エアーホイスト

エアーホイストとは

エアーホイスト (英: air hoist) とは、ホイストの駆動源に電気モータを使わずにエアーモーター (英: air motor) を使用した荷役用巻上げ機械です。

電気モーターとは違って引火や電源電圧を気にする必要がなく、化学工場など引火性の恐れがある場所でも安心して使えます。圧縮空気を駆動源とし、主に軽量のワークの運搬に使用可能です。押し釦やレバー、引き紐の操作で速度調節できるエアーホイストが多く市販されています。同容量の防爆型電動ホイストに比べて軽量で小型です。

エアーホイストには巻き上げにチェーンを使用するタイプとワイヤーを使用するタイプがあります。一般的にチェーンタイプはワイヤータイプよりワークの質量が大きいものに使用されます。

エアーホイストの使用用途

エアーホイストは駆動に電気を使用しないため、化学プラント、トンネル工事現場、鉱山の坑内、製鉄所などの爆発性雰囲気の場所での使用に向いています。そのほかワークがとくに軽量な場合やスピードが要求される製造ラインで抜群の威力を発揮します。圧縮空気のホースを接続するだけで稼働でき、電動モーターの場合に比べて軽量かつ小型なだけでなく比較的簡易に設置可能です。したがって臨時あるいは仮設の製造ラインにも対応できます。

水平方向の移動が必要な場合には手動のトロリーまたはエアーモーター駆動のトロリーを使用し、各種製品や部品の製造現場での搬送や荷物、治具などの脱着作業に使われます。

エアーホイストの原理

エアーホイストは、エアーモーター、ブレーキ、減速機、制御バルブ、操作器具、安全装置、トロリー装置などで構成されています。

1. エアーモーター

駆動源のエアーモーターにはロータリーベーン式やラジアルピストン式などが使われます。ロータリーベーン式は内径が偏心したシリンダ内にロータがあり、半径方向に移動可能な数枚のベーンが組み込まれ、ベーンが圧力を受けて回転力が得られます。

ラジアルピストン式は星形に配置した数個のシリンダにピストンを組み込んだモーターです。無給油方式のモーターもあり、潤滑油が排気空気中に含まれないためメンテナンスや環境対策が容易で、供給する圧縮空気の圧力は0.4~0.6 MPa程度です。

2. ブレーキ

ブレーキは吊り下げる重さに対して保持するために必要です。エアーモーターの特性を利用したエンジンブレーキや制御バルブと連動したコーンブレーキを組み合わせ、強い制動力を得ています。

3. 減速機

減速機は高速のエアーモーターを巻き上げ機の回転数まで減速するために、小型軽量で減速比が大きい遊星差動歯車が多く使われます。

4. 制御バルブ

制御バルブは直動型のスプール弁を使い、レバー、引き紐などで操作し、無段階に速度調節が可能です。

5. 安全装置

逆巻き防止装置や過負荷停止装置などを備えた製品もあります。

エアーホイストの種類

エアーホイストにはチェーンタイプやワイヤーロープタイプがあります。

1. チェーンタイプ

耐摩耗性や靭性に優れたチェーンを備えています。合金鋼製表面硬化ロードチェーンを採用しており、ロードチェーンを延長できます。

2. ワイヤーロープタイプ

軽量なタイプはワイヤーロープを装備しています。逆巻防止装置付きで、ワイヤーロープが引き抜かれると自動でエアーモーターが停止します。

エアーホイストの選び方

エアーホイストは同容量の電気チェーンブロック (英: Electric Chain Block) よりも小型で軽く、高温、高湿度、爆発性ガス、粉塵爆発雰囲気などの悪条件でも使用可能です。長時間の連続回転やインチング作業でもモーターのコイル焼損の心配がありません。ペンダント式押しボタンの押し加減でスピードを変更でき、作業に合わせて巻上げや巻下げのスピードを制御可能です。機械式ブレーキ構造で耐久性が高く、確実な制動力を得られます。

参考文献
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/air-hoist/index.html
http://sanei-air.com/products/airhoist/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です