カスケードポンプ

カスケードポンプとは

カスケードポンプとは、内部の羽根車の外周に放射状の溝 (突起物) を有するポンプのことです。

ポンプ内壁に発生する渦流の圧力と回転による遠心力により、少量の流体を高圧移送できます。カスケードポンプは非容積式ポンプの一種であり、「渦流タービンポンプ」とも呼ばれています。

カスケードポンプは、移送したい液体の流量が少ない場合においても、高圧力を出せることが特徴です。

スケードポンプの使用用途

カスケードポンプの使用用途として、一般家庭用の井戸水の引き上げや医療用の人工透析機器の内部に用いられる脱気用ポンプなどが挙げられます。カスケードポンプは、一般的なポンプである渦巻ポンプと比較して吐出圧が高いので、比較的低い流量を吐出することが可能です。

そのため、粘度の低い液体を押し上げることが得意です。粘度の低い液体として最も身近なものに、水が挙げられます。水は家庭などでもよく使用されますが、一度に大量に使用するものではありません。

そのため、水流量が少なくてもしっかり液体を移送できるカスケードポンプは、井戸水用やフィルタ濾過、細い配管に多くの液体を送る冷温調整向け機器等に用いられます。

カスケードポンプの原理

カスケードポンプは、内部の羽根車の外周にある放射状の溝により、回転する羽根車の押す力と遠心力によって渦を形成し圧力を高めています。これによって、少量の液体を移送する圧力を大きく確保することが可能です。

カスケードポンプの中に入っている羽根車には、無数の小さい突起物 (放射状の溝) が付いています。この小さい突起がついていることにより、通常の羽根車よりも強力な渦を作成できます。また、この羽根が磁石の力で繰り返し回転し、液体が吐き出し口に到達するまでに加圧されることで、強力な圧力となって押し出されます。

さらに、カスケードポンプは吐き出し側のバルブをしぼることでさらなる加圧が可能です。このように、少量でも高圧で液体を押し上げられるカスケードポンプは、一般に使用される羽根車が永久磁石の力をつかって回転しているため、摩耗や電力不足によって回転力が劣らないことも特徴です。

カスケードポンプのその他情報

1. カスケードポンプと渦巻ポンプの違い

カスケードポンプとよく比較されるポンプに渦巻ポンプがあります。非容積式ポンプの一種であり、羽根車 (インペラー) を内部に擁する点も同じですが、外周の放射状の溝 (突起物) の有無に両者の違いがあります。

そのために、カスケードポンプは圧力変化による流動変動が少なく、ポンプの性能指標の一つである予想曲線も渦巻ポンプと比較して、カスケードポンプは小流量時に大揚程を確保可能です。

また、渦巻ポンプでは、多段構成の場合に羽根車の容積が大きくなってしまうために、ポンプそのものが大きくなりやすいのが欠点です。この課題を克服するために、カスケードインペラーを用いたカスケードポンプにその特徴を出すメーカーも存在しています。

2. 人工透析用カスケードポンプ

腎不全患者の人工透析用の医療機器にも、カスケードポンプは活用されています。人工透析用の医療機器においては、透析溶液は体温相当の37degC前後に加温されているため、圧力も陰圧となる場合があります。

この時に脱気されていない透析液を用いると、溶液中の酸素などが過飽和状態となってしまい、気泡発生を誘発してしまいます。この気泡が、透析用の濾過膜に付着すると、人工透析の効率低下を招いてしまい、好ましくありません。

また、気泡が患者の血液側に移動すると危険が生じるため、溶液を陰圧して脱気する際に、高揚程が可能で動作信頼度にも優れるカスケードポンプが広く用いられています。人工透析用の医療機器には脱気のみならず、加圧ポンプを排液側の吸入圧力を一定圧に上昇させる役割を担うべく使用しています。

参考文献
https://speckjapan.com/aboutcent#i-3
https://speckjapan.com/aboutmagnet#i-3
https://speckjapan.com/aboutcasc

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