電流導入端子

電流導入端子とは

電流導入端子とは、真空装置や圧力装置の内部に大きな電力を供給するための端子部品です。

フィードスルーとも呼ばれ、外気を入れることなく電源や加熱を目的とする電力供給が可能です。セラミックなどで電気的に絶縁しているため、必要な電極にのみ電力供給が可能です。端子は化学的・熱的な耐性をもち、安定して使用できます。電極数やフランジの形状などに応じて多くの種類があり、必要に応じて特注対応するメーカーもあります。高い気密性と電気絶縁性の両方が求められるため、ハーメチックシール構造と呼ばれる特殊なシール構造が施されます。

電流導入端子の使用用途

真空容器・圧力容器などを扱う製造や加工、学術研究の分野で使用されます。物体の検出や制御、計測信号の取り出し、工学的応用など、特殊な容器内に電流・電圧を加える必要がある様々な用途で利用されます。

電流導入端子の構造

フランジなどの金属部品に電流・電圧が印加される芯線を透過させ、芯線を通じて外部から真空中へと電力を供給します。必要な電極にのみ電力を供給するため、セラミックなどの絶縁材質を使用しグラウンドとの絶縁を行います。

容器内部の気体漏れなどを防ぐために、ガラス、セラミック、銀ロウなどを利用した特殊なシール構造 (ハーメチックシール) が施されます。この構造には絶縁物と金属がもつ熱膨張率の違いが利用されます。ガラスの場合、熱膨張率が比較的小さく、金属からガラスへと圧縮応力を加えることで封止します。適切な圧縮応力を加えることで、高い気密性を実現します。

 

ボルテックスクーラー

ボルテックスクーラーとは

ボルテックスクーラー (英: vortex tube cooler) とは、圧縮空気を使用した小型クーラーのことです。

ボルテックスチューブと呼ばれる内部部品のボルテックス効果で、圧縮空気を利用して−60℃もの冷気を作ることができます。冷風の温度は、熱風側と冷風側との比率によって決定されます。クーラー内の熱交換により生じた熱気は自動で排出されます。

駆動部分がないため故障の心配がなく、メンテナンスが不要です。安定して冷気をつくるため、ドライクリーンエアの使用が推奨されます。ドライクリーンエアとは、空気中の不純物が除去された清浄でかつ乾燥した空気のことです。

ボルテックスクーラーの使用用途

ボルテックスクーラーは、生産の現場などで冷却用途として使われています。具体的には、高温になったハンダや刃物などの冷却、プラスチック加工時の急速冷却やポリエチレンフィルムの加工の冷却などです。

その他、電子機器や制御ボックスの冷却、造船所・鉄鋼・ガラス製造用の冷却作業服など様々な分野で幅広く使用されます。

ボルテックスクーラーの原理

ボルテックスクーラーは、ボルテックスチューブを使用して、冷気と暖気を分離して取り出す装置です。冷気側の空気を利用します。

暖気吐出口にあるバルブの開度により、暖気側の風量を調整します。バルブを開けて暖気量を増加させると暖気温度は低下し、冷気の流量が減少し、ある冷気量までは温度が低下します。

ボルテックスクーラーの特徴

1. 簡易な冷却作用

ボルテックスクーラーは、空気源があるところで、簡易な装置を使って容易に冷気が得られます。可動部がなく、冷媒などの化学物質も不要で、電源のないところでも、直ぐ冷風が出ます。

2. 低設備コスト

ボルテックスクーラーは、ノズル、直管、冷気口、熱気口のバルブなどで構成され、通常の冷凍機に比べ非常に廉価です。

3. 特殊な用途向け

ボルテックスクーラーは、効率をそれほど問題にしないスポット冷却などに適しています。冷却効果の1例は、供給空気圧力0.7MPaのとき、最大温度差 (入口空気温度と冷気温度の差) は75℃に達します。

鋳造・ガラス製造、溶接などの高温の作業現場で冷却作業服の用途があります。加工工場では、切削工具の冷却、金属や樹脂など粘度が高い素材の加工中の冷却などに適しています。また、電子計測器や電源制御ボックスの局所冷却の用途もあります。

ボルテックスクーラーのその他情報

1. ボルテックスチューブとは

ボルテックスチューブとは、直管の内径に円周方向に吹き出すノズルを設け、圧縮空気を吹き出し、冷風と熱風を分離する装置です。直管の一方には冷気吐出口のオリフィスを設け、直管の一定の長さの端にバルブを設けます。バルブ出口が熱気吐出口です。

供給された圧縮空気を円周方向に高速で吹き出して、流体の速度を上げると、同一流線上では圧力が低下するという流体の特性を利用します。空気の全量が旋回室に続く直管に入り、遠心力で管壁近くに圧縮されます。この空気流の圧力はノズルの噴出圧力より少し低いですが、大気圧より高い状態です。

直管の端にあるバルブを開けて、空気の一部を逃がして、暖気を排出します。残りの空気は直管の中心へ押し戻され、旋回して旋回室へ戻り、冷気吐出口から外部へ出ます。旋回の方向は、外側の旋回流と同じ方向です。2つの旋回流は、同じ角速度で回転し、外側の旋回流は、暖気吐出口へ向かって流れ、内側の旋回流は冷気吐出口へ流れます。

2つの流れの境界に強烈な乱流が生じることで、2つの流れを閉じ込めて各々単一の塊にします。旋回流のエネルギーは、外側の方が内側に比べ何倍もあり、エネルギーが熱となって内側の空気流から外側に運ばれることにより、温度の異なる空気の排出を可能にしています。

2. ボルテックスクーラーの効率

ボルテックスクーラーの効率は、良いとは言えません。同じような働きをするものに、膨張エンジンがあります。ジェット機の空調に使用される膨張タービンと比較すると、膨張タービンの効率が0.6以上ありますが、ボルテックスクーラーの効率0.5程度です。

したがって、電気設備があれば、冷媒を使用する冷凍サイクルが効率面で優れており、ボルテックスクーラーは冷房・冷凍装置としては難点があります。ボルテックスクーラーは、スポット冷却に使われます。

参考文献
https://www.kogi.co.jp/img/bumon/kikai/transe/mokuji/katarogu.pdf
https://www.kogi.co.jp/bumon_kikai_13.html
https://www.kogi.co.jp/img/bumon/kikai/transe/mokuji/VC_PGC.pdf

ルミナ自動スプレーガン

ルミナ自動スプレーガンとは

ルミナ自動スプレーガンとは、液体を霧状にして噴射することができる塗装機器です。

分離しやすい液体に適した循環仕様のもの、液量の調節機能を備えたもの、腐食性を持つ液体に適したステンレス製のものなど豊富なラインナップがあります。5種類の液ノズルによって多彩なスプレー塗布パターンを可能にし、粒度や使用する液体タイプに応じて最適な製品を選択できます。

ルミナ自動スプレーガンの使用用途

塗布や塗装に用いられています。特にオイルのスプレーに適しており、離散剤、食品加工用油、プレス用油などの各種オイルの塗布、UV塗料や光触媒塗料などの各種塗料による塗装、加湿などに用いられています。その他、ボンドなどの接着剤の塗布や高粘度の液体の塗布にも使用されています。

ルミナ自動スプレーガンの原理

液体の霧状化が可能な原理は、液体と圧縮空気を混ぜることによって、液体を細かい粒子にすることです。液体が細かい粒子の霧状になることで、均一で薄く拡散することができます。

手動のスプレーガンは引き金を引くことで制御を行いますが、自動スプレーガンの自動制御には圧縮空気が利用されます。スプレーガン内に圧縮空気が入るとニードルがひかれ、液通路が開いた状態になります。液体と圧縮空気が混ざることで液体が霧状になり、開いた液通路から自動的に飛び出すという仕組みです。

参考文献
https://www.fusoseiki.co.jp/products/st_series.html
https://www.fusoseiki.co.jp/column/knowledge/239.html
https://www.fusoseiki.co.jp/guide/

レーザードライバ

レーザードライバとは

レーザードライバ (英: laser driver) とは、主にレーザー発振に用いる電源やコントローラーのことです。

レーザードライバは、レーザーダイオードドライバ、LD電源、レーザー電源などとも呼ばれます。必要な要素技術が多く、温度制御や電流制御、出力制御など様々な機能が搭載されています。

全ての機能が実装された統合タイプから各機能を単独で利用できるタイプまで、種類はさまざまです。

レーザードライバの使用用途

レーザードライバは、レーザーポインター、レーザー水準器などのレーザーダイオード駆動用、 LEDなど定電流負荷駆動用などに使用されます。また、高出力タイプは、ファイバーレーザー励起、非破壊検査、溶接・切断・穴開けなどです。

組み込み、小型化などの回路設計や部品選定を行うことで、用途に応じたレーザードライバに仕上げられます。コンポーネントやモジュール単位、マウントオプションなど、さまざまな製品の選択ができます。

レーザードライバの原理

レーザダイオードドライバの基本的形態は、検出抵抗器とオペアンプで構成される電流源が代表的です。オペアンプは検出抵抗器の電圧を測定し、抵抗の電圧を制御電圧に近づけるようにフィードバックループを使用しで出力を制御します。オペアンプの出力は、数10mA以上の電流供給が困難なので、ディスクリート・トランジスタに置き換えるのが一般的です。

過電流状態から保護するために、設計には複数レベルのレーザーダイオード保護を設けます。 機能には、調整可能な電流制限、冗長ハードウェア電流制限、電圧制限、スロースタート回路、出力短絡リレー、過渡保護などがあります。

レーザードライバの種類

レーザードライバには、定電流電源の使用、保護回路の設置、一定の光出力を維持する回路要素、温度制御、レーザー発振、パルス発生器などの機能をそれぞれ単独で保持している装置があります。全て1つの電源装置として備えているものもあり、ピン配列を工夫して回路への組み込みなどを容易に行えるようになっているのが特徴です。

レーザードライバのその他情報

1. レーザードライバの制御

レーザーの波長や出力を安定させるため、駆動制御と温度制御を行う必要があります。レーザードライバは駆動制御のために、電源からのノイズ除去、外乱ノイズや誤接続によるドライバの不具合防止、出力のパワー制御を行っています。

また、温度制御では、温度コントローラーと機能の連携により安定した制御を行います。

2. レーザードライバの使い方

連続駆動
連続してレーザーを駆動する用途は、ガス分析などのモニタリングや加工用などです。連続駆動時のノイズの少なさや安定性が必要です。

パルス駆動
パルス駆動でレーザーを使用するときは、パルスジェネレータのパルストリガを使用してレーザー発振します。立ち上がり時間、パルス幅、オーバーシュートの少なさなどの検討が要ります。

レーザーを変調する場合
レーザーの出力や周波数を周期的に変えたり、周波数一定で出力を変えたりする場合です。レーザーを変調させるには、直接変調や外部変調などの方法があります。

レーザーを増幅する場合
レーザーの出力をさらに上げる場合や、レーザー出力の長距離伝送などの場合は、半導体光増幅器SOAを使います。

3. レーザードライバの出力領域

出力電流の大きさで、用途を分類できます。

  • 0.1~2A
    医療用・分析用
  • 2~10A
    低出力の加工用、リペア・トリマ・マーカ用
  • 10~100A
    高出力の加工用

参考文献
https://www.thorlabs.co.jp/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=1364
https://www.thorlabs.co.jp/navigation.cfm?guide_id=2108
https://www.tei-c.com/ld
https://www.fiberlabs.co.jp/products-list/ld-driver-index/

ロジックプローブ

ロジックプローブとは

ロジックプローブとは、波形を観測する際に測定したい信号を検出してオシロスコープなどの測定器に伝送する機器のことです。

機能面ではプローブと同じですが、プローブの中でも特殊プローブとして位置づけられています。統合型計測器であるスコープコーダや、RF信号、アナログ、デジタルにも対応したミックスドシグナルオシロスコープなどに用いられることがあります。オシロスコープに適した専用プローブとして付属されることが多く、特殊プローブに分類されます。絶縁性の有無や高速伝達など、用途に合わせた特徴を付加したラインナップが展開されています。

デジタルシステムにおける障害の多くは、デジタル波形が持つアナログ特性によるものです。アナログ原因を解析するために特定のパルスを観察するロジックアナライザの機能が必要となります。ロジックプローブは互換性のある論理回路で設計されており、同期操作と非同期操作の両方に対応しています。

ロジックプローブの使用用途

ロジックプローブは、オシロスコープの中でも機能性に優れたスコープコーダやミックスドシグナルオシロスコープなどに用いられます。

機材を準備し、基板とプローブを接触させます。時間や閾値を設定すると測定できるようになります。

ロジックプローブのその他情報

プローブの注意点

プローブには測定器の一部として機能しながら信号を伝送できるという特徴があります。しかし、出力インピーダンスや周波数、電圧、電流、振幅などの値が測定に影響を与える危険もあり、対象の信号やプローブがもつ特性についての理解が必要です。

参考文献
https://tmi.yokogawa.com/jp/solutions/products/oscilloscopes/digital-and-mixed-signal-oscilloscopes/
https://tmi.yokogawa.com/jp/library/resources/measurement-tips/probe_basics/#info1_1
https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=71
https://tmi.yokogawa.com/jp/solutions/products/oscilloscopes/scopecorders/
https://jp.tek.com/document/online/primer/xyzs-scopes/ch2/oscilloscope-types
https://tmi.yokogawa.com/jp/library/resources/measurement-tips/probe_basics/#info1_1
http://www.ktek.jp/

圧電トランス

圧電トランスとは

圧電トランス(英語: Piezoelectric transformer)とは、特定の種類のセラミック素子(誘電体)が持つ圧電効果と電歪効果を利用して電力変換を行うトランスのことです。従来の巻線による電磁トランスに対して、構造がシンプルである、小型化や薄型化や軽量化がしやすい、昇圧比を高くできる、効率を高くすることができる、磁気ノイズが発生しない、といった特長があります。そのため、電気電子機器の省スペース化や省電力化に欠かせない部品となっています。

圧電トランスの使用用途

圧電トランスは電気電子機器の電源に使われています。特に、ノートパソコンや携帯機器などの小型化や薄型化に伴って、電源の小型化や薄型化も求められており、従来の巻線による電磁トランスを圧電トランスに置き換える形で使われています。例えば、ノートパソコンや液晶テレビなどの液晶ディスプレイのバックライト用の電源に使われています。また、小型化や薄型化だけでなく、高効率で磁気ノイズが発生しないといった点からも、今後さまざまな用途への活用が期待されています。

圧電トランスの原理

圧電トランスは矩形状の誘電体から成り、その半分を一次側、残りの半分を二次側とします。一次側には厚さ方向に電圧を印加し、電歪効果によって、電気エネルギーを機械的振動に変換します。電歪効果とは、誘電体に電界を加えると機械的なひずみが生じる現象のことです。二次側では、圧電効果によって機械的振動を電気エネルギーに変換し、長さ方向に出力電圧として取り出します。圧電効果とは、電歪効果とは逆に、誘電体に圧力を加えると電圧が発生する現象のことです。このような効果を持つ誘電体を圧電素子といいます。

圧電トランスは誘電体の長さで決まる固有共振周波数で動作します。誘電体の長さに対して、全波長で動作するλモード型と半波長で動作するλ/2モード型があります。また、圧電トランスの入力電圧(V1)と出力電圧(V2)の変圧比(V2/V1)は、一次側の容量(C1)と二次側の容量(C2)の比の平方根(√(C1/C2))になります。C1とC2はそれぞれ誘電体の厚さと長さで決まるため、長さ/厚さの比で変圧比が決まるともいえます。

参考文献
https://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_09_05.pdf
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/technology/techreport/31/pdf/A3108.pdf

可とう端子

可とう端子とは

可とう端子とは、自在に曲げることが可能な電気供給用端子を指します。電気の供給に使用される部品の一種です。

可とう端子は自在に曲げることが出来るため、熱膨張や急激な収縮、振動を吸収することが出来ます。また、ケーブルとは違い、有機物の被覆を持たないため大電流を取り扱うことが出来ます。可とう性が高いため発変電や駆動部分等で広く使用が可能です。その反面、充電部が剥き出しの為、関係者以外が容易に近づけないように工夫が必要です。

可とう端子の使用用途

可とう端子は様々な業界で使用される給電部品です。

例として、クレーンや電車に使用されるパンタグラフに可とう端子が使用されます。パンタグラフの集電子とケーブル端子部分を可とう端子でつなげることで、パンタグラフの伸縮と電力の安定供給を両立させます。

また、大電流を通流可能である利点を生かし、電解用サイリスタや受変電設備の引き込み接続用にも使用されます。また、大電流電線路としてブスバーを使用する場合は、伸びを吸収するために中腹に可とう端子を設置します。

可とう端子の原理

可とう端子は、端子部分と平編組部分に分かれます。

端子部分はブスバーに穴を開けた構造となっています。ブスバーはで製作されることがほとんどです。ケーブルや他のブスバーとの接続は、ボルトやねじを穴に通して締結します。ただし、締結面に凹凸があると、接触抵抗が高くなります。その場合、大電流を流した際に締結部分が発熱し、焼損や電力損失の原因となります。従って、締結面は接触抵抗を低減させるため、はんだやすずや銀等でメッキされます。このメッキは、腐食防止としての役割も担っています。

平編組部分は、可とう端子に可とう性を持たせる重要なパーツです。構造としては、直径が1mm2よりも細い素線を数百本以上束ねて編み込んだ形を取ります。衣服や絨毯等と同様に素線同士を編み込んでいるため強固さと可とう性を両立しており、素線が切れる心配をする必要がありません。

ケーブル等と同様に、許容電流は導体の太さに比例して高くなります。許容電流を高くとろうとすれば、両部分共に重厚長大となっていきます。

参考文献
可とう導体・端子 https://www.feps.co.jp/products/flexible/flex_s.htm

開先加工機

開先加工機とは

開先加工機とは、溶接作業において不可欠な前処理を行う機械のことです。

溶接作業の品質を向上させるため、鋼材の角を面取りし、継手部分に溝状のくぼみを作成する開先加工が行われます。開先加工機は、アルミやステンレスなどの素材に対応し、斜めに切断して開先を設けることが可能です。

機能性と使いやすさを追求した開先加工機は、大型のものから片手で簡単に操作できる小型のものまで、多様な種類が展開されています。それぞれの機械によって対応する材料の厚さや加工範囲が異なり、用途に合わせて最適な機械を選択することが重要です。

開先加工機の導入により、溶接作業の効率化や品質を向上させることが可能です。正確な面取りが可能になることで、溶接時の溶融金属の浸透が向上し、強度のある継手が得られるとともに、仕上がりの美観性もアップします。また、開先加工機を使用することで、作業時間の短縮や労力の軽減が実現できるため、生産性の向上にもつながります。

開先加工機の使用用途

開先加工機は、開先加工を行うための機械ですが、具体的な用途として、溶接作業が挙げられます。溶接作業の現場では、開先加工機は不可欠な存在です。

溶接作業を行う際、継手となる鋼材に開先加工機を用いて開先を設けます。溶接時の溶融金属の浸透が向上し、より強度の高い継手を作ることが可能です。また、開先の形状によっては溶接後の仕上げも容易となり、時間とコストの削減にもつながります。

開先加工機は、鋼材の形状に左右されることなく使用できるため、用途は非常に幅広いです。平板はもちろんのこと、角型パイプ、H形、L字型など、シンプルな形状から複雑な形状まで、さまざまな鋼材に対して開先加工が可能です。

開先加工機の原理

開先加工機の原理は、鋼材の角度を付けて切断することで、溶け込みをつくり、変形を防ぐことで成り立ちます。具体的には、回転する切削部分を上下方向と横方向に動かすことで、鋼材に角度を付けて切断します。

切削刃の角度や変更によって切断面の傾斜を調節できるため、溶接継手の形状に合わせた開先を作成することが可能です。また、切削刃の回転により切断面がなめらかで美しい仕上がりになることも特徴として挙げられます。溶接後の継手部分の美観性が向上し、製品全体の品質も高まります。

開先加工機の種類

開先加工機は主にポータブルタイプ、ベンチタイプ、CNCタイプ、パイプ専用タイプの4種類があります。

1. ポータブルタイプ

ポータブルタイプの開先加工機は、持ち運びが容易で、現場での作業に適しています。軽量で片手で操作できるものが多く、狭い場所での作業にも対応可能です。主に小型の鋼材やパイプの開先加工に使用されます。

2. ベンチタイプ

ベンチタイプの開先加工機は、作業台に固定して使用するもので、精密な開先加工が可能です。大型の鋼材や厚板の加工に適しており、切削刃の交換や角度調整が容易にできます。

3. CNCタイプ

CNCタイプの開先加工機は、コンピュータ制御によって自動的に開先加工が行われます。複雑な形状や大量生産に対応でき、精度の高い加工が可能です。ただし、導入コストが高いため、大規模な工場や高い生産性が求められる場合に適しています。

4. パイプ専用タイプ

パイプ専用タイプの開先加工機は、丸パイプや角型パイプの開先加工に特化した機械です。パイプの内外面を同時に加工でき、短時間で美しい切断面を作ることが可能です。パイプの径や形状に合わせた専用の切削刃が用意されています。

参考文献
https://mikao-investor.com/2020/03/30/beveling_machine/
https://www.vacuumlift.jp/products/welding.html
https://www.vacuumlift.jp/products/bds/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/welding/trouble/groove.jsp

基板切断機

基板切断機とは

基板切断機とは、電子機器の製造に欠かせない基板を分割・切断する際に用いられる機械のことです。

主に、ルーター式と乾式スライサー式の2つの方式があります。ルーター式は、高速スピンドルモータに取り付けられたルーターを用いて基板やスリットを加工することが可能です。精密な加工が可能であり、多様な形状の基板に対応できる利点があります。

一方、乾式スライサー式は、直線切りで負荷をかけずにきれいな切断面を実現できることが特徴です。切断後の仕上がりが非常に美しいとされています。基板切断機は、表面に付けられたV溝やミシン目の違いによって、さまざまな方式が存在しています。

基板切断機は基板分割機とも呼ばれ、電子機器製造業界では非常に重要な役割を果たしています。適切な切断方法を選択することで、製品の品質向上や効率的な生産が可能です。

基板切断機の使用用途

基板切断機は、電子機器の製造において基盤を切削し、設計した形状に加工するために使用されています。ドリルやルーター、スライサーなどの工具を高速回転させて切削するタイプや、レーザーを用いて切断するタイプなどがあります。

また、作業者が直接操作する手動式のものや、設定によって自動的に工具が交換される自動交換機能付きのタイプも存在し、用途や業務の効率性に適した選択が可能です。基板切断機は、その多様な機能と適用範囲によって、電子機器製造業界において幅広い用途で活躍しています。

例えば、スマートフォンやパソコンなどの一般家電製品から、自動車や航空機の電子制御システム、さらには宇宙開発や医療機器まで、あらゆる分野で基板切断機が重要な役割を担っています。

基板切断機の原理

基板切断機は、電子機器製造において、同一シートに並んだ複数の基盤を分離するために使用されます。低負荷で切断作業が可能であり、ひび割れなどの損傷を防げるため、作業効率の向上につながります。

基板切断機の代表的な原理は、ルーター分割とレーザー方式の2種類です。

1. ルーター分割

ルーター分割は、モーターの高速回転を利用して切削工具を高速で動かし、基板に負荷を与えずに分割できます。精密な加工が可能で、多様な形状の基板に対応できます。

2. レーザー方式

レーザー方式は、無接触で切断ができるため、負荷が小さく、切屑も出ません。CADデータなどを利用して多品種の形状に対応することが可能です。また、レーザー方式は、高い精度と繰り返し性があるため、大量生産に適しています。

基板切断機のその他情報

基板切断機と併用される機械

基板切断機は、主に基板ドリリングマシン、基板スクリーニング機、SMT (Surface Mount Technology) 装置、リフローはんだ付け機、ウェーブはんだ付け機と併用されます。それぞれの機械が連携し、効率的で高品質な製品を生み出すことが可能となります。

1. 基板ドリリングマシン
基板ドリリングマシンは、基板に穴を開けるために使用される機械です。電子部品を取り付けるための穴や、回路同士を接続するための穴を精密に開けることが可能です。

2. 基板スクリーニング機
基板スクリーニング機は、基板上に印刷回路を形成するために使用されます。インクを使ってパターンを印刷し、電気的な接続を可能にする役割を担っています。

3. SMT (Surface Mount Technology) 装置
SMT装置は、表面実装技術によって電子部品を基板に実装するための機械です。部品の取り付け精度が高く、生産効率の向上に寄与しています。

4. リフローはんだ付け機
リフローはんだ付け機は、基板に実装された部品と回路の接続を固定化するために、はんだを加熱・冷却する過程で融解させて接続部分に付着させる機械です。

5. ウェーブはんだ付け機
ウェーブはんだ付け機は、基板上の部品と回路の接続を確保するために、はんだを使用して行うはんだ付けの工程で使われる機械です。ウェーブはんだ付け機は、特にスルーホール実装の部品に対して適用されます。

基板を溶融したはんだのウェーブ上に通過させることで、部品のリード端子と基板上のパッドがはんだで接続されます。

参考文献
http://www.tme-eng.co.jp/first/index.html
http://www.technitron.co.jp/new-info/substrate.html
https://www.epronics.co.jp/products_6_1/1_index_detail.php

傾斜ステージ

傾斜ステージとは

傾斜ステージとは、手動操作で簡易的にステージの傾斜を自在に変えられる光学部品や画像処理用部品の一種です。

シーソーのように動くため、任意の位置で傾斜を付けることができ、レバーによって固定させることができます。シンプルな構造で操作性に優れています。2枚のプレートから構成されている二軸傾斜ステージや、二方向の傾斜に加えて、一方向の回転も可能な傾斜回転ステージなどもあります。

傾斜ステージの使用用途

傾斜ステージは、光学部品や画像処理用部品、研究開発・クリーンルーム用品などに分類されます。

傾斜ステージは、カメラやセンサなどを使用する際に、対象物の傾斜を調節して、位置決めなどの様々な用途で用いられています。また、測定器を用いる際に、試料を置く台として用いることもでき、被検体の角度を調節することにも使用されています。装置の組み込みや生産設備、研究開発などの用途にも用いられています。

傾斜ステージの原理

傾斜ステージは、限られたスペースで使用したり、小さく光学系を使用する場合を想定して、薄型かつ小型である点が特徴です。傾斜ステージには、1軸の傾きだけでなく、2軸の傾き調整が可能なステージや、傾き調整を行うだけでなく、回転調整を行うことができる種類もあります。

傾斜ステージの機能は、ステージの角度を変えることによって回転や傾き調整や、被写体の写り方を調整するあおり調整を行いますが、基本的に、手動による方式がメインであるため、非常にシンプルな構造をしています。回転は送りツマミを手で回すことによって、また、傾き調整は調整リングを手で動かすことによって調整することができ、任意の位置に定まったらレバーで固定させることができます。

この他、二軸傾斜ステージでは、1軸ステージに部品を上乗せして機能を追加するタイプもあれば、ベース部分と上ステージの間に球体の部品があり、これが支点となることで自在に傾斜をつけることができるタイプもあります。

参考文献
https://www.global-optosigma.com/jp/Catalogs/pno/?from=page&pnoname=KKD&ccode=W7111&dcode=
https://www.chuo.co.jp/core_sys/product/images/006/catalog/GC40_426-427.pdf