金型温度調節機とは
金型温度調節機とは、射出成型や押出成形などプラスチック製品の成型加工に使用する金型の温度を一定に保つための装置のことです。
金型の温度は季節による変動だけでなく、朝晩の気温差による影響も受けます。成形品の品質を安定させるためには、金型温度調節機により金型温度を一定に保つことが必要です。
金型冷却器(チラー)とも類似しています。金型冷却器は冷水を循環させて金型の温度を下げることに特化しています。一方で金型温度調節機は、循環媒体として水だけでなく油などを用いたものもあり、低温だけでなく100℃以上において金型温度を一定に保つことを可能としています。
金型温度調節機の使用用途
金型の温度は高すぎても低すぎても、成形品の品質に大きく関わります。金型の温度が低いと、フローマーク、クラック、光沢不良等を引き起こします。一方、金型の温度が高すぎると、反り、寸法不良、ヒケ等を引き起こします。
金型の温度を一定に保ち、これらの不良を防ぐために金型温度調節機は用いられます。
水媒体の金型温度調節機は90℃程度まで制御することができます。それ以上の温度調節には油媒体の金型温度調節機を使用します。
例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などは、水媒体の金型温度調節機を用います。
一方で、高温での制御が必要となるPET(ポリエチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンスルファイド)などは、油媒体の金型温度調節機を用います。
金型温度調節機の原理
- 温度調節の原理
金型温度調節機によって温度を制御された水または油などの媒体を、金型内に通した配管に循環させ、熱交換によって金型の温度を一定に保ちます。
熱交換とは、温度の高い金型から温度の低い水媒体・油媒体へ熱エネルギーが移動することを言います。金型へ入る媒体の温度と、出てくる媒体の温度差が、金型温度調節機の性能効率を評価するためのひとつの指標となります。
水媒体の金型温度調節機は、金型内に通した配管を通る水の循環と排出を管理することで温度を調節する、直接冷却方式により熱交換を行います。一方で油媒体の金型温度調節機は、金型を内の配管には油媒体が循環し、その媒体の温度を冷却水によって調節する間接冷却方式により熱交換を行います。
- 金型温度調節機の有用性
射出成型では、高温になった樹脂を冷却することで成形品の形を安定させ、金型から取り出すことができます。金型温度調節機がなくても、外気への放熱により離型することもできますが、金型温度調節機を用いることで、成形品の品質安定のみならず、迅速な離型を促し、生産効率の改善にも繋がります。
参考文献
https://books.google.co.jp/books?id=lkPpBm5fVH0C&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false
http://www.nakamurakagaku.co.jp/product03.html
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/qes/25/1/25_32/_pdf/-char/ja&ved=2ahUKEwj6xdao-Y7uAhWwGKYKHWa5ArIQFjADegQICRAK&usg=AOvVaw2_B3zz-bEUuYO-wjVfHHmF