アクチュエータとは
アクチュエータとは、入力される様々なエネルギーを物理的な動きへと変換する駆動装置のことをいいます。
アクチュエータに入力されるエネルギーには、電気のほか、空気圧や油圧、電磁石による磁力、蒸気や熱など、さまざまなものがあり、アクチュエータで変換したエネルギーを使うことで、物の移動に伴う動きを制御可能です。
アクチュエータの使用用途
アクチュエータは、伸縮・屈伸・旋回といった単純な運動の為の装置として、またモーターやエンジンのような動力を持続的に発生させるために、多様な用途で利用されます。
アクチュエータは入力されるエネルギーに応じて、一般に大きくは次の三つに区分されます。
- 電動アクチュエータ: 高精度な位置決めを必要とする産業用ロボットや搬送機器
- 油圧アクチュエータ: 大きな推力を必要とする工作機械や建設機械
- 空気圧アクチュエータ: クリーンで簡単構造を必要とする一般産業機器や食品製造機器
アクチュエータの原理
アクチュエータは、主に以下の原理に大別可能です。
1. 電動アクチュエータ
電動アクチュエータはボールネジ、リニアガイド、サーボモーター等で構成された駆動装置で、生産装置の搬送などを行います。
電動アクチュエータは、電気をエネルギーとして動作するサーボモーター、電磁石による磁力をエネルギーとして動作する電磁アクチュエータ、電圧をかけると変形するピエゾ素子を使ったピエゾアクチュエータなどが用いられます。
2. 油圧アクチュエータ
油圧アクチュエータは、パスカルの原理を利用した流体動力を利用するアクチュエータのため、小型であっても大きな動力を得られ、工場や建設機械など、大きな動力が必要な機器に用いられます。
3. 空気圧アクチュエータ
空気圧アクチュエータは、油圧が高負荷・高圧・重装備であるのに対し、動力源に空圧を利用するため、低負荷で火災の心配が少ない安全な方式として用いられます。
アクチュエータのその他情報
1. 油圧と電動のアクチュクエータの使い分け
アクチュエータの推進エネルギーとしてはパワー密度1k(W/kg)程度を境に、それ以上の高いパワー用途に油圧エネルギー制御を、低いパワー用途に電動エネルギー制御をといった使い分けが主にされてきています。
電動制御アクチュエータも、近年技術革新に伴いパワー向上が積極的に図られてはいますが、実際に大きくパワー向上しているのは小型から中型アクチュエータ用途のブラシレスDCモーターの分野であり、大型用途のACサーボモーターでは2000年代初頭からは、大きくパワー向上はしていません。
よって特に、10k(W/kg)といった大パワー密度の大きな動力を必要とする工場の工作機械や建設機械の分野においては、油圧アクチュエータの独壇場であり、ここの分野に電動制御のアクチュエータは使われていないのが実情です。しかしながら、油圧エネルギー制御は油交換やメンテナンスなどのランニングコストや環境問題配慮などの観点から、この分野においても可能であれば電動制御化が望まれているのも事実と言えます。
2. 油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュクエータ
最近の技術動向の一つに、油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュエータの開発が取り組まれています。油圧制御はパスカルの原理を利用した機構がこれまでは一般的でしたが、この場合の問題点は、作業油のサーボバルブの流量制御に伴う油の循環に配管設備が必要であり、装置が大掛かりになってしまうことと、機械の排熱温度上昇による作業油の劣化があり、定期的な油交換のためのメンテナンスコストがかかる点でした。
最新の油圧と電動制御のハイブリッド型アクチュエータにおいては、サーボバルブの流量制御ではなく、電動サーボモーターの駆動回転数により最終のアクチュエータ出力制御を可能とするため、大掛かりな配管が不要で、高効率な出力制御により作業油の温度上昇の抑制が可能です。よって油交換のメンテナンスコストも低減でき、環境問題への配慮にも適しているといえます。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj1983/15/3/15_3_355/_pdf
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/27D1.pdf
http://www.comp.tmu.ac.jp/prost/insider/mechatro/mechatronics7.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf