圧搾機

圧搾機とは

圧搾機とは、素材や成分を圧搾することで抽出や成形を行う機械のことで、圧搾加工が可能なプレス機のことです。

手動式やモーター駆動、油圧駆動など、様々な方式が存在します。駆動方式によって、圧搾力や機器のサイズが異なるため、用途に応じて適切な機器を選択することが重要です。

また、圧搾機は絞り機や搾汁機とも呼ばれることがあります。素材を圧搾することで濃縮された成分を抽出するのに適しており、食品工業や化学工業、薬品製造業など、様々な業界で幅広く利用されています。

圧搾機の特徴としては、高い圧搾力によって効率的な抽出が可能であることが挙げられます。機械自体がコンパクトであるため、スペースを節約しながら多くの用途に対応できるのも魅力の1つです。

圧搾機の使用用途

圧搾機の主な使用用途は、食品分野、農業分野、水産加工分野、化学・医薬品分野などです。

1. 食品分野

食品分野では、圧搾機は果物や野菜から果汁を抽出したり、リキュール原料を抽出したりする際に使用されます。また、ペースト状の餡などを作るのにも適しています。

2. 農業分野

農業分野では、農作物をペースト状に加工したり、油を抽出したりするのに使用され、特にコールドプレス法を用いることで、高品質の油が抽出できることが特徴です。

3. 水産加工分野

水産加工分野では、海藻や魚類からエキスを抽出するのに役立ちます。

4. 化学・医薬品分野

化学・医薬品分野では、薬品や健康食品、化粧品などの原料成分を抽出するのに用いられます。また、エキス抽出以外の目的として、脱水処理にも圧搾機が使用されます。

圧搾機の原理

圧搾機は、圧力を用いて素材をペースト状にしたり、エキスの抽出や水分の脱水したりすることが可能な機械です。圧搾機には、手動圧搾機、油圧圧搾機、空気圧圧搾機、モーター駆動圧搾機、スクリュー式圧搾機、低温圧搾機などの様々な圧搾方式があり、特性や適用分野によって異なるメリットを持っています。

例えば、手動による圧搾機は、力が小さいものの、少量の素材に対して簡易的に使用することが可能です。家庭や小規模な業務で利用されることが多い点が特徴です。

一方、油圧圧搾機は、圧搾の際に熱が生じないため、食品が劣化しにくいという特徴があります。そのため、食品分野での使用に適しており、高品質な製品を作る際に好まれる方式です。

圧搾機の種類

圧搾機は主に手動圧搾機、油圧圧搾機、空気圧圧搾機、スクリュー式圧搾機、低温圧搾機の5種類があります。それぞれの特性と適用分野を理解し、最適な機械を選択することが重要です。

1. 手動圧搾機

手動圧搾機は、操作者が直接力を加えることで圧搾を行うタイプの機械です。手動式のため力は小さいものの、少量の素材に対して簡単に使用できます。家庭や小規模な業務での利用に適しています。

2. 油圧圧搾機

油圧圧搾機は、油圧シリンダーを用いて圧搾を行う機械です。圧搾の際に熱が生じにくいため、食品の劣化が抑えられます。高品質な製品を作る際に好まれる方式で、食品や化学業界で広く利用されています。

3. 空気圧圧搾機

空気圧圧搾機は、圧縮空気を用いて圧搾を行うタイプの機械です。油圧圧搾機と同様に熱が生じにくいので、食品や化学薬品の加工に適しています。

また、油圧圧搾機に比べて設置やメンテナンスが容易であることも特徴です。

4. スクリュー式圧搾機

スクリュー式圧搾機は、回転するスクリューによって素材を圧搾する機械です。連続的に素材を処理できるため、大量の素材を効率的に圧搾することが可能です。食品工業や農業分野での油抽出など、多くの用途に対応しています。

5. 低温圧搾機

低温圧搾機は、低温状態で素材を圧搾できる機械です。一般的な圧搾機では熱が発生しやすいため、熱による品質の劣化が懸念される場合があります。低温圧搾機は、熱による劣化を最小限に抑えられるので、高品質な製品を求める業界で利用されています。

参考文献
http://otsuka-tek.co.jp/products/detail_15/
http://www.yabuta.co.jp/products/products01.html
https://www.matsuoco.co.jp/products/small/index.html
https://nskeng.co.jp/onp/
http://www.yabuta.co.jp/products/products03.html

圧電アクチュエータ

圧電アクチュエータとは

圧電アクチュエータとは、アクチュエータの一種で、圧電素子によりIC等から出力された電圧などの電気的なエネルギーを、リニア動作や変形などの物理的な運動エネルギーに変換する機構のことです。

内蔵するピエゾ素子とも呼ばれる圧電素子を利用することで、電気的なエネルギーを物理的な機械エネルギーに変換できます。圧電アクチュエータは、一般に圧電セラミックスの変形を利用しているため、他のアクチュエータと比べて電磁ノイズなどが生じず、非常に高い精度を持っていることや高速で素早い応答速度を有していることなどが特徴です。

また、駆動のためのコイルなどが不要で、小型にできることも大きな特徴と言えます。消費電力が小さいことから、デジタルカメラや携帯端末といった小型化が求められている精密機器に利用されています。

圧電アクチュエータの使用用途

圧電アクチュエータは、特に精密機器を中心に工業用製品から身近な電化製品まで使用されています。小型化が可能なことや反応速度が速いこと、消費電力が小さいことなどの特徴を生かし、幅広い用途で使用されています。

具体的な製品への適用事例は、一眼レフのカメラなどの精密機器やハードディスクドライブなどの記憶媒体、インクジェットプリンター、医療機器、工業製品などです。

圧電アクチュエータの原理

圧電アクチュエータの原理は、圧電体の特徴である結晶に対して電界を与えることで力や歪みを生じる「逆圧電効果」と呼ばれる物理現象を用い、電気的な制御により精密な圧電体の変位を機構部品として利用する点にあります。

圧電アクチュエータに用いられている圧電セラミックスは、この逆圧電効果によって小さい駆動電圧にて大きな変位を得られるような技術的な工夫が施されています。特にセラミックス基板の厚みを薄くすることで、圧電アクチュエータの駆動電圧を比較的低電圧化することが可能です。

圧電アクチュエータのその他情報

1. 電磁式アクチュエータとの比較

従来から用いられているアクチュエータに電磁式アクチュエータがありますが、圧電アクチュエータと比較すると以下のようなメリットがあります。

  • 変位量を大きく確保可能
  • 駆動電圧の低電圧化が容易

しかしながら、電磁式アクチュエータには電磁用コイルが必要なため小型化が困難であり、アクチュエータとしての変位の精度やその制御性、および低消費電力化という点では圧電アクチュエータには及びません。従来の比較的大型の工業用製品や設備システムの機構箇所には電磁式アクチュエータが、精密性や小型化、低消費電力化が重要な箇所には、圧電アクチュエータが用いられているというすみ分けが現在は図られています。

2. 圧電アクチュエータのヒステリシス

ナノオーダーレベルの制御が原理的に可能な圧電アクチュエータですが、実はヒステリシス (履歴現象) という課題を有しています。ヒステリシスとは、制御電圧に対するアクチュエータの変位 (=ストローク量) が完全な比例関係を有していない現象を指します。

圧電アクチュエータにおいては、印加電圧に対するストローク量が曲線を描き、印加電圧の昇圧時と降圧時でそのカーブが一致していません。これを補正するには、外部にて高精度の位置決めのための機構 (ストレインゲージ等) で補う必要があります。ASICとともにゲージからの位置決めのFeedbackで、高精度なストローク量の制御を行う精密部品も多数存在している状況です。

3. エナジーハーベスティングへの応用展開

圧電素子は、機械的な変位から電圧などの電気的エネルギーを得る発電用途としても、開発検討がなされています。昨今のSDGsに代表される環境問題への関心の高まりから、圧電素子を用いた圧電アクチュエータに加える機械的な変位や振動を用いて、発電用に検討する研究開発が進められています。

このような技術をエナジーハーベスティング (環境発電) と呼び、振動エネルギー以外にも光、熱、電磁波なども注目されている状況です。振動発電での無線通信タグなどへの展開も進められており、圧電アクチュエータでの技術が応用展開されています。

参考文献
https://www.yuden.co.jp/jp/solutions/piezoelectric_actuator/
https://www.murata.com/ja-jp/products/mechatronics/actuator/basic
https://www.ngk.co.jp/product/electron/microactuator/
https://jpn.nec.com/techrep/journal/g06/n05/pdf/t060519.pdf
https://www.tokin.com/product/pdf_dl/sekisou_actu.pdf
https://www.matsusada.co.jp/column/words-actuator.html

塩水噴霧試験機

塩水噴霧試験機とは

塩水噴霧試験機とは、金属材料や金属製部品、めっきや塗装などの被膜加工をした製品に対して、腐食試験として塩水噴霧試験を行うための実験装置です。

塩水噴霧試験装置を用いることにより、ISOやJISなどの工業規格によって定められた一定の温度や塩分を含む湿度などの雰囲気環境を、試験装置内の空間に作り出します。この試験環境内に試験片を入れることで、腐食が発生する経過を確認します。

塩水噴霧試験機の使用用途

塩水噴霧試験機は塩水噴霧試験の専用試験装置です。塩水噴霧試験の主な試験対象は金属材料、めっきや塗装などの被膜およびこれら被膜を施した製品です。

JISなどの工業規格では、定められた大きさの試験片での評価することが定められていますが、製品開発や品質管理の現場においては、実際の製品を使って試験されています。塩水噴霧試験機の具体的な使用用途は、以下の通りです。

1. 自動車分野

自動車分野では、めっきや表面処理した部品の耐食性評価に使われます。具体的には、ねじ部品や各種ブラケット部品、トランスミッションのオイルパンなどの耐食性評価のためです。

特に積雪が多い地方では、雪を溶かすために道路上に撒かれる融雪塩によって、自動車の外装や足回り部品などが、著しく腐食されることがあります。塩水噴霧試験は、このような外的環境に対する耐食性を評価します。

2. 建築分野

建築分野では、風雨などの自然環境による耐食性評価が行われます。例えば、沿岸部で潮風が強い地域の場合、金属製の家屋に使われる部品には、比較的短時間で錆が発生します。

古い家屋の屋根や壁に使われているトタン板や一般家庭用の物置などにも、錆が発生しているのを目にすることは多いです。塩水噴霧試験では、このような錆が発生するまでの期間を確認しています。

塩水噴霧試験機の原理

塩水噴霧試験機は、機器の庫内に試験対象物を置き、庫内に腐食を促進する酸性溶液をミスト化して、連続的に噴霧することでサンプルの腐食を促します。使用される酸性溶液は、塩化ナトリウム塩化カルシウム塩化マグネシウムなどです。酸性溶液をミストにすることで、試験サンプルに対して均一にいきわたり、局所的に偏ることなく腐食を促すことができます。

塩水噴霧試験では、塩化溶液の塩分濃度や試験温度が定められており、塩水噴霧試験機は定められた条件を満たすように雰囲気環境を維持、制御します。

塩水噴霧試験機のその他情報

1. 塩水噴霧試験の相当時間

塩水噴霧試験は、めっきや塗装、工業製品などが、製品として使われる日常環境において、錆の発生を抑えるための品質を確認する試験です。年単位で求められる耐食性を、時間単位で評価するための加速試験の一つです。しかし、各種工業規格では、自然環境と試験環境との相関については規定していません。

塩水噴霧試験の試験時間が、自然環境のどのくらいの経過時間に相当するのかという相関については、各製品の製造メーカーが、独自に基準を定めて運用しています。試験の方法や条件は各種工業規格に則り、規定された条件下での評価時間は、それぞれの会社や業界が定めています。

2. 塩水噴霧試験の判定方法

塩水噴霧試験を製品で評価する場合は、錆の発生を明確に定義しておくことも大切です。評価は、定期的に試験品を目視などで錆の発生の有無を確認しながら進めていきます。塩水噴霧試験装置は試験環境を作り出す装置であり、錆の発生を検知や判定する機能までは有していません。

また、錆の発生は、製品全面に発生せず、特定の部位から徐々に広がっていくことが一般的です。JISなどの工業規格では、定められた大きさの試験片を使い、錆が発生したと判定する基準として、表面積の割合で定めています。よって、実際の製品で試験を行う際には、「どの状態を錆が発生したと判定するのか」「錆が発生する部位や表面積の割合」などを、関係する会社と事前に取り決めておくことが大切です。

さらに、亜鉛めっきのように自己犠牲によって母材の錆を防ぐめっきの場合には、通常自己犠牲である白錆が発生した後に、母材が錆びたことを示す赤錆が発生します。そのため、塩水噴霧試験においても、白錆と赤錆それぞれが発生するまでの時間で評価します。例えば、白錆は72時間以内、赤錆は240時間以内に発生してはいけない等、2つの評価基準を用いて運用されています。

参考文献
https://www.espec.co.jp/products/trustee/test/saltwarter.html
https://www.keisokuten.jp/products/1679.html
https://www.sanyo-si.com/
https://www.oeg.co.jp/Rel/saltspray.html

金型温度調節機

金型温度調節機とは

金型温度調節機とは、射出成型や押出成形などプラスチック製品の成型加工に使用する金型の温度を一定に保つための装置のことです。

金型の温度は季節による変動だけでなく、朝晩の気温差による影響も受けます。成形品の品質を安定させるためには、金型温度調節機により金型温度を一定に保つことが必要です。

金型冷却器(チラー)とも類似しています。金型冷却器は冷水を循環させて金型の温度を下げることに特化しています。一方で金型温度調節機は、循環媒体として水だけでなく油などを用いたものもあり、低温だけでなく100℃以上において金型温度を一定に保つことを可能としています。

金型温度調節機の使用用途

金型の温度は高すぎても低すぎても、成形品の品質に大きく関わります。金型の温度が低いと、フローマーク、クラック、光沢不良等を引き起こします。一方、金型の温度が高すぎると、反り、寸法不良、ヒケ等を引き起こします。

金型の温度を一定に保ち、これらの不良を防ぐために金型温度調節機は用いられます。

水媒体の金型温度調節機は90℃程度まで制御することができます。それ以上の温度調節には油媒体の金型温度調節機を使用します。

例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などは、水媒体の金型温度調節機を用います。

一方で、高温での制御が必要となるPET(ポリエチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンスルファイド)などは、油媒体の金型温度調節機を用います。

金型温度調節機の原理

温度調節の原理

金型温度調節機によって温度を制御された水または油などの媒体を、金型内に通した配管に循環させ、熱交換によって金型の温度を一定に保ちます。

熱交換とは、温度の高い金型から温度の低い水媒体・油媒体へ熱エネルギーが移動することを言います。金型へ入る媒体の温度と、出てくる媒体の温度差が、金型温度調節機の性能効率を評価するためのひとつの指標となります。

水媒体の金型温度調節機は、金型内に通した配管を通る水の循環と排出を管理することで温度を調節する、直接冷却方式により熱交換を行います。一方で油媒体の金型温度調節機は、金型を内の配管には油媒体が循環し、その媒体の温度を冷却水によって調節する間接冷却方式により熱交換を行います。

金型温度調節機の有用性

射出成型では、高温になった樹脂を冷却することで成形品の形を安定させ、金型から取り出すことができます。金型温度調節機がなくても、外気への放熱により離型することもできますが、金型温度調節機を用いることで、成形品の品質安定のみならず、迅速な離型を促し、生産効率の改善にも繋がります。

光学フィルタ

光学フィルタとは

光学フィルタ

光学フィルタとは、入射光のうち、特定の光のみを選択的に透過させることができる光学素子です。

光学フィルタは、光を吸収または反射させることで特定の波長を遮断し、性能によって様々な種類があります。光学フィルタリングの原理を理解し、用途に合った光学フィルタを選択することで、高い使用効果を得ることができます。

光学フィルタの使用用途

光学フィルタは、コントラストの調節や光の特定波長のみを透過させる用途で使用され、以下のように様々な種類があります。

身近な例では、プロジェクターなどの投影機、カメラなどの映像機器などに用いられていて、光量やコントラストの調節や色の調整、過剰露光の抑制など役割も多いです。

この他にも、測量機、光学機器などで幅広く用いられており、具体的には顕微鏡や半導体などの精密機器の製造に使用される測定装置などがあります。

1. 特定波長の光を選択するフィルタ

特定波長の光を選択するフィルタとして、バンドパスフィルタとノッチフィルタが挙げられます。バンドパスフィルタは、特定の波長領域の光のみを選択して透過することができる光学フィルタです。

一方で、ノッチフィルタは、特定の波長領域の光を選択して遮断することができます。両者ともにレーザーを使用した実験で使用される場合が多いです。ノッチフィルタは、強度が高く単一波長を持つレーザー光をカットしたいときに役立ちます。

2.特定波長領域を選択するフィルタ

特定波長領域を選択するフィルタとして、ロングパスフィルタとショートパスフィルタが挙げられます。ロングパスフィルタは、特定の波長より短波長領域を遮断して長波長側の光を透過することができる光学フィルタです。

一方、ショートパスフィルタは、特定の波長より高波長側の光を遮断して短波長側の光を透過することができます。ロングパスフィルタは、励起波長より長い波長領域に現れる発光スペクトル測定などに使用されます。

励起光源などの光をカットして、測定したい発光スペクトルのみを検出することが可能です。また、ロングパスフィルタとショートパスフィルタの両方を組み合わせることで、バンドパスフィルタと同じような用途でも使用することができます。

3.明暗を選択するフィルタ

明暗を選択するフィルタとして、NDフィルタが挙げられます。ND (Neutral Density:中性濃度) フィルタは、入射する光の量を一定率で減衰させて光量を調節できます。

光量を減らすことを目的とした光学フィルタで、製品と用途にもよりますが写真撮影時に使用される場合が多いです。可視光域の間で、どの波長でもほぼ同じ減光比を示します。例えば、風景写真、特に流動性のある液体を撮影したい場合 (滝や川など) に、流動感をもたせるためにはシャッター時間を長くしなければなりません。

しかし、シャッター時間を長くすることで必要以上の光量を得てしまい、画像の一部に白飛びが生じる場合があります。その際にNDフィルタを用いて、あえて光量を落として撮影することもあります。

光学フィルタの原理

光学フィルタの原理は、フィルタリングの方式によって吸収型とダイクロック型の2種類に大きく分けることが出来ます。

1. 吸収型 (色ガラスフィルタ)

吸収型は、ガラス基板の光吸収の特性を利用して、一部の波長の光を吸収して遮断し、特定の波長の光のみを透過させるフィルタリング方式です。

色ガラスフィルタとも呼ばれ、素材によって吸収波長を変えることが可能で、主にロングパスフィルタとして用いられます。ダイクロイック型に比べ、安価で大面積ですが、透過率などの性能で劣ります。また、入射光強度が大きい場合、透過光を検出する際にガラスからの発光がバックグラウンドとして現れる場合があります。

2.ダイクロイック型 (ダイクロイックフィルタ)

ダイクロック型は、一部の波長の光を反射して遮断し、特定の波長の光のみを透過させるフィルタリング方式です。複数の屈折率の異なる薄膜を積層することで、干渉効果を利用してフィルタリングしています。

光学フィルタのその他情報

光学フィルタに関連する用語

光学フィルタの性能を規定するための以下の用語は、光学フィルタを理解し選択する上で必要となります。

1. 中心波長
中心波長とは、バンドパスフィルタの特性を定義する場合に用いられ、フィルタが透過するスペクトルバンドの中心を指します。

2. バンド幅
バンド幅は、バンドパスフィルタが透過するスペクトルの幅であり、半値全幅 (FWHM) により規定されます。最大透過率を起点として、そこから短波長方向にグラフを見たときに透過率が50%となる位置の波長と、長波長方向にグラフをみたときに透過率が50%となる波長との幅を表します。

3. ブロッキング領域
フィルタによって減衰される (光が遮断される) 波長域を規定します。遮断能力は光学濃度によって規定されます。ここで光学濃度とは光がどれだけ透過・反射しないかの度合いを対数で表現したもので、最小が0 (すべて透過・反射) で、数字が大きいほど遮断能力が高くなります。

参考文献
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/optical-filters/
https://www.asahi-spectra.co.jp/filter/search/lineup.htm
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol02.html
https://www.chuo.co.jp/core_sys/images/main/pdf/38GC0981-0982.pdf
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/optical-filters/
https://www.kenko-tokina.co.jp/special/product_type/nd/nd-filter-guide.html

照度ロガー

照度ロガーとは

照度ロガー (ロガーとは「記録を取るもの」という意味) とは、明るさの指標である照度を計測し、数値データとしてパソコンなどに出力する装置です。

人間がなんらかの作業をするとき、周辺の明るさが重要になります。しかし、人間による評価は明るさを評価するのに適していません。人間の目には環境に対する慣れ (順応) があること、個人差が大きいこと、数値データを得られないことが理由です。

照度ロガーは明るさを「照度」という客観的・定量的なデータとして計測できるため、人間による評価の問題点をクリアできます。また、照度ロガーにはデータをパソコンに送る機能があるため、人間が手動で記録を取る必要がなくなります。照度ロガーの計測結果をもとに、屋外に設置される展示物の見え方を調整したり、屋内への採光と照明のバランスを考慮したりするなど、人間の活動環境を明るさの点で最適化する際に役立ちます。

照度ロガーの使用用途

照度ロガーは環境の明るさを客観的に評価する場面で幅広く利用されます。

一般的なオフィスでも照度は大切ですが、業務上の重要性が高い工場や研究所などの環境では、照度の計測が必須です。また、映画館などの客席誘導灯も消防法で照度が規定されているため、照度ロガーが活躍します。安全管理上、照度の証明が法的に求められるため、照度ロガーの記録が基準を遵守していることを裏付けるために必要です。

光を遮ることで見え方を調整するサングラスの開発の現場でも照射ロガーを利用します。目の健康を守る目的で特定の光の波長を遮るため、また夜間の防眩対策では光量の低減率を分析する際に必要です。写真撮影時には、照度が画像の品質に直結するため、照度ロガーを活用して画質を調整します。室内の観葉植物の管理や、美術館や博物館での展示品の劣化防止も照度ロガーの用途のひとつです。

照度ロガーの原理

照度ロガーで測定される「照度」の単位はルクス (lux、lxとも表記) です。「光束 (単位lm) 」を「面積 (単位㎡) 」で割って算出します。光束の定義は「ある面を通過する光の明るさ」です。しかし光束は面積の大きい方が明るくなるため、その面の面積で割って照度を計算します。オフィスの広さに関わらず、必要とされる明るさは変わらないため、光束ではなく照度を明るさの指標として使用するのが合理的です。

白色の光は約400nm (青紫) ~700nm (赤) の波長にわたって分布する光を合成したものです。人間の目は波長によって感度が異なり、約555nm (緑) をピークとして分布します。照度ロガーは入射した光を人間の目の感度に似せたフィルターに通し、フォトダイオードで受光します。フォトダイオードは受光した光を電気信号に変換する素子です。その電気信号を計測し照度を得ます。照度はログ機能によりパソコンに送られるため、ソフトウェアで解析が可能です。

照度ロガーの選び方

照度ロガーを選ぶ際は、「測定限度」「JIS規格」「機能性」を考慮します。照度を計測する場所や目的に合った製品であるかどうか、必要な測定精度が得られるかどうか、一般的な計測なのか厳密な計測なのか、などの要件を満たす仕様の製品を選ぶことが大切です。

1. 測定限度

照度計によって測定可能範囲が決まっているため、目的に合った限度の製品を選ぶことが重要です。例えば、学校などの照度は300ルクス以上、精密機械などの製造現場では1,500ルクス以上になります。屋内なら低照度の10,000ルクスまで測定できるものを、屋外なら100,000ルクスまで測定できるものを選んでください。

2. JIS規格

照度計が精度の違いでランク分けされています。「精密」ランクはラボ用、「AA」と「A」ランクは一般用です。照明設備の評価や規格遵守の証明などの用途にはAAランクの製品を、簡易測定などにはAランクで十分に対応できます。

3. 機能性

セパレート式照度ロガーは、遠隔で操作できて便利なうえ、測定者の影などの誤差が減りより正確な測定が可能です。照度だけでなく、温度、湿度、風速などの多数の測定項目も計測できるマルチセンサー式もあり、環境計測が必要な場所で活躍します。

照度ロガーのその他情報

照度ロガーで照度を得る際は、誤差が生じることがるため注意が必要です。この誤差は、測定機器の原理や構造に起因するものと、測定する人間に起因するものに分けられます。

測定機器に誤差の原因がある場合、分光や受光角の誤差、検出処理の回路の安定性が確保されていない、使用環境 (湿度や温度など) に問題があるなどが考えられます。つまり、どのような測定器を使用するのかにより誤差の程度が決まるため、選択時に機種の吟味が必要です。

測定者に誤差の原因がある場合、測定する光の本質を理解できていない、機器の操作に習熟していないなどの問題が考えられます。例えば、測定地点に機器を設置し、スイッチを操作する行為が、入射光に対する干渉要因となる可能性があります。測定時に着用する衣服の色によっても反射率が変更しますので注意が必要です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/51/2/51_2015.2622/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalip1984/18/0/18_0_809/_pdf/-char/en

真空成形機

真空成形機とは

真空成形機

真空成形機とは、プラスチックシートを加熱して型に合わせて成形する機械です。

シートを加熱し、成形装置によってシートを型に沿って成形します。このときシートと型の間に真空をかけてシートを型に密着させて余分な空気を除去し、成形後は製品を冷却装置で冷却して型から取り外します。

真空成形機は薄肉の製品や大型製品の成形が容易にでき、射出成形に比べ金型が安価です。適切な機械を選べば大量生産にも少量生産にも対応できます。真空成形は、多様な形状や複雑な形状のプラスチック製品を製造するために広く用いられています。

真空成形機の使用用途

真空成形機の使用用途は以下の通りです。

1. プラスチック製品の成形

ペットボトルや食品容器、玩具、化粧品容器などのプラスチック製品の成形に使用されます。

2. プラスチックの板やフィルムの製造

液体状態のプラスチックを成型した後、板状やフィルム状に整形する際に使用されます。プラスチック製のシート、シート状の素材、ラミネートフィルムなどを製造するためにも使用されます。

3. 医療機器や医薬品の包装材料の製造

医療機器や医薬品の保護や密閉を目的とした包装材料の製造に使用されます。衛生材料の製造にも使用されます。

4. 食品の保存

食品を保存するための容器や袋、加熱調理用の容器などの製造に使用されます。

5. 自動車部品、家電製品、家具などの製造

自動車部品の内装品、家電製品のハウジング、家具の一部品などの製造に使用されます。

6. その他の用途

真空整形機を用いてフィルターやポンプ、電子部品の保護ケース、建築用の軽量パネル、文具類などが製造されています。

真空成形機の特徴

長所

真空成形機は専用の成形型と加熱装置を備え、高精度な成形が可能です。成形型の形状やサイズを変更することで多様な製品を作れます。また真空成形機は、自動化された生産ラインに組み込めるため生産効率が上がります。

また一度に複数の製品を同時に成形でき、加工する材料も比較的安価な熱可塑性プラスチックシートを使用するため、製造コストを抑えられます。

短所

成形工程ではプラスチックシートの加熱・吸い込み・冷却に必要な時間がかかるため、効率が低下する場合があります。

また真空成形機は、射出成形などと比較すると機器の初期コストが高くなる場合があります。そのため初期投資が大きくなることが短所です。

射出成形機よりも精度が低い場合があります。プラスチックシートの融点や型の温度調整、真空の度合いなどが正確でないと、成形された製品の精度が低下することがあります。

真空成形機の使い方

真空成形機は熱可塑性樹脂を加熱して軟化させ、その後専用の型に吸い込ませることで特定の形状を形成する機械です。

1. 加熱

真空成形機で使用される熱可塑性樹脂を加熱する工程です。熱によって樹脂は軟化し成形が容易になります。樹脂の加熱方法には電熱線を使用した加熱方法や、赤外線加熱を利用した方法などがあります。

2. 成形

加熱された樹脂を専用の型に吸い込む工程です。この時、樹脂は軟化しているため型に沿った形状になります。樹脂を吸い込むために型と樹脂の間に真空を発生させます。

3. 冷却

成形が完了したら型から取り出して冷却する工程です。冷却によって樹脂は硬化して成形された形状を保持できます。冷却方法には水冷や冷風を利用する方法などがあります。

真空成形機のその他情報

真空パック袋について

真空成形機を使用して作成される食品用の真空パック袋は、プラスチックフィルムを成形して作られます。

真空パック袋は、食品や調味料、生鮮食品、乾燥製品などを保存するために使用されます。真空パック袋は、空気を取り除くことによって酸化や菌の繁殖を防止して食品の鮮度を長期間維持でき、また袋に密封することで保存中に味や香りが変わることを防げます。

真空パック袋は様々な形状やサイズで作成でき、一般的にはポリエチレンナイロンポリプロピレン、PET (ポリエチレンテレフタレート) などが使用されます。

真空パック袋は、食品以外にも様々な用途で使用されています。例えば金属部品や電子部品などの保管に使用されます。金属部品や電子部品は、酸化や湿気、塵などの影響を受けると劣化してしまうことがあるため、保管時には高い気密性が求められます。真空パック袋は空気を抜いて密封することで、これらの部品の品質を維持しながら保管できます。

また医薬品や化粧品などの保存にも使用されます。これらの製品は、酸化や光、湿気などの影響を受けると品質が低下するため、保管時には高い気密性が求められます。真空パック袋は、これらの品質維持のために使用されます。

多関節ロボット

多関節ロボットとは

多関節ロボット

多関節ロボットとは、アームにジョイントという関節を複数持つロボットのことです。

ジョイントは次のような動作を行います。

  • アームの曲げ伸ばし
  • 上下動作
  • 回転動作
  • 伸縮動作

多関節ロボットは曲げ伸ばしといった人間の動きに似た関節や、伸縮動作といったロボット特有の直動関節を持っています。これによって、人間に代わって様々な作業をさせることが可能となります。

多関節ロボットのジョイント

図1. 多関節ロボットのジョイントの動作

多関節ロボットの中の主要なものは、垂直多関節ロボット水平多関節ロボットです。それぞれアームとジョイント構造が違い、得意とする作業が異なります。

多関節ロボットの使用用途

多関節ロボットは、次のような作業を人間の代わりに行わせるのが主な使用用途です。

  • 重い荷物を持ち上げるような重労働作業
  • 繰り返し同じことを長時間行う作業
  • 熟練した技能が必要な作業
  • センサーやカメラを使った検査作業

ロボットは人間と違って疲れることがなく、同じ作業を正確に長時間行えます。単純作業をロボットに任せると人間は付加価値のある工程に従事できるため、工場の生産性を上げることができます。

また、ロボットの正確な動作が再現できる特性を使って、熟練した技能者の動きを正確にトレースが可能です。これによって、退職間近のベテラン技能者の技術をロボットに引き継いで、業務の属人化を防ぐことが期待されています。近年のAI技術の発展に伴って、センサーやカメラなどを多関節ロボットに取り付けて、検査を自動化することも可能です。

多関節ロボットの原理

ロボットにおけるリンクとジョイントはそれぞれ人間の骨と関節部分にあたります。ジョイントは回転軸や直動機構によってリンクの可動範囲が広がり、人間と同じような作業をロボットで行うことが出来ます。

ロボットの駆動源は、初期のロボットは油圧駆動でしたが、現在はモーター駆動が一般的です。電子制御によってより精密な動作を実現しています。

多関節ロボットのその他情報

1. 垂直多関節ロボットとは

垂直多関節ロボットはジョイントがアームを垂直方向に動かす方向についているロボットです。一般的に6つの軸を持ち、X・Y・Zといったような水平・垂直動作に加えて、Rx・Ry・Rzといった回転動作も行うことができます。

垂直多関節ロボットは人間の腕に近い動作ができるので、

  • 溶接、塗装など斜め方向からのアプローチが必要な作業
  • 侵入経路が複雑な場所へのワーク搬送作業

といった作業が得意です。

垂直多関節ロボット

図2. 垂直多関節ロボット

2. 水平多関節ロボットとは

水平多関節ロボットは主に水平方向に動作する3つの回転軸を備えています。スカラロボットと呼ばれることも多いです。水平方向の回転軸に加えて、上下方向に動作する1軸が付加された製品が一般的です。

水平多関節ロボットは、垂直多関節ロボットと比べて次のようなメリットがあります。

  • 平面内の動き(X・Y・Rz方向)が素早い
  • 上下方向の剛性が高い
  • 低価格

水平多関節ロボットのメリットを活かした作業は、次のようなものがあります。

  • ベルトコンベヤからワークをピックし、箱詰めする作業
  • 垂直方向のネジ締め作業
  • ワークの平面内の整列作業

水平多関節ロボットと水平多関節ロボットは同じ多関節ロボットでも特性が違うため、実施したい仕事に合わせて使い分ける必要があります。

水平多関節ロボット

図3. 水平多関節ロボット

3. 低価格な多関節ロボット

産業用の製品だと百万円以上する多関節ロボットですが、近年は低価格な多関節ロボットが様々なメーカーから販売されるようになりました。これらのロボットは、電子工作やプログラミング学習用途が主な用途です。

安価なものだと数万円から購入することができますが、低価格なロボットは関節構造やモーターに安価なものを採用しているため、位置決め精度や繰り返し停止位置精度、動作速度や耐久性が格段に劣ります。購入する際には実用に耐えうるものなのかをしっかり判断する必要があります。

参考文献
https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/five-six/
https://www.shibaura-machine.co.jp/jp/product/robot/lineup/tv/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/fa-robot/industrial_robot/mechanism.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/products/category/robotics/industrial-robots/articulated-robots/

電子ビーム描画装置

電子ビーム描画装置とは

電子ビーム描画装置は、半導体用フォトマスクの製造において、フォトマスク・ブランクス (以下、ブランクスと略) に、電子ビームを使って回路パターンを描画するための装置です。

メモリーやCPU等のLSIの製造では、何十層にも分けられたフォトマスクを原板として、露光装置を使ってフォトマスク上のパターンをウエハーに転写していくことで、回路が作られます。

フォトマスクの品質は、LSIの歩留りに最も大きな影響を与えます。従って、フォトマスクのパターンを描画する電子ビーム描画装置は、LSI製造における最重要装置のひとつと言えます。

電子ビーム描画装置の使用用途

電子ビーム描画装置は、フォトマスク製造時において、ブランクスに回路パターンを描画するために使用したり、MEMS等のナノテクノロジー製品の製造などに使用されます。LSIの製造工程では、マスク製造は、設計工程で作られた電子ファイル上のパターンデータをフォトマスク上の実パターンに変換します。

ブランクスは、ガラスの板の上に、クロムなどの薄い金属膜が形成されており、その上に電子ビームに感応するEBレジストが塗布されています。電子ビーム描画装置でブランクスに、パターンデータに合わせて電子線を照射することで、EBレジスト分子が、切断または重合して、パターンが形成されます。

また、一部の開発用途として、フォトマスクを使用せずに、ウエハー上にパターンを直接描画するために電子ビーム描画装置が使用されています。これは電子ビームの波長が、レーザー光の波長よりも遥かに短く、高い解像度が得られるためです。

電子ビーム描画装置の原理

設計部門で作られるパターンは、CADデータやストリームデータとも言われ、描画装置に依存しないフォーマットのデータです。これを個々の描画装置が取り扱えるように、それぞれの装置の要求するフォーマットのデータに変換することをEB変換と言い、EB変換されたパターンデータをEBデータと言います。

電子ビーム描画装置では、ブランクスを精密なXYステージ上にセットし、ステージを動かしながら、EBデータに従って、パターンのある場所に電子ビームを照射します。電子ビームは電子銃から発射され、アパーチャー内を通過する際に精巧に成形されます。ブランクス上のEBレジストは、電子ビームが当たったところの分子が、切断若しくは重合されます。

描画が終了したブランクスは、現像、エッチング、残存レジスト膜の剥離などのリソグラフィー工程を経てフォトマスクとなります。

電子ビーム描画装置の種類

電子ビーム描画装置は、ビームの形状と、ステージの移動方法によって分類されます。

1. ビームの形状による分類

ビームの形が円形で、ビーム強度がガウス分布のものを、ガウシアンビーム方式といい、ビームの形が、装置の仕様の範囲内で大小さまざまな大きさの矩形に変化する方式を、可変整形ビームと言います。

2. テージの移動方法による分類

ステージの移動がXY方向に順番に動く方式を、ラスタースキャン方式と言います。ステージが任意の場所まで動き、そこにあるパターンを描画する方式をベクタースキャン方式と言います。

以前の電子ビーム描画装置は、ガウシアンビームのラスタースキャン方式の装置が主流でした。LSIパターンの微細化が進んだ今日では、可変整形ビームのベクタースキャン方式の描画装置が主流となっています。

また、ビームの数が複数あり、同時に複数のパターンを描画できる、マルチビームの電子ビーム描画装置も開発されています。マルチビームの電子ビーム描画装置は、描画のスループットの向上のために有効です。

電子ビーム描画装置のその他情報

超解像度技術

露光装置では、パターンの転写のためにKrF、ArF、EUV等のレーザービームを使用します。光の特性として、転写するパターンの大きさが、レーザーの波長より小さくなった場合には、パターン周辺部の光の回折が問題となり、そのままではウエハー上に正しくパターンが形成できなくなります。これが、Sub Wave Length Problemです。

この問題を解決するために考案された技術の総称がResolution Enhancement Technologies (超解像度技術、以下RETと略) です。RETには様々な手法がありますが、殆どの場合にはフォトマスク上のパターンを、本来のパターンから変形させたり、周辺に補助パターンを配置するなどして、ウエハー上に設計通りのパターンを再現できるようにします。

そのため、電子ビーム描画装置に投入するEBデータは、単純にCADデータをフォーマット変換したものではなく、RETを加えた変形パターンとなっています。

熱衝撃試験機

熱衝撃試験機とは

熱衝撃試験機とは、温度の変化が製品などに及ぼす影響を評価する装置です。

熱衝撃試験では、急激な温度変化を加えることで製品や電子部品、素材などが温度変化に対する耐性をどの程度有しているかを評価します。熱衝撃試験機は高温⇔低温環境にて曝露を繰り返す機能が備わっており、任意のサイクルを繰り返すことでこのような熱衝撃試験を行うことが可能です。

ヒートショック試験装置、サーマルショック試験機などと呼ばれる場合もあります。 

熱衝撃試験機の使用用途

熱衝撃試験機は、電子部品のように製品に高い信頼性を要求される製品や自動車のように予め使用時における周囲の温度変化が予想される製品などを評価するための用途で使用されます。具体的な製品例は以下の通りです。

  • 各種半導体製品 (次世代パワー半導体・フラッシュメモリ・プリント基板・実装基板・積層回路など)
  • リチウム二次電池、リチウムキャパシタ
  • ソーラーパネル、太陽電池モジュール
  • 車載ディスプレイ
  • ケーブル・ハーネス類
  • ラジエーター
  • アクチュエーター
  • ECU
  • インバーター
  • DCDCコンバーター
  • モーター・大型モーター

熱衝撃試験で行う評価は以下の通りです。

  • はんだ付けによる接合評価 (クラックやひび割れなどによる不良発生)
  • プリント基板・実装基板・積層回路の信頼性評価
  • 基板の寿命を予測するための加速試験
  • 材料変更に伴う信頼性評価
  • 異種材料の溶接部の耐久性評価・膨張や収縮率の違いによる状態変化の確認
  • 樹脂製品の熱変形 (ゆがみやひび割れ) に対する耐久性評価
  • 温度変化に伴う結露の評価
  • 市場流通後に発生する不具合の再現試験

熱衝撃試験機の原理

熱衝撃試験機は、テストエリア (試験槽) 内の温度環境に合わせた媒質 (気体や液体) を使うことで低温環境や高温環境を作り出します。設定された温度環境にするには、媒質の温度や量、速度、方向などで調節が必要です。

媒質によりテストエリア内の温度環境を変えることで、試験体の移動が不要になるため、振動や接触による評価結果への影響を抑えられます。従って、温度環境のみが影響する正確な信頼性評価を実施することが可能です。

設定可能な温度の範囲は、一般的に約-80℃から+300℃までと幅があります。目的に応じた温度環境を想定して試験を実施することができます。

熱衝撃試験機の種類

熱衝撃試験機の媒質は、気体と液体の2種類です。中には温度変化だけでなく、結露を同時に評価することが可能な装置もあります。

また、装置によって槽内寸法や耐荷重、最低温度・最高温度、温度変化速度などは異なります。特に、最高温度は、150℃、200℃、300℃など、製品によって大きく異なる仕様です。槽内容量は大型のものでは600Lにも達します。評価したい温度域、製品の大きさ、評価時間などに合わせて適切なものを選択することが大切です。

1. 気槽式

気槽式熱衝撃試験は、試験体を交互に高温風と低温風に晒すことで温度差を作り出す試験の方法です。試験体の格納されている試験槽に隣接して冷温槽と高温槽がある構造が一般的です。気槽式の製品の中には、試料移動型の製品も存在します。

低温風と高温風を交互に試験槽に送り込み、温度の変化を作り出します。風を交互に送り込むという仕組みのため、液槽式に比べると温度の変化が穏やかであることが特徴です。また、通電させ状態で試験を実施できます。

2. 液槽式

液槽式熱衝撃試験は、試験体を高温の液体と低温の液体に交互に浸す試験方法です。液槽式の試験機は、試験体自体を高温槽と低温槽を移動させることで製品に温度の変化を加える仕組みです。高温と低温の移動は10秒以内に完了するなど、移動による影響は極力排除されるように配慮されています。

冷媒には低温でも凍結せず、高温でも沸騰せず、尚且つ電気的に絶縁性のある液体 (ガルデンなど) が用いられます。あらかじめ目的の温度に設定した液体に浸けるため、気槽式よりも急激に温度の変化が起こります。気槽式の装置よりも、試験時間を短くすることが可能です。一方、実際の使用環境では起こり得ない故障が起こる可能性もある点に注意が必要です。

3. 結露サイクル試験

試験機に高温恒湿器が搭載されていて装置内の湿度制御が可能な場合は、温度変化だけでなく結露によって起こりうる腐食や誤作動の可能性についても合わせて評価することが可能です。車載電装品などの試験に特に使用されます。

熱衝撃試験機のその他情報

1. 熱衝撃試験の原理

熱衝撃試験の対象となる試験体に用いられた様々な材料は、温度変化により膨張や収縮が起こります。異なる材料が接する部分では線熱膨張係数 (CTE: 温度変化と体積変化の関係を表す) の差から力が加わります。この力が応力です。

高温と低温からなる温度差のサイクルが繰り返されると、材料の様々な部分で応力が発生、蓄積、疲労していくことで、ヒビや塗膜の剥離、ネジの緩み、破壊現象へとつながります。この現象を試験することで、試験体が温度変化に対してどれくらいの耐性や強度を持っているのか信頼性を評価する環境試験が熱衝撃試験です。

2. 熱衝撃試験機を使用する際の注意点

温度サイクルの範囲と繰り返す回数によりますが、信頼性評価は数ヶ月にわたる場合がほとんどです。特に加速試験を行う際は、試験途中で熱衝撃試験機が止まってしまうと評価そのものに大きく影響します。

そのため、あらかじめバッテリーなどの非常電源設備を検討しておくことが重要です。落雷や地震などの自然現象による停電で電気が止まってしまうと、装置の評価は止まってしまいます。何ヶ月も費やした試験が途中で止まってしまい、また1から始めることがないように、安定した非常電源と組み合わせて使用するのが望ましいです。