ステンレス表面処理についての概要、用途、原理などをご説明します。また、ステンレス表面処理のメーカー29社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ステンレス表面処理関連企業の2023年1月注目ランキングは1位:株式会社フジフレックス、2位:株式会社ヤマヒロ、3位:新家工業株式会社となっています。
ステンレス表面処理とは、ステンレスが持つ不動態被膜という被膜を形成する特性を活かした表面処理のことです。ステンレス鋼は鉄を主成分として、11%以上のクロムを含有した合金鋼のことです。ステンレスの不動態被膜は酸化することがないので、金属内部の腐食も発生しません。
英語で錆はステン ( stain ) と表記され、ステン ( 錆 ) が生じない鋼として、ステンレス ( stainless ) と呼ばれています。
ステンレスは錆びにくいだけでなく強度も強い材料です。表面加工処理をすることにより、さまざまな分野に使用されています。
ステンレスは塗装やコーティングなどで表面を覆わなくても、錆びずに金属の光沢を保つことができます。金属の光沢を活かしたい装飾部分によく用いられます。自動車の内装部品や、家電製品でも、金属光沢を必要とする装飾で使われています。
そのほかには厨房機器、クリーンルーム、工場内で製品の搬送を行う装置のガイド部品、食品や医療品といった衛生面が重視される製品の搬送シュートやホッパーでも、ステンレスの表面処理を活かした製品が広く使われています。
ステンレスが金属光沢を残したままの表面処理ができるのは、ステンレスが不動態被膜を形成し、自ら錆の発生を抑える効果を発揮するからです。ここではステンレスの不動態被膜について説明します。
まずステンレス鋼の主成分である鉄は、大気中において酸化することによって錆を生じます。錆が進行すると鉄自体がボロボロと分解してしまいます。
ところが鉄にクロムを混ぜると、鉄よりもクロムが酸化します。表面のクロムが鉄よりも先に酸化することによって、酸化被膜が形成されます。これがステンレスの不動態被膜です。特にクロムの含有量が11%を超えると、鉄はほとんど錆びなくなります。
ステンレスの不動態被膜は表面にキズがついても、すぐに不動態被膜が形成されます。不動態被膜の再生が妨げられない限り、ステンレス鋼が錆を発生することはありません。
表面処理方法には、さまざまな種類があります。以下によく使われている表面処理を紹介します。
ステンレス表面についた酸化スケールを除去したのものです。表面の状態は光沢がなく、銀白色をしています。
熱処理・酸洗を行い、つや消しの仕上げを行ったものです。
No.2D仕上げ材に光沢を与えたものです。表面は滑らかになっており、少しだけ光沢もあります。
冷間圧延後、光輝熱処理を行った表面処理の事です。鏡面に近い処理になっています。
No.2B材をさらに研磨処理したものです。No2B材よりも光沢があることが特徴になっています。
スクラッチ線を縦模様につけて表面仕上げしたものです。建材によく使用される表面処理方法です。
#400仕上げよりも細かい研磨で仕上げ処理をしたものです。準鏡面仕上げとも呼ばれています。鏡面仕上げよりも、細かいキズが残っていることが特徴です。
鏡面仕上げの事を指します。表面はキズひとつなくピカピカな仕上げになります。
酸洗いはステンレスを硫酸や塩酸などの強酸に浸すことで表面を洗浄する作業で「不純物の除去」「耐食性の向上」を目的に行われます。
「不純物の除去」を目的とした酸洗いでは、熱処理時に生じた焼けや黒皮、在庫保管時などにできる錆や微細な傷、加工工程でできたバリや切削油などを除去します。これにより表面状態が綺麗になり、また適度な凹凸が表面につくことで下地として仕上がり、その後のステンレス表面処理の品質が向上します。
「耐食性の向上」を目的とした酸洗いは、一度形成したステンレス表面の不働態被膜を除去し、改めて綺麗なものを形成させるために行われます。ステンレスはそのままの状態でも不働態被膜が形成されますが、熱処理や機械加工、運搬や保管で被膜が破壊されたりすることで耐食性が低下しています。このため、酸洗いにより耐食性の劣化した不働態被膜を除去し、再度ステンレス表面に綺麗な不働態被膜を形成させます。
ステンレスはクロム酸化法や硫化法、またアルカリ溶液高温着色法などの化学的方法により黒染め表面処理することができます。ステンレスの黒染めによる表面処理は、通常の不働態被膜よりも優れた耐食性と耐熱性、耐摩耗性が得られます。また反射を抑えることができることから、光学機器等の部品や、装飾としても利用されています。
参考文献
https://www.suenami-ind.com/knowledge/
https://www.suenami-ind.com/knowledge/%E9%85%B8%E6%B4%97%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%AF/
http://www.hikifune.com/report/detail.php?id=83
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企業の並び替え
2023年1月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社フジフレックス | 16.4% |
2 | 株式会社ヤマヒロ | 6% |
3 | 新家工業株式会社 | 6% |
4 | サカモト工業株式会社 | 6% |
5 | タキゲン製造株式会社 | 6% |
6 | エア・ブラウン株式会社 | 6% |
7 | 茨城プレイティング工業株式会社 | 4.5% |
8 | 株式会社ケミカル山本 | 4.5% |
9 | 株式会社中野科学 | 4.5% |
10 | 株式会社野村鍍金 | 3% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年1月のステンレス表面処理ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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ケミカル山本によるステンレスの電解研磨工法【NETIS登録製品】は、電解研磨法を用いて溶接焼けを除去すると同時に不動態化を行うステンレス表面処理です。溶接焼け対策だけでなく、六価クロムや錆・有害ガスの除去など、ステンレス素材の使用時に生じるさまざまな課題の解決に利用されています。
電解処理の試験では、SUS304・SUS316・SUS430などに同社の処理を施すことで、耐応力腐食割れ性が大きく向上することが確認されています。
新家工業による表面処理技術(BEP工法)は、電解研磨をベースとした処理であるBEP工法を用いて素材の耐食性を向上させるステンレス表面処理です。通常の電解研磨やバフ研磨に比べ、指紋が目立ちにくい・質感に温かみがあるといった特徴を持ちます。
ステンレスの含有成分のうちクロムをステンレス表面に露出させることで酸化被膜を形成しており、厳しい条件の塩水噴霧試験においても錆がほとんど生じません。
油を使用する圧延やプレスなどの工程において金属内部に油が入り込んだ場合でも、ステンレス表面の加工変質層ごと油を取り除き、徹底的に脱脂を行うことができます。
表面改質処理 Hi-NiTo(R)は、ステンレス鋼の耐食性と硬度を高めることができるステンレス表面処理です。一般的な窒化処理では窒素の拡散が遅いという課題がありましたが、1000℃以上の高温処理によって拡散を早め、最大1.5mm程の厚い硬化層を形成できます。
母材に窒素を浸透・固溶させることで耐食性を向上させているため、メッキやコーティングのように剥がれて性能が低下するといった心配がありません。また電解研磨など素材本来の耐食性を発揮させる目的で行われる処理と異なり、ステンレス鋼に素材以上の耐食性を付与できることも特徴的です。
サン工業によるステンレス電解研磨は、オーステナイト系やフェライト系のステンレス素材に適したステンレス表面処理です。電気特性や物理特性をうまく利用して、表面の凹凸を除去して表面に光沢を出したり、加工の際に生じたバリやエッジの処理を行ったりといった目的で使用できます。
電解研磨ではステンレス表面のクロム比率を増加することで耐食性を向上させられるため、腐食対策に最適です。具体的な応用例としては、医療用ピンセットの長寿命化に利用された事例が挙げられます。
サカモト工業による電解研磨は、主にオーステナイト系ステンレス素材を用いたネジ・部品に用いられているステンレス表面処理です。
電解研磨では研磨したい対象物を電解液中に入れて電流を流すことで、電解反応において対象物が陽極となり表面が溶解します。この溶解によって表面を平滑化し、微細な凹凸を取り除いたり、光沢を出したりすることが可能です。
スケールが生じている製品については通常電解処理が困難ですが、同社では蓄積してきた酸洗浄の技術を活かしてこうした製品の処理も対応しています。