無給油プレートとは
工作機械の軸受けプレートの中でも、潤滑油の給油が不要な無給油軸受けのものを、無給油プレートといいます。
往復運動や機械揺れ、および頻繁な起動停止などで、油膜構成が比較的困難な箇所において優れた耐摩耗性を発揮できるプレートです。
丸形のくぼみに固体潤滑剤を埋め込んだタイプや、プレート材料に固体潤滑剤を配合したもの、および完全に無給油対応可能な摩擦係数の少ない材質を軸受けプレートに使用したものがあります。
無給油プレートの使用用途
機械的に、給油が困難な箇所の軸受けや、食品飲料向け機械などにおいて衛生面の理由から油を用いる事ができない箇所の軸受けに使用されるケースが多いです。
また無給油プレートにおいても、潤滑油と併用することでさらに摩擦係数を低減でき、工作機械の高性能化に寄与できます。
さらに通常のプレートと比較しても、給油にかかるコスト、例えばオイルコストや給油部品の機械の諸々の設計コストなどを低減可能なため、その目的から用いられる場合もあります。
無給油プレートの原理
無給油の原理としては、そのプレートの材質に依存しますが、大きく次の三つの手法に大別できます。
はじめによく見られるのは、丸形のくぼみにグラファイトなどの固体潤滑剤を埋め込んだプレートです。このタイプはメーカー推奨の潤滑材を使用することで無給油化を実現しますが、機械への給油設備の追加は不要というメリットがあります。
次にあげられるのは、プレートの金属材料に二硫化モリブデンなどの摩擦係数の小さい物質を配合したり、潤滑剤を配合して形成する手法です。配合によって摩擦係数の小さい軸受けプレートが実現できるために無給化が可能です。複層化によって、表層に潤滑剤を薄層化したものや樹脂系の摩擦係数の小さい材料を塗布したプレートもこの類になります。
最後にあげられるのは、金属ではなく摩擦係数の少ないエンジニアリングプラスチックを無給油プレートとして用いる場合です。この場合の材料には、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)やポリアセタール樹脂などが一般に使用されます。
なお、変わった事例には、通常の軸受けプレートを何らかの理由で無給油化したいという要望に応え、専用メーカーがその加工サービスを請け負っている場合もあります。