監修:株式会社エステック21
遮熱マットとは
遮熱マットとは、放射熱(輻射熱)を反射させて遮る遮熱と、断熱効果を併せ持つ厚手の素材です。
熱の伝わり方には放射・伝導・対流の3種類がありますが、遮熱とは、放射熱 (輻射熱) を遮る効果を指します。遮熱マットは、薄手の遮熱シートとは異なり、熱移動を総合的に抑えることができるので、遮熱シートよりも高い省エネ効果が期待できます。また省エネは、同時に脱炭素(カーボンニュートラル)にも貢献することから、今後更に注目を集めると考えられます。
また対象高温物への直接施工において、熱傷防止できない薄い遮熱シートに対して、遮熱マットでは実表面温度を下げることができるので、熱傷防止効果もあります。
遮熱マットの使用用途と選定注意点
1. 概要
遮熱マットは、主に高温設備からの放射熱と対流熱を遮る目的で使用されます。また、高温設備の外側に使用すると外壁から熱が逃げるのを防ぎ、エネルギー削減と生産性の向上に効果があります。それ以外では、低温配管の結露対策にも用いられます。食品工場、クリーンルームなどの清浄空間の高温設備には、コンタミ防止マットが使用されることが多いです。
2. 高温設備の場合
表面温度が高い、或いは稼働時間が長く、単位表面積当たりの年間放熱ロスが大きい場合は、遮熱シートや断熱のみよりも高い投資効率が得られることが多いです。 選定に当たっては、①求める省エネ性能、②対象物の表面温度の施工前温度と施工後目標値、③施工の容易性、④コンタミネーション(異物混入)を嫌うプロセスか否か、等を総合的に検討して選定します。一般に、断熱材は熱伝導率が低く、厚いほど高性能ですが、その分重く施工はしにくくなります。対策前後の放熱ロスを試算することでその優位性をチェックすることができます。また、④については、特に食品工場や半導体等のクリーンルーム等のコンタミを嫌う場所には、ガラスファイバーに代表されるような綿状断熱材は好ましくなく、代替品としてスポンジ状の断熱材を使った素材もあります。
3. 低温設備の場合
低温設備向けで留意すべきは結露です。結露水が生成付着すると、以下の問題が発生します。
1) 遮熱性能が低下
薄い遮熱シートではこれが避けれませんので、温度等の条件に応じた素材・厚みの遮熱マットが不可欠です。
2) 断熱材内への水分侵入
断熱材は、ガラスファイバー等の細い繊維で細分化された空気層で断熱効果を発揮しています。
ここに水分が入れば、その性能が大きく低下することが避けられません。なのでしっかり周囲をシールする必要がありますが、長年の使用で僅かな隙間からも水分混入するケースが見受けられます。これを防止するには、独立気泡タイプの断熱材の使用をお勧めします。
遮熱マットの原理
遮熱マットは、外側の遮熱層と内側の断熱材の相乗効果によって機能を発揮する複合資材です。外側の遮熱層はアルミシート製です。熱を跳ね返し、放射熱をカットします。反射率は95〜97%であることが多いです。
内側の断熱材には、ガラスファイバーや他各種断熱材などが用いられます。例えば熱伝導率は、λ=0.035W/(m・K)前後の素材があります。断熱材の厚さは製品によって異なっており、この厚みの違いがそのまま製品厚みに反映されます。
アルミシートと断熱材とは接着剤で接着され、ガラスメッシュシートなどが間に挟まれているものもあります。
遮熱マットは、こうした厚い断熱材構造の仕組みにより、省エネ効果に加え熱傷防止効果も期待できる資材です。尚、水分の侵入によって断熱性能が低下するため、水気のある場所 では注意が必要です。
遮熱マットの種類
遮熱マットには様々な種類があります。
遮熱層が断熱材の両側に接着されている製品と片側に接着されている製品があります。アルミシートが片側となっている製品では、断熱材側は遮熱アルミ (例: -70〜90℃) よりも高温 (例: 150℃、240℃など) に耐えることが可能です。特に温度の高い高温設備への使用に適しております。
厚み・寸法は使用されている断熱材の種類により、様々な製品があります。
コンタミリスク対策用製品はコンタミリスクへの配慮が必要な食品工場、クリーンルーム等高温設備へ利用されている製品です。断熱材にメメラミンスポンジなどの不燃スポンジを使用し、一般断熱材よりコンタミリスクを抑えることができます。
本記事は遮熱マットを製造・販売する株式会社エステック21様に監修を頂きました。
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