残留塩素計

残留塩素計とは

残留塩素計 (英: Residual chlorine meter) とは、塩素処理済みの用水中に残っている遊離型有効塩素やクロラミンなどの結合型有効塩素量を測定するための装置です。

上水道をはじめ各種用水において、塩素殺菌・消毒処理を行うことは安全性を確保する上で不可欠です。また、微生物や藻類などの再繁殖を防ぐためには、微量の塩素が残存している必要があります。

しかし、残留塩素が過量に存在する場合は塩素臭を生じる他、配管に使用されている金属などを腐食させたり、トリハロメタンなどの発ガン物質の生成原因となることもあります。特に水道水においては残存する塩素を残留塩素と呼んでこの下限が規定されています。残留塩素計は、水質管理、点検のため、正確な残留塩素を測定することに用いられる装置です。

残留塩素計の使用用途

残留塩素計は主にビル、マンション、共同住宅、学校、病院、公民館などの公共施設や食品、飲料工場、調理施設、プール、高架水槽、温泉などの水質管理が必要な所で使われています。

使用例は以下の通りです。

  • 食品プロセスで飲料水を原料として使用する場合の水質管理
  • 配水管ネットワーク上のポンプ場、配水場
  • 浄水場のすべてのプロセス管理
  • 工場・工業用水設備の管理(冷却水・飲料水)
  • 大型ボイラの水質管理
  • し尿、下水処理場の脱臭装置、食肉工場等の脱臭装置

残留塩素計の原理

残留塩素計の測定方法には、ヨウ素滴定法や比色DPD法、DPD吸光光度法のような試薬を利用した測定法やポーラログラフ法という、貴金属電極を利用したセンサで微弱な電流を通し、電導度を計測する無試薬測定法が用いられます。

1. 残留塩素の定義

残留塩素とは、塩素処理後の水中に残っている酸化力を有する塩素のことです。(有効塩素) 具体的には、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンなどの遊離残留塩素と、クロラミンなどのアンモニアや有機性窒素化合物などと結合した塩素が該当します。塩素イオンClはこれらには該当しません。

2. ヨウ素滴定法

ヨウ素滴定法はpH4以下の条件でヨウ化カリウム溶液を添加して、遊離塩素と結合塩素をヨードに置き換えた後、全残留塩素を測定する試薬型測定法です。試薬形は浄水場内の工程管理用として使用されます。

3. 比色DPD法やDPD吸光光度法

比色式残留塩素計のイメージ

図1. 比色式残留塩素計のイメージ

DPD法とは、DPD (ジエチルパラフェニレンジアミン) の化学反応を利用して比色定量で塩素を測定する方法です。DPD (ジエチルパラフェニレンジアミン) は塩素によって酸化されると、無色のキノンジイミンを経由した後に更に未反応のDPDと反応し、N,N-ジエチル-セミキノン中間体を生じて桃赤色 (マゼンタ) に呈色する性質があります。

比色法では発色の程度を比較しながら比色盤に刻まれている数値を読み取ることにより測定ができます。測定現場などで手軽に行える最も簡単な方法です。

4. ポーラログラフ法

ポーラログラフ式残留塩素計のイメージ

図2. ポーラログラフ式残留塩素計のイメージ

試料中に2つの電極を静置して電圧をかけると、電極間に電流が流れます。このとき、残留塩素の濃度によって流れる電流量が変化します。ポーラログラフ式とは、この電流量を測定することにより、サンプル内の塩素濃度を測定する方法です。ポーラログラフ法を使った残留塩素計では、微小回転白金電極と比較的面積の大きい静止白金電極とが用いられています。

残留塩素計の種類

投げ込み式残留塩素計のイメージ

図3. 投げ込み式残留塩素計のイメージ

残留塩素計は、前述する測定原理による種類がある他、形状や大きさ・用途に様々な種類があります。大型の据え置き型の機械や、持ち運び式の小型の機械の他、プールなどの水質管理に使用可能な投げ込み型の装置もあります。

特に海水中や排水中の残留塩素を測定する装置は大型であることが多いです。試薬を用いるDPD法の測定は手軽ですが、試薬を用いるランニングコストがかかるのと、数値で計測したい場合などの場合はポーラログラフ式など他の種類のほうが適切である場合もあります。用途に合わせて、適切な製品を選択することが必要です。

参考文献
https://aqua-ckc.jp/doc/stnote_chlorine.pdf
https://www.toadkk.co.jp/product/search/item.html?item=chl

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