照度ロガー

照度ロガーとは

照度ロガー (ロガーとは「記録を取るもの」という意味) とは、明るさの指標である照度を計測し、数値データとしてパソコンなどに出力する装置です。

人間がなんらかの作業をするとき、周辺の明るさが重要になります。しかし、人間による評価は明るさを評価するのに適していません。人間の目には環境に対する慣れ (順応) があること、個人差が大きいこと、数値データを得られないことが理由です。

照度ロガーは明るさを「照度」という客観的・定量的なデータとして計測できるため、人間による評価の問題点をクリアできます。また、照度ロガーにはデータをパソコンに送る機能があるため、人間が手動で記録を取る必要がなくなります。照度ロガーの計測結果をもとに、屋外に設置される展示物の見え方を調整したり、屋内への採光と照明のバランスを考慮したりするなど、人間の活動環境を明るさの点で最適化する際に役立ちます。

照度ロガーの使用用途

照度ロガーは環境の明るさを客観的に評価する場面で幅広く利用されます。

一般的なオフィスでも照度は大切ですが、業務上の重要性が高い工場や研究所などの環境では、照度の計測が必須です。また、映画館などの客席誘導灯も消防法で照度が規定されているため、照度ロガーが活躍します。安全管理上、照度の証明が法的に求められるため、照度ロガーの記録が基準を遵守していることを裏付けるために必要です。

光を遮ることで見え方を調整するサングラスの開発の現場でも照射ロガーを利用します。目の健康を守る目的で特定の光の波長を遮るため、また夜間の防眩対策では光量の低減率を分析する際に必要です。写真撮影時には、照度が画像の品質に直結するため、照度ロガーを活用して画質を調整します。室内の観葉植物の管理や、美術館や博物館での展示品の劣化防止も照度ロガーの用途のひとつです。

照度ロガーの原理

照度ロガーで測定される「照度」の単位はルクス (lux、lxとも表記) です。「光束 (単位lm) 」を「面積 (単位㎡) 」で割って算出します。光束の定義は「ある面を通過する光の明るさ」です。しかし光束は面積の大きい方が明るくなるため、その面の面積で割って照度を計算します。オフィスの広さに関わらず、必要とされる明るさは変わらないため、光束ではなく照度を明るさの指標として使用するのが合理的です。

白色の光は約400nm (青紫) ~700nm (赤) の波長にわたって分布する光を合成したものです。人間の目は波長によって感度が異なり、約555nm (緑) をピークとして分布します。照度ロガーは入射した光を人間の目の感度に似せたフィルターに通し、フォトダイオードで受光します。フォトダイオードは受光した光を電気信号に変換する素子です。その電気信号を計測し照度を得ます。照度はログ機能によりパソコンに送られるため、ソフトウェアで解析が可能です。

照度ロガーの選び方

照度ロガーを選ぶ際は、「測定限度」「JIS規格」「機能性」を考慮します。照度を計測する場所や目的に合った製品であるかどうか、必要な測定精度が得られるかどうか、一般的な計測なのか厳密な計測なのか、などの要件を満たす仕様の製品を選ぶことが大切です。

1. 測定限度

照度計によって測定可能範囲が決まっているため、目的に合った限度の製品を選ぶことが重要です。例えば、学校などの照度は300ルクス以上、精密機械などの製造現場では1,500ルクス以上になります。屋内なら低照度の10,000ルクスまで測定できるものを、屋外なら100,000ルクスまで測定できるものを選んでください。

2. JIS規格

照度計が精度の違いでランク分けされています。「精密」ランクはラボ用、「AA」と「A」ランクは一般用です。照明設備の評価や規格遵守の証明などの用途にはAAランクの製品を、簡易測定などにはAランクで十分に対応できます。

3. 機能性

セパレート式照度ロガーは、遠隔で操作できて便利なうえ、測定者の影などの誤差が減りより正確な測定が可能です。照度だけでなく、温度、湿度、風速などの多数の測定項目も計測できるマルチセンサー式もあり、環境計測が必要な場所で活躍します。

照度ロガーのその他情報

照度ロガーで照度を得る際は、誤差が生じることがるため注意が必要です。この誤差は、測定機器の原理や構造に起因するものと、測定する人間に起因するものに分けられます。

測定機器に誤差の原因がある場合、分光や受光角の誤差、検出処理の回路の安定性が確保されていない、使用環境 (湿度や温度など) に問題があるなどが考えられます。つまり、どのような測定器を使用するのかにより誤差の程度が決まるため、選択時に機種の吟味が必要です。

測定者に誤差の原因がある場合、測定する光の本質を理解できていない、機器の操作に習熟していないなどの問題が考えられます。例えば、測定地点に機器を設置し、スイッチを操作する行為が、入射光に対する干渉要因となる可能性があります。測定時に着用する衣服の色によっても反射率が変更しますので注意が必要です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/51/2/51_2015.2622/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalip1984/18/0/18_0_809/_pdf/-char/en

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