ストリッパー

ストリッパーとは

ストリッパ

ストリッパーとは、ワイヤーから被覆部分を部分的に切り落とすために使われる工具の1種です。

一般的には、ワイヤーストリッパーと呼ばれています。ラジオペンチに似た形状をしており、ワイヤーの被覆を切り落としたい部分にワイヤーを挟み込み、固定して更に強く握ったり、引っ張ったりすることで、被覆部分を切り落とすことが可能です。

電気工事やDIYなどで、電線の配線をする際に必要となる工具です。ワイヤーの太さに合わせて適切なサイズのストリッパーを使用することがポイントになります。また、一部のワイヤーストリッパーには、ニッパーの機能を併せ持っているものもあります。

正しい使い方であれば、簡単に電線の被覆部分を切り落とせ、作業効率を上げることが可能です。しかし、誤った使い方をすると、ワイヤーを傷つけたり、危険な状態を招いたりすることがあります。

ストリッパーの使用用途

ストリッパーの使用用途は、主に電気工事やDIYにおいて、ワイヤーの被覆部分を取り除くことです。手動型ストリッパーや自動型ストリッパーなど、用途やコストに応じてさまざまな種類があります。

一方で、ストリッパーを持っていない場合でも、ワイヤーの被覆部分を取り除く方法はあります。例えば、カッターナイフを使ったり、ニッパーとラジオペンチを組み合わせて使ったりする方法です。特に、ニッパーとラジオペンチは、電気工事や回路設計の検証を行う場合などに必要な基本的な工具であるため持っている人も多いです。

ワイヤーの被覆を取り除く方法は、専用のストリッパーを持っていない場合や、出先で作業を行う必要がある場合などにおすすめできます。ただし、カッターナイフを使う場合は、切り落とす部分が均等にならないことがあるため、正確さを求められる場面ではストリッパーの使用が望ましいです。

ストリッパーを使うことで、ワイヤーの被覆部分を正確に取り除けます。作業効率を上げたい場合や、正確な作業が必要な場合には、ストリッパーの方が適しています。ただし、ストリッパーの使い方を誤ると、ワイヤーを傷つけたり、危険な状態を招いたりすることがあるため、正しい使い方をしっかりと覚えておくことが大切です。

ストリッパーの原理

ストリッパーは、ワイヤーを挟んで固定するための複数のワイヤー固定用丸穴が用意されており、それぞれの太さに合わせてワイヤーを咬ませて固定します。ワイヤーが固定された状態で、ストリッパー本体を強く握ることで、被覆部が切り落とす仕組みです。

手動型ストリッパーは、ワイヤーの被覆を切り落とすために、握力を加えてストリッパー本体を動かすことが必要です。自動型ストリッパーは、ストリッパー本体に内蔵されたばねによって、被覆部とワイヤー本体が自動的に分離されるようになっています。

ニッパーとラジオペンチを使用する方法やカッターナイフを使用する方法に比べて、ストリッパーを使うことで、より正確な被覆部分の切り落としが可能です。また、断線のリスクを低減できるため、より安全に作業を進められます。

ストリッパーの種類

ストリッパーには手動型ストリッパーと自動型ストリッパー以外にもいくつかの種類があります。

1. ワイヤーカッター

ワイヤーカッターは、ワイヤーを切るための工具で、ワイヤーの太さに応じて刃の形状が異なります。ストリッパーと異なり、被覆部分を切り落とせません。

2. ケーブルストリッパー

ケーブルストリッパーは、太いケーブルを切り落とすための工具で、刃の形状や大きさが太くなっています。ワイヤーストリッパーと異なり、太いケーブルにも対応できます。

3. パイプストリッパー

パイプストリッパーは、配管の被覆を取り除くための工具です。被覆部分を切り落とす刃が付いており、配管の太さに合わせて刃の位置を調整できます。

4. フラットケーブルストリッパー

フラットケーブルストリッパーは、フラットなケーブルを切り落とすための工具で、ワイヤーストリッパーと異なり、平面的なケーブルに対応しています。被覆部分を切り落とす刃が付いており、ケーブルの太さに合わせて刃の位置を調整することが可能です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/wirestripper/

LCDコントローラ

LCDコントローラとは

LCDコントローラとは、システムを制御するCPUの指示に基づき、入力された映像信号をLCDパネルに表示可能なデータ形式に変換して出力する機器です。

システム制御CPUからの指示に基づき、内蔵もしくは外付けの画像メモリに描画データを書き込みます。同時に画像メモリ内に格納された表示用データを読み出し、LCDパネルに出力するという役割を果たしています。

LCDコントローラによって、描画処理に対するシステム制御CPUの負荷を軽減することが可能です。

LCDコントローラの使用用途

LCDコントローラは、システム制御CPUの負荷を軽減するために使用されています。LCDコントローラによるシステム制御CPUの描画処理の負荷軽減の一例は、カメラ画像の表示です。

一般的にLCDコントローラはCPUに負荷をかけずにカメラ画像を取り込み、これをLCDパネルの表示解像度 (表示画素数) に合わせて、データを加工し自立的にLCDパネルに表示する機能を有しています。また、周辺機器と接続する場合のインターフェースとしてはHDMI出力をサポートしているものです。

LCDパネルに表示出力を行うと同時に、HDMI端子から周辺機器に映像信号を出力します。なお、LCDパネルは、携帯端末用のLCDからLCDモニタやPCと一体となったLCDパネルに至るまでさまざまな規模のものがあります。

LCDコントローラの原理

LCDコントローラは、以下の手順によってデータを出力しています。

1. データの蓄積

LCDコントローラは、VRAMと呼ばれる画像データ蓄積用のメモリに書き込みを行います。一方、液晶駆動用の画像データをメモリから読み出すことで液晶パネルに出力します。

2. 画像データ処理

液晶パネルにデータを出力する際に行う処理は、縦、横どちらにも表示可能とする回転処理やワンセグ映像等の動画を液晶パネルの表示画素数に変換する拡大縮小処理などがあります。

また、CPUからの書き込み速度と液晶への表示速度を調整するFRC (Frame Rate Coverter) 処理等も同時に実施します。

3. データ通信

LCDコントローラはシステム制御CPUからI2CバスやSPIバスなどのインターフェースを介して通信を行い、その指示基づきLCDパネルにデータを出力します。

前述の通り、入力された映像信号などに基づき、これを変換してLCDパネルに対してRGB出力を行います。この際に、水平および垂直方向の表示位置を決めるための同期信号であるHSYNC、VSYNC信号に同期させて映像信号を出力させます。なお、表示先であるLCDパネルの表示画素数はさまざまです。

LCDコントローラのその他情報

1. 代表的な表示画素数

テレビの代表的な表示画素数は、以下の通りです。

  • SD放送
    720 × 480ピクセル (480P)
  • HD放送
    1,280 × 720 (720P)
  • フルHD放送
    1920  × 1,080 (1,080P) 

さらに、フルHD放送の4倍の表示画素数である4K放送は、3,840 × 2,160 (2,160P) です。最新の国内放送規格では、フルHD放送の16倍の表示画素数である8K放送 (7,680 × 4,320) もあります。

それぞれの規模は異なりますが、これらのテレビ用のLCDパネルには、全てLCDコントローラを使用して表示画像の制御が行われています。

2. 低消費電力化技術

携帯電話などのモバイル機器では、低消費電力化は必須の技術です。必要のない状態では電源を切ることで、消費電力を抑える工夫が実装されています。

コントローラではデバイスに関する処理ブロックを細かく分解して、きめ細かいクロック制御を実施しています。使用しない機能ブロックにはクロック信号を停止し、さらにビデオメモリの動作クロックも必要に応じて周波数変更の実施が可能です。

各画像処理の動作クロックは、ソフトウェア制御に加えて、ハードウェアで自動的に処理を判断する制御も実装しており、アクティブブロック制御と呼ばれます。

参考文献
https://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/trsample/2004/tr0402/0402sp3.pdf
https://docs.rs-online.com/0946/0900766b80f61460.pdf
https://docs.rs-online.com/e1d1/0900766b813b9d81.pdf
https://www.epson.jp/prod/semicon/products/display_controllers/simple_lcdc.htm
https://corporate.jp.sharp/rd/37/pdf/102_09.pdf
https://thingmedia.jp/2289
https://www.4900.co.jp/smarticle/7765/

高圧検相器

高圧検相器とは

高圧検相器とは、高圧電圧 (交流600V以上) 電路の相回転が逆相か正相かを確認するための装置です。

主に高圧電力系統で使用され、電力供給の安全性を確保するために重要な役割を果たします。電力系統では、3相交流電源 (通常は50または60 Hz) が使用されることが多いです。3相電源のうちどの相がどの順序で到着しているかを検出し、正しい相の順序で接続されていることを確認する装置です。

高電圧に近接する作業の離隔距離は、労働安全衛生規則によって定められています。高圧検電器についても同様に、30cm以上の離隔距離が取れるように全長が長くとられています。
 
また、主にケーブル系統に対して使用されることが多く、2本のケーブルを検相できるように2本の検電器を繋いだような形状です。低圧の検相器では3相を同時に挟み込んで相回転を確認するものが多いのに対し、高圧検相器は利便性から2相の相回転を確認する形状となっています。

高圧検相器の使用用途

高圧検相器は、電力供給や建設工事において使用されます。

1. 電力供給

電力系統における正しい相の順序と接続を検出することで、電力供給の安全性を確保するために用いる装置です。誤った相の順序や相の欠落がある場合、検相器は警告を発して問題を早期に検出します。 

高圧電圧系統は、二次側に変圧器や電動機が接続されていることが多いです。相回転を逆にして回転させた場合、接続された電動機が全て逆回転します。

このような事故が発生すると、電動機の負荷となるポンプやファンなどを故障させる可能性があります。産業用の回転機器は高価な場合が多いため、多大な損失を発生させます。逆相であることを発見した場合、配線の繋ぎ変え作業を実施することが大切です。

2. 建設工事

建設工事では、設備の新規設置工事などにおいて使用します。設計通りの相回転となるかを高圧検相器で確認することが可能です。

高圧検相器の原理

高圧検相器には3相交流電源が入力されます。これは通常、電力系統または発電機からの供給です。入力された3つの相を検出し、各相は専用のセンサーや回路を介して監視されます。

検出された3つの相を比較します。正しい相の順序で接続されている場合、相の周期や位相差が一定です。結果は表示盤やインジケーターを通じて可視化することが多いです。

正しい相の順序で接続されている場合、表示盤上のランプや表示器が点灯します。相の順序が逆転していたり、相が欠落していたりする場合、警告やアラームを発して問題を知らせます。

高圧検相器の種類

検相器は、大きく分けて接触式検相器と非接触式検相器の2つに分類されます。なお、高圧検相器は非接触式が主流です。

1. 接触式

接触式高圧検相器は電源回路に物理的に接触して相の状態を検出する装置です。3相の非絶縁部分に直接接続して電源電圧を測定し、その位相差から直接相回転を確認する仕組みです。

200Vや400Vの低圧三相回路で使用されることが多い方式です。高圧系統に応用する場合は、計器用変圧器を介して低圧部分を測定します。高圧電力を誤って地絡・短絡させると強大なスパークが発生して非常に危険なため、直接高圧端子に接触させる製品はあまり販売されていません。

2. 非接触式

非接触式高圧検相器は、物理的な接触をせずに相の状態を検出する装置です。現在は低圧・高圧問わず非接触式検相器が主流であり、高圧では非接触式の製品がほとんどです。

原理としては静電誘導作用を利用しています。検相器内部は高抵抗となっており、人体を介して大地に接地して閉回路を形成します。電路から誘起される電圧をその閉回路で検知し、2相の誘起電圧の位相差を検知する仕組みです。

低圧の検相器は一般に3相の相回転を確認できるように3本のクランプで構成されます。ただし、高圧検相器は離隔距離をとる必要があり、検相器本体が大きいため2相の位相差を検知する構造が多いです。3相のうち2相ずつ3回測定を行う必要があります。

参考文献

https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=45

管状炉

管状炉とは

管状炉とは、長い管状 (円筒状) の構造を持った炉です。

電気炉である場合が多く、炉内には管を囲むように発熱体と耐熱材が配置されます。炉内が管状になっているため、均一加熱が可能で、精密な温度制御および温度分布を変更することができます。

内部の管に直接熱源や燃料を供給することで、効率的な加熱や処理が可能です。また、管の形状によって物質の流れや反応の制御が容易になるという利点もあります。

ただし、具体的な管状炉の設計や構造は使用目的などによって異なります。そのため、具体的な設計条件に応じて管状炉の仕組みや操作方法は異なる場合も多いです。

管状炉の使用用途

管状炉には、さまざまな使用用途があります。具体的な使用用途は、熱処理プロセスや生産ラインのパイロット試験、研究開発などです。

1. 熱処理プロセス

金属材料やセラミックスなどの熱処理プロセスに使用されます。鋼材の焼入れや焼戻しなどの熱処理工程で活用されます。高温環境を制御し、材料の組織や物性を変化させることが可能です。

2. 研究開発

研究開発では半導体の熱処理研究や燃料電池材の開発などに使用されます。石油精製・石油化学分野で使用する触媒開発などにも利用されます。管状炉は流通式にできるため、化学プロセスの開発でも、実際の製造ラインの条件を模倣してパフォーマンスを確認することが可能です。

3. ガラス製造・半導体製造

ガラス製造や半導体製造においても使用可能です。ガラス製造では、原料を高温で溶融し、成形してガラス製品を作ります。半導体製造では、酸化膜の形成やアニーリングなどに使用されます。

管状炉の原理

管状炉は発熱体、炉心管、耐熱材などで構成されます。

1. 発熱体

管状炉内で熱を供給するための部分です。一般的には、電気抵抗ヒーターが使用されます。特にニクロム線、カンタル線 (鉄クロムアルミ合金) 、炭化ケイ素などから使用用途に応じて選択します。

基本的に、線などの金属線に電気を通しただけでヒーターとして使用可能です。一方で、炉に使用する場合は適度な耐久性や温度特性が必要です。

ニクロム線やカンタル線の最高使用温度はそれぞれ、1,200℃、1,350℃です。高温に対応するために、炉の電源電圧は主にAC100V~200V電源を使用します。大型機器では、300V以上の電源も使用されます。

2. 炉心管

炉心管は、発熱体の周りに配置される管状の構造物です。高温環境や化学的な反応から発熱体を保護し、熱の均一な放射や対象物への熱伝達を効率的に行う役割を果たします。

炉心管は高温に耐える石英やセラミックで製作されます。使用温度が500℃などと低い場合は、ステンレスなどの金属管を使用することも可能です。

3. 耐熱材

管状炉は高温環境で動作するため、耐熱材が使用されます。耐熱材は炉心管の外部に配置され、熱の絶縁や保温の役割を果たします。耐熱材には、セラミックファイバー、耐熱レンガ、耐熱コーティングなどが使用されます。

管状炉の種類

管状炉には開閉式と密閉式の2種類があります。それぞれの特徴に基づいて異なる用途に適しています。具体的な製造プロセスや材料の要件に応じて、適切なタイプの管状炉を選択することが大切です。

1. 開閉式

開閉式の管状炉は一端または両端が開いており、材料やガスの出入りが容易です。また、炉内の操作や保守メンテナンスがしやすい特徴があります。縦置きと横置きを選択することが可能です。

また、連続プロセスではなく、小規模な実験や研究目的にも適しています。炉外から熱電対などの温度測定器を挿入することで、各軸方向における管内およびサンプルの温度分布を測定可能です。

2. 密封式

密閉式の管状炉は両端が密閉されている構造です。外部の大気との接触を制御し、炉内の気体や温度を保持することができます。熱の漏れを最小限に抑え、均一な環境となる点が特徴です。

酸化還元反応や高温熱処理が必要な場合に使用されます。高精度な熱処理や反応の制御を要する半導体製造や高品質な結晶成長などの用途に適しています。

参考文献
http://www.shimazu-metal.com
http://www.ogawaseiki.jpn.org/mfg/works02/selection-tube.html
http://www.tyu-buro.com/faq-detail_1.html

燃料流量計

燃料流量計とは

燃料流量計とは、燃料の移送過程で移動した分の流量 (燃料流量) を測定する際に用いられる計測器です。

ユーザーが測定値を読み取るためのアナログ式、またはデジタル式のいずれかの視覚的計器があります。近年、各種産業界では品質向上やコストダウン等を目的とした自動化、省力化が進み、流量計温度計圧力計といった工業計器類のより一層の高性能化、多機能化が求められています。

その中でも燃料流量計は船舶等の省エネ運航や環境対応に取り組む上で極めて重要な計測器です。今後ますます関心が高まってくると予想されています。

燃料流量計の使用用途

燃料流量計はガソリン、軽油、灯油、ディーゼル燃料、アルコール燃料といった燃料の流量を高精度かつ高い再現性で測定します。エンジン試験・車両試験の設備として使用可能で、研究開発・品質管理などのための燃料消費計測に幅広く対応しています。

このように幅広い業界で用いられている燃料流量計ですが、造船、海運業界が使用例です。燃料流量計の船舶では、メインエンジン、発電機、ボイラーで用いられる燃料の消費量の計測のほか、エンジン各部への潤滑油供給量の計測にも用いられています。

燃料流量計の原理

燃料流量計には主に計測する流量の種類から主に容積流量計質量流量計の2つに分類されます。

1. 容積流量計

容積流量計には計量室があり、その中に回転子があります。回転子とそれを包むケースで空間が形成されます。燃料が計量室内に充満すると回転子が排出する仕組みになっており、この充満・排出の繰り返し数をもって流体 (燃料) の体積を測定する方式です。

回転子の回転で充満する計量室内の流体体積量がわかっていれば、回転子の回転数をもとに流体体積の合計量を算出可能です。入り口から流体を流すと、オーバル歯車 (回転子) の歯面に圧力がかかります。

楕円形状をしているため、一部に圧力がかかった歯車は自然と回転を開始します。燃料の供給が連続的である場合、回転動作もまた連続的です。

2. 質量流量計

質量流量計の代表格として、コリオリ流量計があります。コリオリ流量計は質量が回転座標上で移動した際に、移動方向と垂直の方向に受ける慣性力、いわゆるコリオリの力を利用した流量計であり、質量流量の高精度な直接計測が可能です。

具体的には、計測チューブの外側に励振器が取り付けられており、計測チューブを一定の周期で振動させます。燃料が流れていると液体の慣性により振動にねじれが加わり、さらにコリオリの効果によりチューブの入口と出口では同時にそれぞれ異なる方向に振動します。

そして、入口側と出口側のそれぞれのセンサーがこの振動の変化を時間的・空間的に細かく計測することにより、液体の位相差を計測することが可能です。この位相差を基に、質量流量の測定を行います。

燃料流量計の特徴

燃料流量計は前述の通り、容積流量計と質量流量計の2種類があります。各流量計の特徴は、以下の通りです。

1. 容積流量計

容積流量計の特徴の1つは精度が高いことで、指示値の0.5~0.2 %程です。また、多くの流量計では流体粘度が高くなると精度保証ができる流量範囲が狭まります。

しかし、容量流量計では粘度が高くなると回転子と容器の隙間からの漏れが減少するため、精度保証可能な流量範囲が広がります。

2. 質量流量計

質量流量計の1つであるコリオリ流量計は、振動周波数から液体の密度も直接測定することが可能です。温度そして粘度も同時に計測できることから、A重油やC重油といった性状の異なる燃料を1台の流量計で高精度に計測可能といったメリットがあります。

デメリットとしては、他の検出原理と比較して高価な点や圧損が大きい点、振動の影響を受けやすい点が挙げられます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/52/3/52_342/_pdf/-char/ja

モルタルポンプ

モルタルポンプとは

モルタルポンプとは、工事現場において必要な箇所へモルタルを送るためのコンクリート関連機器の1つです。

グラウトポンプとも呼ばれています。簡単な構造のガンタイプ式や足踏み式、100Vや200Vで動く電動式などがあります。機械自体も小型なので、建設工事や土木工事の現場で活躍する機器です。

モルタルポンプが活躍するシーンとして、コンクリート建築の構造体の補修修理やひび割れ補強、下水道工事、床版充填、モルタル浮き部充填などが挙げられます。

モルタルポンプの使用用途

モルタルポンプは、ポンプ車と呼ばれる生コンクリートを圧送する建設車両が入れないような場所で作業する場合や頻繁に圧送する場合、コスト面を重視する場合などに使用されています。狭い箇所で使用する場合は、ガンタイプが最適です。

1. 機械式

グラウト材と呼ばれる無収縮モルタルや、セルフレベリング材という床下地の調整材をミキサーから (注入したり、吹き付けたりする) 作業箇所まで搬送する役目を果たします。

機械式モルタルポンプは、セメント (モルタル) 系やガラス系、合成樹脂など、多様な素材に対応できるため、耐震補強工事や地盤改良工事、トンネル工事、橋脚補強材注入工事など、さまざまな現場で活躍しています。

2. ガンタイプ

ガンタイプは、鋼製建具を取り付けた際、枠と壁の隙間を埋める際に使用されます。鉄筋コンクリート造やALCの場合、サッシ枠を溶接で取り付けます。

建具回りだけでなく、土間や壁の隙間を埋める際など、量は少なく小回りを利かせたい場合にも最適です。

モルタルポンプの原理

モルタルポンプは、ホッパーと呼ばれるモルタルなどを入れる大きな容器と、圧送するポンプがホースで繋がり構成されています。機種によっては一体型になっているものもあります。

使い方はシンプルで、圧送したい物をホッパーへ投入し、打設個所まで必要な長さのホースを繋ぎ合わせて使用します。モルタルポンプには、ピストン式 (押し出し式) とスクイズ式 (絞り出し式) があります。

1. ピストン式

ピストン式は、ピストンが後退するときに水鉄砲のようにホッパー内のモルタルをシリンダ内に吸い込み、ピストンが前進するときにモルタルを押し出して圧送する方式です。また、ピストン式は、スクイズ式に比べ圧送能力に優れているので、高層階や遠距離への圧送が可能になり、高層ビル建設や大規模な土木工事現場で使用されます。

ただそ、圧送能力がある反面、騒音や振動が発生することがデメリットです。

2. スクイズ式

スクイズ式は、円筒ドラムにセットしたポンピングチューブをチューブ歯磨きのようにローラーでしぼり出して圧送する方式です。

構造上、チューブをローラーで押すため、チューブが摩耗してパンク (ポンプ内でコンクリートが漏れる) することがあります。また、あまり硬いものや流動性が少ないものは圧送できない点も短所の1つです。

スクイズ式は、ピストン式に比べ圧送時の衝撃が少ないため、使い勝手に優れています。主に、小規模現場や一戸建の住宅に使用される場合が多いです。

モルタルポンプの種類

電動式のモルタルポンプの他に、手動式のモルタルポンプも存在します。手で持つことのできるガンタイプと、ペダルを足で踏みモルタルなどを送るタイプがあります。

手動式のモルタルポンプは、RC造や外壁がALCの場合、鋼製建具を取り付けた際、躯体とサッシの隙間にモルタルを内側から充填するときに使われます。単に隙間を埋めるだけではなく、特定防火設備の場合、このモルタルを詰める作業が消防法上必須です。

細かい作業になるので、電動式よりも手動の方が適しています。

参考文献
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1940
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1940
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1206
http://www.kyokuto.com/hataraku/cp.html

フロアスケール

フロアスケールとは

フロアスケール

フロアスケールとは、床に設置される重い物体や貨物の重さを正確に測定するための計量装置です。

フロアスケール移動させて必要な場所に設置できる地上型と、地面に対して載台がフラットになるピットへの埋込型があります。載台寸法は一般的に約1~2m四方で、計量可能な最大重量は1t未満のものから10t以上の機種まで幅広いです。

フロアスケールは機種により、載台に載せやすい低床式や高さ調整式、現場の過酷な環境にも適応した防水・防塵構造、計量物を安全に載せることができるすべり止め加工など、さまざまな機能が搭載されています。

フロアスケールの使用用途

フロアスケールは、物流倉庫や農産市場、化学薬品工場、食品工場など、幅広い業界の現場で計量作業に使用されます。例えば、物流倉庫では段ボールを積載したパレットの計量に用いられています。

工場では、載台部に台車の載せ降ろしができるスロープを取り付けることで、原料や加工品の入ったキャスター付きタンクやワゴンの計量が可能です。使い方は簡単で、まず本体の載台部に付属の指示計を接続します。

その後、計量物を載台部に載せることで内部センサーが荷重を計測し、指示計に重量をデジタル表示するという流れです。

フロアスケールの原理

内蔵されたロードセルにより重量の計測が行われます。ロードセルとは、質量などの力を検出し電気信号に変換・出力するセンサーです。ロードセルには静電容量式や電磁誘導式など複数の種類が存在しますが、多くのはかりに使用されているタイプは電気抵抗を応用したひずみゲージ式です。

ひずみゲージ式ロードセルは、高精度で計測時間が短く、他のセンサーよりも寿命が長いというメリットがあります。また、比較的安価で電気信号により演算処理が容易にできることも広く普及した要因です。ひずみゲージ式ロードセルは、起歪体 (きわいたい) とひずみゲージからなり、起歪体は外からの力が加わると伸びたり縮んだりしてひずみを生じる金属の部品です。

ひずみゲージは起歪体に貼り付けられるセンサーで、ひずみの大きさに応じて発生する電気抵抗値の変化を検出します。ゲージで検出した電気抵抗値の変化は、ブリッジ回路と呼ばれる電気回路で電圧信号に変換されます。

フロアスケールでの計量は、載台に計量物を載せると、内蔵されたロードセルにひずみが生じ、このときの抵抗値が電気信号となりデジタル処理されることで指示器に重量が表示される仕組みです。

フロアスケールの選び方

1. 重量の範囲と精度

まず、フロアスケールが必要な重量範囲を確認することが必要です。使用する場面で測定する物体の最大重量を考慮して、その範囲内で正確な測定ができるスケールを選びます。厳密な計測が必要な場合は高精度である必要があるため、高精度のモデルを選択することが重要です。

2. 耐久性と耐荷重

フロアスケールは耐久性が求められるため、頑丈な構造と材料を持つモデルを選びます。また、耐荷重能力も確認して、計測する物体の重さに耐えることができるか確認することが重要です。過度な負荷に耐えられないと、スケールが損傷する可能性があります。

3. デザインとサイズ

フロアスケールのデザインとサイズも重要です。設置場所に合わせてスケールの寸法を選び、作業環境に最適な形状を選択します。設置場所によっては見栄えを重要視するケースもあるため、デザインが作業環境に適していることが大切です。

4. 機能と付属品

フロアスケールにはさまざまな機能が付いていることがあります。例えば、データの記録・転送機能、タッチスクリーンディスプレイ、印刷機能などがあります。必要な機能や付属品を確認し、作業要件に合ったモデルを選びます。

5. メーカーの信頼性

信頼性の高いメーカーから製品を選ぶことが大切です。知名度のあるメーカーや評判の良いブランドを選び、アフターサービスや保証についても確認します。定期メンテナンスのサービスは費用が必要なケースもあるため、サポートの内容を十分に確認する必要があります。

参考文献
https://floorscale.jp/wp-content/uploads/2019/05/1904_KD_A3.pdf
https://www.nikko-scale.co.jp/category/products/floorscales/
https://www.aandd.co.jp/products/loadcell/introduction/cell_intro01.html#h01
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/45/4/45_4_329/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/11/60_KJ00008329776/_pdf

セルフローダ

セルフローダとは

セルフローダは、主に産業用車両を工事現場へ運搬する特殊車両です。

セルフローダは、主に中型から大型トラックのシャシーをベースとし、専用の荷台を架装することにより産業用重機や公道を走行できない車両の運搬を行います。

類似するものにセーフティローダが挙げられますが、こちらは車両の積み下ろし時に荷台のみが後方へ移動して傾斜する方式であり、車両全体が後方へ傾斜するセルフローダとは区別されています。なお、セルフローダ、セーフティローダともに道路運送車両法により「車載専用車」の登録です。

セルフローダの使用用途

主に、車輪または履帯を持つ車両を工事現場や山間部等の自走困難な現場へ運搬する用途に使用されます。また、故障車や新車の運搬の用途もあります。

履帯を持つ車両は自走により移動させることが可能ですが、交通の妨げとなる可能性がある他、道路の舗装面を痛めてしまうことが難点です。また、山間部等へ自走するのは燃料消費、運転者の負担の問題もあり、あまり現実的とは言えません。

セルフローダは迅速に車両を運搬することができる他、運転者の負担を減らすことができます。

セルフローダの原理

産業用車両の積載を容易に行うため、荷台前方に装備されたジャッキにより車体全体を後方へ約7.0~13.0°傾けることが可能であるのが大きな特徴です。荷台後端部には路面との段差をなくすためのスロープを設けることでさらに積載性を向上させられるほか、動力を持たず自走できない車両を引き上げるためのウインチが荷台前端部に設けられています。

道路運送車両法上は車載専用車としての登録となるため、リヤオーバーハングは最遠軸距 (3軸車=1軸目と3軸目、4軸車=1軸目と4軸目) の2/3まで、側面アオリ高さは15cm以下、後面アオリ寸法は高さ45cm以下に収めます。このほか、車両以外を容易に積載できないよう床面に穴をあけるなども必要です。

架装時は、ベース車両に対してリヤオーバーハングが延長される場合が多いため、旋回時に車両後端部の振り出しに注意して運転する必要があります。

セルフローダの選び方

セルフローダを選ぶ際のポイントは、架装の仕様、最大積載量と車両のサイズ、及び車両の軸数です。

架装の仕様は、クレーンやウインチが付いているか、車体を持ち上げるジャッキの形状、あゆみ板が自動か、など様々です。業務内容に合わせて最適なものを選定します。

最大積載量と車両のサイズは、運搬する対象車両の重量と大きさを考慮し、用途に合わせて選定します。ただし、車両のサイズが大きすぎると、高さや幅員の規制がある道路での走行に制限を受けるので注意する必要があります。

車両の軸数は、3軸と4軸があります。3軸は、前2軸・後1軸または前1軸・後2軸であり、前者は、タイヤの直径が大きく、床の高さが高い車両です。後者は、タイヤの直径が小さく、床の高さが低いので、安定性が高い特徴があります。

セルフローダのその他情報

1. セルフローダの運転資格

セルフローダを公道で運転するには、次の免許が必要です。トラックの運転免許と同じです。

  • 普通自動車免許:最大積載量3t未満、車両総重量5t未満
  • 中型 (8t) 限定免許:最大積載量5t未満、車両総重量8t未満
  • 中型自動車免許:最大積載量3t〜6.5t、車両総重量5t〜11t
  • 大型自動車免許:最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上

車両に付属しているウインチを使って、対象車を積載する場合は、別に資格が必要です。2日間の運転特別教育を受講し、学科と実技を受けて、ウインチの操作資格が取得できます。

2. セルフローダとセーフティローダの違い

セルフローダとセーフティローダは、対象車両を運搬するという目的は殆ど同じですが、構造が異なります。

セルフローダは、車体の前方をジャッキで持ち上げ、車両全体に傾斜を付けて、対象車両を積み込みやすくします。一方、セーフティローダは、荷台部分が後方へスライドし、荷台のみを傾斜させます。セルフローダに比べ、傾斜が緩く、比較的安全に対象車両を積載することができます。

参考文献
https://www.kinki-truck.com/article21/
https://www.tadano.co.jp/products/sl/index.html

ケーブルタイ

ケーブルタイとは

ケーブルタイ

ケーブルタイとは配線ケーブル等を束ねて固定し、すっきりまとめるための道具です。

最近では100円ショップ等で「結束バンド」の名称で取り扱われることが増えています

以前は電気工事関係等の現場で使用されることが多く、メジャーな商品名である

  • インシュロック
  • タイラップ

等の名称が一般名詞とされ、商品名で呼ばれていました。

そのため、ベテランの技術者等は今でもインシュロックと呼ぶことがあり、ケーブルタイ、結束バンド、インシュロック、タイラップは同じものを指しますので注意が必要です。

ケーブルタイの使用用途

ケーブルタイは、主に電気配線などのケーブル類を束ねて絡まりを防いで収納する、または配線の種類ごとに束ねて種類の混同を避けるために使用されます

ケーブルが屋内と屋外で使用されることから、これを束ねるケーブルタイにも屋内用と屋外用があります。

屋外用のケーブルタイは、当然のことながら日差しや風雨にさらされるため、太陽光の紫外線耐性や風雨に対する防水性などの耐久性が必要です。

一方、屋内用のケーブルタイは屋外用程の耐久性を持ちません。このため、屋内用のケーブルタイを屋外におけるケーブルの結束に用いた場合は、劣化や破断の恐れがありますので、事前に屋外用か屋内用かの確認が必要です。

なお、ケーブルタイは、様々なものを簡単かつ比較的強く固定できるため、配線の固定に限らず色々なものの固定に応用されています。

ケーブルタイの原理

ケーブルタイの構造

ケーブルタイの一般的な構造は図1に示す通りで、ケーブルタイ本体の端部にケーブルが通せる貫通孔と通ったケーブルをロックするロック部材を有する結束部がある形状です。

ケーブルタイの模式図

図1. ケーブルタイの模式図

このとき、ケーブルタイ本体の片面に鋸歯状の凹凸である嵌合部形成されており、貫通孔にケーブルタイ本体を通すと、嵌合部の凸部がロック部材に引っかかってロックされます。

ロック部材により固定されるので逆戻りができず緩むことありません。図2に示すように固定するケーブルなどに合わせて締めこんだ後、余ったバンドをニッパーなどで切断します。

結束状態の模式図

図2. 結束状態の模式図

1本のケーブルタイで輪を作って使用することが一般的ですが、複数のタイを連結して長くすることも可能です。

このような構造を有するため、基本的に緩めることはできず、固定を解く際はハサミなどで切断します。なお、ロック部分の爪がリリースでき繰り返し使用できる製品もあります。

ケーブルタイの材質

ケーブルタイの一般的な材質はナイロン樹脂です。屋外用ケーブルタイには紫外線遮蔽材(主に黒色)が添加されたナイロン樹脂が使用されます

ケーブルタイに耐熱性・耐薬品性が要求される場合にはポリプロピレンフッ素樹脂が用いられます。またゴムや金属製のケーブルタイもあり、金属製のケーブルタイは太い配管の支持や機械部品の固定など、耐熱性と強度を要する場所で活躍します。

参考文献

https://www.sanwa.co.jp/product/cable/cableacc/cabletie_03.html
https://www.hellermanntyton.co.jp/product/cabletie/

クーリングファン

クーリングファンとは

クーリングファン

クーリングファンとは、回転する羽根で発生する空気の流れにより、対象物を冷却する装置です。

羽根の種類は大別すると、プロペラファン、シロッコファン 、ラインフローファン、ターボファンなどがあります。このうちプロペラ型はモータの軸方向に風が発生するため、風量も大きく、構造もコンパクトであるため、クーリングファンとしてもっともポピュラーです。

ファンの駆動源も重要であり、ACモータ、DCモータ、内燃機関などが使われます。

クーリングファンの使用用途

近年、パソコンを筆頭に各種OA機器の高機能化、高速化に伴い機器の発熱が増加しており、クーリングファンの需要は高まっています。

機器の筐体に取り付けて機器内部全体を冷却するもの、より効率的な冷却を意図して基板やCPU等の発熱部品の近傍に取り付け直接送風するものなどがあります。それぞれの冷却設計に対応するため、さまざまなサイズのクーリングファンが用意されています。

また、屋外設備や工作機械の冷却用には、防水、防油対策を講じたものもあり、工場の換気ファン、空調機の放熱ファン、室内冷却ファンなどにも使われます。

内燃機関の放熱にもクーリングファンが使用され、この場合ファンの駆動はエンジンやモータです。

クーリングファンの原理

1. プロペラファンの特性

クーリングファンに多く使われているのはプロペラファンです。プロペラファンは、比較的大風量・低圧力で使用する場合が多いといえます。この使用条件での所要動力が小さいのは利点です。

たとえば、制御盤を冷却する場合、ファンを外側へ空気を排出するように配置し、外部空気の入口にフィルタを付けます。圧力は比較的低く、大風量となります。

プロペラ型のクーリングファンは、羽根を取り付けたモータをケーシングに取り付け、ケーシングの四隅には対象機器への取り付けのための通し穴が付加されています。

2. 圧力を増加したい場合

プロペラファンを使って、圧力を上げたい場合、2重反転ファンにする方法があります。プロペラファン2台を直列に配置し、回転方向を逆向きにしたファンです。圧力が上がり、風量も増大します。サーバーの冷却などに使用します。

また、シロッコファンやターボファンを使う方法もあります。大型装置の換気や薄型・高実装密度の装置などに使います。

3. クーリングファンの耐久性

プロペラ型のクーリングファンは、構造はきわめてシンプルですが、機器運転時の冷却というタスクの性格から、基本的に連続運転となり、対象機器以上の耐久性が必要な装置です。

モータの駆動力により回転する羽根は、モータ軸と直交する方向に発生する送風と同等の反力を絶えず受けます。さらに、この荷重はモータ軸先端で最大となり、モータの根元で最小となるモーメント荷重です。加えてモータ軸の一端は片持ち軸です。この条件で冷却対象機器以上の耐久性を維持するために、耐久性が充分考慮されたモータ内部の軸受構造 (ボールベアリング) と、それに封入される高寿命の潤滑剤の選択により、各メーカはクーリングファンのカタログ寿命を保証しています。

クーリングファンの選び方

選び方で最初に決めるのは、機器全体を冷やすか、特定の発熱部分を冷やすかです。機器内部を全体的に冷却する場合は、筐体にクーリングファンを設置して換気します。空気の入口を設け、フィルタを取り付け、機器の発熱量からクーリングファンの仕様を選定します。

特定の部分を冷却する場合は、その部分にクーリングファンの出口からの空気流を直接当てるか、機器専用のクーリングファンを使います。例えばCPUクーラなどです。

次に、駆動するモータの選定を行います。AC3相モータ、AC単相モータ、DCブラシレスモータなどが使われます。DCモータは、ACに比べ効率が高く低消費電力です。PWM制御により、回転数を変え、さらに省エネルギーのモータも増加しています。

クーリングファンのその他情報

PWMコントロール

PWM (パルス幅変調) コントロールは、クーリングファンモータのコントロール端子に入力しパルス信号のデューティ比を変化させることにより、ファンの回転数を外部から制御できる機能です。

装置の発熱状態の変化に応じて、最適な風量に制御できます。効率よく冷却でき、消費電力の低減や装置の低騒音化に効果があります。

参考文献

https://www.sanyodenki.com/archive/document/corporatedata/technicalreport/2015/TR40_p03_Cdiv.pdf