サムロータリスイッチ

サムロータリスイッチとは

サムロータリスイッチは、ロータと呼ばれる円板状の部品を回し選択した数値に対応した複数の接点回路のON/OFF信号の組み合わせで2進数や10進数、16進数などのコードに変換して出力する設定用スイッチのことを言いデジタルスイッチやサムホイールスイッチと呼ばれることもあります。

指などで回転させるロータリ操作方式とボタンを押すプッシュ操作方式があり、取り付けも、ワンタッチとねじ止め方式などのバリエーションがあります。

また、設定値が変わらないように固定できるロック機能や誤操作防止のため、細いペン先のようなものでしか操作できないサムロータリスイッチもあります。

サムロータリスイッチの使用用途

サムロータリスイッチは、サイズによって分類され、小さなスイッチが事務機器や民生機器、大きなスイッチが産業機器や工作機械など生産設備に使用されるケースが多いです。

産業機器や工作機械では、運転制御に必要な時間や温度、サイクル数などの条件値を、工作機械では加工寸法の上下限値を設定したり、モーターの制御では例えばマイクロステップと呼ばれる微小ステップのステップ数の設定などで使用されています。

また、各種計測器においても周波数や温度、測定時間など測定条件の設定に使用されています。

サムロータリスイッチの原理

サムロータリスイッチは、ケース、摺動子、ロータ、シール板、パッキン、プリント基板取付板、(プッシュ操作式は押しボタン)で構成されている非常に単純なスイッチでこわれにくく、多用途で採用されています。

選択した数字を視覚的に確認することができるため、誤入力を防ぐことができます。また間違えたとしても簡単に修正することができます。

メカ機構でコードを変換しているので停電など電源の供給が停止しても設定値を維持することができます。また、回路側の複雑な制御が不要で出力側の回路や配線がシンプルになり、信頼性や保全性の向上に貢献します。

特に使用条件によりパラメータを変えないといけないときに活躍する機会がありますが、最近は大画面の操作パネル内にさまざまなパラメータ設定ができるようになり、画面での対応するケースが増えています。しかし、現場でハードウェアだけで設定を変えることが必要なケースもまだまだ多いのが現状です。

参考文献
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120903/237351

ジェットオイラー

ジェットオイラーとは

ジェットオイラー

ジェットオイラー (英: Jet Oiler) とは、機械や機器の潤滑を目的として使用される装置です。

特に、摩擦の発生する箇所や高速回転部にオイルを供給するために使用されます。圧縮空気などを利用してオイルを噴射することにより、潤滑や冷却を効果的に行います。

ジェットオイラーはオイルを細かい噴霧として供給するため、機械の摩擦面に均一にオイルを供給し、効果的に潤滑可能です。これにより、機械の動作がスムーズになり、摩耗や熱による劣化や故障を防ぐことができます。

ただし、ジェットオイラーはオイルを噴射するため、ノズルや接続部分からのオイル漏れのリスクがあります。漏れたオイルは周囲の環境や作業場に影響を及ぼす可能性があり、適切なシールや漏れ防止対策が必要です。

ジェットオイラーの使用用途

ジェットオイラーはさまざまな分野で使用されます。主に機械の潤滑目的です。以下はジェットオイラーの使用用途一例です。

1. 輸送機器

船舶では、主機関や舵輪などの回転部にジェットオイラーが使用されます。高速回転部の潤滑を行い、機械の効率的な動作と安定した運航をサポートします。

また、飛行機のエンジン駆動部やターボチャージャーなどの高速回転部にジェットオイラーが使用されることが多いです。オイルの噴霧によって潤滑を行い、エンジンの性能を最適化し、効率的な運行と信頼性の向上を実現します。

自動車やバイクにおいても、同様の高速回転部分に使用することが可能です。摩擦面の潤滑により、燃費を向上させつつ部品の耐久性の向上を図ります。

2. エネルギー産業

発電所などのタービンや発電機の高速回転部にジェットオイラーが使用されます。オイルの噴霧により、回転部の潤滑と冷却を行い、効率的な発電と安定した運転を実現することが可能です。風力発電タービンの高速回転部にも使用され、効率的な発電を実現しつつ機械の寿命を延ばすことが可能です。

3. 製造業

フライス盤やボール盤などの工作機械において、切削工具や回転部の軸受などの潤滑に使用されます。オイルの噴霧によって摩擦を低減し、作業精度の向上や工具寿命の延長を実現可能です。

プレス機械では、金属板の加工や成形が行われます。ジェットオイラーはプレス部品やダイスの摩擦面にオイルを供給し、品質の向上と寿命の延長を促します。コンベアなどにおいても、ジェットオイラーを使用してローラーや軸受を潤滑することが可能です。

ジェットオイラーの原理

ジェットオイラーはオイルや接着剤などを滴下したり、注入するために使用されます。出す量や位置を微調整しやすいのが特徴です。スプレーやジョッキと比較して本体が小型のものが多いため、省スペースで保管できます。

ジェットオイラーはタンクやノズルによって構成される装置です。タンクはオイルを貯めておくための部品であり、一定量の潤滑オイルを保持し、供給に応じてオイルを提供します。タンクのサイズは20ml以下の小型製品から400ml以上の大型製品まで幅広く、劣化しやすい液体には小型のオイラーが有利です。

また、オイルを噴射するためのノズルを有します。ノズルには細かな孔や噴射口が設けられており、オイルを細かな噴霧またはジェット状に噴射することが可能です。極狭い箇所で使用する場合は極細のノズルタイプのオイラーが最適です。

なお、材質は金属とプラスチックの2種類あります。中に入れる液体の種類によって適した材質を選択します。

ジェットオイラーの選び方

ジェットオイラーを選ぶ際は、持ち手などを考慮します。レバーを握るタイプと、樹脂製のタンク本体を押すタイプなどがあります。用途や使い勝手に応じて選定することが必要です。

タンクの容量なども考慮します。オイルの使用量が多かったり、劣化しにくい液体を噴霧する場合には大型のオイラーを選ぶことが可能です。

ノズルの形状もさまざまで、横向きもしくは先端が少し曲がった形状が主流です。真上を向いた形状や斜め向き形状のオイラーも販売されており、用途に応じて選択します。

シャント抵抗器

シャント抵抗器とは

シャント抵抗器 (英: Shunt Resistor) とは、電気回路において電流の測定に使用する抵抗器です。

Shuntという言葉には「分流する」や「脇へそらす」といった意味があるため、シャント抵抗器は分流器とも呼ばれます。電流値確認やバッテリーの残量検知といった主に通電確認を行う際に活用する素子・部品です。シャント抵抗器は、電流を測定する信頼性の高い方法です。

シャント抵抗器にも電流が印可されるため、シャント抵抗器の抵抗値と電圧降下の関係を利用して正確な電流値を計算できます。また、高電流が流れる場所で使用できるのも特徴の1つです。

大電流回路では電線が太くなることが多いため、クランプ式の電流測定方法を使用することが困難な場合があります。通常は低抵抗なシャント抵抗器を使用することで、正確で信頼性の高い電流値を得られます。ただし、大電流が印可される回路にシャント抵抗器を使用すると、発熱量が多くなる場合があります。したがって、冷却装置などを検討することが必要です。

シャント抵抗器の使用用途

シャント抵抗器は電気回路で使用される素子・部品です。使用用途の一部を以下に示します。

1. 計装配線

代表的なシャント抵抗器は250Ωの抵抗器です。一般的なアナログ出力信号としては、DC4-20mAの電流信号が多く活用されます。電流信号のため、電圧降下の影響を受けにくい点から使用されることが多いです。

これに対して、入力信号としてはDC1-5Vの電圧信号を指定されることも多いです。したがって、DC4-20mAをDC1-5Vの電圧信号に変換するために、入力端子に250Ωを並列接続して使用します。

2. パワーエレクトロニクス

インバーターなどのパワーエレクトロニクス装置では、電流制御と監視が重要です。シャント抵抗器は電流の制御や過電流を検出することを目的に使用されます。インバーターでは、直流側からの電流を制御し、交流側の出力を制御します。

また、産業用整流器では、電流測定に広く使用されます。産業用整流器は電車や電解槽・メッキ槽への直流通電に使用される装置です。数万Aの電流を作り出すことも珍しくないため、高電流を測定可能なシャント抵抗器を使用します。

3. 電気自動車

電気自動車においても、シャント抵抗器が電流制御に使用されることが多いです。バッテリーからモーターへの電力供給を制御し、適切な電流の流れを確保します。また、急速充電時の電流制限やバッテリーの保護にも役立ちます。

シャント抵抗器の原理

シャント抵抗の基本原理はオームの法則です。オームの法則によれば、抵抗器に流れる電流 (I) は、抵抗器の抵抗値 (R) と抵抗器にかかる電圧 (V) の比例関係にあります。

シャント抵抗器は、測定対象の電流が流れる回路に直列に接続されることが多いです。そのため、シャント抵抗器にも同じ電流が流れます。一般的にはシャント抵抗器の抵抗値は既知であり、電圧計などでシャント抵抗器に印加された電圧を測定することで電流値の計算が可能です。

シャント抵抗器の種類

シャント抵抗器は以下のような種類が存在します。

1. ワイヤ型シャント抵抗器

一般的な形状のシャント抵抗器であり、抵抗性の高い金属ワイヤが使用されることが多いです。金属ワイヤは細く長い形状で巻かれており、低い抵抗値を実現します。小さな電流値から高電流値まで様々な範囲で使用可能です。

2. ストリップシャント抵抗器

フラットな金属ストリップが使用されるシャント抵抗器です。ワイヤシャント抵抗器と同様に低い抵抗値を持ち、高い電流を扱うことができます。ストリップシャント抵抗器は熱効率が高い上に放熱性に優れているため、高負荷状態での安定した動作が可能です。

3. メタルフィルムシャント抵抗器

金属フィルムを使用して製造されたシャント抵抗器です。金属フィルムが基板上に堆積され、抵抗パターンが形成されます。メタルフィルムシャント抵抗器は高い精度と安定性を持ち、温度変化に対しても比較的安定した特性を示します。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/resistors/r_what14
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/shunt-resistor-guide
https://www.akaneohm.com/column/current_sense/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/4-20ma/selection.jsp

シンクロナスモーター

シンクロナスモーターとは

シンクロナスモーターとは、電源周波数に対して正確に同期して回転するモーターです。

日本語では同期電動機と呼ばれます。回転子と固定子の磁界が正確に同期し、定速で回転する点が特徴です。シンクロナスモーターは同期速度で回転し、電源の周波数や負荷の変動に対してほとんど変化しないため、定速性に優れています。

例えば、50Hzの電源を供給する場合、4極のシンクロナスモーターの同期速度は1,500回転/分です。また、定常状態で高い効率を発揮します。これは、同期速度で回転し、回転速度に応じた機械的損失が少ないためです。エネルギー効率を向上させ、電力消費を削減することができます。

ただし、シンクロナスモーターは一般的なインダクションモーターに比べて製造コストが高価です。また、内部に永久磁石を使用する場合もあり、メンテナンス費用も高額になります。

シンクロナスモーターの使用用途

シンクロナスモーターはさまざまな用途で使用されるモーターです。以下はシンクロナスモーターの使用用途一例です。

1. 製造業

シンクロナスモーターは、工場やプラントで使用されるポンプ、ファン、圧縮機などの駆動装置に適しています。これらの装置では一定の速度とトルクが求められるため、シンクロナスモーターの定速性と高トルク特性が重要です。また、シンクロナスモーターは高い効率を発揮するため、省エネルギー性にも優れています。

一般的に、24時間稼働の設備に対して使用した方が省エネルギー性を多く享受することが可能です。工業用水の給水ポンプや海水ポンプなどに使用されます。工業用炉の排気ブロワなどにも最適です。

2. 加工機

シンクロナスモーターは加工機にも使用されることがあります。加工機とは、フライス盤やボーリング機などの工作機械のことです。加工機では高い定速性が求められるため、シンクロナスモーターを使用することによって安定した速度を保てます。

特に、ターンテーブルの駆動用などに使用されます。定速性が求められるため、シンクロナスモーターが最適です。

3. 電気自動車

一部の電気自動車の駆動用モーターとして使用されます。電気自動車では、高い効率と高いトルク特性が重要です。シンクロナスモーターは、定速性があり、高い効率とトルク密度を提供するため、電気自動車の駆動用モーターとして適しています。

シンクロナスモーターの原理

シンクロナスモーターはインダクションモーターと同様に、固定子や回転子、筐体などで構成されます。

1. 固定子

固定子は固定された部分であり、複数のコイルが特定の配置で据えられた部品です。これらのコイルは、交流電源から供給される3相の電力によって励磁されます。この励磁によって、定子には一定の磁界が発生させます。

2. 回転子

回転子は回転子は中心に軸があり、固定子の周囲を回転する部品です。回転子には通常、英雄磁石やDC電源から供給される直流電流によって磁化される巻線が配置されています。固定子と回転子における磁界の相互作用によって、回転軸が回転する仕組みです。

3. 筐体

固定子と回転子は、筐体によって堅牢に保護されています。そのため、筐体には強度が高い鋼鉄などが使用されることが多いです。放熱用途を兼ねていることが多く、筐体の周囲はフィンが付属して表面積を稼いでいる場合があります。

シンクロナスモーターの種類

シンクロナスモーターにはいくつかの種類があります。以下はシンクロナスモーターの種類一例です。

1. SPMモーター

回転子の表面に永久磁石が配置されたシンクロナスモーターです。永久磁石は回転子の外側に取り付けられており、固定子の磁界と同期して回転します。SPMモーターは高い効率と高いトルク密度を持ち、電力消費を削減しながら高いパフォーマンスを発揮することが可能です。

電気自動車や産業用ポンプ、ファン、ロボットなどの駆動に広く使用されます。

2. IPMモーター

回転子の内部に永久磁石が配置されたシンクロナスモーターです。永久磁石は回転子の内部に埋め込まれており、固定子の磁界と同期して回転します。永久磁石が脱落する危険性が低いため、高い負荷条件下で使用することが可能です。

3. 電磁石型シンクロナスモーター

回転子に電磁コイルを使用するシンクロナスモーターです。電磁コイルは回転子のスロットに配置され、固定子の磁界と相互作用して回転します。電磁石型シンクロナスモーターは、磁気特性を柔軟に制御できるため、広い速度範囲で使用可能です。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/products/standard_ac/smk/features/
https://www.pulsemotor.com/products/synchronous/

スピンドルユニット

スピンドルユニットとは

スピンドルユニットは、ほかの装置から必要な回転力をうけて高精度な回転運動を与える装置のことを言います。通常は動力を伝える装置ですが、動力源も含めてスピンドルユニットと呼ぶことが多いです。

動力源の種類や動力源を内部にもつのか、外部にもつのか、また軸受の種類によってスピンドルの特徴が異なります。

動力源は電気モータやエアモータ、エアタービンなどがあります。軸受けでは、セラミックアンギュラ玉軸受けや円筒ころ軸受けなどが用いられています。

スピンドルユニットの使用用途

高精度な回転、すなわち、軸のブレが少ない回転運動をするため、回転させる機構を持った加工機だけでなく、医療器などにも使用されています。

旋盤のワークを回転させる部分やフライス盤では加工ツールの回転、円筒研削盤ではワークや砥石の回転、平面研削盤では砥石を回転させるために使用されています。

小型な加工機には動力源を内部にもつビルトインタイプが用いられ、高速回転が必要な場合は動力源にエアタービンなど、低速で高トルクな回転が必要な場合はエアモーターなどが用いられています。

スピンドルユニットの原理

スピンドルユニットに求められる重要な仕様の一つが軸のブレです。軸がぶれると加工ならば表面に凹凸ができたり不均一できたない外観になってしまいます。ブレ精度を表す仕様として非繰り返し精度(NRRO)があります。NRROは、転がり軸受けを使ったスピンドルで0.5μm以下、軸受けに油静圧を使ったタイプで0.1μm以下、エアーやガスを使ったタイプで0.05μm以下などスピンドルの軸受によって異なります。特に油静圧やエアーを使った軸受けは転がり軸受と異なり非接触のため半永久的な寿命を得ることができます。

通常は冷却水を流すことで回転による摩擦熱などの排熱をおこなう必要があります。

また、動力源によってスピンドルユニットのサイズ、最高回転速度(~数万回転/min)や剛性に違いがあります。

加工工具など回転させたいツールは真空や機械式、磁石などでスピンドルユニットにクランプすることができます。

参考文献
http://www.techno-nakanishi.co.jp/spindle/
https://www.skf.com/jp/products/spindle

ソレノイドアクチュエータ

ソレノイドアクチュエータとは

ソレノイドアクチュエータ

ソレノイドとは電磁力を利用して、機械運動を実現するデバイスです。

構造や動作が単純で機械負荷を直接駆動でき、装置全体を小さくシンプルにすることができます。動作は回転系 (回転ソレノイド) と直線系 (直動ソレノイド) があります。ほかの駆動系にくらべて高速性、応答性が優れています。

使用する電流により直流ソレノイドと交流ソレノイドがあります。交流ソレノイドは直流ソレノイドに比べて動ける範囲(ストローク)が広いメリットがある反面、騒音が大きいことや安全性への不安から近年は直流ソレノイドが多く使われています。

ソレノイドアクチュエータの使用用途

ソレノイドアクチュエータは装置を小型化したい場合や高速で繰り返し運動をさせたい時によく使われます。

回転系ソレノイドアクチュエータはドアなどのロック機構やロール紙のカッター、光学機器で使用される光学シャッター駆動、バタフライバルブの駆動部や通路切り替えようフラッグの駆動で使用されています。

直動系ソレノイドアクチュエータはダイアフラムポンプの駆動やカードリーダのローラを動かす機構、摩擦ブレーキ、エアバルブなどの電磁弁や流量調整機構などで使用されています。

ソレノイドアクチュエータの原理

ソレノイドは、電磁石がコイルに通電したときのみ磁石としての性質を示すことを利用して可動する機構部品の一つです。ソレノイドは磁性体で作られた可動磁極があり、鉄心として固定磁極およびその周りにコイルを配置します。コイルに通電したときに固定磁極と可動磁極は吸着し、コイルの電流を遮断すると吸着力は消えて復帰する動きにより直線往復駆動を実現します。回転の場合は吸着力を回転方向への力に変換しています。

ソレノイドアクチュエータの特徴は、コイルに通電するだけで動作し、モータのようにドライバなどの制御装置が不要で簡単に動かすことができる点にあります。また回転させる場合は、モータはエンドレス動かすことができ、電圧調整により速度を変えるなどで簡単に制御できますが、ソレノイドは限られた範囲のみ回転し、回転速度は制御することが困難です。しかし、ソレノイドは直接負荷を駆動できるため、高速性、高応答性に優れています。

タービンポンプ

タービンポンプとは

タービンポンプ

タービンポンプとは、ガイドベーンを使用することで高圧力に対応したポンプです。

遠心ポンプの1種類で、ディフューザポンプとも呼ばれます。回転する羽根車の外周にガイドベーンを取り付けることで、液体の圧力を効率的に上昇させて輸送することが可能です。 

タービンポンプは、高揚程にも対応できる点が特徴です。密閉された高圧容器などへ給液することができます。また、堅牢な構造を持ち、耐久性があります。長時間の連続運転や高負荷に耐えられます。信頼性が高く、故障やメンテナンスの頻度が低いため、安定した運転が可能です。

タービンポンプの使用用途

タービンポンプはさまざまな用途で幅広く使用されます。以下はタービンポンプの使用用途一例です。

1. 発電所

揚水発電所では、タービンポンプが水の揚水を担当しています。水力発電所には負荷平準化を目的に、系統が低負荷の際に水を貯水池へ返すことが可能な揚水発電所が存在します。

貯水池は高所に存在する場合があるため、高揚程に対応可能なタービンポンプで揚水することも多いです。また、火力発電所の蒸気ボイラーでは、ドラム内部が高圧となることも多いです。高圧ドラムに給水するために、高揚程のタービンポンプが使用されます。

2. 配水システム

都市や産業地域の配水システムでは、タービンポンプが水道水の供給を担当しています。水源からの水を取り込み、貯水池や上水道へ効率的に送ります。タービンポンプは大容量の水を扱えるため、大規模な水の供給が可能です。

3. 消防システム

消防用ポンプは水を遠くへ、あるいは高所へ給水します。さらに放水ノズルから高圧の状態で勢いよく飛ばす必要があり、ポンプ自体は小型であることが求められます。タービンポンプはこれらの性能要求をすべて満たしているため、採用されることが多いです。

4. 海水淡水化プラント

海水淡水化プラントでは、タービンポンプが海水の供給を行います。海水淡水化プラントでは、海水を淡水に変換するために塩分を取り除きます。タービンポンプは高い圧力を発生させ、海水を膜フィルターや蒸発器に送り込んで処理を行うことが可能です。

タービンポンプの原理

タービンポンプのケーシング内部に羽根車があり、モータで羽根車を回転させます。ポンプが液体を吸い込むと、内部に満たされた液体は羽根車の回転によって中心部と外周部に圧力差が生じます。この圧力差によって液体は遠心方向に押し付けられ、最終的に吐出口から送り出される仕組みです。

これに加え、タービンポンプの場合は羽根車の外周にガイドベーンが取り付けられます。ガイドベーンは案内羽根とも呼ばれます。回転しない固定された翼である点が特徴です。

羽根車から出た液体はガイドベーンに導かれます。ガイドベーンの間を通過するうちに徐々に減速し、代わって圧力エネルギーへと変換されます。最終的に高圧の液体を吐出することが可能です。

タービンポンプの選び方

タービンポンプを選ぶ際は、流量・揚程、液体の特性、効率などを考慮することが必要です。使用可能な予算の中から、これらを考慮した機器を選定します。大型機の場合は受注生産となることが多いため、メーカーなどとの相談が必要です。

1. 流量・揚程

使用するポンプの流量と揚程を特定します。必要な流量は、移送する液体の量や供給する水の要件に基づいて決定します。必要揚程は移送先との高低差や圧力、配管長さなどから求めることが可能です。

2. 液体の特性

タービンポンプを選ぶ際には、移送する液体の特性も考慮します。液体の種類や粘度などは、ポンプの材料選択や設計に影響を与えることが多いです。液体に適した材料やポンプ種類を選ぶことが重要です。

3. 効率性

高効率のポンプを選ぶことは、エネルギーコストの削減や環境への影響を最小限に抑えるために重要です。ポンプの効率や省エネ性能を調査し、適切に選定します。ポンプの効率は、一般的に大容量の方が高いことが多いです。

参考文献
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4599
https://engineer-education.com/pump-1/
https://www.kawamoto.co.jp/data/catalog/30_turbine_pump-series.pdf
https://www.tohatsu.com/ffdp/jp/support/post.html
http://www.syobo12.net/mecha/pump.html
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kuchosetsubikisokouza_0407/

ドライベアリング

ドライベアリングとは

ドライベアリングは、回転体を保持しながらも回転への抵抗を極力減らすための軸受の一種で、軸受本体に潤滑油を含浸もしくは個体潤滑剤を埋め込む、もしくは自己潤滑性のある材料を使うことで、無給油で使用できるすべり軸受です。

一般的にベアリングというと、内輪と外輪の間にボールが入っており、ボールが転がる構造になっています。このようなベアリングでは回転への抵抗を減らすため、またボールと内輪および外輪とのこすれによる摩耗をふせぐためにオイルやグリースなど潤滑油が塗布されています。

ドライベアリングの使用用途

パワーステアリングなど自動車1台で約30種、100点を超えるドライベアリングが使用されています。

高所でメンテナンスが難しい風力発電設備や海水による腐食リスクが高い海上油田設備など厳しい環境下で使用することができます。

オイルやグリースが入っていないため、真空中やアウトガスを嫌う場所、水中などでの回転体保持に使われています。

高速回転や高い回転精度が求められる箇所には適用が難しく、低速で回転精度が不要な場所で使われることが多いです。

ドライベアリングの原理

無給油の軸受けのため、真空や水中、高温下、メンテナンスができない場所で使用することができます。

安価でラインナップも多く、大きさもかなり小さいものからあります。素材は金属だけでなくプラスチック製もあり、耐薬品性が必要な箇所でも使用することができるフッ素系樹脂などもあります。

ドライベアリングの中でも耐振動性や耐熱性など特定要素に強い、用途にあわせて選定可能な多数のドライベアリングが発売されています。

金属製のドライベアリングでは、潤滑剤としてグラファイトや二硫化モリブデンが添加されており、樹脂製ではPOMなど自己潤滑性のある材料が使われています。

つば付きのブッシュタイプと円筒形のカラータイプが一般的で摺動性が良いPOM(ポリアセタール)製で汎用的なドライベアリングは数円で入手することができます。

ドライベアリングは無給油という視点からオイルレスベアリングとよばれることもあります。

参考文献
https://www.daidometal.com/jp/wp-content/uploads/sites/4/2019/02/dry-bearing-catalog-jpn-2019-2020.pdf
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0019.html

ねじ用限界ゲージ

ねじ用限界ゲージとはねじ用限界ゲージ

ねじ用限界ゲージとは、ねじの寸法確認のために用いられる検査治具、ゲージです。

検査治具の中でも限界ゲージと呼ばれるもので、工作物ねじが通り用のゲージを通り、かつ止まり用のゲージで通過しなかった場合にのみ製品は合格と判定されます。ねじ用の限界ゲージには、おねじ用とめねじ用があります。

おねじ用は「リングゲージ」、めねじ用は「プラグゲージ」と呼ばれ形状は異なりますが、合格・不合格の判定方法は同じです。ねじ用限界ゲージはおねじ用、めねじ用どちらも、規格の上限と下限の両方を確認するため2個1組で使います。検査箇所はおねじはねじ有効径 (ねじ山部の太さ) と外径 (ねじ山頂点の直径) 、めねじは有効径と内径 (ねじ山頂点の直径) です。

有効径を確認するゲージは、見た目がねじの形状になっており、ゲージに工作物ねじを組み合わせて使います。また、これらの摩耗限界を確認するための摩耗点検用ゲージもあります。

ねじ用限界ゲージの使用用途

ねじ用限界ゲージは、ボルト、ナット、その他ねじ加工された製品の製造現場で多く使われます。ねじを製造するための転造や切削加工、さらにめっきなどの表面処理を施した後にも、ねじ用限界ゲージが用いられます。

ねじの形状には多くの諸元があり、全てを計測しようとすると時間と労力が必要です。特に大量生産されるねじの製造ラインにおいては、ねじ用限界ゲージによる日常管理が広く行われています。

また、摩耗点検用の限界ねじゲージはねじ用限界ゲージの摩耗が、摩耗限界を超えていないか、ねじ用限界ゲージの確らしさを保証するために必要なゲージです。ねじ用限界ゲージの摩耗量が多いと、正しい判断ができません。トラブルを避けるためにも、ねじ用限界ゲージの摩耗管理が重要です。

ねじ用限界ゲージの原理

ねじ用限界ゲージのねじ部寸法は、呼び寸法、等級毎に定められた公差で作られています。図面で指示された呼び径、等級のゲージを使うことが大切です。ねじの有効径とは、ねじの山と谷の幅が等しくなる仮想の円筒部の直径を指します。

有効径を確認するためのゲージは工作物ねじの山先端部と谷底部を避けフランク (山谷を形成するねじ山の斜面部分) のみに接触するように製作されているため、有効径が規格内に収まっているか判断することができます。おねじの外径とは、おねじの山の頂点位置の直径です。プレーンリングゲージは内径がねじ山が無い円筒形をしており、おねじの外径を確認できる寸法になっています。

めねじの内径とは、めねじの山の頂点位置の直径です。プレーンプラグゲージは外径がねじ山が無い円筒形をしており、めねじの内径を確認できる寸法になっています。

ねじ用限界ゲージのその他情報

1. ねじ用限界ゲージの材料

ねじ用限界ゲージは検査対象のねじにねじ込んで使用するため、摩耗しやすい使われ方をします。耐摩耗性に優れた高硬度の材質が必要です。

ゲージメーカによって様々で、軸受鋼合金工具鋼超硬合金等で製作されます。また、耐摩耗性を向上させるためTiNやDLCコーティングされたゲージもあります。

2. ねじ諸元のISO規格と旧JIS規格

現在のJISのねじの規格はISO規格に準じたものになっていますが、現実には旧JIS規格が流通しているのも事実です。例えば、ISOのねじ等級は6gや7hなど、はめあい公差と同類の規格ですが、旧JISでは1級、2級といった区分が規定されていました。

ねじは規格製品であり、旧JISが使用されている場合も少なくありません。不必要なトラブルを避けるためにも、取引先に対して確認が不可欠です。

3. めっき膜厚とねじ有効径との関係

ねじ製品の表面処理の工程管理にも、ねじ用限界ゲージの使用は大変有効です。屋外や金属の錆が発生しやすい環境で使用されるねじには、耐食性確保のためにめっき処理が欠かせません。

耐食性を向上させるためには、めっき膜厚を厚くすることが有効ですが、膜厚過多はねじが嵌合しなくなる不具合につながります。ねじの寸法で大切な有効径に対して幾何学上、めっき膜厚の4倍で大きくなってしまいます。ねじを表面処理をする際には、表面処理工程の前後で、慎重な管理が重要です。

参考文献
https://faq.osg.co.jp/
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
http://www.sokuhansha.co.jp/product11.html

ハンドリングロボット

ハンドリングロボットとは

ハンドリングロボット

ハンドリングロボットとは、主に製造工場などでワークを搬送するために使用される産業用ロボットのことです。

人の腕のように動く垂直多関節ロボット、水平方向と垂直方向だけの動作に特化した水平多関節ロボット (スカラーロボット) 、直交ロボット、パラレルリンクロボットなどがあります。最近は、安全柵で囲む必要のない人協働ロボットもハンドリングロボットとして使用されています。

人協働ロボットでは、人と接触しても人がケガをしにくい構造や動作スピードが採用されており、人協働ロボットは人とハンドリング作業を行うロボットです。

ハンドリングロボットの使用用途

ハンドリングロボットは、主にピックアンドプレースや梱包、パレタイジングなどの作業を行います。製造業や物流業など、業界は幅広いです。

1. ピックアンドプレイス

ピックアンドプレイスは特定の位置にある部品や製品 (ワーク) を掴んで持ち上げてから、指定の位置まで運んで降ろす作業です。パラレルリンクロボットやスカラーロボット、垂直多関節ロボットなどほとんどのロボットが使用されています。

2. 包装

梱包はピックアンドプレイスに近い作業で、ワークを段ボールや発泡スチロールなどの梱包材に詰めていきます。アームが2本ある双腕型のスカラーロボットや人型ロボットなどが使われています。

3. パレタイジング

パレタイジングは梱包済みの製品やカートン、箱、袋、製品自体などのワークをパレットの上に整列、積み上げていく作業です。ハンドリングロボットに要求される動作は単純になります。重量物に対応可能で、可動域が広い垂直多関節ロボットが使われています。

ハンドリングロボットの原理

ハンドリングロボットは、ワークを把持するハンドおよびハンドが連結されるアームを備えています。ハンドには、指や爪を用いてワークを機械的に掴む把持ハンドや真空吸着や磁気吸着によってワークを吸着して把持する吸着ハンドなどがあります。把持ハンドでは、複雑な形状のワークの把持が可能です。吸着ハンドでは、短時間でのワークの把持が可能です。

近年、ハンドリングロボットに3次元ビジョンセンサを搭載することによって3次元的にワークの状態を確認してワークの必要な箇所を把持できるようになってきました。そのため、従来はパーツフィーダと呼ばれるワークを整列させて所定の位置まで運ぶ装置を使ってワークの供給を行っていましたが、ロボット自体がワークの状態を判断してワークを把持できるようになっており、いわゆるバラ積み状態のワークの把持が可能になっています。

ハンドリングロボットの種類

冒頭で紹介したようにハンドリングロボットには、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボットなどがあります。

1. 垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕に近い構造を持つロボットです。一般的に4軸、5軸または6軸で構成されています。それぞれの軸を回転させることによって、3次元空間上での自由な動作が可能です。

2. 水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、水平方向に動作するハンドを持つロボットです。基本的に4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

3. 直交ロボット

直交ロボットは単軸の直動ユニットを組み合わせたシンプルな構造のロボットです。一般的に2軸、3軸または4軸で構成されています。

4. パラレルリンクロボット

パラレルリンクロボットは、並列に繋がれた複数のリンクを持つロボットです。ハンドリングできるワークの重量やロボットの稼働範囲は制限されますが、精密で高速な動作が可能になっています。

ハンドリングロボットのその他情報

ハンドリングロボットのメリット

ハンドリングロボットは、人手不足が深刻になると予想される将来への準備として人の代わりに製造工程の一部を担う存在です。重たいものを簡単に持ち上げることが可能で、24時間365日休むことなく働き続けます。

また、従来は人とロボットの間に安全柵が必要でしたが、人にやさしい設計になった人協働ロボットを使うことで安全柵を設置せずに、人からロボットに手渡しでワークを渡すことも可能になっています。