ミストノズルとは
ミストノズルとは、ミスト装置に用いられているノズルのことです。
ミストノズルを用いると、水などの液体を細かい霧状にして噴射・散布できます。液体が霧となって出てくる箇所を噴霧孔と呼び、圧力の高い液体を噴射可能です。摩耗を防ぐために、耐性の強いステンレスなどの素材を使用します。
主にミストノズルの噴射方法は、一流体と二流体の2種類です。一流体は高い水圧のみを利用してミストを噴出し、二流体は空気を低圧にして水を粉砕してミストを作り出します。ノズルの口径の大きさやポンプから液体を押し出す圧力などによって、ミストノズルは特徴が異なります。高い効果を実感するために、目的や用途に最も適したミストノズルの使い分けが必要です。
ミストノズルの使用用途
ミストノズルは霧状の水を散布して一定の湿度を保ち、水などの液体が蒸発する気化熱の仕組みによって、周囲の熱を奪っています。そのため、温度上昇を抑えるなどの冷却目的に多く使用されています。
そのほか、消毒や薬剤などの散布による除菌や洗浄だけでなく、家畜や菜園などの水まきにも使用可能です。
さらにエンターテインメント業界では、ノズルの形状によってミストで自在な形を作り出せるため、演出などにも用いられています。
ミストノズルの原理
ミストノズルはノズルの口径の大きさとポンプから加わる圧力の大きさによって、ミストの粒子のサイズを変えられます。ミストをより細かくするためには、口径の大きさを小さくして、ポンプの圧力を大きくします。
ミストノズルから吐出される液体の量は、口径を小さくすると少なくなりますが、ポンプの圧力を大きくすると多くなるため、用途に合わせてバランスを調節可能です。そして、ミストの粒子が細かくなるほど蒸発しやすいです。
ミストノズルの種類
使用用途によって多種多様なミストノズルがあり、流動層乾燥機用、連続鋳造機用、排煙脱硫装置用などがあります。
1. 流動層乾燥機用
流動層乾燥機用は、スプレーする際の粒子径を調節可能です。原料に合わせて粉末状にでき、食品や薬などをスプレーします。
2. 連続鋳造機用
連続鋳造機用は、製鉄業界で使用されます。連続鋳造機を用いた溶鋼の凝固過程で、鋳片内部の凝固を行うために、水のスプレーで冷却可能です。
3. 排煙脱硫装置用
排煙脱硫装置用は石灰石膏法による排煙脱硫装置の排煙から二酸化硫黄を取り除く工程で、スプレーノズルによって粉末状にした石灰と水を混ぜた流体を噴射します。
ミストノズルの選び方
一流体のミストノズルは、環境負荷が少ない冷房環境を実現可能です。二流体のミストノズルは、一流体のノズルよりも気化効率が良く、微細ミストを生成します。一流体と二流体のミストノズルには、それぞれ豊富な種類があります。
ミストの目的やノズルの設置場所などに合わせて、さまざまな噴霧孔の口径サイズのミストノズルを選択可能です。真鍮製やステンレス製などのミストノズルは、摩耗による噴霧孔の広がりを防ぎます。
目詰まりした場合に分解して内部を洗浄できるミストノズルのほか、ミスト装置停止時にノズルから水滴の落下を防止できるミストノズルもあります。
ミストノズルの構造
ミストノズルの構造は、内部混合型と外部混合型に分類されます。
1. 内部混合型
内部混合型のミストノズルは水や空気を別々に流入して、ノズルの内部で混ぜてミスト化します。ただノズル内部の空間に流入しても微粒化できず、スプレーは安定しません。空気側から水側へ逆流しにくく設計し、混ぜる内部空間の構造を工夫する必要があります。
2. 外部混合型
外部混合型も内部混合型と同様に水や空気を別々に流入しますが、内部で混ぜずにノズル先端の出口で混合します。外部混合式は水を加圧せず、空気の力で自吸可能です。加圧タンクやポンプが必要なく、コストを削減できます。水頭差で影響を受けるため、流量調整に注意が必要です。自吸式の場合には水を吸い上げるため空気量が必要となり、水量の多いノズルには適しておらず、流量の少ないノズルに向いています。
参考文献
https://mistdotcom.jp/item/02.html
https://www.spray.co.jp/spray_nozzles/jp_mist_nozzles.aspx
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/