無給油プレートとは
無給油プレートとは、工作機械の軸受けプレートの中でも潤滑油の給油が不要な無給油軸受けのプレートです。
往復運動や機械揺れ、頻繁な起動停止などで油膜構成が比較的困難な箇所において、優れた耐摩耗性を発揮します。丸形のくぼみに固体潤滑剤を埋め込んだタイプやプレート材料に固体潤滑剤を配合したもの、完全に無給油対応可能な摩擦係数の少ない材質を軸受けプレートに使用したものがあります。
無給油プレートの使用用途
無給油プレートは、機械的に給油が困難な箇所の軸受けや、飲料向け機械など衛生面の理由から油を用いることができない箇所の軸受けに使用されるケースが多いです。
無給油プレートは潤滑油と併用することでさらに摩擦係数を低減できるため、工作機械の高性能化に寄与できます。また通常のプレートと比較しても、給油にかかるコスト、例えばオイルコストや給油部品の機械の諸々の設計コストなどを減らすことが可能なため、コスト削減の目的から用いられる場合もあります。
無給油プレートの原理
回転軸や摺動動作する機構を有する工作機械は一般に、内部の部品間の摺動動力箇所の摩擦による発熱や接触面の金属摩耗により、長期間動作時にはその動力部の動作品質が保てなくなります。そのため部品間が接触する稼働部には摩擦係数を削減し、金属摩耗や発熱を抑制する目的で潤滑油を定期的に給油します。
しかし、食品加工など衛生面の理由で油の拡散や飛散を極力抑制したい場合や、工作機械の機構上給油そのものが困難な箇所もあります。こうした場合に、潤滑油の給油と同じ効果が期待できる無給油プレートが使用されます。
無給油プレートの種類
無給油プレートの代表的な種類を以下で解説します。
1. 個体潤滑剤埋め込み型
最も良く使われているタイプのプレートであり、プレート内部に複数の円柱型の空洞の加工処理や円柱のプレートに潤滑材用の溝が施されています。使用者はこの空洞にオイルスティックやオイルポリマーと呼ばれる固形の潤滑油の塊を入れて、工作機械を動作します。
主材料は金属なので強度面で優れており、材質も銅や黒鉛鋳鉄等各種金属がその使用用途に応じて使われています。
2. 材料配合型
比較的摩擦係数の少ない金属材料に、二硫化モリブデンなどの摩擦係数の小さい物質や潤滑剤を配合して形成されたプレートです。グラファイトを銅合金に埋め込んでいるタイプもあります。
3. 樹脂型
金属ではなく樹脂材料を用いたプレートです。エンジニアリングプラスチックや各種個体潤滑油が配合された高機能樹脂を用いており、優れた無給油摩擦レス特性を得ながら強度も確保された部品です。
金属に比べて軽量であるため低荷重動作に適しており、また薬品にも強いという特徴があります。
無給油プレートのその他情報
1. 請負型の無給油プレート
使用している工作機械のプレートに穴をあけて、機械加工条件に適した無給油潤滑材を提供してくれるメーカーが存在します。こうしたメーカーにより無給油プレートが提供されています。設計加工を請け負っているメーカーであり、技術的なノウハウ含めてのサポートが期待可能です。
2. 無給油ブッシュ
無給油プレートと似た用途の製品に無給油ブッシュがあります。プレートは工作機械の軸受け部品を指しますが、この中でもブッシュは部品間の隙間を埋める働きをします。
通常のブッシュは円筒形の形状であり、軸や筒状の部品に埋め込むことで機能します。その部品間の摩擦を削減する目的で無給油ブッシュが使用され、機構の保護や摩耗故障の防止に役立っています。