簡易暗室

簡易暗室とは

簡易暗室とは、暗室処理を行うための一時的な暗室です。

写真現像やフィルムのプロセスにおいては、暗室と呼ばれる完全な暗闇状態の場所が必要です。しかしながら、簡易暗室は暗室の代替として使用されることがあります。簡易暗室は本格的な暗室と比べて、低コストで設置することが可能です。

特別な設備や施設を用意する必要がなく、カーテンやテント状の布などで環境を作り出します。作業効率を高めるため、内部にUV作業用イエロー灯や移動しやすいキャスターなどの装備を付けた製品も販売されています。

顕微鏡向の小型製品から大型機器用まで、さまざまな大きさの製品が販売されています。組み立てや分解移転が容易なため、設置スペースや用途に合わせて最適な形態を選ぶことが可能です。

簡易暗室の使用用途

簡易暗室は写真の現像や映画フィルムの処理、研究開発などの使用用途に利用されます。

1. 写真の現像

簡易暗室は、写真の現像作業を行うために使用されます。フィルムや写真用紙を暗室内で露光することで、写真の鮮明さや色合いを調整することが可能です。

同様にアートプリント作成にも使用され、ネガやデジタル画像を暗室内でプリントすれば鮮明なアートプリントを作成できます。

2. 映画フィルムの処理

映画制作においても、フィルムの現像や編集作業が必要です。簡易暗室は映画撮影後のフィルム処理や編集作業を行うための一時的な場所として使用されます。

3. 写真や映像処理に関する研究開発

写真や映像処理に関連する研究や実験において、簡易暗室が利用されることがあります。映像処理アルゴリズムや画像解析技術の開発・評価において、画像処理を行う際に使用されます。

また、光学系の研究やセンサーの評価などにも使用されます。以下は研究の一例です。

  • 電子機器の品質管理や開発
  • 脳波計・筋電計など等医療用生理検査機器の測定環境整備
  • 蛍光顕微鏡の観察

簡易暗室の原理

簡易暗室は遮光材、フレーム、作業照明などで構成されます。

1. 遮光材

簡易暗室では、光漏れを防ぐために遮光材が使用されます。一般的な遮光材は黒い布やシートです。表はポリエステル (難燃素材) 、裏はウレタン樹脂 (遮光用ゴム) 素材の場合が多いです。

これらの材料は光を吸収し、漏れた光を最小限に抑える役割を果たします。遮光材は暗室の壁や天井に取り付けられ、光の侵入を防止します。

遮光率は照度500lux以上の環境で、100~99.99%完全遮光効果があります。また、30mW程度の小出力のレーザを遮光する性能があるため、レーザ遮光対策品としても利用可能です。防塵・帯電防止加工されている遮光材を使用することで、クリーンルームでも使用可能です。

2. フレーム

簡易暗室の構造を支えるために、フレームが使用されます。フレームは金属やプラスチック製のパイプや棒で構成され、暗室の壁や天井に取り付けられるのが一般的です。これにより、遮光材がしっかりと張られ、暗室の形状が維持されます。

プラスチックコーティングスチールパイプやプラスチックジョイントなどが使用されます。特別な工具なしで、簡単に組み立てられる場合が多いです。

3. 作業照明

簡易暗室では作業照明が必要ですが、一般的な明るい照明は写真現像などに悪影響を与える可能性があります。そのため、特殊な暗室用照明が使用されます。

暗室用照明にはフィルターが付いており、光の波長を制限することで感光材料への影響を最小限に抑えることが可能です。作業照明は暗室内の作業スペースに設置され、必要な作業の明るさを提供します。

簡易暗室の選び方

簡易暗室を選ぶ際は、使用目的やサイズ、遮光性能などの観点から選定します。

1. 使用目的

簡易暗室の使用目的によって、必要な仕様や機能が異なる場合があります。写真現像や映画フィルムの処理など、具体的な作業内容に合わせて選ぶことが重要です。

2. サイズ

簡易暗室のサイズは、作業スペースや設置場所の制約によって決定されます。小型でポータブルな暗室が必要な場合は、折りたたみ式や可搬性の高いモデルを選ぶことができます。

3. 遮光性能

暗室に求められる最も重要な要素は、遮光性能です。遮光材や照明部分の光漏れ有無などを確認し、十分な遮光性能の暗室を選ぶことが重要です。

参考文献
https://anshitsu.scientex.co.jp/index.html

簡易ろ過装置

簡易ろ過装置とは

簡易ろ過装置

簡易ろ過装置は、汚濁物質を含む液体を紙、布、金網、ガラス綿、砂、合成繊維などの多孔性ろ過材を通すことで、孔より大きな固体粒子を分離し、液体をきれいにする装置です。

ろ過を効率的に行うためには、重力、加圧、真空、遠心力といった物理的な力が用いられることもありますが、最も経済的で手軽な方法は凝集処理された廃水をろ過器に流し込み、固体と液体に分離させる単純なプロセスです。

この方式では、物理的な力を利用してろ過効率を高めることも可能ですが、基本的にはろ過材の性能に依存するため、適切なろ過材の選定が重要です。

簡易ろ過装置の使用用途

簡易ろ過装置は、脆性材料加工、金型製造、排水処理、水道水の浄化、食品廃棄物処理、プールや浴槽水の清潔保持、工具製造、金属加工、機械製造、鉱物処理など、多岐にわたる分野で使用されています。

具体的な使用例としては、以下のようなものがあります。

  • リル、エンドミル、チップなどの製造における脆性材料 (セラミック、ガラス、石英など) の濾過
  • 濃縮汚泥や薬剤凝集汚泥のろ過
  • 排水処理施設での排水のろ過
  • 食品廃棄物の処理
  • 研磨機放電加工機ワイヤカット放電加工機のクーラント液のろ過
  • クーラントタンク内のヘドロのろ過
  • 工作機械で発生する切粉のろ過
  • 下水道のヘドロのろ過
  • プールや浴槽のろ過装置における毛髪、垢などのゴミの除去
  • 浄水器のフィルターでサビの除去

これらの用途において簡易ろ過装置は、そのコンパクトな設計と効率的なろ過能力により、幅広い場面での信頼性と利便性を提供します。

簡易ろ過装置の原理

簡易ろ過装置は、粗いろ過材から始まり、徐々に細かいろ過材を通すように設計されています。この段階的なプロセスにより、ろ過が進むにつれて孔の小さなろ過材を通過することで、より高いろ過効果が得られます。

汚濁物質を効果的に除去するため、特に塗料などの有機溶剤を含む廃水には、凝集剤や陽イオン吸着剤などを適量加えることがあります。これらの凝集剤を添加し、一定時間かき混ぜることで、液体内で凝集反応が促進され、汚染物質を含む固体と液体の混合物が生成されます。

この混合物はまず粗いろ過材によって大きな沈殿物を除去し、次により細かいろ過材を通すことでさらに精密なろ過が行われます。段階的に孔の小さいろ過材を通すことで、最終的には清浄化された液体だけが残ります。

簡易ろ過装置の最終段階で使用されるろ過材は、1.0μmから100μmの精度を持つ合成繊維、レーヨン、ポリエステルなどの材質が一般的です。特にポリエステルは油成分への吸着力に優れているため、油性汚染物質の除去に効果的です。また、ガラスやセラミックを使用した特殊フィルターもあり、これらは更に高度なろ過要求に応えることができます。

簡易ろ過装置の種類

簡易ろ過装置には様々な種類があり、それぞれの設計と使用するろ過材によって、異なる用途や要件に適応します。主要な種類には、バッグフィルター、カートリッジフィルター、サンドフィルター、ディスクフィルターが含まれます。それぞれ次のような特徴があります。

1. バッグフィルター

バッグフィルターは、粒子を捕捉するために微細なポリエステルやナイロン製のバッグを使用します。このタイプは、水処理や化学薬品の精製、食品加工において広く利用されています。

2. カートリッジフィルター

一般的に使い捨て可能なろ過材であり、細かい粒子を効果的に除去するための多層構造を持ち、水質浄化、エアフィルタリング、液体の精製など幅広い用途に最適です。

3. サンドフィルター

主に大量の水を処理する場合に使用され、プールの水のろ過や灌漑用水の処理などに効果的です。水を砂層を通して通すことで不純物を取り除きます。

4. ディスクフィルター

水や他の液体から細かな不純物を取り除くために複数のディスクが積み重ねられた構造を特徴とします。これは灌漑システムや産業用途に特に有用です。

これらのろ過装置はそれぞれ特定の汚染除去ニーズに応じて選択され、効率的かつ経済的な解決策を提供するために設計されています。各種類のろ過装置は、汚染レベル、処理する流体の量、およびろ過が必要な粒子のサイズによって選ばれます。

参考文献
http://www.astec-tokyo.co.jp/product/rokakky.html
http://tosepa.co.jp/products/simple.htm

研削機

研削機とは

研削機

研削機とは、砥石を高速回転させて精密な研削加工を行う機械のことです。

焼き入れ材などの硬い部材や、面粗度や精度が求められる加工において、その性能を発揮します。砥石の種類によって、加工面の仕上がりが変わるため、細かい仕上げ加工も可能です。

しかし、研削機は大きく削ることには向いていません。形削り盤、平削り盤、フライス盤などの切削加工機を使用することが適しています。研削機の削りしろは規格化されており、規格に合わせた加工が求められます。

研削機の場合、切削加工機では困難な材料や要求される精度に対応できるため、多くの工場や製造業で重宝されています。また、研削機の進化により、より高速で効率的な加工が可能になりました。

研削機の使用用途

研削機は、研削加工に特化した機械で、高い精度が要求される機械部品の製造に使用されます。切削加工では難しい精度や面粗度の向上も、研削機を用いることで実現が可能です。

研削加工は、前工程の「切削加工」と後行程の「研磨加工」の間に位置し、それぞれの工程と連携して部品の精度を高めることが可能です。研磨加工は、研削加工よりもさらに高精度かつ高面粗度の加工が可能で、仕上げの段階で行われます。

研削加工にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる部品の形状に対応するために用いられます。研削加工タイプを組み合わせることで、いろいろな形状の部品に対応し、高精度かつ高品質な製品を作り出すことが可能です。

1. 平面研削

平面部品の加工に用いられ、高精度の平面を生成します。

2. 円筒研削

円筒形状の部品の外周面を加工し、円筒の精度を向上させます。

3. 内面研削

円筒部品の内側面を加工し、内径の精度を高めます。

研削機の原理

研削機は研削盤とも呼ばれ、砥石を高速で回転させ、加工対象の部材に押し当てて少しずつ削ることで、高精度な加工を実現しています。特に、切削加工では難しい硬度の部材 (焼き入れ焼き戻し部材やSi部材など) も、ミクロン単位の精度で加工可能です。

研削機は、平面度や平行度の向上を目的として使用されるほか、円筒状の部材を研削する際には、真円度や円筒度の向上を目指します。加工時には磁力によって部材が保持されますが、磁性のない部材の研削加工には工夫が必要です。

同様に、磁力で保持されるため、ステンレスなど磁性のない材料の研削加工にも工夫が求められます。これらの状況では、研削方法や部材の保持方法を適切に選択し、目的の加工や用途に合わせた対応が重要です。

研削機のその他情報

研削機と併用する機械

研削機は高精度な加工を実現する機械ですが、製造現場では形削り盤、フライス盤、研磨機などの機械と併用されることで、より効率的な加工が可能となります。

1. 形削り盤
形削り盤は、主に大きな部品の形状加工に用いられます。研削機が精度を重視した加工に特化しているのに対し、形削り盤は大きな材料を削ることに適しています。研削機と形削り盤を併用することで、大きな部品の形状加工と高精度な仕上げ加工を効率的に行えます。

2. フライス盤
フライス盤は、回転する刃物を用いて部品の表面を削る機械です。複雑な形状の部品加工に適しています。研削機で仕上げ加工を行う前に、フライス盤で大まかな形状を作り出すことで、効率的な加工が可能となります。

3. 研磨機
研磨機は、研削機で行われた加工後にさらに精度を追求するために使用される機械です。研削加工によって得られた高精度な部品にさらなる磨きをかけ、表面の仕上げを行います。研削機と研磨機を併用することで、最高品質の製品を作り出せます。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/grinder/
https://sakaitec.co.jp/engineering/machiningwork/285
https://kikakurui.com/b0/B0711-1976-01.html
https://d-engineer.com/kikaikakou/kensaku.html

残留塩素計

残留塩素計とは

残留塩素計 (英: Residual chlorine meter) とは、塩素処理済みの用水中に残っている遊離型有効塩素やクロラミンなどの結合型有効塩素量を測定するための装置です。

上水道をはじめ各種用水において、塩素殺菌・消毒処理を行うことは安全性を確保する上で不可欠です。また、微生物や藻類などの再繁殖を防ぐためには、微量の塩素が残存している必要があります。

しかし、残留塩素が過量に存在する場合は塩素臭を生じる他、配管に使用されている金属などを腐食させたり、トリハロメタンなどの発ガン物質の生成原因となることもあります。特に水道水においては残存する塩素を残留塩素と呼んでこの下限が規定されています。残留塩素計は、水質管理、点検のため、正確な残留塩素を測定することに用いられる装置です。

残留塩素計の使用用途

残留塩素計は主にビル、マンション、共同住宅、学校、病院、公民館などの公共施設や食品、飲料工場、調理施設、プール、高架水槽、温泉などの水質管理が必要な所で使われています。

使用例は以下の通りです。

  • 食品プロセスで飲料水を原料として使用する場合の水質管理
  • 配水管ネットワーク上のポンプ場、配水場
  • 浄水場のすべてのプロセス管理
  • 工場・工業用水設備の管理(冷却水・飲料水)
  • 大型ボイラの水質管理
  • し尿、下水処理場の脱臭装置、食肉工場等の脱臭装置

残留塩素計の原理

残留塩素計の測定方法には、ヨウ素滴定法や比色DPD法、DPD吸光光度法のような試薬を利用した測定法やポーラログラフ法という、貴金属電極を利用したセンサで微弱な電流を通し、電導度を計測する無試薬測定法が用いられます。

1. 残留塩素の定義

残留塩素とは、塩素処理後の水中に残っている酸化力を有する塩素のことです。(有効塩素) 具体的には、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンなどの遊離残留塩素と、クロラミンなどのアンモニアや有機性窒素化合物などと結合した塩素が該当します。塩素イオンClはこれらには該当しません。

2. ヨウ素滴定法

ヨウ素滴定法はpH4以下の条件でヨウ化カリウム溶液を添加して、遊離塩素と結合塩素をヨードに置き換えた後、全残留塩素を測定する試薬型測定法です。試薬形は浄水場内の工程管理用として使用されます。

3. 比色DPD法やDPD吸光光度法

比色式残留塩素計のイメージ

図1. 比色式残留塩素計のイメージ

DPD法とは、DPD (ジエチルパラフェニレンジアミン) の化学反応を利用して比色定量で塩素を測定する方法です。DPD (ジエチルパラフェニレンジアミン) は塩素によって酸化されると、無色のキノンジイミンを経由した後に更に未反応のDPDと反応し、N,N-ジエチル-セミキノン中間体を生じて桃赤色 (マゼンタ) に呈色する性質があります。

比色法では発色の程度を比較しながら比色盤に刻まれている数値を読み取ることにより測定ができます。測定現場などで手軽に行える最も簡単な方法です。

4. ポーラログラフ法

ポーラログラフ式残留塩素計のイメージ

図2. ポーラログラフ式残留塩素計のイメージ

試料中に2つの電極を静置して電圧をかけると、電極間に電流が流れます。このとき、残留塩素の濃度によって流れる電流量が変化します。ポーラログラフ式とは、この電流量を測定することにより、サンプル内の塩素濃度を測定する方法です。ポーラログラフ法を使った残留塩素計では、微小回転白金電極と比較的面積の大きい静止白金電極とが用いられています。

残留塩素計の種類

投げ込み式残留塩素計のイメージ

図3. 投げ込み式残留塩素計のイメージ

残留塩素計は、前述する測定原理による種類がある他、形状や大きさ・用途に様々な種類があります。大型の据え置き型の機械や、持ち運び式の小型の機械の他、プールなどの水質管理に使用可能な投げ込み型の装置もあります。

特に海水中や排水中の残留塩素を測定する装置は大型であることが多いです。試薬を用いるDPD法の測定は手軽ですが、試薬を用いるランニングコストがかかるのと、数値で計測したい場合などの場合はポーラログラフ式など他の種類のほうが適切である場合もあります。用途に合わせて、適切な製品を選択することが必要です。

参考文献
https://aqua-ckc.jp/doc/stnote_chlorine.pdf
https://www.toadkk.co.jp/product/search/item.html?item=chl

冷却水循環装置

冷却水循環装置とは

冷却水循環装置とは、装置内部の水を冷却し、循環させる装置です。

産業機器・計測機器・食品加工機器の装置など、温度を一定に保つことが求められる場合に活用され、品質や安全性を保護します。冷却水循環装置の温度設定範囲は−20℃〜30℃程度ですが、さまざまな要件にも柔軟に対応できるよう、カスタマイズして異なるシステムに適した性能を提供することが可能です。

冷却水循環装置は、その高度な熱管理能力、信頼性、運用の容易さ、柔軟性と適応性という特徴によって、現代の産業分野における不可欠な存在です。

冷却水循環装置の使用用途

冷却水循環装置は、自動車産業、半導体製造分野、産業機械・工作機械、分析装置、食品加工業など様々な用途で利用されています。

1. 産業分野

発電所や工場などの産業施設では、機械やプロセスの冷却に冷却水循環装置が必要不可欠です。大量の熱エネルギーを発生する機械やプロセスは、過熱する可能性があり、その結果効率が低下または損傷するリスクも考えられます。

冷却水循環装置は、こうしたシステムの適切な温度管理を支援し、生産性を向上させる役割を果たします。

2. 製造分野

金属加工やプラスチック成形などのプロセスでは、材料の加工時に熱が発生します。その熱を効果的に冷却することにより、製品の品質向上や生産性の向上に寄与します。

3. 医療分野・研究分野

高度な医療機器や科学機器は、正確な温度管理が求められる場合があります。冷却水循環装置は、これらの装置の適切な機能を保つことが可能です。

冷却水循環装置の原理

冷却水循環装置は、熱を発生する機械やプロセスから生成される余分な熱を取り除き、適切な動作温度を維持します。

1. 熱交換器

中心的要素である熱交換器は、冷却水と熱源となる流体の間で熱を移動させる装置です。熱交換器内部では、冷却水と熱源流体が交差し、熱エネルギーが冷却水に移されます。この過程により、熱源流体の温度が下がり、冷却水は加熱されるという原理です。

2. ポンプ

熱交換器を効果的に動作させるためには、ポンプも必要です。ポンプは冷却水を熱交換器から取り出し、それを再び熱源に送り戻す役割を果たします。これにより、熱伝達プロセスが連続的に行われ、機械やプロセスが正常な温度範囲内で維持されます。

3. ろ過装置・化学処理装置

冷却水循環装置は、冷却水が汚染されることを防ぐためにろ過装置や化学処理装置も含んでおり、冷却水が長期間にわたって清潔で効果的な冷却を提供することが可能です。

冷却水循環装置の種類

冷却水循環装置には冷却方法と循環方式によって種類が分けられます。冷却方法は空気で冷やす空冷式と水で冷やす水冷式があり、循環方式は密閉系循環式と開放系循環式があります。

1. 冷却方法による分類

空冷式
空冷式 はファンを使って液体を冷やし、奪った熱は外部へ放出する方法です。比較的簡単な構造で装置の小型化が可能ですが、熱を外部へ放出するため設置場所の温度が高くなるデメリットがあります。

水冷式
水冷式は水を循環させることで冷却する方法です。冷却水はポンプで循環させるため熱は発生しません。水冷式に使われる液体としては、水道水、不凍液やエタノール、メタノールなどがあります。

2. 循環方式による分類

密閉系循環式
密閉系循環式は、熱交換器のような冷却に関わる部分が密閉されている構造を持つ循環装置です。密閉されていることから錆びやすいため、コネクター付近に発生する結露水を排出させる必要があります。

開放系循環式
開放系循環式は、冷却する装置を水で満たしたタンクの中に入れて冷却する方式です。周囲の環境と直接やり取りをし、循環する冷却水は冷却プロセス中で熱を吸収し、それを外部へ放熱します。

冷却水循環装置の特徴

冷却水循環装置はその特異的な特徴によって、熱管理、信頼性、運用の容易さ、柔軟性と適応性という面で優れた性能を提供します。

1. 高度な管理能力

冷却水循環装置の1つの特徴は、その高度な熱管理能力です。機械やプロセスは、運用中に余分な熱を発生することがあります。

この余分な熱が放置されると、システムの効率が低下したり、機械の寿命が短縮されたりする可能性があります。しかし、冷却水循環装置は効果的な熱移動と熱放散を通じて、システム内の温度を適切に制御し、安定した動作を維持します。

2. 容易な操作性

使いやすい制御パネルやインターフェースを通じて、操作者は装置の状態を監視し、必要に応じて調整することが可能です。また、保守作業も容易に行えるようになっており、システムの頻繁なメンテナンスが求められる場合でも、運用の中断を最小限に抑えながら効果的に作業が行えます。

一軸破砕機

一軸破砕機とは

一軸破砕機とは、刃が複数付いている軸を回転させ、固定刃との間で対象物を破砕する機械のことです。

破砕した加工物を排出する場所に、スクリーンを配置し、求める粒度の条件を満たしたものは排出し、満たさないものは戻して再度破砕します。破砕物の粒度を揃えることが可能です。

単位時間当たりの処理できる量は、二軸式破砕機と比べると劣ります。一軸破砕機は、プラスチックや木材、紙類などの破砕によく使われます。

一軸破砕機の使用用途

一軸破砕機は、細かい粒度にする必要があるさまざまな対象物に用いることができるため、主に廃材や産業廃棄物などを再資源化する目的で使用されます。具体的には、フレキシブルコンテナバッグ・紙・衣類・漁網・布団などの難処理物、木材、タイヤ、フィルム、樹脂成形品、自動車バンパー、竹などです。

破砕機の選定では、対象物の素材や処理量を考慮することが大切です。だんご用破砕機と称するものがありますが、樹脂成型工場で発生する樹脂だんごの破砕機を指します。樹脂だんごや成形品、フィルムなどの破砕に使われます。

一軸破砕機の原理

一軸破砕機は、固定刃と本体に取り付けられた軸に設けられる複数の回転刃、プッシャ、スクリーンなどから構成されます。回転刃が回転運動をして、対象物を削り取るように細かい破砕加工ができます。

また、プッシャで回転刃に破砕したい対象物を押し付けることで、より効率が良い破砕が可能です。プッシャは、油圧や空気圧を使用して押し付けます。

破砕された対象物の排出口に、一定の大きさの穴が開いたスクリーンを設置することで、条件を満たすもののみ排出が可能です。そして、求めている大きさになるまで破砕を繰り返します。スクリーンの口径が20~70mmぐらいのものが良く使われます。

刃の幅と刃がついたフックの間隔で、破砕後の大きさが決まり、大量処理、粗破砕に好都合です。

一軸破砕機のその他情報

1. 一軸破砕機の長所

刃の交換が容易
一軸破砕機は、回転刃と固定刃とに分かれており、刃物の交換は比較的容易に可能です。また、刃のギャップの調整ができるため、新しい刃に近い処理量の維持が可能です。

刃の寿命が長い
固定刃・回転刃とも耐摩耗性・靱性に優れた特殊鋼の超硬刃を採用し、高寿命を実現しています。刃物を交換するまでの時間が長く、メンテナンスコスト面で有利です。 

破砕物の粒度を均一にできる
スクリーンによって破砕物の粒度を均一にできます。また、スクリーンの交換だけで排出サイズを変更可能で、狙った粒度に破砕物を減容化できます。

最小10mm程度まで粉砕が可能です。サイズが大きいものから所定の大きさまで、1台の機械で破砕できることも長所の1つです。

作業効率が向上する
プッシャと呼ばれる押し込み装置によって、噛み込みにくい軟質材料の破砕が可能で、作業効率も上がります。

リモートでの監視が可能
破砕機の稼働状況をリモートで監視が可能です。最適な運転条件に設定変更し、異常の早期把握ができます。異常発生時には、メーカーへ通知され、状況の把握・分析をして、迅速なサポートを受けることが可能です。

2. 一軸破砕機の短所

  • 破砕時の騒音が大きい。 (約80~100dB (A) ) 
  • 刃物の交換頻度により、メンテナンスのコストアップになる。
  • 高速回転するため、金属などの硬い異物に弱い。

3. 一軸破砕機と二軸破砕機との違い

破砕機には、一軸破砕機や二軸破砕機、湿式破砕機 ハンマー式破砕機 チェーン式破砕機など多くの種類があります。このうち、一軸破砕機と二軸破砕機の違いは以下のとおりです。

一軸破砕機は、回転刃と固定刃により、対象物を削り取るように破砕します。スクリーンを通して排出するので、破砕物の粒度を一定にすることが可能です。対象物が大きい場合や柔らかい難処理物の破砕に適しています。

一方、二軸破砕機は2つの回転刃を使用して、対象物をはさみで切るように破砕します。破砕物は、オフィスにあるシュレッダーのように、短冊状に切られ、一軸破砕機より粗い破砕です。

刃の幅と刃がついたフックの間隔で破砕後の大きさが決まります。そのため、大量処理や粗破砕に向いています。時間当たりの処理量は、一軸式より多いのが特徴です。

参考文献
https://www.tsuganemachine.jp/
https://www.fjtex.co.jp/kankyo/products/crusher/single/
https://www.fjtex.co.jp/kankyo/select/s1308/
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/crusher/one_spindle/product/one_spindle/index.html
http://www.seiho-engineering.com/crushing_machine_part1.html

リチウムグリース

リチウムグリースとはリチウムグリース

リチウムグリースとは、原料基油にステアリン酸リチウムやひまし油の硬化脂肪酸のリチウム塩を増稠剤として分散させた、石けん系の潤滑剤のことです。

かつては、耐水性のあるカルシウムグリースと耐熱性のあるナトリウムグリースが使い分けられていましたが、1938年に耐水性・耐熱性ともに優れたリチウムグリースが開発されて以降、万能グリースとして幅広い分野において使用されています。

リチウムグリースは、高温条件下で利用するために開発されたアルミニウムコンプレックスグリースや非石けん系のウレアグリースとも比較されます。 

リチウムグリースの使用用途

リチウムグリースに限らず、グリースは自動車、家電、工作機械などのベアリングをスムーズに潤滑させ、磨耗を防ぐために使用されています。

中でもリチウムグリースは万能グリースとも呼ばれ、汎用的に用いられるため、ホームセンターなどでも多く取り扱われています。万能ではあるものの、使用の際には耐熱温度、耐水性、ちょう度、せん断安定性などを確認し、適したグリースを選択しなければなりません。また、他の種類のグリースと混合させると、性能が低下するおそれがあるので注意が必要です。

リチウムグリースの製造方法

基油に増稠剤を溶解させ、アルカリ水溶液を加えます。増稠剤の量は一般的には基油に対して5-20%程度です。この溶液を加熱撹拌させることでケン化反応が進み、石けんが生成されます。石けんには、生成と同時に三次元網目構造(ミセル構造)を形成し、基油を取り込みます。形態はグリースの特徴である半固体形状です。

その後、モリブデンなどの必要な添加剤を混合させ、ミリング工程で石けん繊維の長さや太さを揃えて滑らかな状態にします。最後にリチウムグリース中の気泡を除去し、フィルターを通して異物を取り除いた後に充缶して完成です。

リチウムグリースの特徴

リチウムグリースの耐熱温度は約130℃です。耐水性・機械的安定性に優れますが、いずれも非石けん系のウレアグリースと比較して劣ります。しかし、ウレアグリースは高温下やせん断によって硬化・軟化するものがあり、選定には注意が必要なため、特異な用途でない限りリチウムグリースを用いるのが一般的です。低速から高速まで、幅広い回転速度での利用に適していることも特徴的と言えます。

リチウムコンプレックスグリースのその他情報

1. リチウムコンプレックスグリース

リチウムグリースの耐熱性を向上させたグリースとしてリチウムコンプレックスグリースがあります。リチウムコンプレックスグリースは増ちょう剤に、水酸化リチウムに脂肪酸と二塩基酸を反応させた石けんである複合リチウム石けんを用いたグリースです。

リチウムグリースと比較して、耐熱性が向上し、その他の性能も同等レベルです。耐熱性の面では、よく比較対象に挙げられるウレアグリースに近い性能があり、使用する箇所によってはウレアグリースを凌ぐ潤滑性能があります。

日本ではリチウムグリースの次にウレアグリースが多く生産されますが、海外ではリチウムコンプレックスグリースが第2位の地域もあります。リチウムグリース以上の性能が必要な場合、ウレアグリースだけではなくリチウムコンプレックスグリースも候補として考える必要があります。

2. リチウムグリースの基油による特性の違い

リチウムグリースとは増ちょう剤に由来する名称ですが、基油 (ベースオイル) によって特性は異なります。基油の種類は、大別して鉱物油と合成油、エーテルおよびフッ素系があり、合成油はジエステル油、シリコーン油、ポリグリコール油、炭化水素油、シリコーン油などが一般的です。ここではベアリングによく用いられるリチウムグリースの基油を例として紹介します。

  • 鉱物油
    鉱物油は最も一般的な基油です。安価なため流通量も多く、小売店では鉱油系のリチウムグリースが多く扱われています。潤滑性能は標準的で、耐熱性と酸化安定性は合成油と比べて劣ります。ゴムや樹脂への攻撃性はやや認められるレベルです。
  • エステル油
    エステル油は鉱物油と比べて潤滑性、耐熱性、低温性が優れています。このため、エステル系のリチウムグリースは幅広い温度範囲で高速運転に適したグリースです。ゴムや樹脂への攻撃性が高いため使用箇所周辺のオイルシールなどの部品材質を確認する必要があります。
  • シリコーン油
    シリコーン油を基油としたリチウムグリースはエステル油系リチウムグリースよりもさらに耐熱性および低温性が高く、より広い温度範囲で使用できるグリースです。ゴムや樹脂への攻撃性が低く、使用箇所周辺への影響が少ない特徴もあります。ただし、鋼対鋼の境界潤滑性が低いため高荷重での使用はできません。

参考文献
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/16D1.pdf
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/
http://www.jalos.jp/jalos/qa/articles/003-S28.htm
https://www.eneos.co.jp/company/rd/technical_review/pdf/vol51_no02_09.pdf
https://koyo.jtekt.co.jp/support/bearing-knowledge/12-2000.html

モーターコントローラ

モーターコントローラとは

モーターコントローラ (英:motor cotroller) とは、モーターの稼働を制御する装置のことです。

モーターは回転運動をする機器を指します。モーターの駆動を制御するためには、制御方式、制御回路、駆動回路が必要です。モーターに単純な回転運動のみさせる場合、電源装置だけで停止と駆動の切り替えを行い、コントロールできます。

しかし、モーターの用途は、家電や自動車、工作機械などの駆動部分として用いられており、単純な停止と駆動だけではできないような複雑な駆動が求められます。動作に合わせて、回転の速さや回転の向きを変えなければなりません。

そのため、センサやスイッチなどから各種信号を受け取り、信号処理をして適切な対応を決めます。そして、モーター駆動回路に指令を出すことで、回転数や方向、速度などの制御を行います。

モーターコントローラの使用用途

身近なものでは、携帯電話のバイブレータや家電製品のドライヤーの風量を調節する機能、電動歯ブラシの振動などにも用いられます。大型なものでは、ゴルフカートやフォークリフトなど、電力から動力を得ている自動車の駆動システムに用いられます。

産業用コントローラは、多軸の動きを滑らかに制御します。この場合、高速で複雑な高精度制御が必要です。半導体製造や検査装置、工作機械などのFA装置は、数nmから数μmの精度を必要とします。こうした高精度の機器から、単純な省力化機器まで、モーター制御の中枢としてモーターコントローラが使用されます。

モーターコントローラの原理

モーターコントローラは、センサーやスイッチなどから送られたモーターからのリアルタイムな信号を受け取り、電力の制御を行うことで、回転数や回転速度、位置決めなどを制御します。モーターは、主にDCモーターやステッピングモーターなどが使用されます。

DCモーターは、加わる電圧の大きさによって、回転速度を変えることが可能です。マイコンを用いたモーターコントローラの場合は、ソフトウェアから信号を発信することで、回転数や回転の向きなどを変化させられます。

ステッピングモーターは、モーターコントローラによる制御により、高精度な位置決めが可能です。回転量の検出が不要である特徴があります。入力パルスに同期して、一定角度づつステップ状に回転します。分解能は、1ステップで、1.8°、0.72°、0.36°程度です。

モーターコントローラの特徴

モーターコントローラは、モーターを使用するシステムの一部の機能を担当します。したがって、上位のコントローラや下流のモータードライバー・採用するモーターとの連携が重要です。

モーターコントローラの大きな特徴は、高度なシステムの場合、多軸のモーターの同期した制御が可能であることです。多軸同期制御は、例えば2次元や3次元空間において直線・円弧・ステップ運動・回転、カム動作、加減速など複雑な動きができます。

モーターコントローラの種類

モーターコントローラには、独立使用可能なコントローラ、産業用パソコン用のコントローラ、PLC用のコントローラなどの種類があります。PLCは、プログラム可能な論理回路の制御装置のことです。

1. 独立使用可能なコントローラ

このタイプの制御コントローラは、上位コントローラのPLC、産業用パソコン、ノートパソコンなどを選択できます。また、上位コントローラがなくても、単独で使用が可能である大きな特徴があります。

数軸の小規模から、数10軸程度の中規模な制御装置を構築する場合に多く使用されます。数nmオーダーの緻密な制御が不要で、サブμmオーダーの制御も必要としない場合です。

2. 産業用パソコンのコントローラ

産業用パソコンのPCIスロットなどに差し込んで使用するカードタイプです。マイコンでは力不足な大規模で、高速の制御を行う場合などに使用されます。

汎用パソコン用の豊富なアプリケーションを利用可能で、高速・高精度の多軸モーターの制御が実現されます。

3. PLC用コントローラ

PLC専用のコントローラです。PLCの単独使用では不可能な多軸高速同期の制御が可能です。PLCとの通信に、各社独自の通信規格や接続方式を用いているのが多く、高速通信制御が容易に実現できます。

参考文献
https://ev-tech.jp/technology/motor/page002.html
https://www.meidensha.co.jp/msj/business/fa/prod_01/prod_01_05/index.html
http://www.tokushudenso.co.jp/product/05.html
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2006/10/p103-104.pdf
https://techweb.rohm.co.jp/motor/knowledge/basics/basics-03/405

ミスト装置

ミスト装置とは

ミスト装置

ミスト装置とは、屋外の温度上昇を防ぐ冷却や消火設備などの目的で使用される、水を霧状に噴射して広範囲に散布する装置のことです。

ミスト装置を用いることで、室外の温度を2度から3度下げることができます。ミスト装置によって水を加圧して大気へ噴射するため、ドライミストとなり肌に触れても濡れることなく、不快感を感じません。

打ち水効果のように、水分の蒸発する際に熱気を奪う気化熱現象を利用して周囲の外気温を下げます。冷却のために使用する際、エアコンなどのように室外機などを必要とせず、外に熱を放出しないため、環境にもよい装置です。

ミストノズルの形状やミストポンプが変わることにより、ミスト装置の特徴も変わります。使用目的に合わせて適したミスト装置を選択することで、より効果的に使用できます。

ミスト装置の使用用途

ミスト装置は温度上昇を抑える効果があり、屋外でも部分的に温度が低い場所を作ることができます。そのため、屋外や大型施設などの人が大勢集まることが想定される場所で、熱中症対策の目的などで使用されています。

その他、消毒や薬品をミスト状にして散布することで、家畜の飼育場や、ごみ処理施設などの消毒や清掃の用途にも使用されています。さらに、水の分子中に細かい粉塵を取り込むことで、体内に吸い込むのを防ぐ目的や、加湿効果によって湿度を一定に保つ目的にも使用されています。エンターテインメント業界が、ミストによる演出効果を目的として用いる場合もあります。

ミスト装置の原理

ミスト装置の冷却効果は、気化熱の原理を利用しています。

気化熱は、水が蒸発するために周囲から吸収する熱のことであり、周りの熱を吸収し温度を下げることができます。

ポンプ、ノズル、給水管などで構成されており、給水管から取り入れた水にポンプによって高い圧力を加え、口径が小さいノズルから押し出すことにより、細かい霧を発生させます。微細な霧を作り出すことで気化しやすくなり、触れても濡れないドライなミストを発生させることができます。

ミスト装置の構造

ミスト装置は以下の7つで構成しています。

1. ミストポンプ

ミストポンプはミスト装置の心臓部でポンプにより加圧された水が噴射口径が極小のミストノズルから押しだされ、細かなミストを発生させます。圧力が高くなればなるほど水粒子は細かく、粒子の数は多くなります。

7MPa近くまで加圧する高圧ポンプを使用するとミストの粒子径は大半が5ミクロン以下となり、ドライミストの状態となる。ミストが地面や床に落下するまでに大気中で蒸発し、そのときの気化熱で周囲の温度を引き下げます。

2. ミストノズル

ミストノズルとは、ミストポンプで加圧した水と大気中の空気を混合させて微粒化させ、噴霧するためのノズルです。ミストノズルは噴霧口の口径が異なり、噴霧口が小さくなればミストの粒子は細かく、気化しやすくなり噴霧する際の水の量が少なく済みます。

3. 給水管

水源から取り込んだ水をミストポンプへ送るための通路の役目を担っております。

4. フィルター

ミストポンプの中に異物やカルシウムが目詰まりしないように、給水管にフィルターを取り付け防止します。

5. 水抜きドレイン

ミスト装置の稼働停止後に給水管に留まっている水を抜くためのものです。ポンプの稼働停止後に、水滴の落下を防止したり、ミストノズルが水中のカルシウムによって目詰まりするのを防止するため、ミストポンプ前の給水管に取り付けます。ドレインは機械式ドレインと電気式ドレインがあり、電気式ドレインの方がより早く配管内の圧を抜き、排水をするため、ミストノズルからの水滴落下をより防止します。

6. ミストファン

ミストファンは、ミストの大気中での漂流する時間を長くし気化を促進します。ミストの効果をより広範囲に及ぼすことができます。

7. 水源

ポンプに給水するための水源が必要です。水タンクを使用する場合は、必要な流量を供給できるポンプを設置してください。

8. 電源

ミストポンプを稼働させるために電力供給する必要があります。電源は使用するポンプに必要な十分な電気容量のある電源を選定する必要があります。

参考文献
https://www.yamatoprotec.co.jp/products/mist/microfogc/
https://www.i-res.co.jp/mist
https://mistdotcom.jp/item/about.html

ミストノズル

ミストノズルとは

ミストノズル

ミストノズルとは、ミスト装置に用いられているノズルのことです。

ミストノズルを用いると、水などの液体を細かい霧状にして噴射・散布できます。液体が霧となって出てくる箇所を噴霧孔と呼び、圧力の高い液体を噴射可能です。摩耗を防ぐために、耐性の強いステンレスなどの素材を使用します。

主にミストノズルの噴射方法は、一流体と二流体の2種類です。一流体は高い水圧のみを利用してミストを噴出し、二流体は空気を低圧にして水を粉砕してミストを作り出します。ノズルの口径の大きさやポンプから液体を押し出す圧力などによって、ミストノズルは特徴が異なります。高い効果を実感するために、目的や用途に最も適したミストノズルの使い分けが必要です。

ミストノズルの使用用途

ミストノズルは霧状の水を散布して一定の湿度を保ち、水などの液体が蒸発する気化熱の仕組みによって、周囲の熱を奪っています。そのため、温度上昇を抑えるなどの冷却目的に多く使用されています。

そのほか、消毒や薬剤などの散布による除菌や洗浄だけでなく、家畜や菜園などの水まきにも使用可能です。

さらにエンターテインメント業界では、ノズルの形状によってミストで自在な形を作り出せるため、演出などにも用いられています。

ミストノズルの原理

ミストノズルはノズルの口径の大きさとポンプから加わる圧力の大きさによって、ミストの粒子のサイズを変えられます。ミストをより細かくするためには、口径の大きさを小さくして、ポンプの圧力を大きくします。

ミストノズルから吐出される液体の量は、口径を小さくすると少なくなりますが、ポンプの圧力を大きくすると多くなるため、用途に合わせてバランスを調節可能です。そして、ミストの粒子が細かくなるほど蒸発しやすいです。

ミストノズルの種類

使用用途によって多種多様なミストノズルがあり、流動層乾燥機用、連続鋳造機用、排煙脱硫装置用などがあります。

1. 流動層乾燥機用

流動層乾燥機用は、スプレーする際の粒子径を調節可能です。原料に合わせて粉末状にでき、食品や薬などをスプレーします。

2. 連続鋳造機用

連続鋳造機用は、製鉄業界で使用されます。連続鋳造機を用いた溶鋼の凝固過程で、鋳片内部の凝固を行うために、水のスプレーで冷却可能です。

3. 排煙脱硫装置用

排煙脱硫装置用は石灰石膏法による排煙脱硫装置の排煙から二酸化硫黄を取り除く工程で、スプレーノズルによって粉末状にした石灰と水を混ぜた流体を噴射します。

ミストノズルの選び方

一流体のミストノズルは、環境負荷が少ない冷房環境を実現可能です。二流体のミストノズルは、一流体のノズルよりも気化効率が良く、微細ミストを生成します。一流体と二流体のミストノズルには、それぞれ豊富な種類があります。

ミストの目的やノズルの設置場所などに合わせて、さまざまな噴霧孔の口径サイズのミストノズルを選択可能です。真鍮製やステンレス製などのミストノズルは、摩耗による噴霧孔の広がりを防ぎます。

目詰まりした場合に分解して内部を洗浄できるミストノズルのほか、ミスト装置停止時にノズルから水滴の落下を防止できるミストノズルもあります。

ミストノズルの構造

ミストノズルの構造は、内部混合型と外部混合型に分類されます。

1. 内部混合型

内部混合型のミストノズルは水や空気を別々に流入して、ノズルの内部で混ぜてミスト化します。ただノズル内部の空間に流入しても微粒化できず、スプレーは安定しません。空気側から水側へ逆流しにくく設計し、混ぜる内部空間の構造を工夫する必要があります。

2. 外部混合型

外部混合型も内部混合型と同様に水や空気を別々に流入しますが、内部で混ぜずにノズル先端の出口で混合します。外部混合式は水を加圧せず、空気の力で自吸可能です。加圧タンクやポンプが必要なく、コストを削減できます。水頭差で影響を受けるため、流量調整に注意が必要です。自吸式の場合には水を吸い上げるため空気量が必要となり、水量の多いノズルには適しておらず、流量の少ないノズルに向いています。

参考文献
https://mistdotcom.jp/item/02.html
https://www.spray.co.jp/spray_nozzles/jp_mist_nozzles.aspx
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/