モルタルポンプとは
モルタルポンプとは、工事現場において必要な箇所へモルタルを送るためのコンクリート関連機器の1つです。
グラウトポンプとも呼ばれています。簡単な構造のガンタイプ式や足踏み式、100Vや200Vで動く電動式などがあります。機械自体も小型なので、建設工事や土木工事の現場で活躍する機器です。
モルタルポンプが活躍するシーンとして、コンクリート建築の構造体の補修修理やひび割れ補強、下水道工事、床版充填、モルタル浮き部充填などが挙げられます。
モルタルポンプの使用用途
モルタルポンプは、ポンプ車と呼ばれる生コンクリートを圧送する建設車両が入れないような場所で作業する場合や頻繁に圧送する場合、コスト面を重視する場合などに使用されています。狭い箇所で使用する場合は、ガンタイプが最適です。
1. 機械式
グラウト材と呼ばれる無収縮モルタルや、セルフレベリング材という床下地の調整材をミキサーから (注入したり、吹き付けたりする) 作業箇所まで搬送する役目を果たします。
機械式モルタルポンプは、セメント (モルタル) 系やガラス系、合成樹脂など、多様な素材に対応できるため、耐震補強工事や地盤改良工事、トンネル工事、橋脚補強材注入工事など、さまざまな現場で活躍しています。
2. ガンタイプ
ガンタイプは、鋼製建具を取り付けた際、枠と壁の隙間を埋める際に使用されます。鉄筋コンクリート造やALCの場合、サッシ枠を溶接で取り付けます。
建具回りだけでなく、土間や壁の隙間を埋める際など、量は少なく小回りを利かせたい場合にも最適です。
モルタルポンプの原理
モルタルポンプは、ホッパーと呼ばれるモルタルなどを入れる大きな容器と、圧送するポンプがホースで繋がり構成されています。機種によっては一体型になっているものもあります。
使い方はシンプルで、圧送したい物をホッパーへ投入し、打設個所まで必要な長さのホースを繋ぎ合わせて使用します。モルタルポンプには、ピストン式 (押し出し式) とスクイズ式 (絞り出し式) があります。
1. ピストン式
ピストン式は、ピストンが後退するときに水鉄砲のようにホッパー内のモルタルをシリンダ内に吸い込み、ピストンが前進するときにモルタルを押し出して圧送する方式です。また、ピストン式は、スクイズ式に比べ圧送能力に優れているので、高層階や遠距離への圧送が可能になり、高層ビル建設や大規模な土木工事現場で使用されます。
ただそ、圧送能力がある反面、騒音や振動が発生することがデメリットです。
2. スクイズ式
スクイズ式は、円筒ドラムにセットしたポンピングチューブをチューブ歯磨きのようにローラーでしぼり出して圧送する方式です。
構造上、チューブをローラーで押すため、チューブが摩耗してパンク (ポンプ内でコンクリートが漏れる) することがあります。また、あまり硬いものや流動性が少ないものは圧送できない点も短所の1つです。
スクイズ式は、ピストン式に比べ圧送時の衝撃が少ないため、使い勝手に優れています。主に、小規模現場や一戸建の住宅に使用される場合が多いです。
モルタルポンプの種類
電動式のモルタルポンプの他に、手動式のモルタルポンプも存在します。手で持つことのできるガンタイプと、ペダルを足で踏みモルタルなどを送るタイプがあります。
手動式のモルタルポンプは、RC造や外壁がALCの場合、鋼製建具を取り付けた際、躯体とサッシの隙間にモルタルを内側から充填するときに使われます。単に隙間を埋めるだけではなく、特定防火設備の場合、このモルタルを詰める作業が消防法上必須です。
細かい作業になるので、電動式よりも手動の方が適しています。
参考文献
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1940
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1940
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1206
http://www.kyokuto.com/hataraku/cp.html