半田コテ

半田コテとは

半田コテ

半田コテとは、電子部品の足と基盤上の配線など金属同士を接合する半田付け作業に使われる工具です。

半田を加熱して溶かす金属部分に、プラスチック製の持ち手がついたシンプルな構造で、針金状をした金属の半田に熱を加えて溶かし、接合していきます。半田付けでは、接合する金属と半田との間に、金属と半田が融合した合金層を作って接合します。

半田付け作業の目的は、主に接続した金属部分に電気が通るようにすることです。そのため、溶接作業のような強度は求められていません。半田は金属にしては融点が低いため、半田コテによって電子部品や配線の金属を溶かすことはないのが特徴です。

また、一度配線した後でも、半田を再加熱すれば修正が可能というメリットもあります。

半田コテの使用用途

半田コテは、製造製造現場で電子部品の配線や一般家庭の電気配線や修理などに使われています。半田コテにはセラミックヒーターとニクロムヒーターの2種類があり、使用用途によって使い分けます。

1. セラミックヒーター

セラミックヒーターは、タングステン製のヒーターをセラミックで包んだ構造をしており、こて先を内側から加熱します。半田付けの適温に達するまでの時間が短く、絶縁性に優れているため、ICなど扱いがデリケートな電子部品の配線に適しています。

2. ニクロムヒーター

ニクロムヒーターは、こて先にニクロム線を巻きつけて外側から加熱するタイプの半田コテです。安価なので、簡単な電気配線や修理など家庭での作業や学習用に向いています。

半田コテの原理

半田コテを使用する際は、まずデバイスの足などの接合箇所にコテ先を接触させて金属部分を温め、半田がなじみやすい状態にします。このとき、コテ先と金属部分とが直接当たる面積が大きいほど、効率的に熱が伝わ理やすいです。

コテ先のサイズが小さいと、熱がうまく伝わらず作業効率が落ちます。逆に、接合箇所より大きいサイズのコテ先を使うと、金属部以外の部分を損傷する恐れがあるため注意が必要です。

半田コテで接合箇所の金属を十分温めたら、コテ先を金属部に当てたまま、半田の先端を半田ごてと金属の接触箇所に押し当てます。半田はすぐに溶け、十分温まっている金属部分になじんで広がります。半田が金属部分に広がり少し盛り上がったところで、半田を離し、次に半田コテを離します。この手順によって、金属の接合部分は電気的に接続された状態になります。

半田付けの構造

半田付けは電気や電子回路内の部品を配線するために使用する溶接です。ものを固定するというよりも通電した際の接続性能が優先されます。半田付けは、「ぬれ現象」と「毛細管現象」という現象を用いて溶接しています。

ぬれというのは、例えば水滴をガラスと金属に落とした時ガラス状では薄く広がり、金属上では球体のようになります。これは水の分子同士の凝集力に比べ、ガラスとの付着率が大きいためで、この状態をぬれといいます。はんだが母材とよくなじむためにはこのぬれがを起こすことできちんと溶接しています。

もう一つは毛細管現象で、これは狭い隙間に液体が浸透する現象です。半田付けは母材に隙間に溶けた半田を浸透させることが仕上がりを左右する重要な要因です。

半田コテのその他情報

1. はんだ付けとろう付けの違い

はんだ付けは、溶接の中のろう接に分類されます。はんだ付けと類似しているのが、ろう付けと呼ばれるものです。こちらもろう接に分類されている溶接方法で、接合原理は全く同じですが、接合部の要求性能や道具が異なります。

また、溶加材 (ロウ材、はんだ) の融点温度で区分されており、450℃より高いものがろう付け、低いものがはんだ付けとされています。しかしながら、実際は450℃近辺で融点する溶加材が少なく、区分分けがしやすいことが要因で明確な理由はありません。

2. 鉛フリーの半田

従来、半田は鉛と錫の合金でできていましたが、2000年以降環境に配慮した鉛を含まない鉛フリー半田が主流になってきました。鉛フリー半田は従来の半田に比べて融点が高く流動性が低いため、半田付けがより高温で時間のかかる作業になります。

したがって、鉛フリー半田を使うときは、絶縁性と熱伝導性に優れたセラミックヒーターの半田コテが適しています。

参考文献
https://www.hakko.com/japan/tip_selection/
https://handa-craft.hakko.com/support/soldering-iron-type.html
https://handa-npo.com/knowledge
https://article.murata.com/ja-jp/article/soldering

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