管用タップとは
管用タップとは、水道管やガス管などの円筒の内側のつなぎ部分にねじ山を作るために使用する切削工具です。
配管を長く張り巡らしていく際には、円筒形のパイプにねじ山を切って継ぎ手やバルブなどを接続できるようにします。管用タップはこのような作業において、パイプの内側に内ねじを加工するために使用します。一方、パイプに接続する継ぎ手やバルブの側にはパイプの内径よりも細い円筒を使います。この円筒に外ねじを加工するために使用する切削工具は、管用ダイスと呼ばれています。
管用タップの使用用途
管用タップは様々な配管のねじ切り加工を始め、機械の部品製作などで使用されています。
管用タップは、水道管とガス管の円筒の内側のつなぎ部分にねじ山を作るために一般的に使用されています。同様に、住宅やビルなどの空気を通すための管や工場における薬液、廃液、加工ガス、排気ガスを通すための管の加工にも使用されます。さらにバルブ、エルボ、ソケットなどの配管部品の製作にも管用タップが使われています。
機械部品の製作において、円筒形の部品に円柱形の部品をつなげる場合も多くあります。この際の円筒側に内ねじ加工を施す際にも使用されます。管用タップが使用される被加工材料は、鉄、ステンレス、銅などの金属製のパイプが一般的です。
なお管用タップは管用ねじ (主にVねじ) を切るために設計されています。インボリュート曲線に沿ったインボリュートスプラインを製作するには、スプラインカッター等の専用工具を使用します。
管用タップの原理
管用タップが円筒に内ねじを切ることができるのは、ねじ山の形状と切削作用が深く関わっています。
1. ねじ山の形状
タップの先端は、ねじ山が複数列に並んだ形状をしています。そしてこのねじ山は多角形に近い形状をしています。この形状がまるで小さなドリルのように働き、材料を削り取ります。またねじ山には、一定の角度で傾斜が付いています。この傾斜角によってねじを切る方向に材料が押し出され、ねじ山が形成されます。
2. 切削作用
タップの先端が材料に食い込み、小さな穴を開けます。穴を開けた後タップを回転させながら押し込むと、ねじ山の形状に沿って材料が削り取られ内ねじが形成されます。さらにネジ山の間にある溝によって、切削された材料 (切り屑) が排出されます。
管用タップの種類
管用タップは、その形状、材質、規格によって様々な種類があります。それぞれの特徴を踏まえて適切なタップを選ぶことが高品質なねじ切り加工を行う上で重要です。
1. 形状による分類
ハンドタップ
3本1セットで構成され、順々に使用してねじ切りを行うタップのものががあります。
- 先タップ:先端が鋭く、下穴を開けるのに使用します。
- 中タップ:先タップで開けた穴を仕上げるのに使用します。
- 仕上げタップ:ねじ山を仕上げるのに使用します。
機械タップ
機械で使用するタップで、ハンドタップよりも高い精度が求められます。形状は様々ですが、スパイラルポイントと呼ばれる形状が一般的です。
管用タップ
配管用のねじ切りに特化したタップです。
- PFタップ:管用平行ねじ用のタップ
- PTタップ:管用テーパねじ用のタップ
2. 材質による分類
高速度工具鋼 (HSS)
一般的なタップに使われる材質で、硬度が高く、耐摩耗性に優れています。
超硬合金
高速切削や難削材加工に適しており、長寿命です。
カーバイト: 超硬合金の一種で、特に耐熱性が高いです。
規格による分類
JIS規格
日本の工業規格で、ねじの寸法や形状が規定されています。
ISO規格
国際規格で、JIS規格とほぼ同じですが、細かい部分で違いがあります。
その他
ポイントタップ
先端が鋭く、小さな穴からねじ切りを開始するのに適しています。
スパイラルタップ
ねじ山が螺旋状になっており、切り屑を排出しやすいのが特徴です。
ロールタップ
冷間圧延によってねじ山を形成するタップで、高精度なねじ切りが可能です。