圧電トランス

圧電トランスとは

圧電トランス(英語: Piezoelectric transformer)とは、特定の種類のセラミック素子(誘電体)が持つ圧電効果と電歪効果を利用して電力変換を行うトランスのことです。従来の巻線による電磁トランスに対して、構造がシンプルである、小型化や薄型化や軽量化がしやすい、昇圧比を高くできる、効率を高くすることができる、磁気ノイズが発生しない、といった特長があります。そのため、電気電子機器の省スペース化や省電力化に欠かせない部品となっています。

圧電トランスの使用用途

圧電トランスは電気電子機器の電源に使われています。特に、ノートパソコンや携帯機器などの小型化や薄型化に伴って、電源の小型化や薄型化も求められており、従来の巻線による電磁トランスを圧電トランスに置き換える形で使われています。例えば、ノートパソコンや液晶テレビなどの液晶ディスプレイのバックライト用の電源に使われています。また、小型化や薄型化だけでなく、高効率で磁気ノイズが発生しないといった点からも、今後さまざまな用途への活用が期待されています。

圧電トランスの原理

圧電トランスは矩形状の誘電体から成り、その半分を一次側、残りの半分を二次側とします。一次側には厚さ方向に電圧を印加し、電歪効果によって、電気エネルギーを機械的振動に変換します。電歪効果とは、誘電体に電界を加えると機械的なひずみが生じる現象のことです。二次側では、圧電効果によって機械的振動を電気エネルギーに変換し、長さ方向に出力電圧として取り出します。圧電効果とは、電歪効果とは逆に、誘電体に圧力を加えると電圧が発生する現象のことです。このような効果を持つ誘電体を圧電素子といいます。

圧電トランスは誘電体の長さで決まる固有共振周波数で動作します。誘電体の長さに対して、全波長で動作するλモード型と半波長で動作するλ/2モード型があります。また、圧電トランスの入力電圧(V1)と出力電圧(V2)の変圧比(V2/V1)は、一次側の容量(C1)と二次側の容量(C2)の比の平方根(√(C1/C2))になります。C1とC2はそれぞれ誘電体の厚さと長さで決まるため、長さ/厚さの比で変圧比が決まるともいえます。

参考文献
https://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_09_05.pdf
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/technology/techreport/31/pdf/A3108.pdf

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