DNCシステム

DNCシステムとは

DNCシステム (英: Direct Numeric Control System) とは、各種NC工作機械をオンラインで直接数値制御するシステムのことです。

NC工作機械 (ほぼCNC工作機械を指す) を数値制御するとき、フロッピーディスク (FD) やUSBを介して数値データをやりとりしていました。DNCシステムではネットワーク接続により、FDやUSBを介さずに直接コンピュータからNC工作機械を操作できます。

LANによるオンライン環境を構築することにより、複数のNC工作機械を一元的に操作・管理が可能です。

DNCシステムの使用用途

DNCシステムの使用用途は、各種NC工作機械とネットワークを連結することにより、コンピュータから複数のNC工作機械を操作したり、コンピュータとNC工作機械の間で情報をやりとりしたりすることです。

DNCシステムの導入により、従来のCNC工作機械ではできなかった大容量データのやりとりや、長時間のスケジュール運転・無人化運転などを行えます。コンピュータからNC工作機械へ情報を転送するだけでなく、NC工作機械から各種データを取得してコンピュータへ転送することも可能です。

NC工作機械からコンピュータへフィードバックされたデータを基に、NC工作機械の稼働状況を管理できます。

DNCシステムの原理

1. データの転送

従来のCNC工作機械では、コンピュータから数値データをNC工作機械へ送るとき、FDやUSBを介してやりとりするか、直接NC工作機械付属のコンピュータから数値入力していました。

しかし、FDやUSBを介した方法では送信できるデータ量に限界がある上、データ転送の手間がかかるのが欠点です。また、直接NC工作機械付属のコンピュータから人間が数値入力をする場合、ときには数値を誤って入力しかねません。

上記の欠点を解決するため、DNCシステムではコンピュータとNC工作機械をネットワークで結び、コンピュータから直接数値データをNC工作機械に転送します。

2. ネットワーク

ネットワークに用いられるケーブルとしては、LANケーブルや光ケーブルなどがあります。情報閲覧用コンピュータ、CAD/CAM用コンピュータ、ディスプレイ、NC工作機械をネットワークで接続可能です。

NC工作機械を接続するためには、ネットワーク (LANケーブル) とNC工作機械 (RS-232Cケーブル) を、専用の変換アダプタを介して接続します。また、コンピュータから離れた場所でもNC工作機械の稼働状況を確認するため、情報閲覧用コンピュータから無線で携帯電話に情報を転送することも可能です。

DNCシステムのその他情報

1. DNCシステムの使用例

DNCシステムを利用することで、NC機械稼働進捗管理も行うことができます。DNCパソコンにおいて、NCプログラムの出力進捗からNC工作機械の稼働進捗を把握する方式です。

得られた進捗情報をDNCパソコンから別の情報連携環境に送信することも可能であり、NC装置がネットワークインタフェースを持っていなくても稼働進捗などの管理情報を取得することができます。

2. DNCシステムのメリット

DNCシステムの必要性として、以下が挙げられます。NCデータの複雑化、大容量化であったり、設備間のオンライン化の需要からコンピュータから直接オンラインで工作機械に転送する必要が出てきました。

また、DNCシステムを利用することでNC工作機械の長時間連続運転ができることも必要性の1つです。このようなDNCシステムの必要性を考えると、導入のメリットには次の点などが挙げられます。

紙テープやフロッピーディスクを排除することで、大容量NCデータの高速転送と電子化による管理データの統一が可能になります。また、CAD/CAMからNC工作機械へのデータ供給をオンライン化することも可能です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2005A/0/2005A_0_597/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2008A/0/2008A_0_77/_pdf/-char/ja

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