ベアリング押さえピン

ベアリング押さえピンとは

ベアリング押さえピンは、ベアリングの固定に使用する部品の一つです。

該当ベアリングのサイズに合ったピンで、軸受の幅を押さえながら、ねじで規定の箇所にベアリングを配置することができるピンです。

各種ベアリングとは別に、ピン単体で販売されています。ベアリングとは別に購入する場合は、対応するベアリングのサイズを確認してピンを選ぶ必要があります。

ベアリングの固定で類似の方法が、ベアリングユニットの使用です。

ベアリングユニットはボルト等で設置し、軸を挿入して荷重を支持するよう使用します。

押さえピンとベアリングユニットでは、固定方向と固定部分とが異なります。

ベアリング押さえピンの使用用途

ベアリングは単体で購入すると、通常、ベアリング外径面を既定のはめあい寸法であるハウジングの内径面に挿入し、さらに、ベアリングの内径面に軸となる部品を挿入して使用しなければ機能しません。

しかし、軸やハウジングに、直接ベアリングを組み込むと、交換等の補修が非常に困難になるケースが多数あります。

その補修作業を簡単にするため、この押さえピンを使用することがあります。

固定方法は異なるが、ベアリングユニットを使用しても、同様に補修作業が簡単になります。

ベアリング押さえピンの原理

構造は非常にシンプルで、押さえピンは、ボルトによく似た形状をしています。

ボルトのねじが切られている側と反対側には、六角穴等が加工されており、六角穴付きボルト同様、簡単に回せるようになっています。こちら側の外径面はベアリングの内径寸法より若干大きな直径寸法となっており、ねじで締めこむと、ベアリングの幅面を押さえられる様になっています。

ベアリングの内径寸法より大きな直径寸法の隣には、ベアリングが挿入される(軸となる)部分があります。

ベアリングが挿入される部分の隣に、ねじが切られている部分があります。

例えば、ベアリングが構造体・ベース(高剛性部材)等に焼き嵌め等で内蔵されており、別部品の軸を挿入して、その軸を回転軸として使用する場合は、軸に所定のタップ穴をあけるだけで、軸とベアリングを、押さえピンで固定することが可能になります。

この場合、押さえピンを外すことで軸を外すことが可能になるため、補修作業が簡単になります。

ベアリングユニットを使用する場合は、構造体・ベース(高剛性部材)等の任意の場所にタップ穴をあけるだけで、ベアリングユニットを配置でき、軸の設置が可能になります。

2個のベアリングユニットを使用してはめ合いがルーズである軸を支える場合、片方のベアリングユニットのボルトを外すことで、軸の取り外しが可能になるので、補修作業が簡単になります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/c1229.html
https://www.ntn.co.jp/japan/products/bearingunit.html
https://www.asahiseiko.co.jp/product/bearings/series.html

クロスローラー

クロスローラーとは

クロスローラーは、直線運動をガイドするクロスローラーガイドやクロスローラウェイといった商品と転がり軸受の一種のクロスローラベアリング、クロスローラーリングといった商品の二種類があります。

どちらの商品も、ころ(主に鋼製の円筒形状部品)を複数本使用しています。隣り合うころは、お互い90度の相対角度を有し、互い違いに配列されている特徴を持っています。

直線運動のガイドをするものは、ころは直線に配列されています。

転がり軸受の一種は、回転運動を支持するので、ころは円状に配列されています。

クロスローラーの使用用途

直線運動のガイドは、主に精密機械や産業ロボットの駆動部に使用されています。名前の通り、直線運動を案内する用途で使用され、特に高い剛性が必要とされる分野に使用されます。

転がり軸受(クロスローラー)は、主に産業ロボットや建設機械に使用されます。他の軸受形式と比較し、必要なスペースに対して高い剛性が得られるので、こちらも特に高い剛性が必要とされる分野に使用されます。

直線運動のガイドと転がり軸受では、使用方法が全く違います。どちらを使用するかは、支持する運動が、直線であるか回転であるかで決まります。

クロスローラーの原理

直線運動のガイドは、90度の角度をしているV字の転走面を持つ柱が2本あり、転走面を合わせる様に配置され、合わせられた2つのV字の間(正方形のすきま)部分にころが配置され、隣り合うころは外径面(転走面を走る面)と端面(転走面とは接触しない面)が互い違いに配置されています。

このような配置にすることで、ボールが内蔵される同様商品に対して、サイズが小さく、高い剛性を有することが可能となります。

運動をガイドする部品のため、転走面を持つ柱には取り付け用の穴が付いており、比較的簡単に取り付けることが可能です。取り付け用の穴については、各種メーカのカタログを確認して選定することが可能です。

転がり軸受は、凹形状のV字の転送面を持つ内輪と外輪との間に、直線運動のガイド同様に互い違いにころが配置されています。

このように配置することで、他の軸受に比較して、軸とハウジングとの中心軸が傾こうとする力に対する剛性を高くすることが可能です。

そのため、例えば、人の腕と指のような産業用多関節ロボットの土台に近い部分の荷重支持に使用されていることがあります。

転がり軸受も簡単に取り付けられる様、様々な取り付け穴が標準的についているものもあります。各種メーカのカタログ等を確認して選定することが可能です。

参考文献
http://www.h-precision.co.jp/technology/index.html
https://www.thk.com/?q=jp/node/6727
https://www.thk.com/?q=jp/node/6717
https://www.ikont.co.jp/product/chocudo/tou16.html

管用タップ

管用タップとは

管用タップとは、配管類を接続または結合するために使用される管用平行ねじや管用テーパねじのめねじのネジ加工ができる加工工具の一種です。

管用タップは、平行ねじ用とテーパねじ用の二種類に分類されます。平行ねじ用は機械的結合を主目的とするねじを加工する際に用いられ、テーパねじ用は水道やガス管など、水密気密を必要とするねじの加工での使用します。

管用タップは、配管の種類により様々な規格があるため、用途によりねじ規格、ねじ径、山ピッチを加工目的に合わせて選定します。

管用タップの使用用途

管用ねじには規格で決められた種類があり、JIS(ISO)管用テーパ用めねじRc(旧JIS PTねじ)と、JIS(ISO)管用テーパ用めねじRp(旧JIS Psねじ)、JIS(ISO)管用平行ねじG(旧JIS PFねじ)があります。

RcとRpはともにJIS管用テーパ用おねじRを取付けるためのめねじですが、Rcはテーパ形状でRpは平行形状となります。

その他にNPT等、頭にNが付いたアメリカ管用ネジ規格があります。JIS管用は山の角度が55°でアメリカ管用は60°となります。

管用タップの原理

管用テーパタップは、一般的な平行タップと異なり完全ねじ部でも切削を行うため、摩擦抵抗が大きく、ハンドタップの2~3倍の切削トルクが必要です。

管用テーパねじの加工には、タップの加工深さにより入り口の径が変わるため、適切に設定する必要があります。

図面要求のねじ長さにより、タップも長ねじ形か短ねじ形か、もしくはさらに短いねじ長さで加工するために特殊品タップを用いる場合があります。

テーパタップ PT1/8-28 TPT 長ねじ形の場合、基準径位置は約13 mmとなります。

テーパタップ PT1/8-28 S-TPT 短ねじ形の場合、基準径位置は約10.5 mmとなります。

テーパねじの基準径位置にも公差があり、タップを交換した際に、今までと同じ加工深さで加工を行うと管用テーパねじゲージに合格しない場合があります。 そのため、テーパタップを新品に交換した際は、都度、基準径位置を基準に、浅めに逃し加工を行い、ゲージで確認を行いながら合格するように加工深さの調整をするをする必要があります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_machining/T0108000000/T0108050000/
https://faq.osg.co.jp/faq/show/4905?category_id=1&site_domain=default

ロールタップ

ロールタップとは

ロールタップは、ねじを成形するための工具の一種です。ロールタップは切削刃を持たないため、ねじ山を形成する際に切りくずをほとんど出さないことが特徴です。そのため加工時に出る切りくずが作業環境や機械に影響を及ぼすことが少なく、清掃の時間やコストを削減できます。

ロールタップは塑性加工でねじ山を形成するため、切削工具としてのタップとは異なります。ロールタップは材料をプレスするように加工するため、ねじ山を作る際の加工負荷が比較的低いことが特徴で、ねじ山形状によって異なる下穴サイズが必要です。

ロールタップの使用用途

  1. 柔らかい材料の加工
    ロールタップは柔らかい材料に適しており、アルミニウム合金などの軽合金に特に適しています。

  2. 切りくずの問題がある加工
    ロールタップは切りくずをほとんど出さないため、切りくずによる問題がある加工に適しています。

  3. ねじ山の強度向上
    ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、加工されたねじの強度を向上できます。

  4. 有効径のバラツキ抑制
    ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、有効径のバラツキを抑制できます。

  5. 止まり穴加工
    ロールタップは止まり穴加工にも使用できます。切削刃を持たないため切削力が低く、止まり穴加工に適しています。

  6. 通り穴加工
    ロールタップは、通り穴加工にも使用できます。塑性加工によりねじ山を形成するため、比較的低い回転数で加工できます。

ロールタップの原理

ロールタップは、塑性加工によりねじ山を形成するための工具です。ロールタップは切削刃を持たないため、材料を押し込むようにしてねじ山を形成します。材料を加工するためには十分な加工圧力と摩擦力が必要です。

ロールタップはタップと材料との間に高い圧力をかけることで塑性変形を起こさせて、材料はタップの突起部に沿って変形し、ねじ山形状を形成することが、ロールタップによるねじ山形成の原理です。この際、材料がタップの突起部に押し込まれることにより加工に必要な圧力が発生します。この加工圧力により材料が塑性変形を起こし、ねじ山形状が形成されます。

ロールタップには切削刃がないため切削力が非常に低く、材料の塑性変形が生じやすいため、比較的低い回転数で加工できます。またねじ山形状が材料の塑性変形によって形成されるため、切りくずがほとんど発生しないという特徴があります。

ロールタップの特徴

長所

(切りくずが少ない)
ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため切りくずがほとんど発生しません。そのため切りくずによるトラブルを防ぎながらクリーンな加工が可能です。

(ねじ山の強度向上)
ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、ねじ山の強度を向上できます。

(有効径のバラツキ抑制)
ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、有効径のバラツキを抑制できます。

(比較的低い回転数で加工可能)
ロールタップは切削刃を持たないため、切削力が低くて比較的低い回転数で加工できます。

(柔らかい材料に適している)
ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、柔らかい材料に適しています。

(止まり穴加工に適している)
ロールタップは切削刃を持たないため、切削力が低くて止まり穴加工に適しています。

(加工精度が高い)
ロールタップは切削刃を持たないため、回転中にタップと材料との位置関係がほとんど変化しません。よって加工精度が高くなります。

短所

(下穴サイズの精度が重要)
ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、下穴サイズの精度が非常に重要です。下穴サイズが正確でない場合、ねじ山形状が不良になることがあります。

(切りくずの除去が難しい)
ロールタップは切削刃を持たないため、切りくずの除去が難しいことがあります。そのため加工に使用する材料によっては、切りくずが詰まってしまって加工が停止してしまうことがあります。

(高精度な設定が必要)
ロールタップは塑性加工であるため正確な設定が必要です。加工前には適切な下穴サイズや加工条件を設定することが重要です。設定が不正確な場合、ねじ山形状が不良になることがあります。

(鉄などの硬い材料には不向き)
ロールタップは、塑性加工によりねじ山を形成するため、鉄鋼などの硬い材料には不向きです。硬い材料に対しては、切削刃を持つタップが適しています。

ロールタップのその他情報

ロールタップは柔らかい材料に適していた工具です。これはロールタップがねじ山を形成する際に塑性加工を行うためです。塑性加工は、金属を変形させるために金属を圧縮してその形状を変えることを利用する加工方法です。このため金属材料が柔らかく、変形しやすいほど、ロールタップの塑性加工が効果的に働きます。

例えばアルミニウム合金は比較的柔らかい材料の一種です。アルミニウム合金は、非常に軽量でありながら、高い強度や耐食性を持っているため航空機や自動車の部品、電子機器など、様々な産業で使用されています。アルミニウム合金はロールタップによる加工に適しており、ロールタップを使用することでより高精度なねじ山を形成できます。

ベアリング用ナット

ベアリング用ナットとは

ベアリング用ナットはベアリングを軸に固定する時に使用する部品の一つです。

ベアリングは、通常、内側に軸を配置して使用します。その際、軸の所定の位置からベアリングがずれないように、幅を押さえて使用することが多いです。

購入したベアリングに同梱されていることはないため、必要な場合は、使用する軸とベアリングの規格にあった部品の選定が必要です。

ベアリングメーカからも購入が可能です。ナット単体としても様々なメーカから購入が可能です。 

ベアリング用ナットの使用用途

ベアリングは、外輪外径に沿ったハウジングに挿入し、内径に軸を配置して使用します。その際、軸に固定する方法として、軸肩(ベアリングの内輪内径より直径が大きな部分)とナットとで、ベアリングの幅を両側から押さえる配置にして使用することがあります。

また、ベアリング用ナットを使用した固定方法を選択する場合、サイズが合う座金をセットで使用することもあります。これは主にナットの緩み止め機能向上としてセットで使用します。 

ベアリング用ナットの原理

ベアリング用ナットの形状は、一般的にDIY等でも使用する、ボルトとナット(外側が六角形のもの)のナットを大きくして、外側が円形状で、外径の軸方向に数か所切り欠きがついている形状をしています。この形状にすることで、軸受幅面に沿った面にすることができ、治工具で簡単にナットの締め付けができるようになります。

セットで使用する座金は、DIY等でも使用するボルトに挿入して使用する座金を大きくしたものですが、内径の内側一か所にベロ(人間の舌)のような凸形状があります。

軸に、座金が接触する面に、この凸形状が挿入される溝を加工しておき、溝に凸形状を挿入することで、座金とナットが軸と相対的に回転運動をすることを防ぎ、ナットの緩み止め機能が期待できます。

ナットを使用してベアリングを軸方向に押さえる配置とし、ナットの締め付けトルクを管理することで、アンギュラ玉軸受等のベアリングに負荷する軸力を管理することが可能で、主に精密な運転が必要な個所に、このような取り扱いをすることがあります。

また、ナット単体では、表面処理や材質等、各種メーカから様々な仕様のナットが販売されており、用途に沿ったナットを選択することが可能です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0032.html
https://www.orange-book.com/ja/c/search/result.html?category=D_01_05
http://www.everon.jp/evn_locknuts/index.html
https://www.kishuf.co.jp/product/

スライドガイド

スライドガイドとは

スライドガイド

スライドガイドは直線運動をガイドする部品です。

スライドガイドの他、LMガイド、リニアガイドの商品名で同様商品が販売されています。

また、産業ロボット等の精密機器に使用することを目的とし、エンコーダ付の商品もあります。

主な動きは、レール(直線で柱形状の部品)に沿って、ブロック(可動可能な台座)が直線方向に前後運動をします。繰り返し前後運動し、ブロックは同じ経路をたどり、さらに、運動における抵抗を小さくしたものが、スライドガイドです。

スライドガイドの使用用途

産業の分野、主に生産工場において、多種多様な使用方法があります。

例えば、メーカの生産工場において、ワークを直線的に送り出す機構が必要な場合や、シリンダを直動させる必要がある場合、位置決めガイドがある部分にワークを搬送する場合があります。さらに、リンク機構やスライドガイドを複数配置して、ストッパ機構が必要な場合や、反転機構が必要な場合等、バリエーション豊富な用途があり、生産工場の自動化において、種々の用途で使用されています。

スライドガイドの原理

スライドガイドの部品構成は主に、レール、ブロック、運転用のボールから構成されます。防塵等のため、可動部分を密封するようにシールが付いているものがほとんどです。

レールとブロックとは運転用のボールを介して一体化されており、レールに対してブロックが相対運動をするとき、運転用のボールは、レールとブロックとの転走面を転がり運動します。転がり運動をすることで、非常に滑らかな直線運動が可能になります。

また、エンコーダ付のスライドガイドを使用することで、移動後の位置が検出でき、フィードバック制御と併せて、サーボモーターやステップモータをセットで組み込むことで、高精度の位置決めが可能になります。

また、産業ロボット等高い剛性が必要な部分への配置もあるため、スライドガイドのボールをローラーにして剛性を高めたものや、サイズが小さなものや大きなもの、曲線運動を案内するもの等、用途に沿った様々な商品があり、各メーカのカタログより選択することが可能です。

参考文献
https://www.thk.com/?q=jp/node/6709
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md01/c1087.html

タイムキーパ

タイムキーパとは

各種実験や評価の際に時間の測定が必要となった場合に使用する測定器の一種で、搭載する機能はストップウォッチと同様です。

一般的に測定可能な時間は0秒から60分程度で1/100秒単位の測定が可能です。

測定を開始するスタートボタン、測定を終了するストップボタンおよび計時された時間をクリアするリセットボタンが用意されています。

スタートボタンの押下と同時に時間が増加していく使い方と、逆にあらかじめ設定した時間から時間が減少していき、0秒に達した場合に音声により知らせるといった使い方をします。

中にはダイヤル式つまみで容易に時間の設定が可能なタイプのあります。

タイムキーパの使用用途

例えば製品を設計するケースなどの一例を挙げるとトラブルシューティングが挙げられます。ある条件下で不具合がある一定時間発生することが分かった場合に、その持続時間をできる限り精度よく測定したいケースがあります。

人間の目で確認し、不具合症状の開始時点でスタートボタンを押下し、終了時点でストップボタンを押下して不具合の持続時点を測定することが多いため、それほど高い精度は期待できませんが、何度か繰り返し、測定し、その平均値を取るなどの工夫である程度の精度のデータを取得できます。

この時間が、回路上の遅延時間であったり応答時間であったりする可能性から、どこの部分の不具合であるかあたりをつけるきっかけとすることができます。

タイムキーパの原理

タイムキーパの内部には電池および水晶振動子に加え、液晶表示部、更には水晶振動子の発振パルスを分周してこれをカウントし、更に液晶表示部へ表示するためのSOC(System on chip)などから構成されています。

タイムキーパの本体に用意されたボタンを押下するとこの信号がSOCに伝わり、押されたボタンがスタート、ストップ、リセットのいずれのボタンであるかをチェックし、スタートボタンの場合には計時開始、ストップボタンの場合は計時ストップ、リセットボタンの場合は内部の計時データをクリアする動作を行います。

システム上の中核となる水晶振動子ですが、このデバイスは、デバイスに電圧を印可することにより水晶の形状によって決まる固定振動により発振周波数を生成します。

一般的に使用される発振周波数は数百KHz~百MHz程度の範囲です。発振周波数の精度は、0.001%程度でセラミック発振子に比べ1000倍程度高精度です。その分、価格もセラミック発振子に比べると高くなります。

計時用として使われるのは32.768KHzの水晶振動子です。この原発振周波数を分周して1秒を作りだし、時間を刻んでいます。

参考文献
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/stopwatch/timekeeper/features
https://www.st.com/ja/clocks-and-timers/battery-and-crystal.html

トルク測定器

トルク測定器とは

トルク測定器とは、物体や機械の回転力(トルク)を測定するための装置です。

トルクは、物体が回転する際に生じる回転力や回転モーメントのことです。トルク測定器は機械やエンジンの性能評価、品質管理、トルクの正確な設定や調整など、さまざまな用途で使用されており、機械や装置の効率を向上させることができます。

正確なトルク情報を得ることで最適な設定や調整が可能となり、エネルギーの無駄な消費が少なくなります。また、製造工程において、正確なトルク測定は製品の品質を確保するために重要です。

特に組み立て作業などで適切なトルクが適用されているかを確認することで、欠陥品の発生を防ぐことができます。ただし、トルク測定器は正確性が求められるため、定期的な校正が重要です。メーカーの推奨に従い、適切な頻度で校正を行うことが大切です。

トルク測定器の使用用途

トルク測定器は数多の産業や応用用途で幅広く使用されています。以下はトルク測定器の使用用途一例です。

1. 自動車産業

自動車のエンジンは、高精度でトルクが適用される必要があります。エンジンのボルトを正確なトルクで締めることは、動作の信頼性と耐久性に直接影響を与えることも多いです。トルク測定器を使用することで、正確なトルクで組み立てを実施することが可能です。

また、タイヤは適切なトルクで取り付けることが重要です。正確なトルクを適用することでタイヤの適切な接触面積や均等な負荷分散を確保し、安全性を向上させます。

2. 航空宇宙産業

航空機のエンジンや翼、フレームなどは航空宇宙産業における部品の組み立てにおいてもトルク測定器が重要な役割を果たします。高い信頼性と精度が求められる産業のため、正確なトルク管理が欠かせません。

3. 機械産業

機械の組み立てにおいて軸受けなどの部品を適切なトルクで締めることは、機械の性能と信頼性に影響を与えます。また、機械の動力伝達部において、クラッチやトランスミッションのトルク設定は、機械の正確な動作や負荷制御に関連して重要です。トルク測定器によって、これらのトルクを適正に保ちます。

トルク測定器の原理

トルク測定器には、歪ゲージ式や超音波式などがあります。

1. 歪ゲージ式

歪ゲージ式は、物体表面に歪みゲージと呼ばれる微小な抵抗体を取り付けて、トルクが物体を歪ませたときに生じる応力変化を測定する方法です。歪みゲージにかかる変化した抵抗を電気回路で観測し、トルクの値に変換します。さまざまな産業で使用されていますが、特に自動車産業や航空宇宙産業が多いです。

2. 超音波式

超音波式は、超音波を使用してトルクを測定する方法です。トルクによる物体のわずかな変形を超音波の伝播時間を測定することで検知し、トルクの値に変換します。超音波トルクセンサーは、非接触で測定できるため、高精度で信頼性があります。

トルク測定器の選び方

トルク測定器を選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下はトルク測定器の選定要素一例です。

1. 測定精度

測定精度は、トルク測定器がどれだけ正確にトルクを計測できるかを示す指標です。測定精度が高いほど正確なトルク値を得ることができます。

測定精度は通常、パーセント (%) で表されます。例えば、測定精度が±1%の場合、実際のトルク値から最大±1%の誤差が生じる可能性があります。必要な測定精度を達成できるトルク測定器を選ぶことが重要です。

2. 測定範囲

測定範囲は、トルク測定器が測定できるトルクの最小値から最大値までの範囲を指します。選ぶべきトルク測定器は対象となる用途のトルク範囲をカバーできることが重要です。トルク測定器の測定範囲はニュートンメートル (N・m) などの単位で表されます。

3. 測定方向

測定方向は、トルク測定器が対応するトルクの方向です。一部のトルク測定器は時計または反時計廻りのみで測定できる場合がありますが、双方向で測定できるトルク測定器もあります。必要な測定方向を満足していることを確認することが大切です。

参考文献
https://www.hbm.com/jp/0264/torque-transducers-torque-sensors-torque-meters/
https://www.kistler.com/ja/products/components/torque-sensors/
https://www.toyo.co.jp/mecha/maker/product_list/id=210
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_torque2.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/denkiseiko1925/62/3/62_3_167/_pdf
https://tm.yrl.com/rental/measuring-device/search/?categoryId=92

ダイアルインジケーター

ダイアルインジケーターとは

ダイアルインジケーター

ダイアルインジケーターはワークの長さや振れを測定する測定機器です。形状・機能は同一でダイヤルゲージとの名前の商品もあります。

土台の上で所定の位置に設置し、ワークを測定することで、模範(ブロックの長さゲージ等)との寸法の違いを測ることができます。測定する目盛りは百分の一ミリメートルや千分の一ミリメートルがあります。温度管理・測定方法・土台とワークの状態等を管理しないと、望んだ精度での測定にならず、大きな誤差が出る可能性があります。

ダイアルインジケーターの使用用途

使用用途は、精密機器に使用される部品や比較的小径の部材を測定する時、円形部材の振れを測定する時です。

まず、土台の上に固定する台座をセットし、先端にダイアルインジケーター又はゲージを設置します。

次に、土台に所定の寸法の模範を配置し、先端に接触させて測定できる範囲の中に調整し、表示の針を0(ゼロ)にセットします。

寸法模範を取り出し、測定ワークを土台と測定子の間に入れます。その際の針の表示が、模範との寸法差となるので、ワークの該当部の寸法が測定できます。

ダイアルインジケーターの原理

これらには、棒状の測定子が長さ方向に上下して寸法差を表示するスピンドル式と、棒状の測定子が傾く方向に前後して寸法差を表示するてこの原理を用いた方式とがあります。

スピンドル式が一般的で、シンプルな形状の寸法を測定するにはこちらを使用します。使用方法もシンプルで、測定子は上下に動くので、測定子が土台に垂直になるように調整し固定するだけで、比較的容易に測定することが可能です。

てこ式は、スピンドル式では測定子が入らない狭い部分の測定に使用することが多いです。使用方法は、注意が必要です。測定子は根元を中心に傾く構造をしています。ワークの測定位置での寸法が増減する方向に対して、測定子が直角に近い角度で設置しないといけません。

どちらも、測定子が上下又は前後することで、針が時計の様に振れます。模範で所定の寸法を0(ゼロ)設定し、ワークの測定部分がセットされた状態で針の表示を読むことで、模範との差がわかります。特に注意することは、表示の分解能(1目盛りが何ミリメートルなのか)と針が何週しているかは目視で確認しながら測定する必要があることです。

測定方法・温度管理を決めて作業することで、千分の一ミリメートルであっても、精度良く測定できます。

参考文献
https://www.imao.co.jp/catalog/categoryviews/?categorycode=&category=$790020&page=1
https://www.mitutoyo.co.jp/products/dialgauge/dialgauge.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/type/dial-gauge.jsp
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0062.html
https://www.imao.co.jp/files/on-cat/pdf/jp/d-r_d-l_d-c.pdf

ダイヤルキャリパゲージ

ダイヤルキャリパゲージとは

ダイヤルキャリパゲージは、主に内径や外径、厚みを測定する測定機器です。

ダイアルゲージと異なりダイアルから先の部分に、種々のフレーム部分が組み立てられており、より専用性が高い測定ゲージになっています。

接触部分は実に様々ですが、クワガタの角の様にダイアル部分からU(ユー)の字の様に接触部が伸びており、Uの先端を該当の測定部に触れさせて、寸法を測定する様に使用します。

接触部分は、該当の測定部に合わせた形状を選択することで、実作業が容易になります。 

ダイヤルキャリパゲージの使用用途

使い方は次の通りです。

初めに、測定したい該当部分に合った測定子を各社のカタログ等から選択し、入手します。

次に、ダイヤルキャリパゲージを模範の該当測定部分に当てて、規定の寸法で0(ぜろ)をセットします。

続けて、模範から取り外し、測定ワークの該当測定部分に触れさせて、ダイアル部の寸法差を確認します。規定寸法と寸法差により、該当測定部分の寸法を確認することができます。

ダイアルゲージ同様、所定の期間・方法により、校正を行うことが必要です。校正を行うことで、正しい寸法差がダイアル部で確認することができます。

ダイヤルキャリパゲージの原理

ダイヤルキャリパゲージは、主にダイアルゲージ、先端の測定子、間をつなぐフレーム(2つのコの字の柱や2つのL字の柱等)から構成されます。

形状を専用性が高いものにすることで、通常のダイアルゲージやデジタルのノギスでは測定できない部分の測定が可能になります。例えば、入り組んだ内部にある軸の外径を測る場合、周囲が囲われた内部にある円筒形状の凹形状R寸法を測る場合、ハイトゲージでは測定箇所が十分にとれない部分の厚みや高さを測定する場合です。

先端の測定子の動いた距離と同じ距離だけ、設置したダイアルゲージの先端が動くように、フレームは固定側と可動側があり、可動側にはダイアルゲージの測定部と触れる部分が設置されています。こうすることで、先端の測定子と同距離の動きがダイアルゲージの寸法差として表示することが可能になります。

注意が必要なことは、先端の測定子とダイアルゲージとが触れるとフレーム部分の動く方向は異なることが多いことです。特に、高精度の測定結果が求められる時や、先端の測定子と測定ワークの接触が安定しない時は、0(ぜろ)設定を既知の寸法を持つ現品の模範を使用したり、測定の手順とルールを明確にしておく等の工夫が必要です。 

参考文献
http://catalog.sokuteikougu.com/index.html?page=257
http://www.peacockozaki.jp/sub01_32.htm
https://teclock.co.jp/ja/product/caliper-gauge