管状炉

管状炉とは

管状炉とは、長い管状 (円筒状) の構造を持った炉です。

電気炉である場合が多く、炉内には管を囲むように発熱体と耐熱材が配置されます。炉内が管状になっているため、均一加熱が可能で、精密な温度制御および温度分布を変更することができます。

内部の管に直接熱源や燃料を供給することで、効率的な加熱や処理が可能です。また、管の形状によって物質の流れや反応の制御が容易になるという利点もあります。

ただし、具体的な管状炉の設計や構造は使用目的などによって異なります。そのため、具体的な設計条件に応じて管状炉の仕組みや操作方法は異なる場合も多いです。

管状炉の使用用途

管状炉には、さまざまな使用用途があります。具体的な使用用途は、熱処理プロセスや生産ラインのパイロット試験、研究開発などです。

1. 熱処理プロセス

金属材料やセラミックスなどの熱処理プロセスに使用されます。鋼材の焼入れや焼戻しなどの熱処理工程で活用されます。高温環境を制御し、材料の組織や物性を変化させることが可能です。

2. 研究開発

研究開発では半導体の熱処理研究や燃料電池材の開発などに使用されます。石油精製・石油化学分野で使用する触媒開発などにも利用されます。管状炉は流通式にできるため、化学プロセスの開発でも、実際の製造ラインの条件を模倣してパフォーマンスを確認することが可能です。

3. ガラス製造・半導体製造

ガラス製造や半導体製造においても使用可能です。ガラス製造では、原料を高温で溶融し、成形してガラス製品を作ります。半導体製造では、酸化膜の形成やアニーリングなどに使用されます。

管状炉の原理

管状炉は発熱体、炉心管、耐熱材などで構成されます。

1. 発熱体

管状炉内で熱を供給するための部分です。一般的には、電気抵抗ヒーターが使用されます。特にニクロム線、カンタル線 (鉄クロムアルミ合金) 、炭化ケイ素などから使用用途に応じて選択します。

基本的に、線などの金属線に電気を通しただけでヒーターとして使用可能です。一方で、炉に使用する場合は適度な耐久性や温度特性が必要です。

ニクロム線やカンタル線の最高使用温度はそれぞれ、1,200℃、1,350℃です。高温に対応するために、炉の電源電圧は主にAC100V~200V電源を使用します。大型機器では、300V以上の電源も使用されます。

2. 炉心管

炉心管は、発熱体の周りに配置される管状の構造物です。高温環境や化学的な反応から発熱体を保護し、熱の均一な放射や対象物への熱伝達を効率的に行う役割を果たします。

炉心管は高温に耐える石英やセラミックで製作されます。使用温度が500℃などと低い場合は、ステンレスなどの金属管を使用することも可能です。

3. 耐熱材

管状炉は高温環境で動作するため、耐熱材が使用されます。耐熱材は炉心管の外部に配置され、熱の絶縁や保温の役割を果たします。耐熱材には、セラミックファイバー、耐熱レンガ、耐熱コーティングなどが使用されます。

管状炉の種類

管状炉には開閉式と密閉式の2種類があります。それぞれの特徴に基づいて異なる用途に適しています。具体的な製造プロセスや材料の要件に応じて、適切なタイプの管状炉を選択することが大切です。

1. 開閉式

開閉式の管状炉は一端または両端が開いており、材料やガスの出入りが容易です。また、炉内の操作や保守メンテナンスがしやすい特徴があります。縦置きと横置きを選択することが可能です。

また、連続プロセスではなく、小規模な実験や研究目的にも適しています。炉外から熱電対などの温度測定器を挿入することで、各軸方向における管内およびサンプルの温度分布を測定可能です。

2. 密封式

密閉式の管状炉は両端が密閉されている構造です。外部の大気との接触を制御し、炉内の気体や温度を保持することができます。熱の漏れを最小限に抑え、均一な環境となる点が特徴です。

酸化還元反応や高温熱処理が必要な場合に使用されます。高精度な熱処理や反応の制御を要する半導体製造や高品質な結晶成長などの用途に適しています。

参考文献
http://www.shimazu-metal.com
http://www.ogawaseiki.jpn.org/mfg/works02/selection-tube.html
http://www.tyu-buro.com/faq-detail_1.html

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