半導体材料とは
半導体材料とは、半導体デバイス製品を製造する過程で使用される材料全般です。
前行程では表面に半導体チップを形成するウェハ、設計情報である回路パターンをウェハに焼き付けるときに原版として使うフォトマスク、エッチングガスやクリーニングガスなどの半導体材料ガスなどが使われます。後行程ではチップを載せるパッケージ用の金型、チップの電極を外部へ接続するボンディングワイヤ、パッケージ内のチップを保護する樹脂やセラミック製の封止材などが使用されます。
多様な半導体材料の中でもチップ本体を形成するウェハは最も重要な材料であり、一般的に「半導体材料」はウェハを指す場合が多いです。
半導体材料の使用用途
半導体材料 (ウェハ) には単一の元素から作られる半導体と2つ以上の元素を材料とする化合物半導体の2種類があり、それぞれの特徴に応じて半導体分野で使用されています。
単一元素半導体はシリコン (Si) とガリウム (Ga) が代表的で、とくにシリコンウェハが主流です。比較的安価で、大口径のウェハを製造しやすいため、低コスト品などの半導体製品に用いられます。
化合物半導体にはシリコンカーバイド (SiC) 、窒化ガリウム (GaN) 、ガリウム砒素 (GaAs) などがあります。化合物半導体は結晶内の電子の動きがシリコンよりも速く、受発光機能に優れているため、高周波デバイス、高速コンピュータ、LED、光通信機器などに利用可能です。
半導体材料の原理
半導体材料 (ウェハ) の中でも最も多く使われているシリコンウェハは高純度のシリコンで作られた円形の薄い板です。
1. 単結晶引上工程
シリコンウェハの製造では、まずケイ素を精錬・精製して高純度化された多結晶シリコンを作り、それを原料として単結晶引上工程で単結晶インゴットを製造可能です。
単結晶引上工程では多結晶シリコンをホウ酸 (B) やリン (P) と一緒に石英ルツボの中で融解させ、融解シリコンの液面に種結晶シリコン棒をつけて回転させながら引き上げ、単結晶インゴットを作ります。このとき加える微量のホウ酸やリンが最終製品である半導体の電気特性に大きく影響します。
2. ウェハ加工工程
単結晶のインゴットは次のウェハ加工工程で薄くスライスしてウェハ状にした後、研磨してウェハ表面の凹凸をなくす鏡面加工を施します。研磨加工はポリッシュとも呼ばれ、この段階のウェハをポリッシュト・ウェハと呼びます。
ポリッシュト・ウェハはそのままでも半導体として使用可能です。半導体メーカーの要望に応じてさらに特殊加工を追加し、高温熱処理 (アニール処理) でウェハ表面の酸素を除去した微細化製品向けアニール・ウェハやウェハ表面にシリコン単結晶を気相成長 (エピタキシャル成長) させたエピタキシャル・ウェハなどが作られています。
半導体材料の種類
半導体は機能の集積度で主に3種類に分けられます。代表例はディスクリート半導体、IC (集積回路) 、LSI (大規模集積回路) です。
1. ディスクリート半導体
単一の機能を持つ素子で、半導体の中で最も集積度が低いです。ディスクリート半導体の代表例はダイオードやトランジスタです。ダイオードは一方向に電流を流す機能を有し、トランジスタは電流を制御する機能を持っています。ディスクリート半導体は、自動車、パソコン、スマートフォンなどの身近な機器に数多く利用されています。
2. IC (集積回路)
IC (英: Integrated Circuit) は複数の素子を集積させたものです。多数のトランジスタやダイオードを組み合わせて構成し、集積度によってSSI (英: Small Scale Integration) 、MSI (英: Middle Scale Integration) 、LSI (英: Large Scale Integration) に分類されています。
3. LSI (大規模集積回路)
LSIはICの中の一種で、集積度が高いものです。ICとLSIを同じ意味で用いる場合も多いです。 LSIはダイオード、トランジスタ、受動素子を集積したもので、複雑な機能を有します。自動車、パソコン、スマートフォン、オーディオ、デジタルカメラを代表として、人々の生活を便利にする製品に幅広く使用されています。
参考文献
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/discrete/chap1/chap1-2.html
https://sei.co.jp/sc/com_semi/tokucyou.html
https://www.sumcosi.com/products/process/