パウダーコート

パウダーコートとはパウダーコート

パウダーコート (英: Powder coat) とは、顔料などを細かく粉砕してパウダー状にしたものを金属などに直接吹き付けて加熱し、塗膜を形成させたものです。

その塗装方法を粉体塗装 (パウダーコーティング) と言います。塗膜が強く伸縮性があり、防錆能力が高いのが特徴です。

一般的な顔料をシンナーなどの溶剤に溶かして塗布する溶剤塗装に対し、粉体塗装は溶剤を使いません。そのため、環境汚染や健康被害、火災等のリスクが低いです。

パウダーコートの使用用途

パウダーコートは金属の塗装をはじめ、さまざまな工業製品に使用されています。具体的な使用用途の一例は、以下の通りです。

  • 自動車・バイク部品
  • スチール家具
  • エクステリア用品
  • ガードレール
  • 道路標識
  • 洗濯機
  • 冷蔵庫
  • パソコン
  • 電力計
  • 自転車
  • 公園の遊具
  • 水道管
  • トラクター

パウダーコートの原理

パウダー状にした塗料を被塗物に吹き付けて付着させる方法として、静電粉体塗装法 (吹き付け塗装) と流動浸漬塗装法 (浸漬塗装) があります。一般的に、熱硬化性塗料を使用した静電粉体塗装法が主流なので、ここでは静電粉体塗装法について説明します。

静電粉体塗装法とは、噴霧状にした塗料を負極 (-) に帯電し、被塗物を正極 (+) に帯電させ、塗料を被塗物に噴射し、電気的に塗布する方法です。塗料を負極に帯電する方法は、吐出するスプレーガン内にある電極へ電圧を印加するコロナ式と、粉体塗料がガン内を通過するときにおこる摩擦によって静電気を発生させるトリボ式があります。被塗物は、アースを取って正極に帯電させます。

塗布後は180~200度で加熱すると、粉が溶けて化学反応を起こし、塗膜を形成させます。化学反応により高分子ポリマーがネットワーク状の組織を形成し、被塗物は空気に触れにくくなり、優れた防錆性を発揮します。パウダーコートの作業工程は、「前処理→水切り乾燥→粉体塗装→焼付乾燥→検査」の順です。

パウダーコートの特徴

  • 塗膜が厚く塗膜自体の強度が高いため、キズがつきにくく、また耐熱性や耐油性に優れている。
  • 伸縮性が高いため、ひび割れや剥離が発生しにくく寿命が長い。
  • 塗膜が厚くピンホールが少なく被塗物が空気に触れにくいため、防錆能力が高い。
  • 環境汚染の原因となるVOC (揮発性有機化合物) やシックハウス症候群を引き起こすリスクや引火のリスクがある溶剤を含んでおらず、また、作業工程でCO2の排出量が少なく塗料の再利用も可能であるため、環境や健康にやさしい。
  •  耐久性や防錆能力が高いため再塗装の回数が少なくランニングコストが低い。また、塗料の回収再利用ができロスが少なく、塗装ラインの小型化や自動化が容易であり、塗装業者にとってもコストメリットが高く、結果的に価格を抑えることができる。
  • 加熱後、温度が下がったらすぐにほかの部品と組み合わせることができる。

パウダーコートのその他情報

パウダーコートの密着性を向上させる方法

耐熱性、耐油性、伸縮性、防錆性からパウダーコートは使用されていますが、その性能が発揮されるためには、被塗物にしっかり密着し、覆うことが重要です。密着性を向上させるためは、粉末塗装をする前の前処理と水切り乾燥が重要となります。

まず、被塗物表面の油成分の除去するアルカリ脱脂、錆を落とす酸洗、リン酸亜鉛皮膜をつくる化成処理を行います。化成処理は、被塗物表面の不純物を除去、防錆性が高く緻密な皮膜を形成するのが目的です。

化成処理後の被塗物表面は、水洗により濡れた状態になりますが、水分が残ったまま粉体塗装を行うと、塗装後にブリスター現象が起こる可能性が高いです。そのため、塗装前に水分を完全除去します。

参考文献
http://www.cs-refine.com/pauda4.html
http://www.howa-kogyo.co.jp/powder/index.html
http://www.howa-kogyo.co.jp/powder/products.html
https://kougyoutosou.com/technology/powder/painting_process/

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