可とう端子とは
可とう端子とは、自在に曲げることが可能な電気供給用端子を指します。電気の供給に使用される部品の一種です。
可とう端子は自在に曲げることが出来るため、熱膨張や急激な収縮、振動を吸収することが出来ます。また、ケーブルとは違い、有機物の被覆を持たないため大電流を取り扱うことが出来ます。可とう性が高いため発変電や駆動部分等で広く使用が可能です。その反面、充電部が剥き出しの為、関係者以外が容易に近づけないように工夫が必要です。
可とう端子の使用用途
可とう端子は様々な業界で使用される給電部品です。
例として、クレーンや電車に使用されるパンタグラフに可とう端子が使用されます。パンタグラフの集電子とケーブル端子部分を可とう端子でつなげることで、パンタグラフの伸縮と電力の安定供給を両立させます。
また、大電流を通流可能である利点を生かし、電解用サイリスタや受変電設備の引き込み接続用にも使用されます。また、大電流電線路としてブスバーを使用する場合は、伸びを吸収するために中腹に可とう端子を設置します。
可とう端子の原理
可とう端子は、端子部分と平編組部分に分かれます。
端子部分はブスバーに穴を開けた構造となっています。ブスバーは銅で製作されることがほとんどです。ケーブルや他のブスバーとの接続は、ボルトやねじを穴に通して締結します。ただし、締結面に凹凸があると、接触抵抗が高くなります。その場合、大電流を流した際に締結部分が発熱し、焼損や電力損失の原因となります。従って、締結面は接触抵抗を低減させるため、はんだやすずや銀等でメッキされます。このメッキは、腐食防止としての役割も担っています。
平編組部分は、可とう端子に可とう性を持たせる重要なパーツです。構造としては、直径が1mm2よりも細い素線を数百本以上束ねて編み込んだ形を取ります。衣服や絨毯等と同様に素線同士を編み込んでいるため強固さと可とう性を両立しており、素線が切れる心配をする必要がありません。
ケーブル等と同様に、許容電流は導体の太さに比例して高くなります。許容電流を高くとろうとすれば、両部分共に重厚長大となっていきます。
参考文献
可とう導体・端子 https://www.feps.co.jp/products/flexible/flex_s.htm