DCサーボモータとは
DCサーボモータは、直流電流で動作するサーボモーターです。
サーボモーターは、制御信号に対して正確な動作の再現をするモータのことで、精密機器などに使用されます。DCサーボモータは、モータの回転数や位置を検出して制御するため、エンコーダやレゾルバなどの速度・位置を検出するセンサーとモータが一体になっている製品が一般的です。
DCモータを回転させるためには、ブラシと呼ばれる部品でモータに供給する電流を回転軸に流す必要があるため、ブラシの摩耗による消耗があり、定期的なメンテナンスが必要になります。
DCサーボモータの使用用途
図1. DCサーボモータの使用用途
DCサーボモータは、精密な制御が必要な産業用ロボットなどに多く利用されています。産業用ロボットのロボットコントローラから出される信号を、汎用のモータと比較して素早い応答で回転数やトルクを出力し、ロボットアームなどを精密に動作させるためのアクチュエータとして機能します。
その他にも、ラジコン自動車の舵角駆動、工作機械のXYZ軸駆動、精密機器の位置決め駆動などに利用されています。DCサーボモータの選定は、使用する機器が求める水準の出力・トルク容量や精度、応答速度などに応じて、適切に選定することが大切です。
DCサーボモータの原理
図3. DCサーボモータの原理
DCサーボモータは、「モータ」「エンコーダ」「制御装置」で構成され、永久磁石と2つ以上に分かれた鉄心 (ロータ) と、それぞれの鉄心に巻かれているコイル、コイルに電流を受け渡す電極およびブラシで構成されています。
DCサーボモータの動作原理を、モータとその他の機能に分けて説明します。
1. モータ
モータは、コイルに流れる電流と、永久磁石からの磁界の2つから発生するローレンツ力によって、鉄心を回転させることにより、モータを回転させます。ここで、コイルに電流を流すときに、外部からの直流電流を、ブラシを通じて、鉄心に流し、コイルに伝達します。直接電流をコイルに流すため、ローレンツ力の制御が素早く行え、反応速度が速いことが特徴です。
2. その他の機能
DCサーボモータは外部のコントローラから送信される指令信号によって、指令される目標値になるようにモータを回転させます。モータに付属しているエンコーダからは、速度や位置情報が制御装置に送られ、制御装置はコントローラから送られる指令に対し、エンコーダからの位置・速度情報を元にフィードバック制御を行い、モータの回転速度や回転位置が目標値に近づくように制御します。
DCサーボモータの制御
図3. DCサーボモータの制御
DCサーボモータは、以下の3つの制御が可能です。
1. 位置制御
DCサーボモータにはエンコーダという回転角や位置を検出するセンサが付いていて、回転速度・位置を検知して制御装置へとフィードバックします。そして指令位置に対して位置ズレを検出した場合は、ズレ量に対するゲインをかけて位置補正指令を出し、目的の位置まで移動させ、モータを停止させる精度の高い制御が可能となります。
2. 速度制御
DCモータの速度コントロールはモータに加える電圧を変化させるのが最も簡単で、プラモデルなどに使われる様な小さなDCモータを速度制御するためには、可変抵抗器 (ボリューム) をつないでモータに加える電圧をコントロールすることによって目的とする速度に調整することができます。
DCサーボモータでは可変抵抗器の代わりにサーボアンプに組込まれているIGBTやFET等のパワー半導体で構成したHブリッジを介して、モータに与える電圧をコントロールします。
一方、ACモータの速度コントロールはモータに加える電圧だけでなく、駆動周波数を変える必要があるのですが、DCモータでは電圧を変化させるだけなので、速度制御用の小型モータにおいてはDCモータが広く使われています。
3. トルク制御
DCサーボモーターのトルク制御は電流とトルクが比例関係にあるため、 電流センサや電流シャント抵抗の電圧値から電流を検出し電流指令をフィードバックすることで、トルクを一定値に保つよう電流を制御します。
DCサーボモーターのその他情報
サーボモーターの種類
厳しい環境下でも繰り返し動作するために一般的なモーター以上に耐久性に優れた構造のサーボモーターですが、大きく分けてDCサーボモーターとACサーボモーターの2種類に大別できます。
1. DCサーボモータ
DCサーボモータは直流電源で駆動するサーボモーターで、DCモータの特徴としてACモータに比べて回転の制御が簡単で効率がよく、機械構造も簡単なため安価なことから多種多様な用途で使用されています。しかしDCサーボモータには「ブラシ」という機械式の摩耗部品があり、定期的な交換やメンテナンスが必要な点がデメリットです。
2. ACサーボモータ
ACサーボモータは交流電源で駆動するサーボモーターで、DCモータと比較すると制御が複雑ですが、制御技術の進歩とともに、ロボットの小型・軽量化が進むなど、その実用性の高さから、ほとんどの産業分野の機器類に利用されています。
ACモータの種類として永久磁石を使った同期型 (SM) モータと永久磁石を使わない誘導型 (IM) モータがありますが、現在は同期型モータが主に使用されています。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/55/12/55_12_2215/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/65/3/65_3_464/_pdf
https://jp.aspina-group.com/ja/learning-zone/columns/what-is/004/