PEI

PEIとは

PEIとは、ポリエチレンイミンの略称で合成高分子の1種です。

水溶性ポリマーとして合成されることが多く、ほとんどの水溶性ポリマーがアニオン性か中性であるのに対し、PEIはカチオン性の性質を持ち工業用の素材として使用されています。

カチオン性と反応性を利用し、現在でも工業製品に展開するため研究開発や生産がされています。直鎖状PEIと分岐状PEIに分かれ、一方は固体ですがもう一方は液体という性質も持ちます。

PEIの使用用途

1. 電子機器産業

PEIは高い電気絶縁性と耐熱性があり、電子機器産業での利用が多いです。プリント基板、コネクター、ICソケット、電気絶縁パーツなどの製造に適しています。高温環境での安定した性能を発揮し、高い信頼性が求められる電子機器に適しています。

2. 医療機器産業

PEIは生体適合性があり、耐薬品性と耐摩耗性に優れているため、医療機器の製造にも用いられています。外科用具、人工関節、歯科用具、透析フィルターなど、人体との接触がある製品において安全性が重要な場面で利用されています。

3. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では、PEIの高い耐熱性と耐薬品性が重宝されています。航空機の構造部品、インテリア部品、配線ハーネスなどに利用され、高い強度と耐久性が求められる航空宇宙分野で重要な役割を果たしています。

4. 自動車産業

自動車産業でもPEIは利用されており、高温エンジン部品、燃料系統の配管、センサーパーツなどに使われています。高い耐熱性と耐薬品性が求められる自動車部品に適しています。

5. 産業機械産業

産業機械の部品としてもPEIの使用が増えています。耐摩耗性に優れており、高い摩擦を受ける部品や耐久性が必要な機械部品に利用されています。

PEIの特徴

PEIは、エチレンイミンを重合すること合成されるポリマーです。通常ポリマーと呼ばれるのは直鎖状の場合が多いのですが、PEIには第1級、2級、3級アミンを含むことが多く、直鎖状PEIに対して分岐状PEIと呼ばれます。

1級、2級のアミンは反応性に富んでいるため、アルデヒドやイソシアネート化合物、酸性ガスとの反応性が高いです。この反応性は酸性ガスやアルデヒドの吸着剤、染料の固着剤に利用されます。

また、カチオン性を持っていることも利点の1つです。水処理場などの汚れ物質はアニオン性のものがあるため凝集剤として働くだけでなく、カチオン性の添加剤を製品中に分散させる働きもします。

PEIは内部に極性基であるアミノ基、疎水基であるエチレン基を有しているので、親水性、疎水性どちらの機能を持つ物質と容易に結合し、接着剤や塗料などに応用されます。

PEIの種類

1. スタンダードPEI

スタンダードPEIは一般的に使用されるタイプであり、優れた耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性を持っています。これらの特性により、電子機器産業や医療機器産業、自動車産業などで広く利用が可能です。また、強度が高く、機械加工や成形加工に適しています。

2. グラスファイバー強化PEI

グラスファイバーをPEIに添加することで、強度や剛性が向上したグラスファイバー強化PEIがあります。高い耐久性と強度を持ち、特に機械部品や構造部品、航空宇宙産業の部品など、耐荷重性が求められる分野で使用されます。

3. 炭素繊維強化PEI

炭素繊維をPEIに配合することで、非常に高い強度と剛性を持った炭素繊維強化PEIが得られます。軽量でありながら優れた強度を持つため、航空宇宙産業や自動車産業で使用される複合材料部品の製造に適しています。

4. 軟質PEI

通常のPEIよりも柔軟性が高い軟質PEIもあります。耐衝撃性に優れ、屈曲性に富むため、配管やチューブなどのフレキシブルな用途に適しています。医療機器や工業用途で、屈曲や曲げが必要な場面で利用できるPEIです。

参考文献
https://www.junsei.co.jp/upfile/topics/21/21-2.pdf
https://www.weblio.jp/

アイドラー

アイドラーとは

アイドラー

アイドラー (英: idler) とは、チェーンやベルトによる動力伝達に使用する円筒形の回転体です。

機械要素部品の1つで、英語で「遊んでいるもの」を意味します。チェーンやベルトを案内して伸びを吸収し、張力を適切に維持するなどの目的で使用されます。

アイドラーは軸受を有し、チェーンやベルトに従動して回転可能です。外径形状はチェーン用がスプロケットの歯車状であり、Ⅴベルト用がⅤ溝のプーリータイミングベルト用が歯車状、平ベルト用がローラー状、丸ベルト用が円形溝プーリーで作られています。

アイドラーをベルトの歯面側に設置する場合を内側、逆側に設置する場合を外側と呼びます。材料には樹脂製やスチール製、ステンレス製などを使用可能です。

アイドラーの使用用途

アイドラーはチェーン駆動やベルト駆動を継続的に維持させたり、チェーンやベルトの経路位置を変えるために使用されます。チェーンやベルトの張力維持は必須であり、アイドラーによりチェーンやベルトの経路に干渉物を回避させます。チェーンやベルトの巻き付け角を大きくして駆動力を増加させる用途にも利用可能です。

ワーク搬送コンベア同士のつなぎ目に平ベルト従動ローラータイプを使用すると搬送ワークがスムースに通過できます。

アイドラーは、包装機械、食品機械、工作機械、搬送装置などの産業機械、自動車や産業用のエンジン、農業機械などの駆動部に広く使用されています。

アイドラーの原理

アイドラーの役割はチェーンやベルトの張力維持、経路の変更、駆動力の向上、振動・ばたつきの防止、ベルトのスリップ防止、ベルトレイアウトのコンパクト化などです。そのためアイドラーを適切な位置に設置して可変にします。

張力の維持にはアイドラーの位置を手動で移動させる方法と自動で一定の張力を与える方法があります。前者はねじを使ってアイドラーの位置を変える張力調整部品が市販されているため、比較的容易に対処可能です。後者はばね力または油圧により一定の張力を与え、長時間調整が不要です。

ベルトの張りを適正にするには、まず2つの軸の中心間隔と両方のプーリのピッチ円直径から幾何学的にベルト長 (スパン) を計算します。次にスパンからベルトメーカの実験データを使ってスパン中央の適正たわみ量を求めます。そしてスパン、ベルトの総長さ、初張力からスパン中央のたわみ荷重を求め、スパン中央に与えた際に適正たわみ量となるように張りを調整可能です。

アイドラーの構造

アイドラーは内部に転がり軸受が収納されているため、固定軸に対して自由に回転可能です。ベルトの形状に応じた外径形状になっており、アイドラーの外径をベルトの背面に滑らせて用いる際にはアイドラーの外径は平たい面になっています。

アイドラーの配置にはチェーンやベルトの内側または外側に設置する場合があります。外側の場合にはベルトではアイドラーが平面ローラータイプ、チェーンではスプロケットタイプです。

アイドラーの選び方

アイドラーを配置する際の固定法はベルトの動力伝達部品の張力調整機能を付加するかで異なります。張力調整機能が必要な場合にはねじなどの駆動機構でアイドラーを外部から動かす必要がありますが、張力調整機能が必要ない場合には固定機能だけで問題ありません。ベアリングの穴を使ってアイドラーを固定します。

アイドラーには軸受が必要ですが、チェーンやベルトの張力と巻き付け角から軸受にかかるラジアル荷重を求め、適切な寿命が得られる軸受を選定します。使用環境を考慮して軸受のシールやグリースを選び、アライメント公差の検討が必要です。

また両シールタイプのアイドラーは両面のシールによりゴミの侵入を防ぎ、木工機械などの粉塵がある悪環境でも使用可能です。さらに平ベルト従動ローラータイプのアイドラーはワーク搬送コンベアのつなぎ目に適しており、ベルト厚さよりフランジ高さが低く、搬送ワークをローラー上まで通せます。

参考文献
https://www.imao.co.jp/introduce/idle.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0077.html
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/orien-sougou/book/orien-sougou-P1724.pdf

アジャスタボルト

アジャスタボルトとは

アジャスタボルト

アジャスタボルトとは、先端に椀状のベースを付けたボルトです。

機械、作業台、計測器、電気機器などを水平にしたり、傾斜をつけたり、高さを調整する場合に使用します。ボルトのベース側を床面や地面に置き、機器側の脚部に設けたねじ穴にボルトをねじ込んで高さを調整可能です。

アジャスタボルトには標準タイプのほか、ベースにすべり止めのラバータイプ、防振材をつけたボルト、傾斜接地面用の傾斜アジャスタボルト、耐震タイプなどのバリエーションがあります。

アジャスタボルトの使用用途

アジャスタボルトは地面や床面の不均一に対して、事務機器、計測機器、加工機械、家電機器、産業機械、作業台、自動販売機などを水平に設置する用途が大半です。厨房機器では使いやすい高さに調整する際に使用されます。コンベア脚部に付けて傾斜させる設置にも応用されています。

家具などの天板と天井との間に突っ張り棒として使い、地震時の転倒対策が可能です。衣服の収納日用品などに対しても突っ張り棒作用で設置が容易になります。

いずれの場合にも支持する機器の重さに見合うボルトサイズの選定が重要です。

アジャスタボルトの原理

アジャスタボルトはボルトの回転で高さを調整するため、ネジのピッチと回転角で調整量が決まります。ボルトの回転に必要なトルクはねじ面の摩擦係数とボルトに作用する垂直方向の荷重で決定されます。ベースが傾く場所では使用できません。

アジャスタボルトの種類

アジャスタボルトには、重荷重用、アンカー固定用、傾斜用などがあります。

1. 重荷重用

重荷重用は標準的なアジャスタボルトよりも耐荷重が向上しています。受け皿タイプや床への接着面積が広いワイドタイプなどもあります。

重荷重用のアジャスタボルトは、機械設備、制御盤、自動販売機などに使用可能です。

2. アンカー固定用

アンカー固定用は台座部分に穴があり、アンカーで固定できます。施工アンカーを使ってしっかり床面に固定でき、振動による機器などの位置ズレを防止可能です。

3. 傾斜用

傾斜用は土台からボルト部分の傾きを自由に変更できます。可能な角度は製品によって違います。一般的なアジャスタボルトは水平な地面でしか設置できませんが、傾斜用のアジャスタボルトは傾斜がある地面でも機器を設置可能です。

アジャスタボルトの選び方

アジャスタボルトを選ぶ際には、まず利便性からボルト本数を決め、積載質量とボルトの耐荷重からボルトのサイズと材質を選定可能です。

次に床面の状態を考慮してベースを決め、使用環境や耐用年数から材質や表面処理を選びます。計測機器や加工機械などで精密な水平調整が必要な場合には、ねじのピッチが細かい細目ねじのボルトを使用可能です。ボルトの長さは調整量で選定し、さらにボルトの回転に必要なトルクを計算します。地震対策や劣化時の交換方法も考慮する必要があります。

傾斜地に設置する場合にはベースが傾斜可能なタイプを使い、普通タイプは危険です。

アジャスタにはアジャスタボルト以外にも、レベリングブロックがあります。レベリングブロックは二段式や三段式に分類可能です。二段式は低いため据付場所を選びません。三段式には設置面のスライドがないため安定しています。

アジャスタボルトの構造

アジャスタボルトの材質は、鋼、合金鋼ステンレス鋼などです。表面処理には、ニッケルめっき、クロームメッキ、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、6価クロメート、3価クロメートなどが用いられています。とくにステンレス製や表面処理されたアジャスタボルトはサビを避けたい場所に使用可能です。

アジャスタボルトのベースには、振動防止タイプ、床面保護タイプ、すべり止めタイプなどがあります。

ボルトはJIS B1180にサイズ、材質、表面処理などが規格化されていますが、市販品のアジャスタボルトは付属書JAのものが多いため注意が必要です。

参考文献
https://www.nejiya.co.jp/jisb180
https://www.d-ad.tech/howto-example/
https://04510.jp/times/articles/-/1801?page=1
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0300000000/M0311000000/M0311030000/

アセテート

アセテートとは

アセテート

アセテートとは、酢酸セルロースを原料とする人造繊維です。

その歴史は古く、第一次世界大戦後にイギリスで生産が始まり、1950年代に日本での生産がスタートしました。現在、世界で生産されている繊維のうち、アセテートの生産量は約1%と非常に少ないですが、その優れた特徴からスペシャリティ繊維として様々な用途において重宝されています。

高純度の木材パルプ材を原料としたセルロースに酢酸を化学的に結合することで酢酸セルロースにした後、繊維として使用します。アセテートは、天然パルプ材の植物繊維 (セルロース) をもとに合成した繊維を製造するため「半合成繊維」の一種です。

原料が植物由来なので、環境に優しいグリーンな繊維でもあります。

アセテートの使用用途

アセテートは独特の風合いや光沢があり、繊維製品として様々な場面で使用されています。具体的には、服の生地 (和装着物) 、小物類、ネクタイ、カーテン、生地裏地、傘、シャツ等に使われることが多いです。

また、フォーマルウェア等のビジネスウェアやセーター等のカジュアルウェア、レインコート、インテリア関係のファッション雑貨にも使用されています。プリーツ性を活かした婦人服や、独特の光沢感を活かした女性用のチェックブラウス、アセテート生地の光沢を活かしたスカジャン等にも使用されています。

高級衣料アウターとしても人気の素材です。さらに、タバコのフィルターにも用いられています。

アセテートの特徴

アセテートの特徴を長所と短所に分けて解説します。

長所

アセテートの見た目は、絹のように輝く優雅な光沢感を有しているのが特徴です。また、染色性、発色性も優れており、染料によって美しく鮮やかに染め上げることができます。

触感については、高純度のパルプを原料としているため、毛織物のようにふっくらとした肌に優しい自然な質感と風合いを兼ね備えていることや、適度な弾力性を有することが長所として挙げられます。また、絹やレーヨンキュプラと比べて、着心地の良い軽い生地をつくることも可能です。

保温性が高いこと、適度な吸湿性、放湿性、速乾性があり寸法安定性が高いことも特徴です。生地には弾力もあり、シワが寄りにくく、スカートや背広によく使用されています。逆に、アイロン等で熱を加えると生地が柔らかくなり、冷ますとその形状を維持 (プリーツ性) があるため、スカートの折りひだ作りなどにも利用されています。

短所

アセテートの最も大きい欠点として、繊維の機械的強度の低さが挙げられます。実際には、強度の高いポリエステル繊維などと混繊し、強度を補うことも多いです。

アセテートは、生地自体が摩擦や熱に弱いので、アイロンをかける場合は高温をかけ続けて熱変形しないよう、注意を要します。また、水を吸った状態で熱が与えられると失透現象が起きて繊維の色が濁ることもあるので、スチームによる処理や仕上げには向いていません。

アセテートのカラー生地は、自動車の排気ガス (NOX) や石油ストーブの排ガスに当たると、染料の分子が分解することで変色する危険性があるため、取り扱いに注意が必要です。その他、マニキュアの除光液やシンナーはアセテート繊維を溶かす可能性があります。アルカリ洗剤もアセテート特有の光沢を消失させてしまうので、洗剤の選択には注意が必要です。

アセテートの種類

アセテートは、ジアセテートとトリアセテートに分類され、このうちジアセテートのことを一般にアセテートと呼んでいます。

1. ジアセテート

ジアセテートは、セルロース中に含まれる水酸基のうち74%以上、 92%未満が酢酸化されています。

2. トリアセテート

トリアセテートは、水酸基の92%以上が酢酸化されています。アセテートとトリアセテートに大きな差はありませんが、トリアセテートはアセテートよりもセルロースと反応して結合する酢酸の数が多いため、吸湿性や吸水性が若干低く、またやや硬い質感になります。

参考文献
https://kawariito.com/material-basic-knowledge
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/66/3/66_3_P_98/_pdf

イメージインテンシファイア

イメージインテンシファイアとは

イメージインテンシファイアとは、ごく微弱な光やX線を検知し、数千~数万倍に増幅することで可視化するデバイスのことをいいます。

その中でもX線を可視化するものを「X線イメージインテンシファイア」、蛍光などの微弱な光を可視化するものを「MCP (Micro Channel Plate) イメージインテンシファイア」と呼びます。

蛍光や夜間の光などは基本的に極めて微弱なため、いったん電子に変換してそれを電気的に増幅することでコントラストをつけて像のように見せることが可能になります。

イメージインテンシファイアの使用用途

医療用のレントゲンにもイメージインテンシファイアは使用されています。X線は放射線の一種のため、人体の被曝量を抑制することが必要ですが、イメージインテンシファイアを使用することによってごく微弱なX線をあてるだけで像として可視化できたり、リアルタイムでX線画像を見ることができるためよく使用されます。

MCPイメージインテンシファイアは細胞内のミトコンドリアを蛍光染色した際の蛍光イメージング医療機器などにも導入されています。

天体望遠鏡でとらえた微弱な天体の像もイメージインテンシファイアで明瞭に観察することができます。

 

イメージインテンシファイアの原理

図1に示すMCPイメージインテンシファイアを例に原理を説明します。

MCPイメージインテンシファイアはセラミックの真空容器の中に光をうけて光電子を発生させる光電面、電子を増幅させるMCP、増幅された電子を映しだす蛍光面 (米国のJEDEC分類名で、P43、P46などがつかわれます。) の3つで構成されています。MCPは光ファイバーの束で構成されることもあり、

図1 MCPイメージインテンシファイアの構造

また、X線イメージインテンシファイアの場合は図2に構造を示すように入力窓 (ホウケイ酸ガラス、アルミニウム、チタニウムなど)からX線を取り入れ、光電面の代わりにCsIなどの微細柱状で形成された入力蛍光面で、X線が先ず蛍光に変換され、光電陰極で蛍光が光電子へ変換されます。さらに電子を加速させ、フォーカス電極と陽極により出力蛍光面 (ZnCSAgなど) に結像させます。この像を出力窓からCCDカメラなどにより電子情報化し、TV画像や、写真に変換します。

図2 X線イメージインテンシファイアの構造

このように、蛍光やX線に合わせたデバイスで電子への変換を行い、増幅させた像を目に見える画像として人は見ています。

MCPイメージインテンシファイアは、光シャッターを付加することで、高速現象の瞬間を捉えることができいます。

図3を用いて光シャッタの動作原理を説明します。

図3 MCPイメージインテンシファイア

光シャッタの動作原理

イメージインテンシファイアのその他情報

(光電面の材料)

MCPイメージインテンシファイアの場合は光の波長によって、量子効率(光子を光電子に変換する効率)の高い材料を選ぶ必要があります。

1. . アルカリ光電面

・CsTe:紫外領域(波長320nm以下)の感度が高い。

・バイアルカリ:紫外領域から可視域まで感度が高い。

・マルチアルカリ:紫外領域から可視域まで感度が高い。

2.結晶光電面

・GaAs:可視域から近赤外領域まで感度が高い。

・GaAsP: 可視域の感度が高い。

参考文献

https://www.matsusada.co.jp/case/ps/image-intensifiers.html
http://plaza.umin.ac.jp/~zen-jun/%E5%85%A8%E5%BE%AA%E9%81%8E%E5%8E%BB/public_html/secret_file/HPkoza_No.1_I..I..pdf

エアーホイスト

エアーホイストとは

エアーホイスト (英: air hoist) とは、ホイストの駆動源に電気モータを使わずにエアーモーター (英: air motor) を使用した荷役用巻上げ機械です。

電気モーターとは違って引火や電源電圧を気にする必要がなく、化学工場など引火性の恐れがある場所でも安心して使えます。圧縮空気を駆動源とし、主に軽量のワークの運搬に使用可能です。押し釦やレバー、引き紐の操作で速度調節できるエアーホイストが多く市販されています。同容量の防爆型電動ホイストに比べて軽量で小型です。

エアーホイストには巻き上げにチェーンを使用するタイプとワイヤーを使用するタイプがあります。一般的にチェーンタイプはワイヤータイプよりワークの質量が大きいものに使用されます。

エアーホイストの使用用途

エアーホイストは駆動に電気を使用しないため、化学プラント、トンネル工事現場、鉱山の坑内、製鉄所などの爆発性雰囲気の場所での使用に向いています。そのほかワークがとくに軽量な場合やスピードが要求される製造ラインで抜群の威力を発揮します。圧縮空気のホースを接続するだけで稼働でき、電動モーターの場合に比べて軽量かつ小型なだけでなく比較的簡易に設置可能です。したがって臨時あるいは仮設の製造ラインにも対応できます。

水平方向の移動が必要な場合には手動のトロリーまたはエアーモーター駆動のトロリーを使用し、各種製品や部品の製造現場での搬送や荷物、治具などの脱着作業に使われます。

エアーホイストの原理

エアーホイストは、エアーモーター、ブレーキ、減速機、制御バルブ、操作器具、安全装置、トロリー装置などで構成されています。

1. エアーモーター

駆動源のエアーモーターにはロータリーベーン式やラジアルピストン式などが使われます。ロータリーベーン式は内径が偏心したシリンダ内にロータがあり、半径方向に移動可能な数枚のベーンが組み込まれ、ベーンが圧力を受けて回転力が得られます。

ラジアルピストン式は星形に配置した数個のシリンダにピストンを組み込んだモーターです。無給油方式のモーターもあり、潤滑油が排気空気中に含まれないためメンテナンスや環境対策が容易で、供給する圧縮空気の圧力は0.4~0.6 MPa程度です。

2. ブレーキ

ブレーキは吊り下げる重さに対して保持するために必要です。エアーモーターの特性を利用したエンジンブレーキや制御バルブと連動したコーンブレーキを組み合わせ、強い制動力を得ています。

3. 減速機

減速機は高速のエアーモーターを巻き上げ機の回転数まで減速するために、小型軽量で減速比が大きい遊星差動歯車が多く使われます。

4. 制御バルブ

制御バルブは直動型のスプール弁を使い、レバー、引き紐などで操作し、無段階に速度調節が可能です。

5. 安全装置

逆巻き防止装置や過負荷停止装置などを備えた製品もあります。

エアーホイストの種類

エアーホイストにはチェーンタイプやワイヤーロープタイプがあります。

1. チェーンタイプ

耐摩耗性や靭性に優れたチェーンを備えています。合金鋼製表面硬化ロードチェーンを採用しており、ロードチェーンを延長できます。

2. ワイヤーロープタイプ

軽量なタイプはワイヤーロープを装備しています。逆巻防止装置付きで、ワイヤーロープが引き抜かれると自動でエアーモーターが停止します。

エアーホイストの選び方

エアーホイストは同容量の電気チェーンブロック (英: Electric Chain Block) よりも小型で軽く、高温、高湿度、爆発性ガス、粉塵爆発雰囲気などの悪条件でも使用可能です。長時間の連続回転やインチング作業でもモーターのコイル焼損の心配がありません。ペンダント式押しボタンの押し加減でスピードを変更でき、作業に合わせて巻上げや巻下げのスピードを制御可能です。機械式ブレーキ構造で耐久性が高く、確実な制動力を得られます。

参考文献
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/air-hoist/index.html
http://sanei-air.com/products/airhoist/

エバポレーター

エバポレーターとは

エバポレーター

エバポレーターとは、蒸発器と言って減圧することにより液体や固体を蒸発させて気体にする装置です。この時の気化熱を利用する場合は熱交換器と呼ばれ、空調装置や冷蔵庫などに使われます。また、溶媒を蒸発させて回収、除去する蒸留装置や、薄膜形成に用いられる真空蒸着装置にも使用されます。

熱交換器としての使用では、冷却される側の媒体は空気、蒸気などの気体、及び水、ブライン、牛乳、油などの液体です。減圧蒸発して気化熱により低温になる側は冷媒、水、溶媒液などであり、両側の媒体間で熱交換が行われます。

エバポレーターの使用用途

エバポレーターは、空調装置などのシステムの一部機器であるので、単独ではなく他機器と組み合わされて使用されます。空調機では、家庭用のエアコン、自動車用エアコン、業務用のエアコンなど室内、車内への冷風吹き出しに使われます。

冷蔵冷凍の分野では、電気冷蔵庫や冷蔵冷凍ショーケース、自動販売機、冷凍車、低温倉庫などの庫内冷却用途があります。産業用では冷水を作るチリングユニットやターボ冷凍機、工作機械などのオイルクーラー、吸収式冷温水機などです。

理化学機器の分野では、溶媒の除去のために用いる蒸留装置があります。装置内を真空ポンプで減圧して溶媒を蒸発させ、その気体を冷却して回収する装置です。また半導体分野では、真空中で金属や金属酸化物などの成膜材料を加熱して、溶融、蒸発、昇華させることで基板の表面に薄膜を形成する真空蒸着装置にも使用されます。

エバポレーターの原理

液体や固体は圧力を下げると、飽和蒸気量が減少し液体が蒸発して気体になる特質があります。この作用を積極的に利用して蒸発させる装置がエバポレーターです。固体の場合は蒸発して昇華します。冷凍・空調の分野では、冷媒と言ってフッ化化合物や炭化水素、水、二酸化炭素アンモニアなどが使われます。

減圧したエバポレーターで液体を蒸発させると、そのままでは圧力が上昇し蒸発が止まってしまいます。継続的に蒸発させるには、圧力を下げる装置に接続し、液体も循環させる必要があります。この装置の例が冷凍空調サイクルです。

例として家庭用の分離型エアコンについて説明すると、室内の壁に取り付けた室内ユニットの中にある熱交換器がエバポレーターです。エバポレーター内部は減圧されて冷媒が蒸発して気化熱を奪います。そして送風機による空気流がエバポレーターで冷却されて冷風となって室内に吹き出されます。室外ユニットには、圧縮機、凝縮器、送風機などがあり、室内ユニットと配管で接続して冷凍空調サイクルを構成します。圧縮機はエバポレーターから蒸発した気体の冷媒を吸い込みエバポレーターを低圧に維持させます。圧縮された冷媒を室外の空気や水を使って冷却すると液体になります。この熱交換器が凝縮器です。液化冷媒がエバポレーターへ循環して蒸発作用が継続されます。エバポレーターの入口には、膨張弁や細径管などの絞り装置を設けて低圧側と高圧側の境界とします。

参考文献
https://www.e-woodbell.com/woodbell-syaken/car-air-conditioner/
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%A8%E3%83%90%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

オイルフィルター

オイルフィルターとは

オイルフィルターとは、エンジンオイル、変速機用オイル、各種機械の潤滑油、油圧機器の作動オイルなどからスラッジや摩耗粉、ゴミなどを取り除くフィルターです。ろ過紙などで作られたエレメントをケースに入れたものがオイルフィルターですが、自動車用品店やカーディーラーではオイルエレメントと呼ばれる事もあります。

エンジンオイルなどは、熱や酸化、スラッジと呼ばれる不純物などによって劣化するので、エンジンなどを摩耗、焼き付きから保護し、性能を維持するためにはオイルフィルターの定期的な交換が必要です。

オイルフィルターの使用用途

オイルフィルターは、ケースにエレメントを組み込んだカートリッジ方式やエレメント自体を機器に組み込む方式などがあり、オイルを使用する機械類には何らかの形で装着されています。

エンジンオイルなどでは、カートリッジタイプを使用して交換が容易になっています。オートマチックトランスミッションや無段変速機では、交換式ATFフィルターが内蔵されています。油圧機器の油圧回路には金属メッシュなどのオイルフィルターを設けており、洗浄することで再利用を可能にしています。

オイルフィルターには、循環するオイルの一部をろ過するバイパス式と全量をろ過するフルフロー式とがあります。最近はフルフロー式がほとんどですが、フルフローフィルターとバイパスフィルターの両方を内蔵したデュアルフィルターが大型のディーゼル機関などに使われています。

オイルフィルターの原理

オイルフィルターは、古くからフィルターエレメントをオイルの回路のどこかに装着するタイプが使われています。定期的にフィルターの交換が必要ですので、その作業性を改善したカートリッジタイプが出現して多くの機器に使用されるようになりました。

カートリッジを使用しないタイプの一つがスクリーン式で、非常に目の細かい金属製のメッシュをオイルパン内に設けたものです。また、ろ紙のフィルターをオイルパン内に内蔵するタイプも使われていますが、いずれもフィルターの交換時はオイルパンの取り外しが必要となります。

カートリッジタイプは、ケースにオイルエレメントを納めて機器の外部に装着し、着脱可能にしたものです。交換時には内部のエレメントを取り換えてケースは再利用されます。さらに、スピンオン式と言ってケース内にろ紙のエレメントとバルブ類をすべて納めたカートリッジタイプで、交換時はカートリッジごと廃棄するものが普及しています。現在最も多く使用されていますが、再利用が出来ないものでオイルの廃棄量も多いので、分解可能でエレメントのみ交換が可能な新型カートリッジ式オイルフィルターが登場しています。

フィルターのエレメントの素材は、ろ紙、合成繊維、金属メッシュなどが使用されます。ろ紙は折りたたみ方により耐圧性に差が出ます。合成繊維をスポンジ状に固めたものは、ろ紙に比べ圧力損失が少なく、耐圧性に優れています。金属メッシュはレーザー加工された医療用のステンレスメッシュを用いており、メッシュを灯油で洗浄すれば再利用ができるメリットがあります。

参考文献
https://www.yellowhat.jp/column/oil/083/index.html
https://www.nitto-kogyo.co.jp/oilfilter.html

カードエッジコネクタ

カードエッジコネクタとは

カードエッジコネクタ

カードエッジコネクタとは、エッジコネクタソケット側へ差し込めるように、ソケット側との接点を持たせたプリント基板の端部のことです。

エッジコネクトソケット自体は「スロット」と呼ばれ、カードエッジコネクタとスロットは凸と凹の関係になっているため、カードエッジコネクタはそれに適合するスロットと対の状態で使用します。

構造としては、プラスチックの箱状のもの片側または両側に多数のピンが並んでおり、ばねで押し付けることでスロットへ押し込むものになっています。

カードエッジコネクタの使用用途

カードエッジコネクタはスロット側とともに様々なサイズ展開がされています。

また、取り付ける側のスロットが1つあるだけで、複数のカードエッジコネクタを取り換えながらつけることが可能なので、コストが低く抑えられ共有できることがメリットとして挙げられます。耐久性も高いので家庭用の機器に使用されることも多いです。

最も身近な使用例はゲーム機のカセットカートリッジになります。カートリッジに同じカードエッジコネクタをつけていることによって1つのゲーム機器で複数のカセットを使用することが可能になります。

カードエッジコネクタの原理

カードエッジコネクタは、コネクタの1種ですが、構造的にはとても単純です。

カードエッジコネクタには色々な種類があり、その構造や使われる部品も色々ありますが、 基本的な構造はどれも同じで、多数のピンが並んでいる「コンタクト」部分とそれを固定する「ハウジング」部分、全体的な箱の役割を持つ「シェル」部分の3つで構成されています。

コンタクト部分は電気を通すピンがたくさん並んでおり、カードエッジコネクタをスロット側に押し付けた時にこのピンから電気が流れるようになっており、接触子の役割を果たしています。

一方で、ハウジングやシェルはコンタクトが組み込まれる本体部分という位置づけですので、通常絶縁体で作られています。これによって一般機器などのように素手で触るシーンが多いものでも漏電の心配がなく安全に使用できます。これらは、カードエッジコネクタの用途や種類に応じてさらに構造が複雑になることもあります。

参考文献
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-connectors/part1-connector-from-the-beginning/basics/structure-and-principle

カスケードポンプ

カスケードポンプとは

カスケードポンプとは、内部の羽根車の外周に放射状の溝 (突起物) を有するポンプのことです。

ポンプ内壁に発生する渦流の圧力と回転による遠心力により、少量の流体を高圧移送できます。カスケードポンプは非容積式ポンプの一種であり、「渦流タービンポンプ」とも呼ばれています。

カスケードポンプは、移送したい液体の流量が少ない場合においても、高圧力を出せることが特徴です。

スケードポンプの使用用途

カスケードポンプの使用用途として、一般家庭用の井戸水の引き上げや医療用の人工透析機器の内部に用いられる脱気用ポンプなどが挙げられます。カスケードポンプは、一般的なポンプである渦巻ポンプと比較して吐出圧が高いので、比較的低い流量を吐出することが可能です。

そのため、粘度の低い液体を押し上げることが得意です。粘度の低い液体として最も身近なものに、水が挙げられます。水は家庭などでもよく使用されますが、一度に大量に使用するものではありません。

そのため、水流量が少なくてもしっかり液体を移送できるカスケードポンプは、井戸水用やフィルタ濾過、細い配管に多くの液体を送る冷温調整向け機器等に用いられます。

カスケードポンプの原理

カスケードポンプは、内部の羽根車の外周にある放射状の溝により、回転する羽根車の押す力と遠心力によって渦を形成し圧力を高めています。これによって、少量の液体を移送する圧力を大きく確保することが可能です。

カスケードポンプの中に入っている羽根車には、無数の小さい突起物 (放射状の溝) が付いています。この小さい突起がついていることにより、通常の羽根車よりも強力な渦を作成できます。また、この羽根が磁石の力で繰り返し回転し、液体が吐き出し口に到達するまでに加圧されることで、強力な圧力となって押し出されます。

さらに、カスケードポンプは吐き出し側のバルブをしぼることでさらなる加圧が可能です。このように、少量でも高圧で液体を押し上げられるカスケードポンプは、一般に使用される羽根車が永久磁石の力をつかって回転しているため、摩耗や電力不足によって回転力が劣らないことも特徴です。

カスケードポンプのその他情報

1. カスケードポンプと渦巻ポンプの違い

カスケードポンプとよく比較されるポンプに渦巻ポンプがあります。非容積式ポンプの一種であり、羽根車 (インペラー) を内部に擁する点も同じですが、外周の放射状の溝 (突起物) の有無に両者の違いがあります。

そのために、カスケードポンプは圧力変化による流動変動が少なく、ポンプの性能指標の一つである予想曲線も渦巻ポンプと比較して、カスケードポンプは小流量時に大揚程を確保可能です。

また、渦巻ポンプでは、多段構成の場合に羽根車の容積が大きくなってしまうために、ポンプそのものが大きくなりやすいのが欠点です。この課題を克服するために、カスケードインペラーを用いたカスケードポンプにその特徴を出すメーカーも存在しています。

2. 人工透析用カスケードポンプ

腎不全患者の人工透析用の医療機器にも、カスケードポンプは活用されています。人工透析用の医療機器においては、透析溶液は体温相当の37degC前後に加温されているため、圧力も陰圧となる場合があります。

この時に脱気されていない透析液を用いると、溶液中の酸素などが過飽和状態となってしまい、気泡発生を誘発してしまいます。この気泡が、透析用の濾過膜に付着すると、人工透析の効率低下を招いてしまい、好ましくありません。

また、気泡が患者の血液側に移動すると危険が生じるため、溶液を陰圧して脱気する際に、高揚程が可能で動作信頼度にも優れるカスケードポンプが広く用いられています。人工透析用の医療機器には脱気のみならず、加圧ポンプを排液側の吸入圧力を一定圧に上昇させる役割を担うべく使用しています。

参考文献
https://speckjapan.com/aboutcent#i-3
https://speckjapan.com/aboutmagnet#i-3
https://speckjapan.com/aboutcasc