燃料流量計とは
燃料流量計とは、燃料の移送過程で移動した分の流量 (燃料流量) を測定する際に用いられる計測器です。
ユーザーが測定値を読み取るためのアナログ式、またはデジタル式のいずれかの視覚的計器があります。近年、各種産業界では品質向上やコストダウン等を目的とした自動化、省力化が進み、流量計や温度計、圧力計といった工業計器類のより一層の高性能化、多機能化が求められています。
その中でも燃料流量計は船舶等の省エネ運航や環境対応に取り組む上で極めて重要な計測器です。今後ますます関心が高まってくると予想されています。
燃料流量計の使用用途
燃料流量計はガソリン、軽油、灯油、ディーゼル燃料、アルコール燃料といった燃料の流量を高精度かつ高い再現性で測定します。エンジン試験・車両試験の設備として使用可能で、研究開発・品質管理などのための燃料消費計測に幅広く対応しています。
このように幅広い業界で用いられている燃料流量計ですが、造船、海運業界が使用例です。燃料流量計の船舶では、メインエンジン、発電機、ボイラーで用いられる燃料の消費量の計測のほか、エンジン各部への潤滑油供給量の計測にも用いられています。
燃料流量計の原理
燃料流量計には主に計測する流量の種類から主に容積流量計と質量流量計の2つに分類されます。
1. 容積流量計
容積流量計には計量室があり、その中に回転子があります。回転子とそれを包むケースで空間が形成されます。燃料が計量室内に充満すると回転子が排出する仕組みになっており、この充満・排出の繰り返し数をもって流体 (燃料) の体積を測定する方式です。
回転子の回転で充満する計量室内の流体体積量がわかっていれば、回転子の回転数をもとに流体体積の合計量を算出可能です。入り口から流体を流すと、オーバル歯車 (回転子) の歯面に圧力がかかります。
楕円形状をしているため、一部に圧力がかかった歯車は自然と回転を開始します。燃料の供給が連続的である場合、回転動作もまた連続的です。
2. 質量流量計
質量流量計の代表格として、コリオリ流量計があります。コリオリ流量計は質量が回転座標上で移動した際に、移動方向と垂直の方向に受ける慣性力、いわゆるコリオリの力を利用した流量計であり、質量流量の高精度な直接計測が可能です。
具体的には、計測チューブの外側に励振器が取り付けられており、計測チューブを一定の周期で振動させます。燃料が流れていると液体の慣性により振動にねじれが加わり、さらにコリオリの効果によりチューブの入口と出口では同時にそれぞれ異なる方向に振動します。
そして、入口側と出口側のそれぞれのセンサーがこの振動の変化を時間的・空間的に細かく計測することにより、液体の位相差を計測することが可能です。この位相差を基に、質量流量の測定を行います。
燃料流量計の特徴
燃料流量計は前述の通り、容積流量計と質量流量計の2種類があります。各流量計の特徴は、以下の通りです。
1. 容積流量計
容積流量計の特徴の1つは精度が高いことで、指示値の0.5~0.2 %程です。また、多くの流量計では流体粘度が高くなると精度保証ができる流量範囲が狭まります。
しかし、容量流量計では粘度が高くなると回転子と容器の隙間からの漏れが減少するため、精度保証可能な流量範囲が広がります。
2. 質量流量計
質量流量計の1つであるコリオリ流量計は、振動周波数から液体の密度も直接測定することが可能です。温度そして粘度も同時に計測できることから、A重油やC重油といった性状の異なる燃料を1台の流量計で高精度に計測可能といったメリットがあります。
デメリットとしては、他の検出原理と比較して高価な点や圧損が大きい点、振動の影響を受けやすい点が挙げられます。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/52/3/52_342/_pdf/-char/ja