ステンレス表面処理についての概要、用途、原理などをご説明します。また、ステンレス表面処理のメーカー31社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ステンレス表面処理関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:株式会社中野科学、2位:株式会社ヤマヒロ、3位:株式会社ケミカル山本となっています。
ステンレスには不動態被膜という膜ができる特徴があります。
これは、金属の腐食作用に対する酸化防止被膜が生じている状態の事を言います。
この被膜は酸化することがないため、金属内部の腐食を保護するために用いられています。
また、ステンレスの特徴は強度があり錆びにくいので表面加工処理をすることにより
さまざまな分野に使用されています。
表面処理方法には、さまざまな種類があります。以下によく使われている表面処理を紹介します。
ステンレス表面についた酸化スケールを除去したのものです。表面の状態は光沢がなく、銀白色をしています。
熱処理・酸洗を行い、つや消しの仕上げを行ったものです。
No.2D仕上げ材に光沢を与えたものです。表面は滑らかになっており、少しだけ光沢もあります。
冷間圧延後、光輝熱処理を行った表面処理の事です。鏡面に近い処理になっています。
No.2B材をさらに研磨処理したものです。No2B材よりも光沢があることが特徴になっています。
スクラッチ線を縦模様につけて表面仕上げしたものです。建材によく使用される表面処理方法です。
#400仕上げよりも細かい研磨で仕上げ処理をしたものです。準鏡面仕上げとも呼ばれています。
鏡面仕上げよりも、細かいキズが残っていることが特徴です。
鏡面仕上げの事を指します。表面はキズひとつなくピカピカな仕上げとなっています。
上記に説明したように、ステンレス表面処理にはたくさんの表面仕上げ方法が存在しています。
ステンレスは表面仕上げによって金属腐食を保護するだけではなく撥水性を施したり、熱伝導性を施すことも可能です。逆に耐熱性を付与することも可能となっています。
これらのステンレス表面仕上げについては、JIS規格やAISI規格が定められています。
酸洗いは、ステンレスを硫酸や塩酸などの強酸に浸すことで表面を洗浄する作業で、目的は「不純物の除去」、「耐食性の向上」の2つになります。
「不純物の除去」を目的とした酸洗いでは、熱処理時に生じた焼けや黒皮、在庫保管時などにできる錆や微細な傷、加工工程でできたバリや切削油などを除去します。これにより表面状態が綺麗になり、また適度な凹凸が表面につくことで下地として仕上がり、その後のステンレス表面処理の品質が向上します。
「耐食性の向上」を目的とした酸洗いは、一度形成したステンレス表面の不働態被膜を除去し、改めて綺麗なものを形成させるために行われます。ステンレスはそのままの状態でも不働態被膜が形成されますが、熱処理や機械加工、運搬や保管で被膜が破壊されたりすることで耐食性が低下しています。このため、酸洗いにより耐食性の劣化した不働態被膜を除去し、再度ステンレス表面に綺麗な不働態被膜を形成させます。
ステンレス表面処理における酸洗いのメリットは、強酸液に浸すだけで作業が比較的簡単なため安価で、さらに複雑な形状であっても均一に洗浄できる点です。一方デメリットとして、金属光沢を出すことができないことや、バリや比較的大きく深い傷を除去することができない点になります。
ステンレスはクロム酸化法や硫化法、またアルカリ溶液高温着色法などの化学的方法により黒染め表面処理することができます。黒染め表面処理したステンレスの特徴は、通常の不働態被膜よりも優れた耐食性と耐熱性、耐摩耗性になります。また反射を抑えることができることから光学機器等の部品や、装飾としても利用されています。
黒染により形成する表面層は、1~2μmの四酸化三鉄(Fe3O4)でステンレス鋼の不働態被膜よりも厚いことが特徴です。また素地との密着性にも優れているため加工による剥離にも強く、膜形成による寸法の変化も小さいことからそのままでも精度の高い加工を実現できるメリットもあります。
参考文献
https://www.suenami-ind.com/knowledge/
https://www.suenami-ind.com/knowledge/%E9%85%B8%E6%B4%97%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%AF/
http://www.hikifune.com/report/detail.php?id=83
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社中野科学 | 10.6% |
2 | 株式会社ヤマヒロ | 10.6% |
3 | 株式会社ケミカル山本 | 8.5% |
4 | 新家工業株式会社 | 8.5% |
5 | 株式会社MCシステムズ | 6.4% |
6 | 株式会社テーエム | 6.4% |
7 | オロル株式会社 | 6.4% |
8 | 中日クラフト株式会社 | 4.3% |
9 | 茨城プレイティング工業株式会社 | 4.3% |
10 | 長泉パーカライジング株式会社 | 4.3% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のステンレス表面処理ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
ケミカル山本によるステンレスの電解研磨工法【NETIS登録製品】は、電解研磨法を用いて溶接焼けを除去すると同時に不動態化を行うステンレス表面処理です。溶接焼け対策だけでなく、六価クロムや錆・有害ガスの除去など、ステンレス素材の使用時に生じるさまざまな課題の解決に利用されています。
電解処理の試験では、SUS304・SUS316・SUS430などに同社の処理を施すことで、耐応力腐食割れ性が大きく向上することが確認されています。
新家工業による表面処理技術(BEP工法)は、電解研磨をベースとした処理であるBEP工法を用いて素材の耐食性を向上させるステンレス表面処理です。通常の電解研磨やバフ研磨に比べ、指紋が目立ちにくい・質感に温かみがあるといった特徴を持ちます。
ステンレスの含有成分のうちクロムをステンレス表面に露出させることで酸化被膜を形成しており、厳しい条件の塩水噴霧試験においても錆がほとんど生じません。
油を使用する圧延やプレスなどの工程において金属内部に油が入り込んだ場合でも、ステンレス表面の加工変質層ごと油を取り除き、徹底的に脱脂を行うことができます。
表面改質処理 Hi-NiTo(R)は、ステンレス鋼の耐食性と硬度を高めることができるステンレス表面処理です。一般的な窒化処理では窒素の拡散が遅いという課題がありましたが、1000℃以上の高温処理によって拡散を早め、最大1.5mm程の厚い硬化層を形成できます。
母材に窒素を浸透・固溶させることで耐食性を向上させているため、メッキやコーティングのように剥がれて性能が低下するといった心配がありません。また電解研磨など素材本来の耐食性を発揮させる目的で行われる処理と異なり、ステンレス鋼に素材以上の耐食性を付与できることも特徴的です。
サン工業によるステンレス電解研磨は、オーステナイト系やフェライト系のステンレス素材に適したステンレス表面処理です。電気特性や物理特性をうまく利用して、表面の凹凸を除去して表面に光沢を出したり、加工の際に生じたバリやエッジの処理を行ったりといった目的で使用できます。
電解研磨ではステンレス表面のクロム比率を増加することで耐食性を向上させられるため、腐食対策に最適です。具体的な応用例としては、医療用ピンセットの長寿命化に利用された事例が挙げられます。
サカモト工業による電解研磨は、主にオーステナイト系ステンレス素材を用いたネジ・部品に用いられているステンレス表面処理です。
電解研磨では研磨したい対象物を電解液中に入れて電流を流すことで、電解反応において対象物が陽極となり表面が溶解します。この溶解によって表面を平滑化し、微細な凹凸を取り除いたり、光沢を出したりすることが可能です。
スケールが生じている製品については通常電解処理が困難ですが、同社では蓄積してきた酸洗浄の技術を活かしてこうした製品の処理も対応しています。