ロータリークランプシリンダ

ロータリークランプシリンダとは

工場などでの自動化製造ラインにおいて、ワーク(加工対象物)をクランプ(固定)させて、例えば作業ロボットでのドリル穴あけや、スポット溶接といった作業工程を施したい場合に、よく用いられるのがクランプシリンダという工作機械です。

クランプシリンダは、空気圧ないしは油圧を利用してロッドと呼ばれるシリンダ部を上下ないしは左右に直線運動させることにより、作業工程時にワークをクランプします。

このクランプシリンダのロッドに旋回する回転機構を追加したものをロータリークランプシリンダと呼んでいます。

ロータリークランプシリンダの使用用途

クランプシリンダは自動化された製造ラインの、ワークのクランプに用いられています。

この際クランプしたいのは、機械加工時や溶接加工時のみであり、その前後の搬入搬出の際に、クランプする箇所がワークのラインの流れの邪魔にならないように、省スペース化の実現要求に応えたものがロータリークランプシリンダです。

クランプレバーと呼ばれるアーム箇所が旋回しクランプするために、クランプしていない場合には、ライン上のワークの次の搬入や搬出工程などの流れの邪魔にならず、コンパクトな装置設計が可能であり、自動化ラインの省スペース化が図れます。

ロータリークランプシリンダの原理

ロータリークランプシリンダのロッドの旋回には、一般にロッドに施された溝を利用してカム機構などを活用して回転運動を行います。

自動化ラインのラインの流れに対して左右の2か所に配置してワークをクランプする場合、回転運動をなるべく短時間で行うためには左右のクランプレバーの回転の方向を反対にしたくなりますが、そのような用途に対応した、右回り左回りの各々90度の双回転に対応可能なロータリークランプシリンダが取り扱われています。

クランプシリンダの駆動源には圧縮空気などを用いた空気圧を活用する場合と、油圧の場合がありますが、特に大きなクランプ力が必要な場合には、通常は油圧を用います。

ピストンロッドが旋回しながらストロークするロータリークランプシリンダですが、クランプレバーの旋回途中に同時にクランプするといった同時制御は対応できない機種も多々ありますので、その取扱いには注意が必要です。

また許容できるクランプレバーの長さとクランプ圧力、およびクランプレバーの許容慣性モーメントとピストン速度の間には機種毎にトレードオフの許容可能な相関関係があります。特に慣性モーメントの算出には現場の使い方、クランプレバーの形状や長さ、重量といった各種仕様に依存する点も多いため、事前にメーカーに仕様をよく確認してから使うようにしましょう。

さらに機種によっては横置き動作が可能なものと対応できないものがあります。自動化ラインの全体の装置設計に合わせて機種やメーカーの選定をすることが大切です。

ランナーチャック

ランナーチャックとは

ランナーチャックとは、射出成形機などから成形品を取り出す際に、ランナーを掴んで成形品を金型から取り出すチャックを言います。射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂は、スプルーと呼ばれる金型内の太い通路を通って、ランナーと言われる細い通路から、ゲートと呼ばれる所を通って成形部に送り込まれます。

ランナーチャックは、通常はランナーを掴んで成形品を取り出しますが、成形品自体やスプルーをチャックする場合にも使用されます。

ランナーチャックの使用用途

ランナーチャックは、射出成形機等においてロボットを使用して、成形品の取り出しを行う場合に多く使用されます。成形品の取り出しを自動化する場合は、スライドレールをいくつか組み合わせ、ランナーチャックがレール上を移動できるようにします。

ランナーチャックは、二つの爪状の金具でランナーを挟む方式が多く使われます。電動又は空気圧で駆動します。作動チェックして次のステップに移行するためのセンサーを爪部に付けたタイプが通常使用されます。

ランナーチャックの特徴

成形品を金型から取り出す場合、金型の成形品の入口であるゲートの形状によって、取り出し方法を選択します。ランナーを介さずスプルーを直接成形品の中心のゲートに接続するダイレクトゲート方式では、成形品をチャックするか、又はスプルーをチャックします。ゲート跡が大きく残るため、ゲートカット後の仕上げが必要です。

成形品の側面からランナー経由でゲートに接続する場合は、ランナーチャックを使用して、スプルーをチャックします。成形品にゲート跡が残るため、ゲートカット後の仕上げが必要です。

ランナーの先にトンネル状のゲートを設けるサブマリンゲート方式では、成形品とランナーの両方をチャックします。金型が開いたときにゲートは自動で切断されるので、成形後の処理が不要です。

金型を3枚使用して、成形品とランナーとを分離したピンゲート方式の場合は、成形品をチャックし、ランナーのチャックは必要としない場合もあります。最初の金型分割でピンゲートを含むランナーやスプルーが金型から分離され、次の分割動作で成形品が取り出されます。ゲートは金型の分割で自動的にカットされるので、成形後のゲートカットは不要です。

無給油プレート

無給油プレートとは

工作機械の軸受けプレートの中でも、潤滑油の給油が不要な無給油軸受けのものを、無給油プレートといいます。
往復運動や機械揺れ、および頻繁な起動停止などで、油膜構成が比較的困難な箇所において優れた耐摩耗性を発揮できるプレートです。

丸形のくぼみに固体潤滑剤を埋め込んだタイプや、プレート材料に固体潤滑剤を配合したもの、および完全に無給油対応可能な摩擦係数の少ない材質を軸受けプレートに使用したものがあります。

無給油プレートの使用用途

機械的に、給油が困難な箇所の軸受けや、食品飲料向け機械などにおいて衛生面の理由から油を用いる事ができない箇所の軸受けに使用されるケースが多いです。

また無給油プレートにおいても、潤滑油と併用することでさらに摩擦係数を低減でき、工作機械の高性能化に寄与できます。

さらに通常のプレートと比較しても、給油にかかるコスト、例えばオイルコストや給油部品の機械の諸々の設計コストなどを低減可能なため、その目的から用いられる場合もあります。

無給油プレートの原理

無給油の原理としては、そのプレートの材質に依存しますが、大きく次の三つの手法に大別できます。

はじめによく見られるのは、丸形のくぼみにグラファイトなどの固体潤滑剤を埋め込んだプレートです。このタイプはメーカー推奨の潤滑材を使用することで無給油化を実現しますが、機械への給油設備の追加は不要というメリットがあります。

次にあげられるのは、プレートの金属材料に二硫化モリブデンなどの摩擦係数の小さい物質を配合したり、潤滑剤を配合して形成する手法です。配合によって摩擦係数の小さい軸受けプレートが実現できるために無給化が可能です。複層化によって、表層に潤滑剤を薄層化したものや樹脂系の摩擦係数の小さい材料を塗布したプレートもこの類になります。

最後にあげられるのは、金属ではなく摩擦係数の少ないエンジニアリングプラスチックを無給油プレートとして用いる場合です。この場合の材料には、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)やポリアセタール樹脂などが一般に使用されます。

なお、変わった事例には、通常の軸受けプレートを何らかの理由で無給油化したいという要望に応え、専用メーカーがその加工サービスを請け負っている場合もあります。

リニアストッパー

リニアストッパーとは

リニアストッパーとは、ワークの取り付け台であるワークプレートが、リニアガイドやスライドレールなどのガイドレールから抜け落ちるのを防止したり、ワークプレートの位置決めをするための金具を言います。リニア抜け止めやリニアロックとも呼ばれています。

リニアストッパーの材質は、鋼材ステンレス鋼が使われます。テーブルとストッパー間の衝撃を緩和させるウレタンゴム付きやウレタンゴムボルト付きのストッパーもあります。ストッパー部のボルトなどの材質は、S45Cの鋼材を焼入れして、耐摩耗性を良くしています。

リニアストッパーの使用用途

リニアガイドは正確な直線運動が必要な場合に使われ、リニアストッパーが端部に設置されます。工作機械のテーブル、搬送装置、半導体などの加工や検査テーブルなどに使用され、テーブルの抜け落ちを防止し、位置決めを行います。

近年は鉄道車両やバス、自動ドア、免震装置などの分野でもリニアガイドにリニアストッパーが使われるようになっています。 ​

リニアストッパーのストッパーに、センサー付きを使って、産業機械などの自動制御にも多く使われています。

リニアストッパーの特徴

リニアストッパーには、抜け止め用、位置決め用、及びウレタンゴム・ウレタンボルト付きなどの種類があります。抜け止め用は、ワークプレートのガイドレールからの抜け落ち防止や暴走時のストッパーとして使われます。ストッパーブロックと組み合わせて簡易的な位置決めの用途にもなります。

位置決め用のストッパーは、ストッパーボルトやストッパーブロックなどと組み合わせて、正確な位置調整ができるものです。さらに位置調整精度を上げるには、ボルト付きリニアストッパーとボルト付きストッパーブロックを組み合わせて使用することもあります。

ウレタンゴム・ウレタンボルト付きはワークプレートとストッパーブロックとの金属同士の衝突音を防止するために使用されます。ウレタンボルトはボルトの頭部にウレタンゴムを取り付けたもので、ゴム部分は交換ができます。

この他、コンパクトタイプのリニアストッパーがあります。全体を小型化し、狭隘な所にも取付が可能です。

内径クランプ

内径クランプとは

内径クランプとは、切削加工用治具の一つで、ロケーション用の穴があるワークのセンタリングを行った後、ワークを穴の壁で内側から固定するクランプ治具です。クランプの口金部はいくつかに分割され、クランプ操作で広がってワークの内径を固定します。ワークの内側だけで固定することで、クランプ治具と加工用ツールとの干渉が避けられるので、加工箇所が多いワークや多数個取り加工及び薄肉部品のクランプに適しています。

クランプの駆動方式には、手動式、空圧式、油圧式があり、手軽な手締め式内径クランプが多く使われています。

ワークのロケーション用の穴をクランプに使うので、精度の高い位置決めができます。

内径クランプの使用用途

鋳物部品は外周部の公差が大きいため、位置決め用の穴を利用した内径クランプが多く使用されます。また、ワーク外周部にクランプする所がない場合や機械加工時にクランプ金具が干渉する場合、及び薄肉のワークの場合や多数個取りの専用治具などの場合に内径クランプが使われます。

内径クランプの口金部分を交換して、ワークの外側からもクランプ出来るクランプ製品も出現しています。複雑な形状のワークでも容易にクランプが出来、多数個取りや飛び込み加工に使用すると便利です。

内径クランプの特徴

ワークの上面や側面を加工する場合、垂直方向や水平方向の通常のクランプでは加工ツールがクランプ治具と干渉することがあります。この場合ワークの外面をクランプしない内径クランプを使用すれば、干渉がなくなり外側を自由に加工できます。

生産性を上げるため多数のワークを一度にクランプしたい場合、クランプ治具がスペースを取ってしまうので取付け個数に制約が出ます。コンパクトな内径クランプなら、多数のワークをクランプ出来るので、1回の段取りで連続加工ができます。

薄肉のワークの場合、通常の3つ爪のチャックを使用すると、クランプ力の偏りによってクランプひずみが生ずる場合があります。この場合内径クランプの使用が適しています。内径クランプの口金は細かく分割されており、ワークの内径を均等に押し付けるので、ワークのひずみを最小にすることができます。

内径クランプは、クランプすれば同時にワークの位置決めが精度よくできるメリットがあります。クランプに使用する穴は精度が高く、ねじを締めることで口金のすり割り部が開いて内側からクランプするので、繰り返し位置決めを高精度で行うことができます。

チャージプレートモニタ

チャージプレートモニタとは

チャージプレートモニタとは、イオナイザの除電性能を評価する計測器を言います。静電気をコントロールしたり除電を目的とするイオナイザの性能評価は、国際標準のIEC規格に規定されています。チャージプレートモニタを使用して除電時間とイオンバランスを評価したり、モニターを行います。

チャージプレートモニタには、所定の大きさの金属プレートが付属されており、これに帯電した後、イオナイザを作動させて、静電気の減衰時間を測定します。また、金属プレートを未帯電とし一定時間後の電極の静電位を測定してイオンバランスを評価します。

チャージプレートモニタの使用用途

チャージプレートモニタは、主としてイオナイザの除電性能の測定及び管理に使用されます。目に見えない静電気の電界強度、帯電電位、及び減衰時間を目で見えるように表示できるメリットがあります。

用途例をあげると、半導体や液晶製造装置の放電検出、電子部品の製造及び実装工程での発生個所の特定、静電気除去商品の評価などです。また、電子機器の静電気放電による誤作動判定や製造工程における静電気対策の検証などにも使われます。さらに、工具の電荷減衰測定、半導体収納用ケースやバッグの帯電防止効果の判定などの用途もあります。

チャージプレートモニタの原理

イオナイザは、イオンを発生させ対象物にぶつけることで静電気を除去します。イオナイザの性能評価では、プラスイオンとマイナスイオンの混合比であるイオンバランスの測定が重要です。イオナイザから出てくるイオンの中に、チャージプレートモニタの電気的に絶縁され未帯電の金属プレートを置き、電極の静電位を測定してその極性と静電位がプラスかマイナスか、どのくらいずれているかをを測定します。イオンバランスは0Vがイオナイザの理想的除電性能です。金属プレートは1辺150mm角で20pFの静電容量のものを使用するように定められています。

イオナイザの除電速度の評価は、ディケイタイムと言って、イオナイザが静電容量20pFの帯電電極にためた静電気を中和する時間をチャージプレートモニタで測定します。除電時間の測定は、帯電させた金属プレートの電位が10%に減衰するまでの時間測定で行います。ディケイタイムが短いと除電能力が強力ですが、半導体の場合は濃度の高いイオンによって短時間で除電すると、半導体が破壊されることがあり、注意が必要です。

重量作業台

監修:山金工業株式会社

重量作業台とは

重量作業台

重量作業台とは、天板と脚部によって構成された重荷重用のテーブルです。天板に積載する重量物や、作業によって発生する荷重・衝撃に耐えられる機能を有した製品です。

「重量」の定義は各メーカーによって異なりますが、作業台としては1000kgから3000kg程度までの荷重に耐えられるよう設計されたものを重量作業台とされている場合が多く見られます。

 

ワークテーブルスーパータイプ 固定式画像

重量作業台の使用用途

重量作業台の用途は、主に積載するワークが重量物である場合や、積載するものが重量物ではなくともハンマー等で打撃を与える作業や天板にバイスを取付けて研磨や切削をする作業もあります。

多くの場合、作業により発生する振動が他に影響することを嫌い、安定性を求められる事が多く見られます。また、教育現場での技術系教室でも強度のある作業台として多く採用されています。

ワークテーブルスーパータイプの動画 

重量作業台の原理

重量作業台の構造は天板と天板を支える天枠部材。そして全体を支える脚部(鳥居脚)、及び横揺れを防止するために脚部にはツナギパイプという間口方向に取付ける部材で剛性を保つ構造になっています。

重量作業台の原理としては耐荷重の観点から天板の厚みは作業台の中でも最も厚く、脚部や天枠部材も太くなります。また、豊富なサイズバリエーションを実現させたり、部材ごとの組合せにより多彩な機能構造を可能にする為、さらには輸送コストを抑え大量の在庫ができるようにノックダウン方式(組み立て式構造)がとられており、発送先現地にて組み立てを行います。

その他の重量作業台の情報

天板表面素材の違いによる用途拡大

  • 塩ビシート: パーチクルボードに塩ビシートを貼った天板です。衝撃に強く弾力性がありワークへのキズを防ぎます。
  • メラミン化粧板: メラミン化粧板は硬度があり、芯材はパーチクルボードでしっかり荷重を支えます。表面硬度は8Hです。
  • 積層合板ニス仕上: ニス仕上の積層合板は衝撃に強くバイスも取付けられ重作業に適しています。自然素材の為、天板ごとに色調が若干異なります。

 

本記事は重量作業台を製造・販売する山金工業株式会社株式会社様に監修を頂きました。

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軽量作業台

監修:山金工業株式会社

軽量作業台とは

軽量作業台

軽量作業台とは、天板と脚部によって構成された作業用のテーブルです。一般的な家庭用のダイニングテーブルや応接テーブル、もしくは会社などで使用される会議用のテーブルと異なり外観のデザインよりも天板に積載する物の質量や、作業によって発生する荷重・衝撃に耐えられる機能を優先した製品です。
「軽量」の定義は各メーカーによって異なりますが、作業台としては主に軽量・中量・重量タイプに分類され、積載物の質量が均等静止荷重で100kgから300kg程度までの荷重に耐えられるよう設計されたものを軽量作業台とされている場合が多く見られます。

ワークテーブル150シリーズ固定式画像

 

軽量作業台の使用用途

軽量作業台の用途は、各種製造・梱包・加工機械などがライン上に設置され機械的な加工による工程で必要とされることは少なく、主に作業者の手によって人間の判断や細かな作業や加工を必要とする工程で使用されます。
軽量作業台を使用する目的として以下に使用例の一部を示します。
・<梱包作業>通販企業の出荷現場において棚からピッキングされた商品を発送先別の
ダンボール梱包に詰め込む作業。
・<検品・検査>製品が製造される最終段階の工程で入数確認やサイズ測定、品質的チェ
 ックなどを行う作業。
・<在庫管理>倉庫での棚卸管理をノートパソコンなどで通路を移動しながら行う作業。
・<組立・加工>部品組込み・研磨・穴明け・打ち込み・配線・配色・筆塗装・修正・修理加工などの作業。
・<ラベル貼り・伝票封入>製品へのラベル貼りや取扱説明書・各種案内書・伝票類の同梱作業。

軽量作業台の原理

一般的な作業台の構造は天板と天板を支える天枠部材。そして全体を支える脚部(鳥居脚)、及び横揺れを防止するために脚部にはツナギパイプという間口方向に取付ける部材で剛性を保つ構造になっています。
軽量作業台の原理としては耐荷重の観点から天板の厚みは重量作業台より薄くなり、脚部や天枠部材も重量作業台より細くなります。また、豊富なサイズバリエーションを実現させたり、部材ごとの組合せにより多彩な機能構造を可能にする為、さらには輸送コストを抑え大量の在庫ができるようにノックダウン方式(組み立て式構造)がとられており、発送先現地にて組み立てを行います。

150シリーズ組立て動画 https://youtu.be/B39auCW0xwo

300シリーズ組立て動画 https://youtu.be/R2NNz8KhnIE

天板表面素材の違いによる用途拡大

低圧メラミン化粧板
 パーチクルボードを芯材とし、メラミン含侵シートを熱圧一体成型した化粧板です。表面硬度は7Hです。
・ポリエステル化粧合板
 パーチクルボード芯とペーパーコア芯により非常に軽く移動も苦になりません。表面硬度は3Hです。
・塩ビシート
 パーチクルボードに塩ビシートを貼った天板です。弾力性がありワークへのキズを防ぎます
・メラミン化粧板
 メラミン化粧板は硬度があり、芯材はパーチクルボードやペーパーコア仕様で耐荷重別に様々です。表面硬度は8Hです。
・指紋レスメラミン化粧板
 指紋が目立ちにくく、光の反射を抑え汚れは目立ちにくいです。表面色はブラウンで表面硬度は7Hです。
・ケミテクト
 表面素材のケミテクト(耐薬品性特殊アクリル系樹脂化粧板)は強酸・強アルカリなどの薬品を使う実験台用天板として最適です。表面硬度は4Hです。
・積層合板ニス仕上
 ニス仕上の積層合板は衝撃に強くバイスも取付けられ重作業に適しています。自然素材の為、天板ごとに色調が若干異なります。
・スチール
 粉体塗装を施した金属製天板です。強度は高いですが鋭利なもので引っかくと表面の塗膜にキズが付きますのでご注意ください。
・ステンレス
 SUS304材は耐腐食性、耐薬品性に優れています。表面はヘアライン仕上げで美観に優れます。硬度は高いですが鋭利なもので引っかいたり、積載物のこすれにより細かなキズが付くことがあります。

本記事は軽量作業台を製造・販売する山金工業株式会社株式会社様に監修を頂きました。

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細胞解析

細胞解析とは

細胞解析

細胞を解析する方法にはさまざまなものがあり、細胞の何を知りたいかによって解析の装置や実験の方法を変える必要があります。

たとえば、細胞の数や状態、生存率を顕微鏡やカメラで確認することもその一つです。イメージングと呼ばれることもあります。最近では人工知能を応用したソフトウェアが開発されて、長時間の観察や細胞の計数を自動で測定することが可能になっています。

こうした細胞解析機器の発展により、細胞の移動や分裂、増殖、浸潤や形態変化などを的確に分析することができるようになりました。

昨今の飛躍的な細胞生物学の進歩は、細胞解析技術の革新によってなされてきたともいえます。

細胞解析の使用用途

細胞解析は、臨床や生物学の研究をはじめ、生殖医療の現場や医薬品の開発などに使用されています。なかでもがん細胞の研究は、がんの発現から転写、移動、ネットワークの形成など複雑な相互関係が多岐に渡っており、細胞解析が必要とされています。

細胞解析はさまざまな方法があるので、その目的に合わせて解析の方法を選択します。古くから、細胞の観察に蛍光顕微鏡が利用されてきましたが、観察者が大量の細胞の数を数える方法に限界があったり、人によって見え方に差があるなどの問題がありました。最近では自動で細胞を数えることができる装置が開発されており、研究が発展しています。 

細胞解析の原理

細胞解析には画像による解析が多く利用されています。なかでも細胞の様子がわかりやすい蛍光顕微鏡が一般的で、その原理を紹介します。現在では蛍光顕微鏡だけではなく、カウンタなどの機能を付加した装置が多く利用されています。

蛍光顕微鏡は、サンプルから発せられる特定波長を持つ蛍光を利用して画像を取得します。

光源から発せられた強い光が試料に照射されると、試料の物質ごとに分子が励起され、光源の光とは別の波長を持つ蛍光が発せられます。特定の物質ごとに異なる波長を分析できるので、物質ごとのイメージングを重ねると、より細胞の状態がわかりやすい画像を取得することができます。

例としては、細胞の骨格やミトコンドリアを蛍光物質で染色し、生きた細胞の観察を行うと、分裂期などの変化をカラーでイメージングすることができ、大変見やすい像を得ることができます。

細胞解析のその他情報

細胞解析の方法

1. 顕微鏡/イメージング解析
可視光や近赤外といった幅広い波長を検出できる顕微鏡やカメラを利用することで、細胞の形態や変化をカラーで観察することができます。細胞を生きたまま観察したり、インキュベーター内で長時間観察できる機種もあります。

また、ソフトウェアを利用することで観察だけでなく細胞の画像からその数や形態を分析し、自動で定量化した数値として測定が可能な機種が増えています。

2. フローサイトメーター
主にレーザー光線を利用して、蛍光物質で標識された細胞を流体とともに流しながら、光線の反射や散乱により蛍光をとらえ、細胞の計数や特徴を測定する装置です。複数の種類の細胞が混ざっている場合にも、個別に計数できます。

フローサイトメーターは白血病や悪性リンパ腫の診断や、細胞集団のクラスターの解析などもおこなわれています。フローサイトメーターは細胞一つ一つの蛍光強度を高感度に分析できるものが多く信頼度が高いです。

3. セルアナライザー
フローサイトメーターのうち分析に特化した装置で、スライドに染色した細胞を置き、細胞の数をカウントできます。カウントしづらいとされる末梢血単核球や凝集細胞についても可能な機種もあります。基本的には試料の回収はできない機構です。

4. プレートリーダ
吸光、蛍光を測定することにより細胞の増殖や生存率を見ることができます。

5. 遺伝子導入装置/細胞融合装置
細胞に遺伝子を導入したり、細胞を融合することができます。植物における新しい品種の開発や、遺伝子治療の研究に利用されています。

サーマル サイクラー

サーマル サイクラーとは

サーマルサイクラーのイメージ

図1. サーマルサイクラーのイメージ

サーマルサイクラーとは、PCR法を行う際に利用される装置です。

PCR法は、DNAを増幅する工程において50℃程度から100℃程度まで各工程ごとに適切に温度を管理する必要があります。サーマルサイクラーはPCR中の温度サイクルを管理し、インキュベーターとして温度を維持するために開発された装置です。

サーマルサイクラーの使用用途

サーマルサイクラーは、PCR法における温度管理に利用される装置です。そのため、主にPCRを必要とする場所で使用されています。PCRは特に分子生物学や医学などの分野における研究開発においてよく行われています。

PCRは「Polymerase Chain Reaction」の省略で、目的とするDNAの特定領域を増幅する方法です。サーマルサイクラーが開発される以前は、PCRにおいては一つ1つの工程で恒温槽を用意し、適切な温度に調整して手動で時間を測定していました。

サーマルサイクラーを利用することにより、効率的にPCRを行うことが可能になっています。

サーマルサイクラーの原理

サーマルブロックのイメージ

図2. サーマルブロックのイメージ

サーマルサイクラーには、サーマルブロックと呼ばれるいくつかの穴があいた金属板があります。このいくつかの穴に反応液を入れたチューブを置き、温度管理プログラムを実行すると、金属板の温度がプログラムに合わせて変動し、反応液が温まる仕組みです。

金属板の温度調整には、以前はヒートポンプが利用されたものが多くありました。最近ではペルチェ素子を利用して、電流の向きをコントロールするだけで加熱と冷却をより効率よく温度調整ができる機種が販売されています。

サーマルサイクラーの種類

複数のサーマルブロックを持つサーマルブロックのイメージ

図3. 複数のサーマルブロックを持つサーマルブロックのイメージ (左:蓋付き、右: 蓋なし)

サーマルサイクラーは、製品によってさまざまな特徴を持つサーマルサイクラーが販売されています。選択に当たってはは一般的には、温度管理の精度が高く、サーマルブロックの温度の均一性が高いものが望ましいです。

1. 複数のサーマルブロックを持つサーマルサイクラー

複数のサーマルブロックがあることによって、ブロックごとに独立した温度管理が可能になっています。

2. リアルタイムPCR用サーマルサイクラー

サーマルサイクラーと蛍光検出器がひとつになっている本機種においては、DNAを増幅させながらその蛍光強度を測定し、定量分析を行うことができるためリアルタイムでのPCR分析が可能になっています。

3. ヒートリッド付きサーマルサイクラー

蒸発防止用にサンプルのチューブを押さえつけるようヒートリッドと呼ばれる加熱蓋がついており、95℃程度まで熱せられた反応液が蒸発して濃くならないようにしています。このような機種では、これまで蒸発防止に利用されていたミネラルオイルを反応液に添加する必要がないので、より手間を省くことができます。

サーマルサイクラーのその他情報

1. サーマルサイクラーの制御プログラム

サーマルサイクラーの温度管理プログラムは、簡単に作成・設定できるようなインターフェースが開発されており、サーマルサイクラーを接続したPCやタッチスクリーンから制御できるようになっているものが多いです。

プログラムとして入力するだけで反応液の温度を調節し、時間も測れるようになっているため、サーマルサイクラーを利用することによりサンプルの反応にかかる温度管理を完全に自動化することができます。

2. PCRの概要

PCRは、目的となる対象のDNA配列を増幅して繰り返し伸長させていく生化学的手法です。酵素であるDNAポリメラーゼを用い、試薬を混合して加熱と冷却を繰り返します。この加熱冷却サイクルを繰り返す中で、2本鎖DNAの乖離、プライマーの結合、酵素反応によるDNA合成が行われ、目的とするDNA領域が指数関数的に増幅します。

それぞれの具体的な工程である、熱変性、アニーリング、伸長反応では、それぞれ50℃~100℃程度の適切な温度管理が必要です。サーマルサイクラーを用いることで手間のかかる温度調節が自動化され、PCR分析は飛躍的に効率化されるようになりました。