低濃度オゾン発生装置

低濃度オゾン発生装置とは

低濃度オゾン発生装置 (英: Low Concentration Ozone Generator) とは、文字通り低濃度のオゾンを発生させるための装置です。

オゾン (英: Ozone) は、酸素原子3個からなる酸素の同位体で、その効果は殺菌・脱臭・脱色・酸化など多岐にわたり、殺菌力は天然元素の中ではフッ素に次いで高く、空気中では塩素の約1.65倍、水中では約7倍といわれています。

その反面、独特の臭気をもつ毒性ガスで、高濃度になると人体へ悪影響を及ぼすため、日本産業衛生学会では作業環境基準としての許容濃度を0.1ppm (0.2 mg/m3) と定めています。

一般的な工業用のオゾン発生装置は高濃度で、作業環境の殺菌や脱臭のために使用するにはオゾン濃度が高く人体への悪影響があるため使用に敵していません。低濃度オゾン発生装置は、作業環境で安全に殺菌・脱臭することを目的としています。 

低濃度オゾン発生装置の使用用途

低濃度オゾン発生装置は、人体へ悪影響がない低濃度のオゾンを発生するため、作業環境で安全にカビ臭や細菌・ウィルス・有機物などの除去することを目的とに適用されています。

現在、低濃度発生装置を利用した機器は、広さによって最大30畳 (約50m2) の広範囲タイプ、最大10畳 (約15m2) のパーソナルスペースタイプ、個人周辺をケアするポータブルタイプなどがあります。

低濃度オゾン発生装置の使用例は、以下になります。

  • 広範囲タイプ:医療機関・介護施設の待合室や廊下、一般企業のフロア、学校・学習塾の教室など
  • パーソナルスペースタイプ:個室トイレ、玄関、病院・介護施設の個室、飲食店など
  • ポータブルタイプ:飛行機・新幹線・電車・自動車の移動、応接室・VIPルームなどの面談・商談時、外食時など

低濃度オゾン発生装置の原理

低濃度オゾン発生装置の原理

図1. 低濃度オゾン発生装置の原理

低濃度オゾン発生装置のオゾン発生式は、主に放電式の一種であるコロナ放電式です。コロナ放電とは、針状の電極を空中に配置し、高電圧がかけられた際にその針の先端の周辺に気中放電が生じることです。暗くするその電極の周辺にコロナ (英: Corona)  (王冠) 状の光が見えることからこの名前がついています。

針周辺に酸素含気体を充填し、ここにコロナ放電で発生した電子により酸素がオゾンに変換されます。酸素分子に放電により気体中に放出された電子を衝突させ酸素原子に解離させ(O2 + e → 2O + e) 、3体衝突によりオゾンが形成されます (O+O2 + M → O3 + M)。

コロナ放電式は、オゾンの発生効率が低く高濃度になりにくいため、人体や環境への悪影響が気になるがオゾンの殺菌効果等を使用したい場面で、低濃度オゾン発生装置として使用することに採用されています。 

低濃度オゾン発生装置のその他情報

1. 低濃度オゾン発生装置の効果

これまで人体に悪影響のある高濃度のオゾンでの新型コロナウイルスへの除菌効果は確認されていましたが、人体に悪影響のない0.05ppmまたは0.1ppmの低濃度オゾンガスでも除菌効果があることが、2020年8月に藤田医科大学から研究結果として発表されました。

湿度とオゾン濃度で効果に違いがあることも分かっていて、湿度80%では日本の作業環境基準の低濃度オゾンガス0.1ppmで、10時間後のウイルスの感性性は4.6%まで低下します。

さらに湿度55%では、低濃度オゾンガス0.1ppmで4時間後に53%とほぼ半減することが分かっています。より厳しいアメリカの作業基準である0.05ppmであっても、湿度80%で10時間後で5.7%まで感性性が低下することが分かっていて、低濃度オゾンの除菌効果の高さがわかる結果です。

この研究結果から、低濃度オゾン発生器装置を適正に運用することで、医療機関や公共施設、また飲食店などの人が密集しやすい場所での新型コロナウイルス感染症の予防措置がとれることになり、経済活動の幅も広がる可能性があります。さらに、新型と季節性インフルエンザにも効果があることが分かっているので、今後の予防対策として有効な手段の一つとして考えられます。 

2. 低濃度オゾン発生装置の安全性

オゾンは人体への悪影響が確認されているため、日本産業衛生学会では厳密に作業基準が決められていて、許容濃度は0.1ppmとされています。0.01ppmから0.02ppmではオゾン臭気を感じ始め、0.1ppmを超えると鼻や喉への刺激が始まるので、オゾン測定器の値とともに体感としても影響を感じやすいためすぐに対策が取れます。

オゾン自体は自然界にごく低濃度で存在していて、さらに数時間で酸素に戻り残留性が低いので、濃度を適正に管理すれば比較的高い安全性を確保できます。 

参考文献
https://www.ecodesign-labo.jp/ozone/word/
http://www.cnpnet.co.jp/cnpe/ozon/basis.html
https://www.mitsubishielectric.co.jp/society/ozonizer/technology/index.html
http://www.wako-system.co.jp/
https://www.iwasaki.co.jp/optics/cleaning/ozone/ozonizer.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000061752.html
https://www.ohric.jp/ozone/influenza.htm
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007394.html
https://www.karumoa.co.jp/qa/service/qa35/

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