リモートIOとは
リモートI/Oとは、工場などの計測装置や入力装置、制御機器などを、遠隔で操作を行うための装置です。
ネットワークを通じて使用するため、煩雑な配線の設定が不要で、長距離のデータ輸送によるノイズの削減に効果があります。人件費の削減や生産の効率性の向上のために、IoTなどを利用した工場の自動化が進んでいる現在では、さまざまな工場で多く使用されている製品になります。
リモートIOの使用用途
リモートI/Oは、さまざまなファクトリーオートメーションを導入している工場の現場で使用されています。工場内で測定や制御が必要な温度や圧力、湿度、電流、電圧などの測定機器がネットワーク通信に対応している場合、制御室などでまとめて管理するのに有用です。
さまざまな計測機器のネットワーク回線に対応している製品も多く発売されており、使用している計測機器のネットワークに応じて、適切に選定する必要があります。
リモートIOの原理
リモートIOは分散型IOとも呼ばれており、工場においてPCやPLCなどのマスタ機器に対して通信で入力信号を受け渡しています。
1. PLC
リモートIOが信号の受け渡しをしているPLCとは「Programmable Logic Controller」の略で、機器や設備の制御に使用するコントローラです。製造業の工場において、ベルトコンベアやセンサーなど、さまざまな機器の稼働の制御を行っています。
2. ネットワーク
リモートIOが使用するネットワークには、PLCを発売しているメーカーが提供しているさまざまな産業用ネットワークに対応している製品が多く発売されています。代表的な産業用ネットワークは、EtherNet/IPやEtherCAT、PROFINET、CC-Link、HLSなどです。
処理装置では、多くの通信を処理しており、CPUを使用して高速で処理できる製品から、CPUなどを使用せずに安価に提供している製品まであります。
リモートIOの構成
リモートI/Oは、ネットワーク通信部、処理装置、1本のケーブルで接続された接続部で構成されています。接続部では、さまざまな接続用の端子が付属されているものが多く、センサーやスイッチ、LEDなどの制御配線を繋げることが可能です。
製品によっては、60個以上の接続部の対応しているものもあります。また、リモートI/Oを並列で接続することも可能で、必要な接続数が1つのリモートI/Oでは不足なときや、新しく配線が必要な電子部品を導入するときは、追加でリモートI/Oを並列で付け加えることで、比較的容易に拡張することができます。ネットワーク通信部では、ネットワークを通じて、制御盤のPLCやDCS、またはその他のリモートI/Oと接続します。
リモートIOのその他情報
1. リモートIO無線
リモートIO無線に関する情報として、リモート、つまり、遠隔操作による機器のIOと呼ばれる入出力 (Input/Output) 通信方法には、機器同士を直接通信線で結線するワイヤード方式の他に、送受信機を機器に内蔵させて、無線で通信するワイヤレス方式があります。ここで、リモートIO無線とは、無線を使ったワイヤレス方式による機器のリモート遠隔操作のことを言います。
ワイヤレス無線による通信方式にもいくつかの種類があり、よく使われている通信方式がWiFiになり、特に最近の家電には多く採用されています。ただし、実際にリモートIOを無線化して使用する場合、工場やビルや特殊な建物等の産業用が多いです。
その高信頼性の要求に対処するため、メーカごとに独自で1G近傍の周波数帯域を使用するケースが多く見受けられます。なお、その適材適所による通信方式の信頼性は、各社のノウハウ次第です。
2. リモートIOイーサネット
リモートIOイーサネットは、リモートIOと言われる電気電子機器の遠隔操作による入出力を行う際に、イーサネットと呼ばれる通信規格を採用したものです。イーサネットとは、情報機器間の通信時に必要になる機能を整理したOSIモデルにて、その物理層からデータリンク層に対する通信プロトコル規格となります。
データリンク層のプロトコルのため、同じネットワークの中にあるデータを確実に転送することが主な役目です。具体的には、イーサネットの役目は同じネットワークの中のイーサネットのインタフェースから他のイーサネットのインタフェースにデータを転送することです。
そして、イーサネットのインタフェースからデータを送り出すには、「0」「1」の各ビットを電気信号から物理信号に変換し、イーサネットのインタフェースを使って受信した物理的な信号を電気的な「0」「1」信号に戻したりします。イーサネット規格では、物理的なプロトコルとして、その物理的な信号変換やケーブル媒体の利用も規格化しています。
3. HLS
HLSとは、デジタルIOを高速に一括で制御できる「1マスタ対複数スレーブ」のネットワークです。1つのマスタICに対し、最大63個のスレーブICが接続可能であり、最大2016点のIOが制御できます。
HLSのマスタICには各スレーブICに対応したIO制御用レジスタと通信制御レジスタ用のメモリを内蔵しています。
参考文献
https://www8.m-system.co.jp/pub/catalog_j/data_pdf/F/500496.pdf
https://www.m-system.co.jp/products/remote.html
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007161039/
https://www.melsc.co.jp/business/wireless/wireless_unit/wireless_unit_index.html
https://www.n-study.com/ethernet/summary-of-ethernet/