スプリングピン

スプリングピンとはスプリングピン

スプリングピン(英語:Spring Pin, Roll Pin)は、薄板を円筒状に曲げた中空のピンにすり割り加工(スリット加工)を施した、断面がC型形状をしたピンです。

中空であるため、中実ピンと比較して軽量で、ピン外径より少し小さい穴径の加工された穴に挿入し、ピンが外側へ広がろうとするスプリング力で固定や回転拘束するために使用します。

一般的には、ロールピン、テンションピンなどとも同義語として使用されています。

スプリングピンの規格としては下記があります。

  • JIS B2808 スプリングピン
  • ASME B18.8.2, ASME B18.8.4M Slotted Spring Pins
  • ISO 8752 (DIN 1481) Slotted Spring Pins

スプリングピンの使用用途

スプリングピンは、部品同士の位置決め、回転防止や抜け止めなどの用途で使用します。特に、ピンのスプリング力が働き固定することから、高い穴径精度は不要でリーマ加工無しでドリル穴加工のままの十分な固定が可能です。そのため、中実の平行ピンやテーパーピンに比べて使い勝手がよく簡単に使用することができます。また、スプリング力により振動に対しても脱落しにくい特徴もあります。

スプリングの種類は主に、一般用(ストレート)と軽荷重用(波型)の2種類があり、それぞれの特徴によって使い分けます。

一般用は、簡易的な締結や位置決めなどに使用します。すり割り(スリット)はストレートと波型があり、両端はテーパ状やR加工が施されているため、穴に挿入しやすくなっています。

軽荷重用は、一般用より挿入するための荷重は小さくより簡易的な締結で、アルミニウムや樹脂などの軽量で高い強度が必要ない場合に使用します。すり割り(スリット)は波型で絡みにくく自動挿入のような場合に適しています。

スプリングピン 種類

スプリングピンの使用例(シャフトとピニオンギアの回転止め締結)は下図に示しますので参照してください。
ケーブルグランド 使用用途スプリングピンの選定例は下記を参照してください。

  • ピン外径: 各メーカーの寸法表などに記載されていると、穴径の組み合わせから選定します。
  • ピンの強度: 各メーカーの寸法表などに記載されている、せん断荷重に適合していることを確認します。

また、スプリングピンの材質は、ばね用鋼やステンレス鋼(SUS304CS、SUS420CJ)などが使用されています。

スプリングピンの原理

スプリングピンの主な特徴は、ピン外径より少し小さい穴径の加工された穴に挿入し、ピンが外側へ広がろうとするスプリング力で固定や回転拘束が可能であることです。したがって、高い精度の穴径が不要でリーマ加工のような仕上げ加工を省くことができ、ドリル穴あけ加工のままで使用できるため、工程が少なく製造コストも安価になります。

ただし、中実に平行ピンやテーパーピンに比べせん断強度は低く、荷重が大きく精度の高い締結部には向いていません。より強度が必要な場合は、ピン外径の異なる2つのピンを重ねて使用する方法もあります。

ピンの軸方向と平行方向に振動が発生するような場合は、ピンが抜けやすくなりますので使用するうえでは注意が必要です。また、締結物が繰り返し回転するような場合も、ピンが抜けやすくなるため注意が必要です。

スプリングピンの挿入は、ピン端面をハンマーなどで軽くたたき挿入します。スプリングピンが入りにくい場合は、穴径を少し大きくして微調整してください。スプリングピンの引き抜きは、ピンポンチなどをピンの先端に当てハンマーなどで軽くたたき引き抜きます。

スタッド

スタッドとは

スタッド

スタッド(英語: stud)とは金具や留め具の意味を表します。スタッドは和名表記で鋲と呼ばれており、鋲は頭部に笠形のものが付いたとめ針のことを指します。例えば画鋲などがこれにあたります。差し込んで利用する方法が一般的ですが、鋲の用途によっては針の先端をつぶすこともあります。そして、鋲にキャップなどを組み付け固定する利用方法などもあります。

スタッドとして用いられるもので画鋲以外ではリベットスタッドボルト、スパイクタイヤなどが挙げられます。そして鋲は飾り鋲としても家具や鞄、洋服にも利用されています。飾り鋲は家具では例えばアイアン鋲があります。この他に鞄や洋服ではランス鋲やスタッズなどが挙げられます。

スタッドの使用用途

スタッドは主に紙や金属などを固定するために用いられます。しかし、スタッドという名称が利用される工業製品や部品は広範囲に及んでおり、利用される産業や分野は様々です。したがって、スタッドは金属からプラスチックまで素材の種類も豊富です。

例えばスタッドの中でリベットがありますが、身近なものでは自動車のシートの固定や板金部、シャッターの組み付けなどにも利用されています。

その一方でスタッドは飾り鋲と呼ばれる用途にも利用されており、この分野では物を固定する用途ではなく装飾として用いられています。例えばアンティーク調に加工することが可能なので住宅用のドアに装飾として打ち込まれていたりします。

また、スタッドはスパイクタイヤにも組み込まれており、ここでは滑り止めの金属鋲として用いられています。

スタッドの原理

スタッドは幅広い用途として利用されており、スタッドの構造も様々である。

例えば画鋲は主に壁や物に対して鋲から笠形の頭部までの範囲ならば押しさすだけで固定できます。押し込む笠部の面積がさしこむ鋲よりも大きいため必要な力がとても少なくて済みます。これらの原理は飾り鋲でも同様です。飾り鋲では母材に硬度があり、人の手では困難な場合にはハンマーなどを使用することがあります。

その一方でリベットは一般的にハンドリベッターなどの工具を利用してかしめる方法で固定します。リベットにも様々な種類があり、押し込み固定する鋲の部分をつぶして固定する方法もあります。人の手ではかしめることが困難な母材を工具を利用することで簡単に固定することが可能になっています。

また、洋服に利用されているボタンもスタッドの分類に分けられます。Yシャツに縫い付けられている丸ボタンはスタッドの中には入りません。しかし、装飾されたボタンの中には上部と下部が分かれており、上部のピン部分と下部の受け部分が合わさることで装飾用のボタンになるものがあります。

このようにスタッドとは比較的安価に製作でき、利用できるものが数多くあるため他分野で利用されています。

参考文献
https://www.jisc.go.jp/index.html
https://www.osg.co.jp/
https://www.byora.co.jp/index/products/fastening/blind/index.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0171.html
https://fastener-parts.com/column/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%A8/
https://car-me.jp/articles/11700
広辞苑 第七版
大辞林 第四版
JIS B1173

低濃度オゾン発生装置

低濃度オゾン発生装置とは

低濃度オゾン発生装置 (英: Low Concentration Ozone Generator) とは、文字通り低濃度のオゾンを発生させるための装置です。

オゾン (英: Ozone) は、酸素原子3個からなる酸素の同位体で、その効果は殺菌・脱臭・脱色・酸化など多岐にわたり、殺菌力は天然元素の中ではフッ素に次いで高く、空気中では塩素の約1.65倍、水中では約7倍といわれています。

その反面、独特の臭気をもつ毒性ガスで、高濃度になると人体へ悪影響を及ぼすため、日本産業衛生学会では作業環境基準としての許容濃度を0.1ppm (0.2 mg/m3) と定めています。

一般的な工業用のオゾン発生装置は高濃度で、作業環境の殺菌や脱臭のために使用するにはオゾン濃度が高く人体への悪影響があるため使用に敵していません。低濃度オゾン発生装置は、作業環境で安全に殺菌・脱臭することを目的としています。 

低濃度オゾン発生装置の使用用途

低濃度オゾン発生装置は、人体へ悪影響がない低濃度のオゾンを発生するため、作業環境で安全にカビ臭や細菌・ウィルス・有機物などの除去することを目的とに適用されています。

現在、低濃度発生装置を利用した機器は、広さによって最大30畳 (約50m2) の広範囲タイプ、最大10畳 (約15m2) のパーソナルスペースタイプ、個人周辺をケアするポータブルタイプなどがあります。

低濃度オゾン発生装置の使用例は、以下になります。

  • 広範囲タイプ:医療機関・介護施設の待合室や廊下、一般企業のフロア、学校・学習塾の教室など
  • パーソナルスペースタイプ:個室トイレ、玄関、病院・介護施設の個室、飲食店など
  • ポータブルタイプ:飛行機・新幹線・電車・自動車の移動、応接室・VIPルームなどの面談・商談時、外食時など

低濃度オゾン発生装置の原理

低濃度オゾン発生装置の原理

図1. 低濃度オゾン発生装置の原理

低濃度オゾン発生装置のオゾン発生式は、主に放電式の一種であるコロナ放電式です。コロナ放電とは、針状の電極を空中に配置し、高電圧がかけられた際にその針の先端の周辺に気中放電が生じることです。暗くするその電極の周辺にコロナ (英: Corona)  (王冠) 状の光が見えることからこの名前がついています。

針周辺に酸素含気体を充填し、ここにコロナ放電で発生した電子により酸素がオゾンに変換されます。酸素分子に放電により気体中に放出された電子を衝突させ酸素原子に解離させ(O2 + e → 2O + e) 、3体衝突によりオゾンが形成されます (O+O2 + M → O3 + M)。

コロナ放電式は、オゾンの発生効率が低く高濃度になりにくいため、人体や環境への悪影響が気になるがオゾンの殺菌効果等を使用したい場面で、低濃度オゾン発生装置として使用することに採用されています。 

低濃度オゾン発生装置のその他情報

1. 低濃度オゾン発生装置の効果

これまで人体に悪影響のある高濃度のオゾンでの新型コロナウイルスへの除菌効果は確認されていましたが、人体に悪影響のない0.05ppmまたは0.1ppmの低濃度オゾンガスでも除菌効果があることが、2020年8月に藤田医科大学から研究結果として発表されました。

湿度とオゾン濃度で効果に違いがあることも分かっていて、湿度80%では日本の作業環境基準の低濃度オゾンガス0.1ppmで、10時間後のウイルスの感性性は4.6%まで低下します。

さらに湿度55%では、低濃度オゾンガス0.1ppmで4時間後に53%とほぼ半減することが分かっています。より厳しいアメリカの作業基準である0.05ppmであっても、湿度80%で10時間後で5.7%まで感性性が低下することが分かっていて、低濃度オゾンの除菌効果の高さがわかる結果です。

この研究結果から、低濃度オゾン発生器装置を適正に運用することで、医療機関や公共施設、また飲食店などの人が密集しやすい場所での新型コロナウイルス感染症の予防措置がとれることになり、経済活動の幅も広がる可能性があります。さらに、新型と季節性インフルエンザにも効果があることが分かっているので、今後の予防対策として有効な手段の一つとして考えられます。 

2. 低濃度オゾン発生装置の安全性

オゾンは人体への悪影響が確認されているため、日本産業衛生学会では厳密に作業基準が決められていて、許容濃度は0.1ppmとされています。0.01ppmから0.02ppmではオゾン臭気を感じ始め、0.1ppmを超えると鼻や喉への刺激が始まるので、オゾン測定器の値とともに体感としても影響を感じやすいためすぐに対策が取れます。

オゾン自体は自然界にごく低濃度で存在していて、さらに数時間で酸素に戻り残留性が低いので、濃度を適正に管理すれば比較的高い安全性を確保できます。 

参考文献
https://www.ecodesign-labo.jp/ozone/word/
http://www.cnpnet.co.jp/cnpe/ozon/basis.html
https://www.mitsubishielectric.co.jp/society/ozonizer/technology/index.html
http://www.wako-system.co.jp/
https://www.iwasaki.co.jp/optics/cleaning/ozone/ozonizer.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000061752.html
https://www.ohric.jp/ozone/influenza.htm
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007394.html
https://www.karumoa.co.jp/qa/service/qa35/

パウダーコート

パウダーコートとはパウダーコート

パウダーコート (英: Powder coat) とは、顔料などを細かく粉砕してパウダー状にしたものを金属などに直接吹き付けて加熱し、塗膜を形成させたものです。

その塗装方法を粉体塗装 (パウダーコーティング) と言います。塗膜が強く伸縮性があり、防錆能力が高いのが特徴です。

一般的な顔料をシンナーなどの溶剤に溶かして塗布する溶剤塗装に対し、粉体塗装は溶剤を使いません。そのため、環境汚染や健康被害、火災等のリスクが低いです。

パウダーコートの使用用途

パウダーコートは金属の塗装をはじめ、さまざまな工業製品に使用されています。具体的な使用用途の一例は、以下の通りです。

  • 自動車・バイク部品
  • スチール家具
  • エクステリア用品
  • ガードレール
  • 道路標識
  • 洗濯機
  • 冷蔵庫
  • パソコン
  • 電力計
  • 自転車
  • 公園の遊具
  • 水道管
  • トラクター

パウダーコートの原理

パウダー状にした塗料を被塗物に吹き付けて付着させる方法として、静電粉体塗装法 (吹き付け塗装) と流動浸漬塗装法 (浸漬塗装) があります。一般的に、熱硬化性塗料を使用した静電粉体塗装法が主流なので、ここでは静電粉体塗装法について説明します。

静電粉体塗装法とは、噴霧状にした塗料を負極 (-) に帯電し、被塗物を正極 (+) に帯電させ、塗料を被塗物に噴射し、電気的に塗布する方法です。塗料を負極に帯電する方法は、吐出するスプレーガン内にある電極へ電圧を印加するコロナ式と、粉体塗料がガン内を通過するときにおこる摩擦によって静電気を発生させるトリボ式があります。被塗物は、アースを取って正極に帯電させます。

塗布後は180~200度で加熱すると、粉が溶けて化学反応を起こし、塗膜を形成させます。化学反応により高分子ポリマーがネットワーク状の組織を形成し、被塗物は空気に触れにくくなり、優れた防錆性を発揮します。パウダーコートの作業工程は、「前処理→水切り乾燥→粉体塗装→焼付乾燥→検査」の順です。

パウダーコートの特徴

  • 塗膜が厚く塗膜自体の強度が高いため、キズがつきにくく、また耐熱性や耐油性に優れている。
  • 伸縮性が高いため、ひび割れや剥離が発生しにくく寿命が長い。
  • 塗膜が厚くピンホールが少なく被塗物が空気に触れにくいため、防錆能力が高い。
  • 環境汚染の原因となるVOC (揮発性有機化合物) やシックハウス症候群を引き起こすリスクや引火のリスクがある溶剤を含んでおらず、また、作業工程でCO2の排出量が少なく塗料の再利用も可能であるため、環境や健康にやさしい。
  •  耐久性や防錆能力が高いため再塗装の回数が少なくランニングコストが低い。また、塗料の回収再利用ができロスが少なく、塗装ラインの小型化や自動化が容易であり、塗装業者にとってもコストメリットが高く、結果的に価格を抑えることができる。
  • 加熱後、温度が下がったらすぐにほかの部品と組み合わせることができる。

パウダーコートのその他情報

パウダーコートの密着性を向上させる方法

耐熱性、耐油性、伸縮性、防錆性からパウダーコートは使用されていますが、その性能が発揮されるためには、被塗物にしっかり密着し、覆うことが重要です。密着性を向上させるためは、粉末塗装をする前の前処理と水切り乾燥が重要となります。

まず、被塗物表面の油成分の除去するアルカリ脱脂、錆を落とす酸洗、リン酸亜鉛皮膜をつくる化成処理を行います。化成処理は、被塗物表面の不純物を除去、防錆性が高く緻密な皮膜を形成するのが目的です。

化成処理後の被塗物表面は、水洗により濡れた状態になりますが、水分が残ったまま粉体塗装を行うと、塗装後にブリスター現象が起こる可能性が高いです。そのため、塗装前に水分を完全除去します。

参考文献
http://www.cs-refine.com/pauda4.html
http://www.howa-kogyo.co.jp/powder/index.html
http://www.howa-kogyo.co.jp/powder/products.html
https://kougyoutosou.com/technology/powder/painting_process/

クォーツストーン

クォーツストーンとはクォーツストーン

クォーツストーンとは、粉砕した天然の水晶や石英 (クォーツ) を樹脂で結合成形した人造石です。

メーカーによって違いはありますが、水晶の含有率は93~95%が一般的で、粉砕した水晶を真空プレス加工により樹脂で結合しています。

クォーツストーンの使用用途

クォーツストーンは、住宅のキッチンやバスルームなどの水回りによく使用されています。具体的な使用例は、以下のとおりです。

  • キッチンの天板や天板および側面
  • バスルームの壁面
  • 洗面カウンター
  • 受付カウンター
  • テーブル

なお、クォーツストーンは不燃材ではないので、キッチン壁などの内装制限のある場所には使用できません。

クォーツストーンの原理

クォーツストーンの材料はほぼ水晶や石英なので、その表面硬度はモース硬度7と非常に高く、クォーツストーンは天然石や人造大理石などの他の材質に比べて傷がつきにくいのが特徴です。また、水晶や石英の微細粒子を樹脂で結合しており、微細粒子間に樹脂が充填された構造です。

つまり、微細粒子間の間隙が非常に少なく、その表面の穴や隙間が極めて少なくなっています。そのため、天然石や人造大理石などよりも吸水性が低く水分を含んだものをこぼしてもしみ込みにくく、汚れも付着しにくいです。キッチンなどに使用した場合でも、日常の汚れは水拭きで十分落とせます。

また、樹脂で結合するため、加工もしやすく、比較的大きなアイランドカウンターや長尺カウンターなどの継ぎ目なし加工から、折り曲がった不整形なものの加工まで対応できます。さらには、樹脂で生成する前に色付けが可能で、石目調から色付きの無地などバリエーションも豊富です。メーカーによって、さまざまなバリエーションを揃えています。

ただし、前述のようにクォーツストーンはとても硬いため、キッチンの天板に使用した場合、食器を落とすと割れやすいデメリットがあります。さらに、ステンレスや人工大理石と比較すると非常に高価です。水晶や石英を樹脂により結合しており、樹脂部分が可燃性を有するため、不燃材としては認定されておらず、内装制限がある場所で使用することはできません。

クォーツストーンのその他情報

クォーツストーンの手入れ方法

クォーツストーンの手入れは非常に簡単です。例として、キッチンの天板にクォーツストーンを採用した場合の手入れの方法を、「日常の汚れ」「少し汚れた時」「とても汚れた時」の三段階に分けて解説します。

日常の手入れ
日常の手入れは、布巾などの柔らかい布だけでできます。クォーツストーン製の天板を使用した後、濡らした柔らかい布をよく絞り、汚れや水滴をふき取るだけで手入れは完了です。

少し汚れた時
少し汚れた時の手入れには、次のような物を用意する必要があります。

  • キッチン用の中性洗剤
  • 柔らかい布またはスポンジ
  • 用意できれば使い古しの歯ブラシ

手順としては、まず柔らかい布かスポンジに、薄めたキッチン用の中性洗剤を染み込ませます。次に、この布もしくはスポンジを使って、天板の汚れを拭きとります。もし用意できる場合は、使い古しの歯ブラシを濡らして汚れをこすると、より効率良く洗浄可能です。

とても汚れた時
とても汚れた時の手入れには、以下のような物を用意する必要があります。

  • 柔らかい布
  • 掃除用アルコール

まずは、柔らかい布に掃除用アルコールを染み込ませ、これで天板の汚れを拭き取ります。ただし、変色のおそれなどがあるため、初めに目立ちにくい箇所で試し拭きすると良いです。試し拭きして大丈夫であれば、様子を見ながら少しずつ磨いていきます。

2. 手入れ時の注意点

上述した手入れを行う際には、注意すべき点がいくつかあります。クォーツストーン製の天板に、アルカリ性・塩素系・酸性の洗剤や、漂白剤が付着した際は、水でしっかりと洗い流してください。これは、アルカリ性・塩素系・酸性の洗剤や、漂白剤がクォーツストーンの変色を起こすおそれがあるためです。

また、手入れにスポンジを使う際は、研磨剤が含まれたスポンジは傷がついてしまうため、使用できません。油や煮こぼれも、放置するとクォーツストーンの変色や変質を引き起こす可能性があるため、すぐに拭き取ることが重要です。

このようにいくつかの注意点はありますが、クォーツストーン製の天板の手入れは簡単にできます。

参考文献
http://www.kobayashi-shoji.co.jp/kobayashi-kogei/quartz.html
http://www.dainichikasei.com/qa/1652
https://www.e-kitchen.biz/pro/worktop-counter/quartz-stone-work-top/
https://www.takara-standard.co.jp/support/after/clean_manual/worktop.html
https://iiietsukuru.com/interior-004

ウェット膜厚計

ウェット膜厚計とは

ウェット膜厚計は、物体上にある濡れ面の膜厚を測定する装置にです。

ウェット膜厚計の多くは、アナログ式の膜厚計となり、実際に濡れ面に膜厚計を当て、その膜厚計がどの程度濡れたかを目視などで確認し、膜厚を測定します。実際に濡れ面に膜厚計を接触させて測定を行うため、破壊式の検査になります。デジタルで濡れ厚さを測定する製品も発売されています。

くし型とローラー型に分類できます。手動読み取り式のため、手早く膜厚を取得できます。

ウェット膜厚計の使用用途

ウェット膜厚計は、自動車などの塗装工程、食品工場、実験場などで使用されます。具体的な使用例としては、塗装工程における塗装厚さの管理、食品の製造工程における塗布量の管理、濡れの測定になります。

ウェット膜厚計の選定の際には、膜厚の測定精度、読み取りやすさ、破壊する量の大きさなどを考慮する必要があります。使い捨てが可能な安価な素材から、洗浄して利用できるタイプもあり、使用する液体の種類に応じて選択できます。

ウェット膜厚計の原理

ウェット膜厚計の動作原理を、くし型とローラー型に分けて説明します。

1. くし型

くし型のウェット膜厚計は、くし状の高さの異なる溝が等間隔で掘られています。膜厚計を測定対象の膜に押し当てると、溝の部分に液が侵入します。その液が侵入していない部分の数値を読み取ることで膜厚を測定することができます。膜厚の測定の範囲は、溝の高さの間隔に依存します。価格が安価で、使い捨てが可能な製品が多くあり、洗浄が容易ではない場合や、直接触ることが危険な薬品などの膜厚の測定にも適しています。

2. ローラー型

ローラー型は、ローラーの遠心方向の中央に溝があり、その溝の高さが異なる形状となっています。測定時は、測定対象の膜に対して、ローラーを回転させ、中央の溝に液体が付着したかどうかを判別することで、測定が可能になります。液体を破壊する部分がくし型に比べて少ないことが特徴になります。滑り止めの加工がされている製品もあります。

参考文献
https://www.tetsutani.co.jp/sokutei/pte/wetgage.html
https://www.allgood.co.jp/products/wet_film_wheel/
http://www.sanko-denshi.co.jp/makuatsu/wet.html

KVMエクステンダ

KVMエクステンダとは

KVMエクステンダとは、キーボード (英: Keyboard) ・ディスプレイ (英:Video) ・マウス (英: Mouse) を、コンピュータから離れた場所で使うための機器です。

通常、キーボード・ディスプレイ・マウス (KVMステーション) とコンピュータを接続するケーブルは、約10m以内で使えるように設計されています。約10m以上のケーブルを使うと、デジタル信号が減衰したり波形が乱れたりするため、正常にデータ転送ができなくなります。

KVMエクステンダを利用すれば、CATxのケーブルを使った場合は約150mまで、光ファイバやネットワーク経由の場合はさらに遠くまでの距離を、デジタル信号の品質を保ったまま接続可能です。

KVMエクステンダの使用用途

KVMエクステンダは主に、コンピュータ本体をセキュリティおよび保守上の理由から、人間の目の届かない場所に隔離するために利用されます。

1. サーバールームの作業を効率化する場合

KVMエクステンダを使えば、サーバールームに入らずに、離れた場所からサーバーを操作できます。サーバールーム スタッフは物理的にサーバーに近づく必要がありません。これにより、サーバールーム スタッフの負担や移動時間を減らすことができます。

2. デスクトップ スペースの有効活用する場合

KVMエクステンダを使えば、パソコン本体をデスクトップから取り除くことができます。これにより、デスクトップ スペースを節約できるだけでなく、配線やメンテナンスも簡単になります。

3. セキュリティを確保する場合

KVMエクステンダを使えば、パソコン本体を監視カメラやロックなどで保護された場所に設置できます。これにより、機密情報や重要なデータの漏洩や改ざんを防ぐことができます。

4. コンピュータの稼働環境を確保する場合

巨大なスクリーンを設置した屋外のライブイベント会場から離れた安全で安定した環境に、コンピュータを設置できます。

KVMエクステンダの原理

KVMエクステンダは、コンピュータとキーボード、モニタ、マウスを物理的に分離し、信号を変換して延長する仕組みです。KVMエクステンダは、コンピュータとキーボード、モニタ、マウスの間に設置され、それぞれの信号を変換し、データを長距離で伝送できるCATxまたはファイバケーブルなどを介して信号を伝送します。

KVMエクステンダは、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータに接続できます。この場合、KVM over IPエクステンダと呼ばれる技術が使われます。

KVMエクステンダの種類

KVMエクステンダは、伝送する信号の種類やケーブルの種類によって分類されます。

1. 信号による分類

信号の種類には、アナログVGAやデジタルDVIなどのビデオ信号、USBやPS/2などのキーボード・マウス信号、オーディオ信号などがあります。これらの信号を組み合わせて伝送もできます。

2. ケーブルによる分類

ケーブルの種類には、Cat5やCat6などのツイストペアケーブル (CATxケーブル) や光ファイバケーブルがあります。CATxケーブルでは最大130m〜300mまで延長できますが、光ファイバケーブルでは最大20kmまで延長できます。

KVMエクステンダには、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータにアクセスできるKVM over IPエクステンダと呼ばれるものもあります。この場合、IPネットワークを介して信号を変換・伝送します。

KVMエクステンダの選び方

KVMエクステンダを選ぶ際は、自分の用途や環境に合わせて、必要な信号の種類やケーブルの種類を決める必要があります。

1. 信号の種類

信号の種類には、アナログVGAやデジタルDVIなどのビデオ信号、USBやPS/2などのキーボード・マウス信号、オーディオ信号などがあります。接続するキーボード、モニタ、マウスのインターフェースに合った製品を選びます。

2. ケーブルの長さ

ケーブルには、Cat5やCat6などのツイストペアケーブル (CATxケーブル) や光ファイバケーブルがあります。CATxケーブルでは最大150m〜300mまで延長できますが、光ファイバケーブルでは最大20kmまで延長できるものがあります。

3. 複数コンピュータとの接続

KVMエクステンダには、一対一の接続だけでなく、ネットワーク経由で複数のコンピュータにアクセスもできるKVM over IPエクステンダと呼ばれるものもあります。この場合、IPネットワークを介して信号を変換・伝送します。

4. 高解像度やセキュリティ

4Kビデオや機密情報保護などのセキュリティ要件に対応する必要があるかどうかも、考慮する必要があります。

参考文献
https://www.blackbox.co.jp/ja-jp/page/24052/Information/Technical-Resources/Black-Box/KVM/KVM
https://www.sanwa.co.jp/product/peripheral/changer/qa/index.html

EMCCDカメラ

EMCCDカメラとは

EMCCDカメラとは、電子倍増機能 (Electron Multiplying) CCD素子により、微弱な光を検知可能なCCDカメラのことです。

通常のCCDカメラで光を検知する場合、ある程度明るい光が必要です。光を電気信号に変換するとき、ある程度のノイズ (光以外の不要な情報) が加わります。

微弱な光を電気信号に変換しても、ノイズに埋もれるため十分な濃淡の画像が得られません。光を検知して電気信号に変換する際、EMCCDカメラはCCDセンサーに電子倍増機能を持たせるため、微弱な光を検知可能です。

EMCCDカメラの使用用途

EMCCDカメラの主な用途は、顕微鏡や望遠鏡です。顕微鏡における観察部分は非常に狭く、絞りや反射鏡により観察部分の明るさを増強していますが、通常のCCDカメラで撮影すると光量が不十分です。

そのため、光から変換した電気信号がノイズに埋もれてしまいます。一方で、EMCCDカメラを用いると、微弱な光を十分な強度の電気信号に変換・増幅可能です。望遠鏡で暗い天体を撮影する際も、微弱な光量を補うためEMCCDカメラを用います。

EMCCDカメラの原理

1. CCDセンサーの仕組み

CCD (Charge Coupled Device) とは、光を電気信号に変換する電荷結合素子のことです。従来の銀塩カメラ (フィルムを使用したカメラ) の受光部では銀塩フィルムが使われているのに対し、多くのデジタルカメラの受光部ではCCDセンサーが使われています。

CCDセンサーは、画素という小さな素子 (フォトダイオード) から構成されます。フォトダイオードが光を電荷に変換し、CCDセンサーが電荷を電流として出力し、画像化します。

2. EMCCDの仕組み

電流を流す際に、ノイズの影響を受ける特性があるため、微弱な光では電気信号がノイズに埋もれて適切な画像が得られません。そこで、EMCCDセンサーでは光から変換した電荷をノイズの影響を受けないレベルまで倍増させます。

電荷を倍増させることにより、電気信号も倍増されるため、出力画像の濃淡もハッキリします。このようにして顕微鏡や望遠鏡など、微弱な光を検知する必要がある場合でも、EMCCDカメラを使用すれば実用に耐える濃淡のある画像を取得可能です。

EMCCDカメラの構造

EMCCDカメラは、CCDセンサー部とゲインレジスタと呼ばれる2つの機構から構成されます。

1. CCDセンサー部

CCDセンサー部のシリコン基板表面上の電極に異なる電圧を加えることでポテンシャルウェル (potential well: 電位の井戸) が作られます。光をCCDセンサー部が受光すると、光電効果により電荷が発生します。

電荷はポテンシャルウェルに捕捉された後、通常のCCDではACコンバータにてデジタル化が行われます。一方、EMCCDではデジタル化が行われる前に、電荷は電荷倍増のためにゲインレジスタに運ばれます。

2. ゲインレジスタ

CCDセンサー部から送られてきた電荷の倍増を行う機構です。電子転送時に高い電界を加え、高エネルギー状態にすることで新たな電子-正孔対を生成する現象 (インパクトイオン化現象) を利用しています。

EMCCDカメラのその他情報

ノイズ要因

EMCCDのノイズは次の4つに分類され、それぞれに対策が必要になります。

1. 固定パターンノイズ
CCDセンサー内の各画素の感度のバラつきから生じるノイズです。

2. ショットノイズ
CCDセンサーに入射する光子数に依存したノイズです。光子数が増加するとショットノイズも増加します。

3. ダークショットノイズ
光入力が発生しない状態でCCDセンサーに生じる電流のことを暗電流と呼びます。ダークショットノイズは暗電流に起因するノイズであり、暗電流低減によりダークショットを低減することが可能です。

4. 読み出しノイズ
CCDセンサー含めカメラを構成するハードウェアに起因するノイズです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/27/1/27_24/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo/43/3/43_202/_pdf/-char/ja

DNCシステム

DNCシステムとは

DNCシステム (英: Direct Numeric Control System) とは、各種NC工作機械をオンラインで直接数値制御するシステムのことです。

NC工作機械 (ほぼCNC工作機械を指す) を数値制御するとき、フロッピーディスク (FD) やUSBを介して数値データをやりとりしていました。DNCシステムではネットワーク接続により、FDやUSBを介さずに直接コンピュータからNC工作機械を操作できます。

LANによるオンライン環境を構築することにより、複数のNC工作機械を一元的に操作・管理が可能です。

DNCシステムの使用用途

DNCシステムの使用用途は、各種NC工作機械とネットワークを連結することにより、コンピュータから複数のNC工作機械を操作したり、コンピュータとNC工作機械の間で情報をやりとりしたりすることです。

DNCシステムの導入により、従来のCNC工作機械ではできなかった大容量データのやりとりや、長時間のスケジュール運転・無人化運転などを行えます。コンピュータからNC工作機械へ情報を転送するだけでなく、NC工作機械から各種データを取得してコンピュータへ転送することも可能です。

NC工作機械からコンピュータへフィードバックされたデータを基に、NC工作機械の稼働状況を管理できます。

DNCシステムの原理

1. データの転送

従来のCNC工作機械では、コンピュータから数値データをNC工作機械へ送るとき、FDやUSBを介してやりとりするか、直接NC工作機械付属のコンピュータから数値入力していました。

しかし、FDやUSBを介した方法では送信できるデータ量に限界がある上、データ転送の手間がかかるのが欠点です。また、直接NC工作機械付属のコンピュータから人間が数値入力をする場合、ときには数値を誤って入力しかねません。

上記の欠点を解決するため、DNCシステムではコンピュータとNC工作機械をネットワークで結び、コンピュータから直接数値データをNC工作機械に転送します。

2. ネットワーク

ネットワークに用いられるケーブルとしては、LANケーブルや光ケーブルなどがあります。情報閲覧用コンピュータ、CAD/CAM用コンピュータ、ディスプレイ、NC工作機械をネットワークで接続可能です。

NC工作機械を接続するためには、ネットワーク (LANケーブル) とNC工作機械 (RS-232Cケーブル) を、専用の変換アダプタを介して接続します。また、コンピュータから離れた場所でもNC工作機械の稼働状況を確認するため、情報閲覧用コンピュータから無線で携帯電話に情報を転送することも可能です。

DNCシステムのその他情報

1. DNCシステムの使用例

DNCシステムを利用することで、NC機械稼働進捗管理も行うことができます。DNCパソコンにおいて、NCプログラムの出力進捗からNC工作機械の稼働進捗を把握する方式です。

得られた進捗情報をDNCパソコンから別の情報連携環境に送信することも可能であり、NC装置がネットワークインタフェースを持っていなくても稼働進捗などの管理情報を取得することができます。

2. DNCシステムのメリット

DNCシステムの必要性として、以下が挙げられます。NCデータの複雑化、大容量化であったり、設備間のオンライン化の需要からコンピュータから直接オンラインで工作機械に転送する必要が出てきました。

また、DNCシステムを利用することでNC工作機械の長時間連続運転ができることも必要性の1つです。このようなDNCシステムの必要性を考えると、導入のメリットには次の点などが挙げられます。

紙テープやフロッピーディスクを排除することで、大容量NCデータの高速転送と電子化による管理データの統一が可能になります。また、CAD/CAMからNC工作機械へのデータ供給をオンライン化することも可能です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2005A/0/2005A_0_597/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2008A/0/2008A_0_77/_pdf/-char/ja

CNCルータ

CNCルータとはCNCルータ

CNCルータとは、コンピュータによって数値制御されるルータで木材やプラスチックなどを加工する電動工具のことです。

NCルータでは数値制御は行われていましたが、数値データの入力には紙テープやパンチカードを使用していました。しかし、コンピュータの普及により数値データの生成にもコンピュータが活用されるようになり、CNCルータが登場しました。

CNCルータでは同一手順の加工の繰り返しや、複雑な形状の加工を精度高く行うことができます。現在ではNCルータとCNCルータはほぼ同義の用語とされています。CNCルータは工業製品の製造だけでなく家具の制作や模型制作、アート作品の制作など、様々な分野で活用されています。

高い精度で効率的に加工を行えるため加工業界で重要な役割を担っています。また、CAD/CAMを用いることで、事前に設計した加工データをCNCルータに取り込めるため、高精度かつ複雑な形状の加工も可能です。

CNCルータの使用用途

CNCルータはコンピュータで数値制御したルータにより木材・プラスチック材などを加工する目的で使用されます。例えば器具、試作品などの製作にCNCルータが向いています。

試作品を製作する場合、細部の条件を変えていくつも製作する場合も多いため、CNCルータによって細かく数値条件を変えることにより、試作品の製作時間を短縮可能です。2D加工だけでなく穴開け・くり抜き・ポケット加工などの3D加工もできます。

CNCルータの原理

CNCルータは数値制御の原理によって加工精度を高めたルータです。初期のNCルータは数値データを転送するために紙テープを使用していたため、数値データの転送に時間がかかっていましたが、コンピュータの普及によりCNCルータが開発されました。

CNCルータを使用する場合、加工材料 (木材・プラスチック材など) をテーブル上に置き、コンピュータ操作によって材料を加工します。コンピュータに入力する数値データは、位置座標 (x, y, z) や移動距離を入力します。典型的な形状 (円など) の場合は半径などの情報を入力することで、コンピュータが自動的に移動情報を計算します。

複雑な形状の加工をする場合、事前にCAD/CAMにより加工データを設計しておき、データをCNCルータに受け渡して材料を加工も可能です。CNCルータは高精度で迅速な加工が可能であり、木工や加工業界で広く使用されています。

CNCルータの種類

CNCルータは、加工する材料や目的によってさまざまな種類があり、主に3軸CNCルータ、4軸CNCルータ、5軸CNCルータ、レーザーCNCルータ、水jetCNCルータの5種類が存在します。材料や目的に応じて、最適なCNCルータを選択することが重要です。

1. 3軸CNCルータ

3軸CNCルータは、X、Y、Z軸の3つの軸を持ち、平面加工と立体加工の両方が可能です。主に木工や金属加工に使用され、高精度かつ迅速な加工が可能です。

2. 4軸CNCルータ

4軸CNCルータは、3軸CNCルータに加え、回転軸を1つ追加したものです。主に3D彫刻や装飾加工に使用され、複雑な形状を加工できます。

3. 5軸CNCルータ

5軸CNCルータは、4軸CNCルータに加え、傾斜軸を追加したものです。これにより、曲面の立体加工が可能となります。主に造船業や航空機産業など、大型の加工が必要な産業で使用されています。

4. レーザーCNCルータ

レーザーCNCルータは、レーザーを利用して材料を切削するタイプのCNCルータです。主に金属加工や木工に使用され、高速かつ高精度な加工が可能です。

5. 水jetCNCルータ

水jetCNCルータは、高圧水流を利用して材料を切削するタイプのCNCルータです。主に石材加工や金属加工に使用され、硬質な材料の切削に威力を発揮します。

参考文献
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010660894.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1986/8/5/8_5_412/_pdf/-char/ja