内径クランプ

内径クランプとは

内径クランプとは、切削加工用治具の一つで、ロケーション用の穴があるワークのセンタリングを行った後、ワークを穴の壁で内側から固定するクランプ治具です。クランプの口金部はいくつかに分割され、クランプ操作で広がってワークの内径を固定します。ワークの内側だけで固定することで、クランプ治具と加工用ツールとの干渉が避けられるので、加工箇所が多いワークや多数個取り加工及び薄肉部品のクランプに適しています。

クランプの駆動方式には、手動式、空圧式、油圧式があり、手軽な手締め式内径クランプが多く使われています。

ワークのロケーション用の穴をクランプに使うので、精度の高い位置決めができます。

内径クランプの使用用途

鋳物部品は外周部の公差が大きいため、位置決め用の穴を利用した内径クランプが多く使用されます。また、ワーク外周部にクランプする所がない場合や機械加工時にクランプ金具が干渉する場合、及び薄肉のワークの場合や多数個取りの専用治具などの場合に内径クランプが使われます。

内径クランプの口金部分を交換して、ワークの外側からもクランプ出来るクランプ製品も出現しています。複雑な形状のワークでも容易にクランプが出来、多数個取りや飛び込み加工に使用すると便利です。

内径クランプの特徴

ワークの上面や側面を加工する場合、垂直方向や水平方向の通常のクランプでは加工ツールがクランプ治具と干渉することがあります。この場合ワークの外面をクランプしない内径クランプを使用すれば、干渉がなくなり外側を自由に加工できます。

生産性を上げるため多数のワークを一度にクランプしたい場合、クランプ治具がスペースを取ってしまうので取付け個数に制約が出ます。コンパクトな内径クランプなら、多数のワークをクランプ出来るので、1回の段取りで連続加工ができます。

薄肉のワークの場合、通常の3つ爪のチャックを使用すると、クランプ力の偏りによってクランプひずみが生ずる場合があります。この場合内径クランプの使用が適しています。内径クランプの口金は細かく分割されており、ワークの内径を均等に押し付けるので、ワークのひずみを最小にすることができます。

内径クランプは、クランプすれば同時にワークの位置決めが精度よくできるメリットがあります。クランプに使用する穴は精度が高く、ねじを締めることで口金のすり割り部が開いて内側からクランプするので、繰り返し位置決めを高精度で行うことができます。

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