はんだ) の融点温度で区分されており、450℃より高いものがろう付け、低いものがはんだ付けとされています。しかしながら、実際は450℃近辺で融点する溶加材が少なく、区分分けがしやすいことが要因で明確な理由はありません。

2. 鉛フリーの半田

従来、半田は鉛と錫の合金でできていましたが、2000年以降環境に配慮した鉛を含まない鉛フリー半田が主流になってきました。鉛フリー半田は従来の半田に比べて融点が高く流動性が低いため、半田付けがより高温で時間のかかる作業になります。

したがって、鉛フリー半田を使うときは、絶縁性と熱伝導性に優れたセラミックヒーターの半田コテが適しています。

参考文献
https://www.hakko.com/japan/tip_selection/
https://handa-craft.hakko.com/support/soldering-iron-type.html
https://handa-npo.com/knowledge
https://article.murata.com/ja-jp/article/soldering

半導体材料

半導体材料とは

半導体材料

半導体材料とは、半導体デバイス製品を製造する過程で使用される材料全般です。

前行程では表面に半導体チップを形成するウェハ、設計情報である回路パターンをウェハに焼き付けるときに原版として使うフォトマスク、エッチングガスやクリーニングガスなどの半導体材料ガスなどが使われます。後行程ではチップを載せるパッケージ用の金型、チップの電極を外部へ接続するボンディングワイヤ、パッケージ内のチップを保護する樹脂やセラミック製の封止材などが使用されます。

多様な半導体材料の中でもチップ本体を形成するウェハは最も重要な材料であり、一般的に「半導体材料」はウェハを指す場合が多いです。 

半導体材料の使用用途

半導体材料 (ウェハ) には単一の元素から作られる半導体と2つ以上の元素を材料とする化合物半導体の2種類があり、それぞれの特徴に応じて半導体分野で使用されています。

単一元素半導体はシリコン (Si) とガリウム (Ga) が代表的で、とくにシリコンウェハが主流です。比較的安価で、大口径のウェハを製造しやすいため、低コスト品などの半導体製品に用いられます。

化合物半導体にはシリコンカーバイド (SiC) 、窒化ガリウム (GaN) 、ガリウム砒素 (GaAs) などがあります。化合物半導体は結晶内の電子の動きがシリコンよりも速く、受発光機能に優れているため、高周波デバイス、高速コンピュータ、LED、光通信機器などに利用可能です。

半導体材料の原理

半導体材料 (ウェハ) の中でも最も多く使われているシリコンウェハは高純度のシリコンで作られた円形の薄い板です。

1. 単結晶引上工程

シリコンウェハの製造では、まずケイ素を精錬・精製して高純度化された多結晶シリコンを作り、それを原料として単結晶引上工程で単結晶インゴットを製造可能です。

単結晶引上工程では多結晶シリコンをホウ酸 (B) やリン (P) と一緒に石英ルツボの中で融解させ、融解シリコンの液面に種結晶シリコン棒をつけて回転させながら引き上げ、単結晶インゴットを作ります。このとき加える微量のホウ酸やリンが最終製品である半導体の電気特性に大きく影響します。

2. ウェハ加工工程

単結晶のインゴットは次のウェハ加工工程で薄くスライスしてウェハ状にした後、研磨してウェハ表面の凹凸をなくす鏡面加工を施します。研磨加工はポリッシュとも呼ばれ、この段階のウェハをポリッシュト・ウェハと呼びます。

ポリッシュト・ウェハはそのままでも半導体として使用可能です。半導体メーカーの要望に応じてさらに特殊加工を追加し、高温熱処理 (アニール処理) でウェハ表面の酸素を除去した微細化製品向けアニール・ウェハやウェハ表面にシリコン単結晶を気相成長 (エピタキシャル成長) させたエピタキシャル・ウェハなどが作られています。

半導体材料の種類

半導体は機能の集積度で主に3種類に分けられます。代表例はディスクリート半導体、IC (集積回路) 、LSI (大規模集積回路) です。

1. ディスクリート半導体

単一の機能を持つ素子で、半導体の中で最も集積度が低いです。ディスクリート半導体の代表例はダイオードやトランジスタです。ダイオードは一方向に電流を流す機能を有し、トランジスタは電流を制御する機能を持っています。ディスクリート半導体は、自動車、パソコン、スマートフォンなどの身近な機器に数多く利用されています。

2. IC (集積回路)

IC (英: Integrated Circuit) は複数の素子を集積させたものです。多数のトランジスタやダイオードを組み合わせて構成し、集積度によってSSI (英: Small Scale Integration) 、MSI (英: Middle Scale Integration) 、LSI (英: Large Scale Integration) に分類されています。

3. LSI (大規模集積回路)

LSIはICの中の一種で、集積度が高いものです。ICとLSIを同じ意味で用いる場合も多いです。 LSIはダイオード、トランジスタ、受動素子を集積したもので、複雑な機能を有します。自動車、パソコン、スマートフォン、オーディオ、デジタルカメラを代表として、人々の生活を便利にする製品に幅広く使用されています。

参考文献
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/discrete/chap1/chap1-2.html
https://sei.co.jp/sc/com_semi/tokucyou.html
https://www.sumcosi.com/products/process/