電流導入端子とは
電流導入端子は、真空装置や圧力装置に安全に電力を供給する部品です。
フィードスルーとも呼ばれています。外気の進入を防ぎながら、電源や加熱に必要な電力を提供できるのが特徴です。セラミックなどの絶縁材料を使用しており、電気を必要な部分にのみ送ることができます。電流導入端子は化学的、熱的な耐性も高く、様々な形のフランジや電極数のカスタマイズが可能です。これにより、高い気密性と絶縁性を保ちつつ、多種多様な装置で安定して使用できます。
電流導入端子の使用用途
電流導入端子は、真空チャンバーやガス容器などの密閉容器に外部から電力を供給するために不可欠な部品です。使用することで、内部の機器やセンサーに必要な電力を安全に供給することが可能です。電流導入端子は真空装置、半導体製造装置、分析・計測機器などの産業で広く利用されています。
それぞれの用途において、電流導入端子は高い気密性と絶縁性により、真空環境や高圧環境での安定した電力供給を実現します。様々な高度な技術分野での進歩に寄与しており、多くの産業で不可欠な部品としての地位を確立しています。
1. 真空装置関連
真空チャンバー内のヒーターやランプなど、大電流を必要とする機器へ電力を供給する際に使用されます。これにより、装置の正確な温度管理や光源の制御が行えます。
2. 半導体製造装置
精密な製造プロセスにおいて各種装置内での電力供給が不可欠です。電流導入端子は、このような環境でも高い信頼性を保ちながら電力を安定供給します。
3. 分析・計測機器関連
高い気密性と絶縁性が求められるため、電流導入端子が重要な役割を担います。これらの機器では、正確なデータ取得のために内部環境を完全に制御することが必要です。
電流導入端子の原理
電流導入端子は、特に厳しい環境下での安全な電力供給に不可欠です。真空や高圧環境にある装置へ電力を効率的かつ安全に伝送するために使用されます。
基本的な機能は、内部の機器に必要な電力を直接供給することです。電流導入端子には高純度のセラミックなどの絶縁材質が使用されています。これにより電力が装置の外部に漏れ出ることなく、また外部からの干渉を受けずに安定した電力の供給が可能です。
端子の金属部分は電極と外部との電気的な接続を確保し、セラミックの絶縁体と組み合わせることで端子全体の気密性を高めています。絶縁体と金属部分が連携することで、電流導入端子は高い絶縁性と気密性を保ちながら、任意の環境下での電力供給が可能です。これらの特性により多くの工業製品や研究用装置での使用が可能となり、技術的な進歩に大きく寄与しています。
電流導入端子の種類
電流導入端子には、その使用目的と機能に応じて多様な種類があります。種類ごとで異なる技術や材料を用いており、使用される環境や必要とされる機能に最適化されています。適切な電流導入端子を選ぶことで、装置の性能を最大限に引き出し、安全かつ効率的に作業を行うことが可能です。
1. 単極電流導入端子
一番基本的なタイプで、単一の電力線を通じて電力を供給する端子です。シンプルな装置や少量の電力が必要な場所でよく使用されます。
2. 多極電流導入端子
複数の電極を持ち、多数の信号や電力を同時に送ることができる端子です。そのためより複雑なシステムや機器で多く利用されています。
3. 高電圧導入端子
高い電圧を安全に伝送するために特別に設計されており、高電圧が必要な実験や産業用途に適しています。
4. 高電流導入端子
大きな電流を扱うためのもので、大型の工業機械や重電機器に使用されることがあります。
5. 同軸電流導入端子
同軸ケーブルを使用して高周波信号を伝送するために使用される端子です。通信機器や放送設備など、高周波を扱うアプリケーションで見られます。
電流導入端子の構造
電流導入端子の構造は、外部から真空容器や圧力容器内に電力を供給する際に気密性と絶縁性を確保するために設計されています。主な構造要素は以下の通りです。これらの要素が組み合わさることで、電流導入端子は高い気密性と絶縁性を維持しつつ内部機器への安定した電力供給を実現しています。
1. 電極 (導体)
電流を伝達する部分で、材質としては無酸素銅 (H-OFC) やステンレス鋼 (SUS304) が一般的に使用される要素です。これらの材料は電気伝導性が高く、機械的強度にも優れています。
2. 絶縁体 (セラミック)
電極を支持し、容器との電気的絶縁を保つために高純度・高強度のアルミナセラミックスが用いられる要素です。化学的安定性や耐熱性にも優れています。
3. シール部 (ハーメチックシール)
ハーメチックシール技術は、セラミックと金属部品の接合部に気密性を確保するために採用されました。これにより真空環境や高圧環境での漏れを防ぎます。
4. 取り付け部(フランジ)
電流導入端子を容器に取り付けるための部分です。ICF (ISO標準) 、NW (KF) などの規格フランジが使用されます。これにより標準化された接続が可能です。