高圧検相器

高圧検相器とは

高圧検相器とは、高圧電圧 (交流600V以上) 電路の相回転が逆相か正相かを確認するための装置です。

主に高圧電力系統で使用され、電力供給の安全性を確保するために重要な役割を果たします。電力系統では、3相交流電源 (通常は50または60 Hz) が使用されることが多いです。3相電源のうちどの相がどの順序で到着しているかを検出し、正しい相の順序で接続されていることを確認する装置です。

高電圧に近接する作業の離隔距離は、労働安全衛生規則によって定められています。高圧検電器についても同様に、30cm以上の離隔距離が取れるように全長が長くとられています。
 
また、主にケーブル系統に対して使用されることが多く、2本のケーブルを検相できるように2本の検電器を繋いだような形状です。低圧の検相器では3相を同時に挟み込んで相回転を確認するものが多いのに対し、高圧検相器は利便性から2相の相回転を確認する形状となっています。

高圧検相器の使用用途

高圧検相器は、電力供給や建設工事において使用されます。

1. 電力供給

電力系統における正しい相の順序と接続を検出することで、電力供給の安全性を確保するために用いる装置です。誤った相の順序や相の欠落がある場合、検相器は警告を発して問題を早期に検出します。 

高圧電圧系統は、二次側に変圧器や電動機が接続されていることが多いです。相回転を逆にして回転させた場合、接続された電動機が全て逆回転します。

このような事故が発生すると、電動機の負荷となるポンプやファンなどを故障させる可能性があります。産業用の回転機器は高価な場合が多いため、多大な損失を発生させます。逆相であることを発見した場合、配線の繋ぎ変え作業を実施することが大切です。

2. 建設工事

建設工事では、設備の新規設置工事などにおいて使用します。設計通りの相回転となるかを高圧検相器で確認することが可能です。

高圧検相器の原理

高圧検相器には3相交流電源が入力されます。これは通常、電力系統または発電機からの供給です。入力された3つの相を検出し、各相は専用のセンサーや回路を介して監視されます。

検出された3つの相を比較します。正しい相の順序で接続されている場合、相の周期や位相差が一定です。結果は表示盤やインジケーターを通じて可視化することが多いです。

正しい相の順序で接続されている場合、表示盤上のランプや表示器が点灯します。相の順序が逆転していたり、相が欠落していたりする場合、警告やアラームを発して問題を知らせます。

高圧検相器の種類

検相器は、大きく分けて接触式検相器と非接触式検相器の2つに分類されます。なお、高圧検相器は非接触式が主流です。

1. 接触式

接触式高圧検相器は電源回路に物理的に接触して相の状態を検出する装置です。3相の非絶縁部分に直接接続して電源電圧を測定し、その位相差から直接相回転を確認する仕組みです。

200Vや400Vの低圧三相回路で使用されることが多い方式です。高圧系統に応用する場合は、計器用変圧器を介して低圧部分を測定します。高圧電力を誤って地絡・短絡させると強大なスパークが発生して非常に危険なため、直接高圧端子に接触させる製品はあまり販売されていません。

2. 非接触式

非接触式高圧検相器は、物理的な接触をせずに相の状態を検出する装置です。現在は低圧・高圧問わず非接触式検相器が主流であり、高圧では非接触式の製品がほとんどです。

原理としては静電誘導作用を利用しています。検相器内部は高抵抗となっており、人体を介して大地に接地して閉回路を形成します。電路から誘起される電圧をその閉回路で検知し、2相の誘起電圧の位相差を検知する仕組みです。

低圧の検相器は一般に3相の相回転を確認できるように3本のクランプで構成されます。ただし、高圧検相器は離隔距離をとる必要があり、検相器本体が大きいため2相の位相差を検知する構造が多いです。3相のうち2相ずつ3回測定を行う必要があります。

参考文献

https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=45

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