円筒研削盤のメーカー8社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
円筒研削盤は、円筒形状をした工作物の外径を研削することができる機械加工機です。
基本的な構造としては、ベット上に、前後方向にボールネジとサーボモーターによるスライド機構で摺動する砥石台があります。
左右方向には、同じくベット上に、任意の位置に往復運動できるテーブルがあります。
そのテーブル上には、およそ中央にあるピンを基準として旋回できる旋回テーブルがあり、その両端で固定されています。
旋回テーブル上の左端に主軸台、右端に芯押し台がセットされています。
工作物は、主軸台と芯押し軸台の両端よりセンタ支持され、ケレによって工作物が回転します。
砥石台が前進することで、センタ支持された工作物に回転した砥石があたり研削されます。
旋回テーブルを回転させて、砥石軸に対して角度をつけることによってテーパー研削をおこなうこともできます。
円筒研削盤は、両端センタ支持により研削します。
比較される研削方法として、工作物のセンタ支持をおこなわない芯なし研削盤という研削盤があります。
センタ支持に代わって、研削砥石と調整砥石の間にあるブレードによって工作物の外径を支持します。
研削砥石に対して、調整砥石が前進し、調整砥石によって回転させられながら挟み込むことで研削する研削方法です。
円筒研削盤側のメリットとしては、高精度に仕上げることができます。
また、両センタ支持であるため、外径部に溝などの加工部がある場合や真円度や円筒度が良好ではない場合など、その影響を受けることなく研削することができます。芯なし研削盤は、外径が基準となるため、影響をうけてしまいます。
デメリットとしては、製品の脱着などに時間を要してしまいます。
大量生産には、芯なし研削盤が優位です。
円筒研削盤は、少量多種生産に向く研削方法であり、複雑な形状や高い精度を要求される工作物に使用されることが多い研削方法です。
円筒研削盤の研削方法には、大別して3種類の研削方法があります
トラバース、プランジ、アンギュラ研削です。
トラバース研削は、テーブルを左右に移動させながら研削する研削方法です。
移動することにより、砥石幅に対して長物の円筒物の研削を行う事ができます。また、往復しながら研削することで、面粗さを向上させることができます。
通常は、テーブルの折り返しや往復ごとに、砥石軸の切込みが一定量おこなわれます。
プランジ研削は、研削位置にテーブルを移動させてから、工作物に対して砥石を切込む研削方法です。
研削時は、テーブルの移動をおこないません。
研削可能な範囲は砥石幅に依存しますが、研削力が伝わりやすく効率良く研削を行うことができます。
アンギュラ研削は、砥石軸をテーブルにたいして角度をつけた位置にセットされています。工作物に対して、斜め位置から切込みます。
段付きなどの円筒形状の外径と、両センタに対して直角方向の端面部を同時に研削することができます。
すべての研削方法に共通しますが、切込み完了後、切込みを行わずに、砥石と工作物をゼロ距離で研削するスパークアウトを一定時間おこないます。
これにより、面粗さや真円度など、精度を向上させることができます。
円筒研削盤と同じく円筒形の外径を加工する用途に使われる旋盤との違いは、まず加工方法に違いがあります。
旋盤は、素材が回転しながら固定された刃物を接触させて加工しますが、円筒研削盤は、素材が回転しながら砥石も高速で回転し、砥石で素材を押し当てて加工していきます。
また、一度で削れる量にも大きな違いがあり、旋盤は荒加工で削ることのできる量がより多く、その分早く荒加工を済ませることができますが、円筒研削盤は旋盤に比べて削れる量が少ないため、仕上げ寸法より取り代を残す段階の荒加工に使うには効率が悪く、砥石の摩耗も進んでしまいます。
さらに、焼き入れ鋼や高硬度鋼などの硬い材料を加工するとき、旋盤では刃物のチップが金属の硬度に耐えられず、すぐに摩耗したり欠けてしまい、良好な面粗度や寸法精度が得られないため、加工するのに難儀してしまいますが、研削盤では高硬度の材料であっても加工が可能なため、焼き入れ後の最終仕上げ加工にて威力を発揮します。
砥石は、「砥粒」「結合剤」「気孔」の3つの要素から成り立っていて、これらが小さな切れ刃になって徐々に削っていくため、非常に高い精度で加工することができます。
刃物を用いた工作機械と違い、研削盤では1μm単位の精度で加工することができます。面粗さにおいてもより滑らかで非常に良好な面粗度を得られ、真円度もついても極めて精度がよく、精密な加工をすることができます。
また、同じ研削盤でも、素材のチャッキングが不要で芯だしの手間を省いたセンターレス研削盤(芯なし研削盤)より、素材をしっかり固定するため、センターレスよりも精度が高いです。
しかし、細ければ細いほど、長ければ長いほど素材がチャッキング時の押し付ける力でたわみ易く、たわむと真円度や寸法精度に大きな影響を及ぼしてしまうため、長尺材を高い精度で加工するためには振れ止め装置を用いてたわみを抑制し、素材ごとに工夫しながら加工する必要があります。
参考文献
https://sakaitec.co.jp/enjineering/machinetool/320
https://www.shigiya.co.jp
https://www.okamoto.co.jp/cylinder
https://toyoda.jtekt.co.jp/products/machine.html
https://www.kousakukikai.tech/grinder/
https://caddi.jp/articles/%E7%A0%94%E5%89%8A%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98/
https://sakaitec.co.jp/engineering/machinetool/320
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
NMG-150/NMG-25はオートローダーを一体設計していて非常に小さいボディかつΦ255という小径砥石をつかって加工するCNC円筒研削盤です。
センター間距離が150mmタイプと250mmタイプの2種類がラインアップで用途によって選択することが可能です。
加工可能なワークの最大径はΦ50のため小型ワークの加工に適していて、砥石周速度33m/sによって加工することができます。
砥石周速度および砥石サイズを変更した仕様や動圧メタル砥石スピンドル仕様なども対応可能です。
GPV-10は両センタ支持方式を採用しているため小型ワークの加工に適していて、立体型のコンパクト設計のため設置スペースを取らないCNC円筒研削盤です。
ボディの右側に操作盤が設置されたRタイプと左側に設置されたLタイプがあるため、生産現場のレイアウトに合わせることや複数台導入する場合のアレンジが可能です。
センタ間距離は200mm、研削可能なワーク外形はΦ70で、砥石周速度33m/sによって加工することができます。
加工部はカバーで覆われているため安全性にも優れています。
e300Giはワークの長さに応じて自動的にセンター間調整を行う主軸NCシフト機構を搭載することで段取り替え作業の効率化を図り、小型ワークの量産に最適な円筒研削盤です。
両側にあるセンターとワークとの間に発生する摩擦力によって回転させる両センタ駆動を採用していて、駆動金具を必要としないため、ワークの向きを反転させることなく外形を全て研削することができます。
センター間距離は320mmで加工可能な最大径はΦ80です。
GU20x40Sは主軸台に精密ベアリング構造を設定することで高い剛性を実現し、外形、内径、端面を高精度に研削することが可能な円筒研削盤です。
精密な砥石ヘッドを採用し、研削主軸は静圧軸受構造とすることで精度の高い回転となり、金属摩擦や熱変位を抑制しするため、長時間にわたって高品質な研削を可能とします。
センター間距離は400mmで研削可能なワークの最大外形はΦ180mmのため大型部品の加工に適していて、多彩な研削方法に対応しています。
S20はコンパクト設計のため省スペースで、精密部品などの小型ワークを単品または小ロット生産するときに最適な電気機械式駆動装置を採用した汎用タイプの円筒研削盤です。
センター間距離は400または650mmに対応していて、加工可能なワークの最大重量は20kgです。
シンプルな構造であるため操作性に優れ、段取りに替えに要する時間も短くすみ、低コストを実現しています。
砥石ヘッドは手動にて15°または30°に旋回させることができ、その他各種オプションも豊富です。