ベアリング押さえピン

ベアリング押さえピンとは

ベアリング押さえピンは、ベアリングの固定に使用する部品のひとつです。

該当ベアリングのサイズに合ったピンで、軸受の幅を押さえながら、ねじで規定の箇所にベアリングを配置します。各種ベアリングとは別に、ピン単体で購入可能です。その場合は、対応するベアリングのサイズを確認してピンを選ぶ必要があります。

ベアリング押さえピンの使用用途

ベアリング押さえピンは、ベアリングを所定位置に固定する機能があります。その機能は、ベアリングを要するあらゆる機器に使用され、ベアリングの脱落やズレを防ぎます。例えば、ベアリングを軸方向に固定する場合、ベアリング押さえピンにより前後方向へ移動しません。ま

た、部品の組み立て時に利用され、複数ある部品の位置決めや固定に役立ちます。モーターに使用すれば、モーター軸にベアリングを押さえるだけでなく振動も抑制可能です。ポンプに使用すれば、ポンプ内の回転軸にベアリングを押さえて液漏れを防ぎます。ロボットアームの関節部分のベアリングに使用すれば、アームのスムーズな動きを実現します。

ベアリング押さえピンの原理

構造は非常にシンプルで、ボルトによく似た形状をしています。ボルトのねじが切られている側と反対側には、六角穴等が加工されており、六角穴付きボルト同様、簡単に回転できます。外径面はベアリングの内径寸法より若干大きな直径寸法となっており、ねじで締めこむとベアリングの幅面を押さえられる仕組みです。

ベアリングの内径寸法より大きな直径寸法の隣には、ベアリングが挿入される (軸となる) 部分があります。そのベアリングが挿入される部分の隣に、ねじが切られている部分があります。例えば、ベアリングが構造体・ベース (高剛性部材) 等に焼き嵌め等で内蔵されており、別部品の軸を挿入して、その軸を回転軸として使用する場合は、軸に所定のタップ穴をあけるだけで、軸とベアリングを押さえピンで固定可能です。この場合、押さえピンを外すことで軸を外せるため、補修作業が簡単になります。

ベアリング押さえピンの種類

ベアリング押さえピンには主に「平行ピン」「テーパーピン」「スプリングピン」「割りピン」があり、用途に応じて適切な種類を選択します。以下にそれぞれの種類の特徴を解説します。

  • 平行ピン:円柱形状のため直径が一定で、両端が平らな汎用性に富んだピン
  • テーパーピン:両端がテーパー形状のため自己緊縮作用を発揮する保持力に優れたピン
  • スプリングピン:ピンの中央にスプリングを備えており、スプリングの力で固定するため、頻繁な取り外しが必要な場合や負荷が小さい箇所に適したピン
  • 割りピン:軽量で機器に負担を掛けず、取り外しや取り付けが容易で、コストパフォーマンスの良いピン

ベアリング押さえピンのその他情報

ベアリング押さえピンの使用時の注意点をいくつのポイントに分けて解説します。まず、適切なサイズを選定することが大切です。ベアリングや軸のサイズに適合するものを選ばないと、固定力が不足したり、過剰な力がかかって破損する可能性があります。また、正確に位置決めを行います。ピンを挿入する際に位置がずれると、ベアリングの性能が低下し、摩耗や故障の原因となりますので注意してください。取り付ける際は、適切な工具を使用し、過度な力をかけないように注意します。過度な力をかけると、変形するリスクがあります。

定期的な点検とメンテナンスも大切です。摩耗や損傷がないか確認し、必要に応じて交換して性能を維持します。また、取り付け作業を行う際には、清潔な作業環境を保ち、異物が混入しないように注意してください。異物が混入すると、固定力が低下し、ベアリングの寿命が短くなる可能性があります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/c1229.html
https://www.ntn.co.jp/japan/products/bearingunit.html
https://www.asahiseiko.co.jp/product/bearings/series.html

クロスローラー

クロスローラーとは

クロスローラーとは、直線運動もしくは回転運動をガイドする機械要素です。

直線運動をガイドするものは、クロスローラーガイドやクロスローラウェイと呼ばれています。一方、回転運動をガイドするものはクロスローラベアリング、クロスローラーリングと呼ばれており、各社で呼び方が異なる場合があります。

クロスローラーの内部には多数のローラーが組み込まれています。このローラが負荷を受けながら回転することにより、装置の運動をガイドします。ローラーはころとも呼ばれる円筒形状の部品で、主に鋼製です。隣り合うローラーは90°のV溝のなかでそれぞれ逆方向に90度傾き、互い違いに配列されています。このローラ配置により、クロスローラー1個であらゆる方向の負荷を受けることができます。

クロスローラーの使用用途

クロスローラーは、主に産業ロボットや工作機械などの精密機械の駆動部にて使用されています。特に、大きな負荷を受けながら精密な直線動作・回転動作が要求される場合に使用されます。直線運動させる場合はクロスローラガイド、回転運動させる場合はクロスローラベアリングが使用されます。

一般的に、直線運動させる場合はリニアガイド、回転運動させる場合はボールベアリングが使用されますが、以下のような場合にクロスローラガイドやクロスローラベアリングが使用されることがあります。

  • 装置をコンパクトにしたい場合
  • 駆動部の剛性を高めたい場合

このようにクロスローラーは、一般的なリニアガイドやボールベアリングと比較して比較的小さなスペースで高い剛性が得られるので、装置をコンパクトにするために使われます。

クロスローラーの原理

クロスローラーは以下の原理により、コンパクトで高剛性な運動を実現しています。

90°のV字の転動面を持つ溝が2本あり、転動面を合わせる様に配置され、合わせられた2つのV字の間 (正方形のすきま) 部分にころが配置されます。隣り合うローラーは、ローラーの外径面 (V溝の転動面を転がる面) と、ローラーの端面 (V溝の転動面とは接触しない面) が互い違いに配置されています。このように隣り合うローラーが互いにクロスして別の方向に配列されることにより、それぞれのローラーは異なる方向の負荷を受けることができます。そのため1つのクロスローラが様々な方向からの負荷を受けることができます。

クロスローラーの選び方

クロスローラーを選定する際は主に以下に注意して検討する必要があります。直線運動の場合はクロスローラガイド、回転運動の場合はクロスローラベアリングから選定します。

1. 型番

クロスローラーにかかる負荷を見積もり、適切な型番 (サイズ) を選択します。

2. ストローク (クロスローラガイドの場合)

直線運動するクロスローラガイドの場合は、必要ストロークを考慮してカタログ品より必要な長さのものを選択します。もしくは長さを指定して購入します。

3. 装置への取り付け

クロスローラガイドの場合は通常取り付け穴が設けられており、ボルトサイズとピッチが指定されています。クロスローラベアリングの場合は取り付け穴がないものとあるものがあるため、装置への取り付けを考慮して適切なものを選定する必要があります。

4. 潤滑材

クロスローラー内部のローラーは転がるため、クロスローラー内部に潤滑剤が封入されています。食用グリスなど特殊な潤滑剤に変更する場合は指定する必要があります。

5. 耐食性

耐食性が必要な場合は、ステンレス製を選択したり表面処理の追加を検討する必要があります。

クロスローラーのその他情報

リニアガイド、ボールベアリングとの比較

球状のボールが用いられるリニアガイドやボールベアリングなどに対し、クロスローラーは比較的小さなサイズで高い剛性をもたせることが可能となります。通常のリニアガイドやボールベアリングの場合、モーメント剛性を高めるためにそれぞれ2つ並べて使用されることがあります。クロスローラーの場合、クロスローラー1個でモーメント負荷を受けることができるので装置のコンパクト化のために使われます。

管用タップ

管用タップとは

管用タップとは、水道管やガス管などの円筒の内側のつなぎ部分にねじ山を作るために使用する切削工具です。

配管を長く張り巡らしていく際には、円筒形のパイプにねじ山を切って継ぎ手やバルブなどを接続できるようにします。管用タップはこのような作業において、パイプの内側に内ねじを加工するために使用します。一方、パイプに接続する継ぎ手やバルブの側にはパイプの内径よりも細い円筒を使います。この円筒に外ねじを加工するために使用する切削工具は、管用ダイスと呼ばれています。

管用タップの使用用途

管用タップは様々な配管のねじ切り加工を始め、機械の部品製作などで使用されています。

管用タップは、水道管とガス管の円筒の内側のつなぎ部分にねじ山を作るために一般的に使用されています。同様に、住宅やビルなどの空気を通すための管や工場における薬液、廃液、加工ガス、排気ガスを通すための管の加工にも使用されます。さらにバルブ、エルボ、ソケットなどの配管部品の製作にも管用タップが使われています。

機械部品の製作において、円筒形の部品に円柱形の部品をつなげる場合も多くあります。この際の円筒側に内ねじ加工を施す際にも使用されます。管用タップが使用される被加工材料は、鉄、ステンレス、銅などの金属製のパイプが一般的です。

なお管用タップは管用ねじ (主にVねじ) を切るために設計されています。インボリュート曲線に沿ったインボリュートスプラインを製作するには、スプラインカッター等の専用工具を使用します。

管用タップの原理

管用タップが円筒に内ねじを切ることができるのは、ねじ山の形状と切削作用が深く関わっています。

1.  ねじ山の形状

タップの先端は、ねじ山が複数列に並んだ形状をしています。そしてこのねじ山は多角形に近い形状をしています。この形状がまるで小さなドリルのように働き、材料を削り取ります。またねじ山には、一定の角度で傾斜が付いています。この傾斜角によってねじを切る方向に材料が押し出され、ねじ山が形成されます。

2. 切削作用

タップの先端が材料に食い込み、小さな穴を開けます。穴を開けた後タップを回転させながら押し込むと、ねじ山の形状に沿って材料が削り取られ内ねじが形成されます。さらにネジ山の間にある溝によって、切削された材料 (切り屑) が排出されます。

管用タップの種類

管用タップは、その形状、材質、規格によって様々な種類があります。それぞれの特徴を踏まえて適切なタップを選ぶことが高品質なねじ切り加工を行う上で重要です。

1. 形状による分類

ハンドタップ
3本1セットで構成され、順々に使用してねじ切りを行うタップのものががあります。

  • 先タップ:先端が鋭く、下穴を開けるのに使用します。
  • 中タップ:先タップで開けた穴を仕上げるのに使用します。
  • 仕上げタップ:ねじ山を仕上げるのに使用します。

機械タップ
機械で使用するタップで、ハンドタップよりも高い精度が求められます。形状は様々ですが、スパイラルポイントと呼ばれる形状が一般的です。

管用タップ
配管用のねじ切りに特化したタップです。

  • PFタップ:管用平行ねじ用のタップ
  • PTタップ:管用テーパねじ用のタップ

2. 材質による分類

高速度工具鋼 (HSS)
一般的なタップに使われる材質で、硬度が高く、耐摩耗性に優れています。

超硬合金
高速切削や難削材加工に適しており、長寿命です。
カーバイト: 超硬合金の一種で、特に耐熱性が高いです。

規格による分類

JIS規格
日本の工業規格で、ねじの寸法や形状が規定されています。

ISO規格
国際規格で、JIS規格とほぼ同じですが、細かい部分で違いがあります。

その他

ポイントタップ
先端が鋭く、小さな穴からねじ切りを開始するのに適しています。

スパイラルタップ
ねじ山が螺旋状になっており、切り屑を排出しやすいのが特徴です。

ロールタップ
冷間圧延によってねじ山を形成するタップで、高精度なねじ切りが可能です。

ロールタップ

ロールタップとは

ロールタップは、ねじを成形するための工具の一種です。ロールタップは切削刃を持たないため、ねじ山を形成する際に切りくずをほとんど出さないことが特徴です。そのため加工時に出る切りくずが作業環境や機械に影響を及ぼすことが少なく、清掃の時間やコストを削減できます。

ロールタップは塑性加工でねじ山を形成するため、切削工具としてのタップとは異なります。ロールタップは材料をプレスするように加工するため、ねじ山を作る際の加工負荷が比較的低いことが特徴で、ねじ山形状によって異なる下穴サイズが必要です。

ロールタップの使用用途

  1. 柔らかい材料の加工
    ロールタップは柔らかい材料に適しており、アルミニウム合金などの軽合金に特に適しています。

  2. 切りくずの問題がある加工
    ロールタップは切りくずをほとんど出さないため、切りくずによる問題がある加工に適しています。

  3. ねじ山の強度向上
    ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、加工されたねじの強度を向上できます。

  4. 有効径のバラツキ抑制
    ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、有効径のバラツキを抑制できます。

  5. 止まり穴加工
    ロールタップは止まり穴加工にも使用できます。切削刃を持たないため切削力が低く、止まり穴加工に適しています。

  6. 通り穴加工
    ロールタップは、通り穴加工にも使用できます。塑性加工によりねじ山を形成するため、比較的低い回転数で加工できます。

ロールタップの原理

ロールタップは、塑性加工によりねじ山を形成するための工具です。ロールタップは切削刃を持たないため、材料を押し込むようにしてねじ山を形成します。材料を加工するためには十分な加工圧力と摩擦力が必要です。

ロールタップはタップと材料との間に高い圧力をかけることで塑性変形を起こさせて、材料はタップの突起部に沿って変形し、ねじ山形状を形成することが、ロールタップによるねじ山形成の原理です。この際、材料がタップの突起部に押し込まれることにより加工に必要な圧力が発生します。この加工圧力により材料が塑性変形を起こし、ねじ山形状が形成されます。

ロールタップには切削刃がないため切削力が非常に低く、材料の塑性変形が生じやすいため、比較的低い回転数で加工できます。またねじ山形状が材料の塑性変形によって形成されるため、切りくずがほとんど発生しないという特徴があります。

ロールタップの特徴

長所

切りくずが少ない

ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため切りくずがほとんど発生しません。そのため切りくずによるトラブルを防ぎながらクリーンな加工が可能です。

ねじ山の強度向上

ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、ねじ山の強度を向上できます。

有効径のバラツキ抑制

ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、有効径のバラツキを抑制できます。

比較的低い回転数で加工可能

ロールタップは切削刃を持たないため、切削力が低くて比較的低い回転数で加工できます。

柔らかい材料に適している

ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、柔らかい材料に適しています。

止まり穴加工に適している

ロールタップは切削刃を持たないため、切削力が低くて止まり穴加工に適しています。

加工精度が高い

ロールタップは切削刃を持たないため、回転中にタップと材料との位置関係がほとんど変化しません。よって加工精度が高くなります。

短所

下穴サイズの精度が重要

ロールタップは塑性加工によりねじ山を形成するため、下穴サイズの精度が非常に重要です。下穴サイズが正確でない場合、ねじ山形状が不良になることがあります。

切りくずの除去が難しい

ロールタップは切削刃を持たないため、切りくずの除去が難しいことがあります。そのため加工に使用する材料によっては、切りくずが詰まってしまって加工が停止してしまうことがあります。

高精度な設定が必要

ロールタップは塑性加工であるため正確な設定が必要です。加工前には適切な下穴サイズや加工条件を設定することが重要です。設定が不正確な場合、ねじ山形状が不良になることがあります。

鉄などの硬い材料には不向き

ロールタップは、塑性加工によりねじ山を形成するため、鉄鋼などの硬い材料には不向きです。硬い材料に対しては、切削刃を持つタップが適しています。

ロールタップのその他情報

ロールタップは柔らかい材料に適していた工具です。これはロールタップがねじ山を形成する際に塑性加工を行うためです。塑性加工は、金属を変形させるために金属を圧縮してその形状を変えることを利用する加工方法です。このため金属材料が柔らかく、変形しやすいほど、ロールタップの塑性加工が効果的に働きます。

例えばアルミニウム合金は比較的柔らかい材料の一種です。アルミニウム合金は、非常に軽量でありながら、高い強度や耐食性を持っているため航空機や自動車の部品、電子機器など、様々な産業で使用されています。アルミニウム合金はロールタップによる加工に適しており、ロールタップを使用することでより高精度なねじ山を形成できます。

ベアリング用ナット

ベアリング用ナットとは

ベアリング用ナットはベアリングを軸に固定する時に使用する部品の一つです。

ベアリングは、通常、内側に軸を配置して使用します。その際、軸の所定の位置からベアリングがずれないように、幅を押さえて使用することが多いです。

購入したベアリングに同梱されていることはないため、必要な場合は、使用する軸とベアリングの規格にあった部品の選定が必要です。

ベアリングメーカからも購入が可能です。ナット単体としても様々なメーカから購入が可能です。 

ベアリング用ナットの使用用途

ベアリングは、外輪外径に沿ったハウジングに挿入し、内径に軸を配置して使用します。その際、軸に固定する方法として、軸肩(ベアリングの内輪内径より直径が大きな部分)とナットとで、ベアリングの幅を両側から押さえる配置にして使用することがあります。

また、ベアリング用ナットを使用した固定方法を選択する場合、サイズが合う座金をセットで使用することもあります。これは主にナットの緩み止め機能向上としてセットで使用します。 

ベアリング用ナットの原理

ベアリング用ナットの形状は、一般的にDIY等でも使用する、ボルトとナット(外側が六角形のもの)のナットを大きくして、外側が円形状で、外径の軸方向に数か所切り欠きがついている形状をしています。この形状にすることで、軸受幅面に沿った面にすることができ、治工具で簡単にナットの締め付けができるようになります。

セットで使用する座金は、DIY等でも使用するボルトに挿入して使用する座金を大きくしたものですが、内径の内側一か所にベロ(人間の舌)のような凸形状があります。

軸に、座金が接触する面に、この凸形状が挿入される溝を加工しておき、溝に凸形状を挿入することで、座金とナットが軸と相対的に回転運動をすることを防ぎ、ナットの緩み止め機能が期待できます。

ナットを使用してベアリングを軸方向に押さえる配置とし、ナットの締め付けトルクを管理することで、アンギュラ玉軸受等のベアリングに負荷する軸力を管理することが可能で、主に精密な運転が必要な個所に、このような取り扱いをすることがあります。

また、ナット単体では、表面処理や材質等、各種メーカから様々な仕様のナットが販売されており、用途に沿ったナットを選択することが可能です。

スライドガイド

スライドガイドとは

スライドガイド

スライドガイドは直線運動をガイドする部品です。

スライドガイドの他、LMガイド、リニアガイドの商品名で同様商品が販売されています。

また、産業ロボット等の精密機器に使用することを目的とし、エンコーダ付の商品もあります。

主な動きは、レール(直線で柱形状の部品)に沿って、ブロック(可動可能な台座)が直線方向に前後運動をします。繰り返し前後運動し、ブロックは同じ経路をたどり、さらに、運動における抵抗を小さくしたものが、スライドガイドです。

スライドガイドの使用用途

産業の分野、主に生産工場において、多種多様な使用方法があります。

例えば、メーカの生産工場において、ワークを直線的に送り出す機構が必要な場合や、シリンダを直動させる必要がある場合、位置決めガイドがある部分にワークを搬送する場合があります。さらに、リンク機構やスライドガイドを複数配置して、ストッパ機構が必要な場合や、反転機構が必要な場合等、バリエーション豊富な用途があり、生産工場の自動化において、種々の用途で使用されています。

スライドガイドの原理

スライドガイドの部品構成は主に、レール、ブロック、運転用のボールから構成されます。防塵等のため、可動部分を密封するようにシールが付いているものがほとんどです。

レールとブロックとは運転用のボールを介して一体化されており、レールに対してブロックが相対運動をするとき、運転用のボールは、レールとブロックとの転走面を転がり運動します。転がり運動をすることで、非常に滑らかな直線運動が可能になります。

また、エンコーダ付のスライドガイドを使用することで、移動後の位置が検出でき、フィードバック制御と併せて、サーボモーターやステップモータをセットで組み込むことで、高精度の位置決めが可能になります。

また、産業ロボット等高い剛性が必要な部分への配置もあるため、スライドガイドのボールをローラーにして剛性を高めたものや、サイズが小さなものや大きなもの、曲線運動を案内するもの等、用途に沿った様々な商品があり、各メーカのカタログより選択することが可能です。

参考文献
https://www.thk.com/?q=jp/node/6709
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md01/c1087.html

タイムキーパ

タイムキーパとは

各種実験や評価の際に時間の測定が必要となった場合に使用する測定器の一種で、搭載する機能はストップウォッチと同様です。

一般的に測定可能な時間は0秒から60分程度で1/100秒単位の測定が可能です。

測定を開始するスタートボタン、測定を終了するストップボタンおよび計時された時間をクリアするリセットボタンが用意されています。

スタートボタンの押下と同時に時間が増加していく使い方と、逆にあらかじめ設定した時間から時間が減少していき、0秒に達した場合に音声により知らせるといった使い方をします。

中にはダイヤル式つまみで容易に時間の設定が可能なタイプのあります。

タイムキーパの使用用途

例えば製品を設計するケースなどの一例を挙げるとトラブルシューティングが挙げられます。ある条件下で不具合がある一定時間発生することが分かった場合に、その持続時間をできる限り精度よく測定したいケースがあります。

人間の目で確認し、不具合症状の開始時点でスタートボタンを押下し、終了時点でストップボタンを押下して不具合の持続時点を測定することが多いため、それほど高い精度は期待できませんが、何度か繰り返し、測定し、その平均値を取るなどの工夫である程度の精度のデータを取得できます。

この時間が、回路上の遅延時間であったり応答時間であったりする可能性から、どこの部分の不具合であるかあたりをつけるきっかけとすることができます。

タイムキーパの原理

タイムキーパの内部には電池および水晶振動子に加え、液晶表示部、更には水晶振動子の発振パルスを分周してこれをカウントし、更に液晶表示部へ表示するためのSOC(System on chip)などから構成されています。

タイムキーパの本体に用意されたボタンを押下するとこの信号がSOCに伝わり、押されたボタンがスタート、ストップ、リセットのいずれのボタンであるかをチェックし、スタートボタンの場合には計時開始、ストップボタンの場合は計時ストップ、リセットボタンの場合は内部の計時データをクリアする動作を行います。

システム上の中核となる水晶振動子ですが、このデバイスは、デバイスに電圧を印可することにより水晶の形状によって決まる固定振動により発振周波数を生成します。

一般的に使用される発振周波数は数百KHz~百MHz程度の範囲です。発振周波数の精度は、0.001%程度でセラミック発振子に比べ1000倍程度高精度です。その分、価格もセラミック発振子に比べると高くなります。

計時用として使われるのは32.768KHzの水晶振動子です。この原発振周波数を分周して1秒を作りだし、時間を刻んでいます。

参考文献
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/stopwatch/timekeeper/features
https://www.st.com/ja/clocks-and-timers/battery-and-crystal.html

トルク測定器

トルク測定器とは

トルク測定器とは、物体や機械の回転力(トルク)を測定するための装置です。

トルクは、物体が回転する際に生じる回転力や回転モーメントのことです。トルク測定器は機械やエンジンの性能評価、品質管理、トルクの正確な設定や調整など、さまざまな用途で使用されており、機械や装置の効率を向上させることができます。

正確なトルク情報を得ることで最適な設定や調整が可能となり、エネルギーの無駄な消費が少なくなります。また、製造工程において、正確なトルク測定は製品の品質を確保するために重要です。

特に組み立て作業などで適切なトルクが適用されているかを確認することで、欠陥品の発生を防ぐことができます。ただし、トルク測定器は正確性が求められるため、定期的な校正が重要です。メーカーの推奨に従い、適切な頻度で校正を行うことが大切です。

トルク測定器の使用用途

トルク測定器は数多の産業や応用用途で幅広く使用されています。以下はトルク測定器の使用用途一例です。

1. 自動車産業

自動車のエンジンは、高精度でトルクが適用される必要があります。エンジンのボルトを正確なトルクで締めることは、動作の信頼性と耐久性に直接影響を与えることも多いです。トルク測定器を使用することで、正確なトルクで組み立てを実施することが可能です。

また、タイヤは適切なトルクで取り付けることが重要です。正確なトルクを適用することでタイヤの適切な接触面積や均等な負荷分散を確保し、安全性を向上させます。

2. 航空宇宙産業

航空機のエンジンや翼、フレームなどは航空宇宙産業における部品の組み立てにおいてもトルク測定器が重要な役割を果たします。高い信頼性と精度が求められる産業のため、正確なトルク管理が欠かせません。

3. 機械産業

機械の組み立てにおいて軸受けなどの部品を適切なトルクで締めることは、機械の性能と信頼性に影響を与えます。また、機械の動力伝達部において、クラッチやトランスミッションのトルク設定は、機械の正確な動作や負荷制御に関連して重要です。トルク測定器によって、これらのトルクを適正に保ちます。

トルク測定器の原理

トルク測定器には、歪ゲージ式や超音波式などがあります。

1. 歪ゲージ式

歪ゲージ式は、物体表面に歪みゲージと呼ばれる微小な抵抗体を取り付けて、トルクが物体を歪ませたときに生じる応力変化を測定する方法です。歪みゲージにかかる変化した抵抗を電気回路で観測し、トルクの値に変換します。さまざまな産業で使用されていますが、特に自動車産業や航空宇宙産業が多いです。

2. 超音波式

超音波式は、超音波を使用してトルクを測定する方法です。トルクによる物体のわずかな変形を超音波の伝播時間を測定することで検知し、トルクの値に変換します。超音波トルクセンサーは、非接触で測定できるため、高精度で信頼性があります。

トルク測定器の選び方

トルク測定器を選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下はトルク測定器の選定要素一例です。

1. 測定精度

測定精度は、トルク測定器がどれだけ正確にトルクを計測できるかを示す指標です。測定精度が高いほど正確なトルク値を得ることができます。

測定精度は通常、パーセント (%) で表されます。例えば、測定精度が±1%の場合、実際のトルク値から最大±1%の誤差が生じる可能性があります。必要な測定精度を達成できるトルク測定器を選ぶことが重要です。

2. 測定範囲

測定範囲は、トルク測定器が測定できるトルクの最小値から最大値までの範囲を指します。選ぶべきトルク測定器は対象となる用途のトルク範囲をカバーできることが重要です。トルク測定器の測定範囲はニュートンメートル (N・m) などの単位で表されます。

3. 測定方向

測定方向は、トルク測定器が対応するトルクの方向です。一部のトルク測定器は時計または反時計廻りのみで測定できる場合がありますが、双方向で測定できるトルク測定器もあります。必要な測定方向を満足していることを確認することが大切です。

参考文献
https://www.hbm.com/jp/0264/torque-transducers-torque-sensors-torque-meters/
https://www.kistler.com/ja/products/components/torque-sensors/
https://www.toyo.co.jp/mecha/maker/product_list/id=210
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_torque2.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/denkiseiko1925/62/3/62_3_167/_pdf
https://tm.yrl.com/rental/measuring-device/search/?categoryId=92

ダイアルインジケーター

ダイアルインジケーターとは

ダイアルインジケーター

ダイアルインジケーターはワークの長さや振れを測定する測定機器です。形状・機能は同一でダイヤルゲージとの名前の商品もあります。

土台の上で所定の位置に設置し、ワークを測定することで、模範(ブロックの長さゲージ等)との寸法の違いを測ることができます。測定する目盛りは百分の一ミリメートルや千分の一ミリメートルがあります。温度管理・測定方法・土台とワークの状態等を管理しないと、望んだ精度での測定にならず、大きな誤差が出る可能性があります。

ダイアルインジケーターの使用用途

使用用途は、精密機器に使用される部品や比較的小径の部材を測定する時、円形部材の振れを測定する時です。

まず、土台の上に固定する台座をセットし、先端にダイアルインジケーター又はゲージを設置します。

次に、土台に所定の寸法の模範を配置し、先端に接触させて測定できる範囲の中に調整し、表示の針を0(ゼロ)にセットします。

寸法模範を取り出し、測定ワークを土台と測定子の間に入れます。その際の針の表示が、模範との寸法差となるので、ワークの該当部の寸法が測定できます。

ダイアルインジケーターの原理

これらには、棒状の測定子が長さ方向に上下して寸法差を表示するスピンドル式と、棒状の測定子が傾く方向に前後して寸法差を表示するてこの原理を用いた方式とがあります。

スピンドル式が一般的で、シンプルな形状の寸法を測定するにはこちらを使用します。使用方法もシンプルで、測定子は上下に動くので、測定子が土台に垂直になるように調整し固定するだけで、比較的容易に測定することが可能です。

てこ式は、スピンドル式では測定子が入らない狭い部分の測定に使用することが多いです。使用方法は、注意が必要です。測定子は根元を中心に傾く構造をしています。ワークの測定位置での寸法が増減する方向に対して、測定子が直角に近い角度で設置しないといけません。

どちらも、測定子が上下又は前後することで、針が時計の様に振れます。模範で所定の寸法を0(ゼロ)設定し、ワークの測定部分がセットされた状態で針の表示を読むことで、模範との差がわかります。特に注意することは、表示の分解能(1目盛りが何ミリメートルなのか)と針が何週しているかは目視で確認しながら測定する必要があることです。

測定方法・温度管理を決めて作業することで、千分の一ミリメートルであっても、精度良く測定できます。

参考文献
https://www.imao.co.jp/catalog/categoryviews/?categorycode=&category=$790020&page=1
https://www.mitutoyo.co.jp/products/dialgauge/dialgauge.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/type/dial-gauge.jsp
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0062.html
https://www.imao.co.jp/files/on-cat/pdf/jp/d-r_d-l_d-c.pdf

ダイヤルキャリパゲージ

ダイヤルキャリパゲージとは

ダイヤルキャリパゲージは、主に内径や外径、厚みを測定する測定機器です。

ダイアルゲージと異なりダイアルから先の部分に、種々のフレーム部分が組み立てられており、より専用性が高い測定ゲージになっています。

接触部分は実に様々ですが、クワガタの角の様にダイアル部分からU(ユー)の字の様に接触部が伸びており、Uの先端を該当の測定部に触れさせて、寸法を測定する様に使用します。

接触部分は、該当の測定部に合わせた形状を選択することで、実作業が容易になります。 

ダイヤルキャリパゲージの使用用途

使い方は次の通りです。

初めに、測定したい該当部分に合った測定子を各社のカタログ等から選択し、入手します。

次に、ダイヤルキャリパゲージを模範の該当測定部分に当てて、規定の寸法で0(ぜろ)をセットします。

続けて、模範から取り外し、測定ワークの該当測定部分に触れさせて、ダイアル部の寸法差を確認します。規定寸法と寸法差により、該当測定部分の寸法を確認することができます。

ダイアルゲージ同様、所定の期間・方法により、校正を行うことが必要です。校正を行うことで、正しい寸法差がダイアル部で確認することができます。

ダイヤルキャリパゲージの原理

ダイヤルキャリパゲージは、主にダイアルゲージ、先端の測定子、間をつなぐフレーム(2つのコの字の柱や2つのL字の柱等)から構成されます。

形状を専用性が高いものにすることで、通常のダイアルゲージやデジタルのノギスでは測定できない部分の測定が可能になります。例えば、入り組んだ内部にある軸の外径を測る場合、周囲が囲われた内部にある円筒形状の凹形状R寸法を測る場合、ハイトゲージでは測定箇所が十分にとれない部分の厚みや高さを測定する場合です。

先端の測定子の動いた距離と同じ距離だけ、設置したダイアルゲージの先端が動くように、フレームは固定側と可動側があり、可動側にはダイアルゲージの測定部と触れる部分が設置されています。こうすることで、先端の測定子と同距離の動きがダイアルゲージの寸法差として表示することが可能になります。

注意が必要なことは、先端の測定子とダイアルゲージとが触れるとフレーム部分の動く方向は異なることが多いことです。特に、高精度の測定結果が求められる時や、先端の測定子と測定ワークの接触が安定しない時は、0(ぜろ)設定を既知の寸法を持つ現品の模範を使用したり、測定の手順とルールを明確にしておく等の工夫が必要です。 

参考文献
http://catalog.sokuteikougu.com/index.html?page=257
http://www.peacockozaki.jp/sub01_32.htm
https://teclock.co.jp/ja/product/caliper-gauge