電子サイン

電子サインとは

電子サイン

電子サインとは、電子形式の文章やフォームに対する同意、または承認の意思を法的に有効な形で記録するための仕組みです。つまり、オンライン上で作成された書面にペンなどを使用してサインすることで、電子的なデータとして保存が可能であることを意味しています。

電子サインの使用用途

電子サインは、契約書類以外にも様々な場面で使用されます。一例として、社内稟議を確認した後の承認印や、請求書・見積書に対する押印の代替も可能です。

また、契約書としては、雇用契約書や労務関係の書類、業務委託契約書、秘密保持契約書などにも適用されます。合併契約書など、会社の運営に関わる書類や金銭借用書にも活用できます。

電子サインを業務に取り入れることで、文書の電子化が可能となり、手渡し回覧を省略しつつ円滑に業務を進行できます。さらに、承認者の執務場所に制限がなくなり、出張時や在宅勤務時でもスムーズな承認が可能です。

電子サインの性質

電子サインはデジタル技術を使用して文書の認証を行うための手法であり、書面のサインと比較して様々なメリットがあります。また、電子署名法や電子取引に関する法律に従った場合、電子サインは物理的な署名と同様に法的効力を持つことがあります。メリットや法的効力についての詳細は下記です。

1. 電子サインのメリット

電子サインのメリットには、コストの削減や業務の効率化、不要な管理スペースの削減などが挙げられます。紙を媒体とした契約書の場合は、契約金額に応じた収入印紙を原本に添付しなければなりません。そして、契約書を郵送する場合には、郵送代などのコストも発生します。

一般的に契約を完結するまでには多くの時間が必要です。契約書は物理的な保管スペースを必要とするため、人件費や賃料が必要となるケースもあります。電子サインを導入することで、これらのコストを削減することが可能です。

2. 電子サインの法的根拠と法的効力

従来は、紙の文書に押印やサインをすることで、法的効力やその文書が原本であることを証明していました。現在は2001年4月1日に施行された電子署名法によって、電子サインの法的な拘束力が認められています。同法では、本人の意思により作成されており、本人性や非改ざん性が担保されているならば、法的に有効であるものと認められます。

電子サインでは真正性を検証する機能として、署名者認証を利用することが多いです。署名者認証は、監査証跡記録やパスワード、ソーシャルID、電話による認証で本人性の確認を行う仕組みです。

電子サインの作り方

電子サインの作り方には、大別して2つの方法があります。

1. PDFツールの活用

PDFツールによって作製可能です。PDFソフト内でデジタルIDを発行し、電子サインを付与したい箇所にデジタルIDを付与することで電子サインとして使用できます。タッチペンなどを使用して記入します。

ただし、信頼性が必要な重要書類に電子サインを付与する場合、デジタルIDを発行している業者に依頼を行い、電子署名IDと電子証明書を発行してもらう必要があります。

2. 電子サインサービスの活用

主にウェブサービス型のツールを使用する方法です。ウェブ上に文章をアップロードして使用します。電子サインを付与する際に、文書の種類に制限がない点が特徴です。

電子サインの使い方

電子サインを使う際は、下記のようなステップを踏む必要があります。

1. 電子サインの導入

電子サインは電子サインサービスなどを活用して導入することが多く、電子サインを付与する書類の種類などついて検討して決定します。一例として、PDFのみに電子サインを付与する場合、PDFリーダを使用して電子サインを運用可能です。多種類の書類に電子サインを付与する場合、ウェブサービス型が有利です。

2. 署名者の決定

文書に電子サインを付与する署名者を指定します。署名者の名前や電子メールアドレスなどを入力して指定する仕組みです。一部のプラットフォームでは、署名者の情報を記したリンクを付与する場合もあります。

3. 文書の保存

署名者が文書に署名した後に、署名済み文書を保存することが必要です。プラットフォームによっては、セキュリティ対策処置などが施されることもあります。保存された文章は電子署名法に基づいて法的効力を有します。

電子サインと電子署名との違い

電子著名とは、公開鍵暗号技術を使用して承認する方法を指します。公開鍵暗号技術とは、情報の送信者と受信者が公開鍵と秘密鍵を使用してデータを安全に送受信するための方法です。この技術を使用することで文章の改ざんを防止することが可能です。

電子サインは公開鍵暗号技術を使用しないで承認する方法を指します。PDFリーダなどを使用して、幅広いユーザーが使用することができます。したがって、厳格さを必要としない用途で用いられることが多いです。

それぞれ、使用場面が異なります。電子サインは少額の契約書や民間の同意書などに使用されます。対して、電子著名は高額の契約書や公的機関との合意書などに使用されます。

注目の電子サイン

様々なメーカーが電子サインサービスを提供していますが、以下は特に注目されている電子サインサービスです。

Foxit eSign (株式会社FoxitJapan)

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Foxit eSignは署名が必要な文書に対して、完全な電子署名ソリューションを提供します。

既存のドキュメントをアップロードしたら、簡単にドラッグ&ドロップで任意の位置に署名欄を作成し、テンプレート化します。次に署名者のメールアドレスを追加してドキュメントの配信を行います。署名用のドキュメントやフォームを送信するためにPCを前にデスクにいる必要はなく、スマートフォン、ラップトップ、タブレットなどのデバイスを利用してe-mailから送信が可能です。

相手先の署名が完了すると、署名されたドキュメントの改ざん防止アーカイブが自動的に作成されます。これらの一連のワークフローは直感的なUIからシステムに不慣れな方でも行え、署名の進行状況も一目で確認することができます。

さらにFoxit eSignの最大の特徴はAPIにより、カスタマイズが可能な点です。完成度の高い電子署名を容易に既存のプラットフォームやWebサイトに簡単に統合することができます。DOC、DOCX、XLSX、XLS、PPT、PPTX、CSV、TXT、RTF、PNGなどのサファイル形式をポートしており、これらのドキュメントをアップロードすると自動的にPDFに変換し、電子署名フローが開始されます。

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電子印鑑

電子印鑑とは

電子印鑑とは従来の手書きによるサイン、印鑑の押印の代わりに電子データに印鑑を押すためのソフトウェアやツールです。ペーパーレス化が進む中で電子署名が法的に認められるようになってきており、最近では企業間の契約でも電子印鑑による手続きが進められることが増えています。

一方で電子印鑑は決裁者、または決裁者が代理押印を認めた方々以外が押印した可能性や、電子データ自体の改ざんなどが行われるリスクがあります。そのため、実際に運用する際はセキュリティ対策、改ざん対策が必要です。そのような対策の例として、電子印鑑使用時の認証機能や押印した印影の識別情報の記録、タイムスタンプの付与などが挙げられます。電子印鑑で押印した文書を公的に有効なものとするためには、2か月以内のタイムスタンプの付与など正当性を保証する処理が必要です。

電子印鑑の作り方

電子印鑑はwordファイルやpdfファイルなどの文書ファイルそれぞれで作成することが可能で、ファイルの種類によっては特別なソフトウェアを用意することなく電子印鑑を押すことも可能です。

Wordファイル

Microsoft Office Wordに搭載された図形作成ツールを用いることで電子印鑑を作ることが可能です。これは縦長の楕円を作成して塗りつぶしなしにしたあとに中心に押印車の名前を入れる方法です。非常に簡便に作ることが可能な一方で、誰でも作成することができるため、改ざんが容易であったり本人ではなくとも押印できてしまうなど、セキュリティ面の課題が多いため公的な場面で使われることはありません。

PDFファイル

PDF形式のファイルを読み取るAdobe Acrobat Readerには電子印鑑機能が備わっています。「スタンプ」のなかで電子印鑑を選択して、名前、所属部署や役職など必要な情報を入力することで作成することができます。wordファイルでの図形作成ツールによる電子印鑑よりはセキュリティ面は優れていますが、それでも改ざん防止が可能であるか、といった課題はあります。

電子印鑑のセキュリティ

電子印鑑は本人が押したものであるか、偽装されたものではないか、など改ざんや不正利用の面で課題があります。もちろん印鑑を実際に紙に押す場合でも、承認者と同じ印鑑を購入してしまえば偽装は容易ですが、紙に押す印鑑の場合はすでに世の中で認められているものであるため、日常的に使われています。一方で電子印鑑は新たに登場したものであるため、世の中に受け入れられるまではセキュリティ面や改ざん防止などが求められます。

例えば上記のWordファイルの図形ツールで作成した電子印鑑、印鑑をスキャナで読みとった画像ファイルを用いた電子印鑑は改ざんや他者の利用が容易です。そのような誰が押印したのか分からないという状態を防ぐために、電子印鑑に認証機能を搭載させて、一つ一つの押印記録に対して識別情報を保存させる仕組みを用いるという方法があります。認証機能と識別情報をつけることで、いつ、誰が押印したか記録されてなりすましを防ぐことができるほか、コピー防止機能もついているため押印した画像を利用されることもありません。

電子印鑑の改ざん防止

電子印鑑を使用する場合における改ざん対策として、タイムスタンプを活用する方法もあります。電子印鑑を押した際にタイムスタンプも記録される状態にした場合、少なくとも押印時点で電子データが実際に存在したこと、存在した電子データの内容を決裁者が確認して押印したことを証明することが可能となります。

また電子印鑑の有効性を法的に保証する際にもタイムスタンプが必要となるときがあります。例えば電子帳簿保存法において電子データを有効化するには履歴が残らない媒体で電子印鑑を用いる場合、2か月以内のタイムスタンプが必要です。今後もペーパーレス化の流れに伴い電子印鑑の普及が進んでいくかと予想されますが、改ざん防止の観点からも電子印鑑の認証、識別情報、タイムスタンプ機能は必要とされると考えられます。

ステンレス板曲げ加工

ステンレス板曲げ加工とはステンレス板曲げ加工

ステンレス板曲げ加工とは、ステンレスの板材を曲げる加工のことです。

ステンレスは、他の金属にはみられない加工の難しさもあり、以前は特殊技能を要する専門性のある作業と位置付けられていましたが、最近では制御技術の向上や過去の経験を蓄積したデータに基づいて加工されています。ステンレス素材そのものも、各種のステンレス板曲げ加工を行えるよう改良が進められています。

ステンレス板曲げ加工の使用用途

ステンレス板曲げ加工は、ステンレスとしての耐食性や美観性が好まれ、産業界から日常品まで広範囲で使用されています。

加工事例は、耐食性を活かした各種製品のケースや部品の取り付け金具、屋外の使用が前提となる建材や屋内の厨房、浴室関連品、さらに自動車やバイクといった輸送関連部品などです。

ステンレス板曲げ加工の種類

ステンレス板曲げ加工は、曲げる面の数により分類されています。

ステンレス板は、所要の大きさに切断加工されたあと、ステンレス板の四面とも曲げ箱状にした箱曲げ、L字型のように1面だけ曲げた1角曲げ (別名L字曲げ) 、コの字に曲げた2角曲げ (コの字曲げ) 、チャンネル曲げ、3面を曲げた3角曲げ、帽子のように一度コの字に曲げた後、さらに曲げるハット型曲げが主なものです。曲げ角度は、直角以外とした角度曲げ (度曲げ ) も行われています。

ステンレス板曲げ加工はベンダーと呼ばれ、工具を使った加工機械ではプレスブレーキ、曲線に曲げることが得意なロールベンダーが使われています。

ステンレス板曲げ加工のその他情報

ステンレス板の種類

ステンレス板は使用目的に合わせて各種の製品が製作されており、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系の3種類があります。

1. マルテンサイト系
高硬度かつもろいという特性から、焼入れ処理を施すことで最高硬度に仕上げた品種です。

2. フェライト系
添加物の調整で熱膨張係数をおさえたり磁性をもたせたいというような特殊用途に使われています。

3. オーステナイト系
SUS304が代表的です。耐食性を一層高めることで、急激な温度変化でも強度が維持されることから、温度環境の厳しい状況で使用される素材として使われています。

せん断加工

せん断加工とは

せん断加工

せん断加工とは、金属を切断するための加工です。

せん断加工はプレス加工の一種であり、目的の形状の輪郭を作り出す場合や金属の切断によって複数のパーツに切り分ける場合でも利用されます。せん断加工には、ブランク加工や穴あけ加工、総穴あけ加工など数多くの種類があります。数ある金属加工の中でも唯一金属を分割する加工です。

せん断加工は、金型を使って金属部品をプレスすることで発生するせん断力を利用して金属を切断します。プレス機と金属との間に発生するせん断力を利用することで、金属を切断し、目的の形状にすることがせん断加工では求められます。

せん断加工の使用用途

せん断加工は、自動車のフレームや部品を形作る際など、基本的な金属加工で幅広く使用されます。例えば、自動車のフレームは、プレス機によって金属にせん断力を加え、金属をせん断することで、大まかな形状が成型されます。

1. 金属の最初の成型

金属の輪郭を成型する加工として、せん断加工の一つであるブランク加工が利用されます。せん断加工の一種であるブランク加工は、あらゆる板金加工の最初に行われる工程です。

家具や建材、機械の部品などの金属製品の製造では、ブランク加工で材料が形作られます。例えば、自動車のフレームの大まかな形状はブランク加工により金属を抜き落とし、成型されています。

目的の形状に金属を加工するためには、まずは大まかな金属の輪郭を形作る必要があり、せん断加工は金属を目的の形状にするためには欠かせない最初の工程です。

2. 金属筐体の成型

金属筐体の成型でもせん断加工が利用されます。ボックスやキャビネットなどの金属筐体を作る場合、曲線で金属板を打ち抜く必要があります。

打ち抜きたい形に合った金型があれば、穴あけ加工によって打ち抜くことができますが、そうでない場合にはニブリングなどの加工が利用されています。

せん断加工の原理

せん断加工は、金属にプレス機などを当てて金属を分割させるために、せん断力を発生させることが基本の原理です。まず、ダイと呼ばれる下側の金型に金属部品をのせ、パンチと呼ばれる上側の金型との間で部品を挟み込み、せん断力を発生させて金属を分割させます。

金属を分割させた際には、バリやソリなどの歪みが発生したり、パーツの一部が割れたりすることがあります。そのため、せん断加工の原理上、精度が低い製品ができる可能性が高いです。

せん断の仕方によって、逆向きのバリを持ったパーツができる場合や同じ向きのバリを持つ場合などがあります。いずれの場合にしても、バリ取りの対策を行わなければ、精度の高い製品を成型することができないため注意が必要です。

せん断加工の種類

せん断加工にはさまざまな種類があります。最も一般的に利用されているせん断加工は、ブランク加工、穴あけ加工、コンパウンド加工の3つです。

1. ブランク加工

プレス加工を行う前に材料となる金属板を切断して、必要な形に加工する作業をブランク加工、できた材料をブランクと呼びます。ブランク加工には切断加工 (シャーリング加工) や分割加工、抜き打ち加工 (パンチング加工) などがあります。制作したいブランクの形状や性質により適した加工方法が異なります。

2. 穴あけ加工

穴あけ加工は、その名の通り金属板に穴を開けるせん断加工です。プレスによって打ち抜かれた部分は、スクラップとして排出されます。金属板をずらしながら複数の穴を開けることで複雑な形の穴をあけることができる「追い抜き加工」と、丸形の金型を使ってより狭いピッチで穴をあける「ニブリング加工」があります。

3. コンパウンド加工

コンパウンド加工は、総打ち抜き加工とも呼ばれます。打ち抜きたい部分に切り込みを入れる工程と打ち抜く工程を同時に行うことができるため、精度の高い部品を効率よく量産することが可能です。しかし、メンテナンスコストが高額であるというデメリットもあります。

アルミ加工

アルミ加工とは

アルミ加工

アルミ加工とは、アルミニウム酸化アルミニウムをボーキサイトから抽出し、電気分解により取り出したもの)を成形加工溶接加工切断加工などの機械加工を行い、製品のための素材を加工することです。

ただし、一般的に、アルミは加工が困難な材料といわれています。また、加工が困難な理由も「①溶接加工、②曲げ加工、③切断加工」で異なっており非常に厄介です。簡単に説明しますと、①成形加工(曲げ加工)では、アルミは、延性を有するため曲げ箇所が伸び、強度低下に陥ってしまします。②溶接加工では、アルミは高融点(2000℃)の酸化被膜を生成するため、溶接難になります。③切断加工では、アルミは、高反射性(鉄、ステンレスと比較してレーザー光の反射率が高い)であるため、レーザー加工が困難です。

アルミ加工の使用用途

アルミ加工の使用用途は、衣食住に係るあらゆるアルミ製品へ利用されています。アルミ製品例として、航空機やロケット、自動車、飲料缶、建築物、LNGタンク、スマホやタブレット、食料、医薬品です。アルミの特徴として、以下のようなものがあります。

メリット

  • 非常に軽い(軽量化)です。
  • 強度が高い(費用対効果あり)です。
  • 耐食性あり(表面処理により高耐食になる)があります。
  • 加工性に(任意の形状に成形しやすい)富んでいます。
  • 通電性、熱伝導性に(などの高級材料の代替品となる)富んでいます。
  • 再生可能(経済、環境に優しい)です。

デメリット

  • 鉄やSUS材(ステンレス)と比較すると強度が低いです。
  • 材料が軟らかい(傷、へこみがつきやすい)です。
  • 融点が(溶接難であり、要技術力)低いです。

アルミ加工の種類

アルミ加工の原理は、前述の通り、アルミは加工性に富むため、各加工方法によって異なります。ここでは、「成形」「溶接」「切削」「切断」「表面処理」に区別して説明します。

1. 成形加工(圧延加工、曲げ加工など)

圧延加工では、ポンチと金型を使用して、打ち抜きます。 曲げ加工では、いくつかの曲げ方法によって、板、押出材を成形します。鋳造加工ではアルミを溶かして型に流した後に冷やして鋳物にします。プレス機を使用したプレス加工では上下に2枚の刃を用意して切断するせん断加工や容器型に加工する絞り加工があります。またプレス加工でも曲げ型を使用した曲げ加工ができます。

2. 溶接加工

溶接加工では、主にアーク溶接加工を実施します。アーク溶接とは、材料と電極の間にアークを発生させて溶接する方法で、ティグ(TIG)溶接加工とミグ(MIG)溶接加工があります。

3. 切削加工

切削加工では、工具(ドリル、バイト、エンドミルなど)を用いて、工作機械(マシニングセンタフライス盤旋盤など)によって機械加工します。

4. 切断

切断では、専用機械(シャー、丸のこ、帯のこ、ジグソー、NCソーなど)によって加工します。

5. 表面処理

表面処理では、アルマイト加工、やヘアライン加工、塗装が代表的な表面処理方法となります。

除去加工

除去加工とは

除去加工

除去加工とは、金属でできた被加工材の余分な部分を削り、表面を研磨することで形を整える加工のことです。

刃物で被加工材を削る加工や砥石を使って被加工材の表面を研磨する加工などがあります。主な種類には切削加工研削加工、砥粒研磨、放電加工があり、それぞれ加工に使う道具や方法、適する用途が異なります。

精密で正確な加工を行うことができ、同じ加工を大量の製品に効率よく行うことができるというメリットがあります。除去加工は、電化製品や調理器具、精密機械など、さまざまな製品の部品製造で用いられています。

除去加工の種類

除去加工には使用する機械や方法の異なるさまざまな加工方法があります。以下でそれぞれの特徴について説明します。

1. 切削加工 (せっさくかこう)

切削加工とは、刃物を使って金属を削る加工です。

フライス盤を使用してフライスやエンドミルなどの回転する刃物を金属に当てて行うフライス加工旋盤を使用してやバイトと呼ばれる固定した刃に回転する金属を当てて行う旋削加工、ドリルを使って金属に穴を開ける穴あけ加工などがあります。

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2. 研削加工 (けんさくかこう)

研削加工とは、回転する砥石を金属に当てることで金属を削る加工です。

研削加工は、砥石を高速回転させて工作物に押し当てながら工作物の表面を加工します。研削加工の種類としては平面研削盤を使用する平面研削と、円筒研削盤を使用して円筒の工作物の外面を加工する円筒研削、内面研削盤を使用して工作物の内面を研削する内面研削があります。切削加工に比べて長い時間をかけて精度の高い加工を行うことができるという特徴があります。

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3. 砥粒研磨 (とりゅうけんま)

砥粒研磨とは、切削加工や研削加工などによって被加工材の形が整えられた後、表面を研磨して寸法や仕上がりの調整を行う加工です。

砥粒研磨にはホーニング盤を使用して切削油をなどを大量に流しながら、円筒形状の工作物の内面に砥石を押し付け、回転させて研磨するホーニング加工、超仕上げ盤を使用して回転する工作物に砥石を押し当てて工作物の表面を研磨する超仕上げ、ラップ盤を使用して平面台と工作物の間に砥粒を入れてすり動かすことによる摩擦力により工作物の表面を鏡面のように滑らかに仕上げるラップ加工などの種類があります。

4. 放電加工

放電加工とは、被加工材を電解液に浸し、電極と被加工材の間に放電を引き起こすことで、被加工材である金属を溶かす加工です。

1ミクロン単位の非常に高精度な加工が可能で、材料の硬さにかかわらず加工することができます。放電加工のうちワイヤー放電加工ワイヤ放電加工機を使用して細いワイヤー線で放電させ、糸のこのように使いながら工作物をカットします。形掘り放電加工は形掘り放電加工機を使用し、掘る形に製作した電極を工作物に近づけ、放電を引き起こして工作物を溶かしながら掘っていく加工です。

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除去加工の使用用途

除去加工の3つの種類での使用用途は下記になります。

1. 切削加工の使用用途

切削加工では、被加工材の余分な部分を少しずつ削ることができます。複雑な形を作ることができる切削加工は、産業用機械、電気・電子部品、航空機や精密機械などの部品などありとあらゆる製品の製造に用いられています。被加工材の素材は主には金属の加工に用いられていますが、樹脂などの非金属の加工にも用いられています。

2. 研削加工の使用用途

被加工材の表面を精密に削ることができる研削加工は、被加工材の表面を鏡面のようなきれいな仕上がりにすることができます。研削加工の主な使用事例には、油圧シリンダーシャフトの表面加工などがあげられます。とても硬い工作物も加工することができるので半導体関連や電子部品関連で使用されている水晶やサファイアなどの鉱物の加工などにも用いられています。

3. 放電加工の使用用途

最も高精度で表面に微細な加工を施すことができる放電加工は、金型などの特に精度が求められる部品の製造に用いられています。また、切削加工では加工するのが困難なステンレス、、アルミなどの薄板や硬い金属を高い精度で加工するためも用いられています。

プレス加工金型

プレス加工金型とは

プレス加工金型

プレス加工金型とは、プレス加工の際に製品を成形するために使用される器具です。

かみ合うように作られた上型と下型の上下一対となっており上下の金型が合わさったときに欲しい形状が整形できる構造になっています。プレス機にセットすることで使用され、プレス機の圧力を使って被加工金属に対して金型を押し当てることで、被加工金属に塑性変形を起こさせ成型します。

プレス加工金型には、金属の平板を上下一対の金型で挟み込んで成形するダイ (die) と呼ばれるものと溶かした材料を流し込んで使う鋳造用やプラスチック用のモールド (mold) と呼ばれるものなどがあります。

セットして使われるプレス機によっては、手動でプレスを行うものや複数の金型を取り付けることでより複雑な形状の成形を自動で行うことができるものなどがあります。

プレス加工金型で行うことができる曲げ加工せん断加工絞り加工などは、いずれも金属製品の加工に欠かせない重要な加工方法です。それぞれの加工方法に対応したプレス加工金型が存在しており「曲げ型」や「抜き型」「絞り型」などの名前で呼ばれています。

プレス加工金型の使用用途

プレス加工は同じ形の製品を短時間で大量生産することができるため、さまざまな製品の部品を製造するのに利用されています。プレス加工が用いられる製品の例として、自動車やバイク、医療器具などの部品や建設材料など、精密さと効率が求められる製品の製造工程で頻繁に用いられています。

せん断加工や曲げ加工など、プレス加工金型によって行うことができる加工の種類が異なります。

プレス加工金型は、セットしたプレス機の圧力を使って被加工金属に対して金型を押し当てて塑性変形を起こさせることで成形します。セットするプレス機のもつ圧力性能が高いほうが成形自体はしやすいですが、プレス加工効率や設備稼働のための電気代などが高くなってしまうため注意が必要です。

プレス加工金型の原理

プレス加工金型は、欲しい形状に成形ができるようマシニングセンタを使い切削加工したあと熱処理を施して作製します。金型作製にかかる期間は、形状や大きさにもよりますが一般的に3〜6ヶ月程度の期間が必要です。

プレス加工金型に用いられる材料としては、その使用方法から金型に大きな圧力がかかるため靭性の高い合金工具鋼や耐熱性・耐摩耗性に優れている高速度工具鋼が使われています。

プレス加工金型には、プレス加工時の動作によって大きく分けて2種類に分けられますが、分類の定義については明確になっておらず人によって分類の仕方が異なること場合もあるため注意が必要です。

1. ダイ (die) 

ダイ(die)とは、主に金属板の加工に用いられるプレス加工金型のことを指します。

プレス加工時の動作としては、上下の金型を開いて開放した状態で被加工金属を中に入れ、上型を下型へプレスすることで形状を成形します。

2. モールド (mold) 

モールド (mold) とは、主にプラスチックの加工に用いられるプレス加工金型のことを指します。

プレス加工時の動作としては、上下の金型をかみ合わせて閉じた状態で溶かした樹脂を中へ流し込み、冷えて固まった後に金型を開いて取り出します。

プレス加工金型の種類

プレス加工金型には下記のような3種類の仕組みがあります。

1. 単発型

単発型は、1種類のプレス加工を連続して行うことができるプレス金型です。

3種類のプレス金型の中で最も広く用いられています。原則的に人の手で1回1回プレスを行います。1つの金型で1種類の加工しかできないものや、2~3種類の加工ができるものがあります。構造が単純なため金型としてのコストは安い傾向にありますが、手動で加工を行うため効率的ではありません。

2. 順送型

順送型は、複数のプレス加工を1つの金型で行うことができます。

1つの加工が終わった被加工金属を次の金型へ送る機能が搭載されているため、高精度の製品を効率的に作成することができます。順送型のプレス金型は、複雑な構造をしているため、制作期間も長く制作費用も高額です。反面、複雑な形状にも対応することができ、3種類の中で最も素早く加工することができます。

3. トランスファー型

トランスファー型は、各工程を担う単発型金型を並べ、それぞれの間を搬送機構で接続した金型です。

大きな加工に適した単発型と、複数の金型間を自動輸送できる順送型のメリットを併せ持った金型です。搬送機構を設置する必要があるため、制作費用は高額になりがちで加工時間は順送型より遅くなってしまいますが汎用性が高いです。

皿ビス加工

皿ビス加工とは皿ビス加工

皿ビス加工とは、ねじ穴の形状を変化させることで、ねじ頭をねじ穴に収める加工のことです。「ビス」とは小ねじのことで「皿」は、加工されたねじ穴である皿穴のことです。

以下で皿ビス加工の違いについて説明します。

1. 皿ザグリ加工

皿ザグリ加工は、円柱状のねじ頭を持ったねじやボルトを締める穴に用いられる加工です。ねじやボルトを沈み込ませるだけでなく、緩みにくくする効果もあります。

2. 皿モミ加工

皿モミ加工は、金型やドリルを使って円錐状のねじ穴を作る加工です。円錐状のねじ頭を持ったねじを沈み込ませることができます。

3. 皿ビス加工

皿ビス加工という名前は、あまり使われることがありませんが、皿モミ加工や皿ザグリ加工を指して呼ぶことが多いです。

皿ビス加工の使用用途

皿ビス加工を行うメリットは2つあります。一つは、ねじが目立たなくなることで製品の仕上がりが良くなることです。もう一つは、飛び出したねじに衣類の引っかかりやけがの心配がなくなることです。

したがって、皿ビス加工は、製品の目立つ場所や外側のねじ穴によく使われます。具体的には家具製品やバイクなど幅広い場面で用いられています。また、皿ビス加工に必要なドリルは、一万円以内で購入することもできるため、DIYで皿ビス加工が行われることも少なくありません。

皿ビス加工の種類

皿ビス加工には主に3種類の加工方法があります。以下でそれぞれの特徴について説明します。

1. 切削加工

切削による皿ビス加工では、その名の通りねじ穴を削ることで皿型の穴を作ります。切削加工に用いられる道具は、皿ビス加工用の専用ドリルです。ねじ穴を開ける作業と皿ビス加工を同時に行うことができるドリルを使うことで、ねじ穴を開ける手間を省くことが可能です。

切削加工について詳しくみる

2. バーリング加工

バーリング加工は、切削加工と大きく異なり、ねじ穴をプレスすると同時に、皿型の金型を取り付ける加工方法です。プレスによってねじ穴の周囲にフランジという盛り上がった部分を作ることができます。バーリング加工は、薄い材料などに皿ビス加工を行う場合に適しています。

バーリング加工について詳しくみる

3. パンチング加工

パンチング加工は、バーリング加工と同様、プレス加工を利用して皿穴を作る加工方法です。バーリング加工がねじ穴をプレスするのに対し、パンチング加工では板金を皿型にプレスして一気に皿穴を作ることができます。そのため、大量生産に適していますが、バリが発生するというデメリットがあります。

アルミパイプ曲げ加工

アルミパイプ曲げ加工とは

アルミパイプ曲げ加工

アルミパイプ曲げ加工とは、アルミパイプを曲げる加工のことです。

軽くて耐食性にも優れ、加工もしやすいアルミの特性から広い分野で利用されています。目的に合わせた素材の品種や太さのアルミパイプを製造可能です。

アルミパイプ曲げ加工には、ベンダーと呼ばれる専用曲げ工具が使用されます。中空のパイプを扱うため加工の際に、パイプのつぶれや傷に対する配慮が必要なため様々な工夫が必要です。

アルミパイプ曲げ加工の使用用途

アルミパイプ曲げ加工は加工された製品が厨房機器、家電製品、インテリア家具、ゲーム機器をはじめ、自動車部品、建築用資材、医療機器などのアルミの特質が活かせる広範囲の分野に使用されています。

アルミパイプは丸パイプを代表として、角パイプ、扁平管、オーバル管などが各種製作されており、使用目的に合った選定が可能です。

アルミパイプ曲げ加工の原理

アルミパイプ曲げ加工は、圧縮応力、引張応力、最小曲げR、内側曲げRなどの原理が重要です。

圧縮応力とは、圧縮する力に対抗する材料内部の力のことを指します。引張応力は引張力が作業する際に、材料内部に生じる力です。

最小曲げRとは、材料の割れない最小の内側半径値のことを指します。素材の板厚や延伸性で変化します。内側曲げRとは、材料を曲げるときに曲げ位置にかかる半径のことです。小さくすると内側にシワができたり、外側が割れます。

アルミパイプ曲げ加工の種類

アルミパイプ曲げ加工は、曲げたあとの加工方法で分類されています。加工方法は押し曲げ、圧縮曲げ、回転引き曲げ、3次元曲げが一般的です。

1. 押し曲げ

押し曲げは最もシンプルな加工方法で、パイプの両端を固定して曲げ部分に型を押し当てて曲げます。

2. 圧縮曲げ

圧縮曲げには、曲げる加工で使う金型の種類によって主に曲げ型、締付型、圧力型の3種類があります。

3. 回転引き曲げ

回転引き曲げとは、パイプを専用型に引き込みながら曲げる方法です。

4. 3次元曲げ

3次元曲げとは、固定型と可動型の2種類を駆使して曲げていく加工を指します。通常の2次元曲げと異なり、汎用性に優れた加工方法です。

ほかにも、ロール回転曲げや引っ張り曲げなどがあります。ロール回転曲げはパイプを代表として、アルミ押出し材を円形、アーチ状、スパイラル上などに曲げ、引っ張り曲げは放物線や楕円などの曲げに適しています。

アルミパイプ曲げ加工の選び方

アルミパイプ曲げ加工は、加工方法の特性に合わせて選ぶことが大切です。

1. 押し曲げ

押し曲げは、曲げ品質よりも生産性を重視する用途に向いています。現在では現場配管用のハンドツールのほか、特定の形状に限定した専用曲げに用いられます。

2. 圧縮曲げ

圧縮曲げは3種類の曲げ治具のみでも、パイプを容易に曲げられる方法です。マンドレルを使うことなく曲げられ、安くて機械の作業性も良いです。パイプの2か所以上を同時に曲げたり、パイプの切断や曲げの自動加工に使用されます。回転引き曲げは、応用範囲が広い加工方法です。

3. ロール回転曲げ

ロール回転曲げは可動ロールの位置調整によって、自由に曲げ半径が決められ、治具コストを節約できます。一般的に連続曲げや曲げ角度を、2ヶ所以上設定できません。

4. 引っ張り曲げ

引っ張り曲げはロール成形材やアルミサッシュ材などの材料加工が多いです。航空機の機体やエスカレーターのような、高い付加価値のパーツ加工に限定されます。設備コストや専有スペースも非経済的であり、作業性は劣りますが、精密加工が可能です。

アルミパイプ曲げ加工の構造

アルミパイプ曲げ加工は、曲げたあとの最終形状で分類されています。

直角に曲げる基本となる曲げ方はL型曲げです。への字曲げは、90°未満の範囲でへの字に加工します。レ型曲げはV字曲げとも呼ばれ、95~175°程度でレ字に加工する方法です。U字曲げは180°にU字に加工します。コ型曲げはコ字に加工しますが、正確な加工が難しいです。Z字曲げはZ字に加工し、完全なZ字ではない場合もZ字曲げと呼びます。

そのほか、目的に合わせて特殊曲げも行われます。

ポケット加工

ポケット加工とは

ポケット加工

ポケット加工とは、被加工物にポケットと呼ばれる貫通しない程度の深さ・形状の凹みを作る加工のことです。

ポケット加工に使用する機械は、マシニングセンタフライス盤などの切削機械が用いられます。ポケット加工は切削加工の基本で、エンドミルを使った通常の加工では、角に丸みが残らないよう「ヌスミ」と呼ばれる逃げ穴が行われます。

ポケット加工の種類

ポケット加工は、形状による分類と加工方法や手順による分類が行われています。形状による分類は、エンドミルの切削後そのままの角の丸まった形状です。

追加加工では角を直角にする加工やポケットの内部に段差をもうけた加工、ポケット内部を削り残した「シマ残しポケット」加工が行われています。その加工方法としては「ランピング切削」「ヘリカル切削」「突っ込み切削」と呼ばれる加工があります。

ランピング切削とヘリカル切削は、深さ方向へ少しづつ所要の深さまで掘り進めていくもので、深さ方向と直角の平面方向への切削の仕方が異なる加工です。いずれも浅いポケット加工に適しています。

突っ込み切削は、先に所要の深さまで下穴をあけたうえで、下穴にエンドミルを通して平面方向に切削していくもので、小さな形状で深さのあるポケットに使われます。

専用工具を使った加工では、斜めに切削していく加工や、らせん状に切削していくヘリカル切削のように、加工時間の短縮や工具のもちを延ばすため、突っ込み切削が行われています。

ポケット加工のその他情報

ポケット加工の課題

ポケット加工は、ポケットの中に入れる部品によって加工方法が決まります。加工上の課題は、角の形状と深さの加工精度です。角の形状に対する課題のひとつは、入れたい部品の角が直角となっている場合です。

簡便な対策方法は、ヌスミや他の切削加工がありますが、加工に時間がかかります。ポケット加工は材質による影響が少なく、使用工具の選定で回避できることがほとんどです。