PEIとは
PEIとは、ポリエチレンイミンの略称で合成高分子の1種です。
水溶性ポリマーとして合成されることが多く、ほとんどの水溶性ポリマーがアニオン性か中性であるのに対し、PEIはカチオン性の性質を持ち工業用の素材として使用されています。
カチオン性と反応性を利用し、現在でも工業製品に展開するため研究開発や生産がされています。直鎖状PEIと分岐状PEIに分かれ、一方は固体ですがもう一方は液体という性質も持ちます。
PEIの使用用途
1. 電子機器産業
PEIは高い電気絶縁性と耐熱性があり、電子機器産業での利用が多いです。プリント基板、コネクター、ICソケット、電気絶縁パーツなどの製造に適しています。高温環境での安定した性能を発揮し、高い信頼性が求められる電子機器に適しています。
2. 医療機器産業
PEIは生体適合性があり、耐薬品性と耐摩耗性に優れているため、医療機器の製造にも用いられています。外科用具、人工関節、歯科用具、透析フィルターなど、人体との接触がある製品において安全性が重要な場面で利用されています。
3. 航空宇宙産業
航空宇宙産業では、PEIの高い耐熱性と耐薬品性が重宝されています。航空機の構造部品、インテリア部品、配線ハーネスなどに利用され、高い強度と耐久性が求められる航空宇宙分野で重要な役割を果たしています。
4. 自動車産業
自動車産業でもPEIは利用されており、高温エンジン部品、燃料系統の配管、センサーパーツなどに使われています。高い耐熱性と耐薬品性が求められる自動車部品に適しています。
5. 産業機械産業
産業機械の部品としてもPEIの使用が増えています。耐摩耗性に優れており、高い摩擦を受ける部品や耐久性が必要な機械部品に利用されています。
PEIの特徴
PEIは、エチレンイミンを重合すること合成されるポリマーです。通常ポリマーと呼ばれるのは直鎖状の場合が多いのですが、PEIには第1級、2級、3級アミンを含むことが多く、直鎖状PEIに対して分岐状PEIと呼ばれます。
1級、2級のアミンは反応性に富んでいるため、アルデヒドやイソシアネート化合物、酸性ガスとの反応性が高いです。この反応性は酸性ガスやアルデヒドの吸着剤、染料の固着剤に利用されます。
また、カチオン性を持っていることも利点の1つです。水処理場などの汚れ物質はアニオン性のものがあるため凝集剤として働くだけでなく、カチオン性の添加剤を製品中に分散させる働きもします。
PEIは内部に極性基であるアミノ基、疎水基であるエチレン基を有しているので、親水性、疎水性どちらの機能を持つ物質と容易に結合し、接着剤や塗料などに応用されます。
PEIの種類
1. スタンダードPEI
スタンダードPEIは一般的に使用されるタイプであり、優れた耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性を持っています。これらの特性により、電子機器産業や医療機器産業、自動車産業などで広く利用が可能です。また、強度が高く、機械加工や成形加工に適しています。
2. グラスファイバー強化PEI
グラスファイバーをPEIに添加することで、強度や剛性が向上したグラスファイバー強化PEIがあります。高い耐久性と強度を持ち、特に機械部品や構造部品、航空宇宙産業の部品など、耐荷重性が求められる分野で使用されます。
3. 炭素繊維強化PEI
炭素繊維をPEIに配合することで、非常に高い強度と剛性を持った炭素繊維強化PEIが得られます。軽量でありながら優れた強度を持つため、航空宇宙産業や自動車産業で使用される複合材料部品の製造に適しています。
4. 軟質PEI
通常のPEIよりも柔軟性が高い軟質PEIもあります。耐衝撃性に優れ、屈曲性に富むため、配管やチューブなどのフレキシブルな用途に適しています。医療機器や工業用途で、屈曲や曲げが必要な場面で利用できるPEIです。
参考文献
https://www.junsei.co.jp/upfile/topics/21/21-2.pdf
https://www.weblio.jp/