RFモジュレータ

RFモジュレータとは

RFモジュレータとは、ベースバンドの映像と音声の信号 (AV信号) をRF信号 (Radio Frequency:放送波周波数帯の信号) に変換する回路ブロックもしくは単体の外付けユニットのことです。

信号の接続構成は映像と音声のベースバンド信号をPIN端子コネクタやその他、専用の端子からRFモジュレータに入力します。これを内部で信号変換し、RF同軸ケーブルから出力を行います。 

RFモジュレータの使用用途

1. ゲーム機

RFモジュレータが良く使われていたのは、AV信号を使用したテレビゲーム機が販売されていた時代です。テレビゲーム機からのAV信号出力はベースバンドのアナログ信号で、通常はテレビのビデオ入力端子に接続して使用されていました。

ところが、当時14インチクラスの一部の廉価型テレビにはビデオ入力端子がついていないものが多くありました。そこで、ゲーム機メーカーは自社の製品を普及させるためにRFモジュレータを開発しました。

2. AV出力信号の変換経路

テレビゲーム機からのAV出力を受けて、これをRFモジュレータに接続し内部でRF信号に変換してテレビのアンテナ端子に接続します。所定のチェンネルを選択することでファミコンからのAV出力信号をテレビで視聴可能となります。

単体の外付けユニットのRFモジュレータは現在ではほとんど使われることがないため、メーカーでも生産されていません。ネット上の中古品が唯一の入手方法です。

RFモジュレータの原理

RFモジュレータは入力されたベースバンドのAV信号に対して、映像信号と音声信号をレベル変換し、更に周波数変調をかけることにより所定の放送波信号に変換するものです。例えば、ビデオ端子がついておらず、さらに地上デジタル放送やBSデジタル放送の受信もできないブラウン管テレビや液晶テレビを利用すれば、これらの放送を視聴することができます。

デジタル放送を受信するには、外付けで地上デジタル放送とBSデジタル放送を受信することができる単体のチューナを用意する必要があります。当然、HDDレコーダーやDVD/BDレコーダーでも可能です。

これらの機器には最低1ユニット以上の地上デジタルチューナおよびBSデジタルチューナを内蔵しており、アナログAV出力端子が用意されているものもあります。各種レコーダーから出力された地上デジタル放送およびBSデジタル放送のベースバンドのAV信号をRFモジュレータに取り込むことにより、モジュレータ内部で信号変換を行います。

RF信号出力をブラウン管テレビやLCDテレビのRF端子に接続すれば、これらのテレビでデジタル放送を視聴することが可能です。 

RFモジュレータのその他情報

1. ベースバンド

ベースバンドとは、通信機器における変調前または復調後の情報信号帯域のことです。RFモジュレータで放送波周波数帯の信号に変換する前の信号を指します。

データを変調せず、周波数変換を行わないまま信号を使用する方式は、ベースバンド方式と呼ばれます。

2. RF接続に代わる手法

RFモジュレータを使用した接続はアンテナとブースターやテレビ用のアンテナ分配器を使用すれば、複数のテレビやスピーカーに映像や音声を届けることが可能です。そのため、学校の校内放送でもRFモジュレータを使用した通信が使用されていました。

現在はデジタル化に伴い、地上デジタル放送と同じISDB方式を用いたデジタル校内システムの置き換えが進んでいます。また、校内LANとSTB (セットトップボックス) を用いたシステムも使用されています。

参考文献
http://tvgames-life.seesaa.net/article/64348757.html
http://www.yagisawa.net/papa/rfmodulator/index.html
https://bokunimo.net/bokunimowakaru/design-rfconv.html

グリスポンプ

グリスポンプとは

グリスポンプ

グリスポンプとは、各種機械の摺動部を円滑に作動させるために用いられるグリスを充填する器具です。

関節部や回転部分に取り付けられているグリスニップルに噛み込ませ、グリスを圧送することによりグリスを充填できます。圧送方法には手動によるものの他、電動・エア駆動によるものもあり、メンテナンス時の時間短縮をを図ることが可能です。

また、定期的にあらかじめ決められた部分に一定量のグリスを充填するものもあり、「オートグリスター」と呼称されることがあります。

グリスポンプの使用用途

グリスポンプは、機械作動時に繰り返し摺動する部分に使用されています。金属部品が直接接しないようにするのが目的で、摺動部分の摩耗を防いでいます。

特に、砂地や工事現場などの未舗装路を走行するダンプカーやホイールローダなどの建設機械をはじめ、トラクターを代表とする農業機械は、砂塵や粉塵が舞う環境下で長時間使用されます。そのため、グリスポンプを使用し、頻繁に新しいグリスの充填が必要です。

また、このような機械を整備する工場においては、作業の効率化を図るため、エア駆動のものが使用される場合があります。グリスポンプには小さいものから大きなものまであり、作業する場所によって使い分けることが可能です。

小さければ軽量であること、そして狭く作業性が悪いところでもグリスを充填することができますが、頻繁にグリスを補充する必要があります。現場によってはグリスの種類を使い分けている場合も多く、種類毎にグリスポンプを用意することは稀ではありません。

グリスポンプの原理

グリスポンプはグリスニップルを介してグリスを充填しますが、このときニップルの形状とノズルの形状を合わせなければなりません。それぞれの形状が合っていないと、高圧で押し出されるグリスがグリスニップルの中に入らずに隙間から吹き出てしまいます。

複数種のニップルがあることに加えて、ノズルにも様々な種類があります。グリスポンプからまっすぐ伸びるストレートタイプは安定したグリスの充填が可能です。

中に入り組んでいる場所にグリスニップルがある場合は、自由に曲がるホースタイプのものがあるので、使用箇所によって使い分けることが大切です。

グリスポンプの種類

グリスポンプはグリスを圧送するための器具ですが、圧送するための動力として手動のものと電動・エア駆動のものがあります。

1. 手動式

手動式は比較的小型で携帯性が良いというメリットがあります。しかし、グリースカードリッジをこまめに交換する必要がある他、ポンピングを手元で行う関係上狭いスペースでの作業には向かないというデメリットがあります。

安価であり動力源を必要としないため、頻度や充填箇所が特別多くない場合は、基本的に手動式が選ばれます。

2. 電動式・エア式

対して電動式・エア式のものはトリガーを操作するだけでグリスが圧送されるため、ガンの先端が入る場所であれば狭いスペースでもグリスアップが可能です。作業者の負担を減らすことができますが、可搬性が悪い、動力源を確保しなければならないというデメリットがあります。

建設機械などを整備する工場においては作業の効率化を図るため、エア駆動のものが使用される場合があります。また、電動式・エア式のものはグリス缶交換の際などにグリス経路内にエア (気泡) が噛み込んでしまうことも多いです。

エア抜きに多少時間がかかってしまうため、グリス交換作業の際には極力エアが噛み込まないように、ある程度グリスポンプ内にグリスを充填しておく必要があります。

グリスポンプのその他情報

グリスの補充方法

グリスポンプは、グリスの補充によっても種類が分けられています。グリスポンプに直接グリスを補充する直入れ用は、様々なグリスポンプの形状の中から選ぶことができる一方、グリスのそのままグリスポンプに補充する必要があるため、グリスの補充に手間がかかります。

手軽にグリスを補充したい場合は、取り付けネジによってカートリッジグリスを補充できるカートリッジ用を使用します。直入れ用・カートリッジ両用のものありますが、形状はカートリッジグリスに合わせて作られています。

参考文献

https://www.yamadacorp.co.jp/products/a2-b03/

圧縮端子

圧縮端子とは

圧縮端子

圧縮端子とは専用の工具を使い電線ワイヤーの先端に取り付けられた端子金具のことで、電線ワイヤーと端子台などを電気的につなげるために使います。

圧縮端子と似たようなものに圧着端子があります。両者ともにはんだ付けを行うことなく電線ワイヤーと端子台を接続することができるため、ハンダ付けのスキルが不要出ること、ハンダ付けに比べて取り外しも比較的容易であるという理由から使われています。

圧縮端子は結合する電線の太さ、接続先の端子台などにより、様々な形状やサイズがあります。

圧縮端子の使用用途

圧縮端子は、圧着端子と同様に端子台と電線を固定させる場合や、電線同士を強固に接続させる場合に使用されます。どちらも電線が抜けないよう、確実に接合させる目的で使用します。

端子の接続は圧縮端子専用工具と呼ばれる工具を用いて行います。間違った工具を使用すると、適切な圧縮力による接合ができず、圧縮端子と電線ワイヤーは不完全な状態でしか接続できなくなります。

不完全な接続は、電線が引っ張られるなどの不慮の事故が原因で電線が抜ける可能性がありますので注意が必要です。

圧縮端子の原理

圧着端子の場合、電線の先端の一部のビニール被膜を取り除き、これを圧着端子に用意された穴に通した状態で、専用の金具を使って、電線ワイヤが挿入された圧着端子の1点に力を加えて圧着することにより電線ワイヤと接続します。

他方、圧縮端子の場合は、同様にして、被膜を剥がした電線ワイヤの先端部を圧縮端子に用意された穴に挿入しますが、電線ワイヤが挿入された圧縮端子は1点ではなくワイヤ挿入部分全体に対して力を加えて両者を接続します。

よって、圧着端子に対して圧縮端子の方が、電線ワイヤと端子間の結合力は強くなります。

圧縮による電線の接合は、ハンダや溶接などの加熱による接合とは異なり、圧縮時に環境への影響がありません。更に、機械的な接合は劣化に強く、絶縁テープなどによる接合に比べて、電線の引っ張りなどの外的要因にも強固な接合となります。

電線の圧縮時には、被覆を適切な剥がす必要があります。圧縮部分に対し、電線の被覆を剥がした部分が短いと圧縮が不完全となり、抜けてしまう可能性もあります。反対に、被覆が多く剥がれていると漏電や火災の原因となるの注意が必要です。 

参考文献

https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/2650/
https://search.yahoo.co.jp/image/search?ei=UTF-8&fr=crmas&p=%E5%9C%A7%E7%B8%AE%E7%AB%AF%E5%AD%90&aq=-1&oq=

可変インダクタ

可変インダクタとは

インダクタ(コイル)は電子部品の1つです。

鉄心の周りに線を巻きつけて作られています。インダクタ内の銅線に電流を流して、その電流の量を変化させると誘導起電力が発生します。これをインダクタンスと呼び、ヘンリー(H)という単位で表します。

可変インダクタとは小型のドライバや調整棒をデバイスの上部にあてて、つまみを回転させることにより内部にある鉄心を上下にスライドさせることにより、インダクタンスを変化させることのできるデバイスです。

可変インダクタの使用用途

一般的にインダクタは多くの電気製品に使用されていますが、身近な物であれば交流用の変圧器があります。

スマホの充電器やPCのアダプタは家庭用の交流100Vの電源を5~12Vの直流に変換しますが、電圧を下げる部分の変圧器にこの部品が使用されています。

高周波を発信させることから、各種無線装置(WiFiや非接触式のICチップ)や電子レンジなどにも使用されています。蛍光灯の安定器や各種電気製品などにも数多く利用されており、特に電子回路の整流をおこなうためには不可欠な部品です。

なかでも可変インダクタの用途は、限定的で例えばカーチューナのチューニング回路などで良く使われていましたが、現在では回路のデジタル化に伴い使用頻度が低くなっています。

可変インダクタの原理

可変インダクタも基本的な動作原理は固定インダクタと同様です。
直流電流をコイルに流すと、鉄芯には磁場が発生し、芯の部分が電磁石になります。

はじめに電圧を加えた場合や、電圧を下げた際には、動線に瞬間的に誘導電流が流れます。これにより、電気エネルギーが磁界の形で蓄えられるという作用があります。

一定の強さの磁界が生じた後は、普通の銅線と同じように直流電流が流れます。これに対してインダクタコイルに交流電流を流した場合には、鉄芯には大きさが変化する磁界が生じます。

磁場が変化すると電流と逆向きの誘導起電力が発生するので、抵抗(インダクタンス)が発生します。交流の電流を流し続けると常に逆向きの誘導起電力が発生するので、電流が流れにくいという状態が継続します。

インダクタコイルの場合、直流電流であればスムーズに通過できますが、交流電流の場合、抵抗が発生するため流れにくい特質があります。

そのため、交流電流は通すけれども直流電流は通過できない、というコンデンサーとは逆の性質を持った電子部品なのです。

参考文献

https://www.murata.com/ja-jp/products/inductor/variable
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/electronics_primer/3
https://www.sagami-elec.co.jp/file/tech/coil_doc_100j.pdf

可変コンデンサ

可変コンデンサとは

可変コンデンサ

可変コンデンサとは、静電容量を変化させられる構造を持ったコンデンサのことです。

対して、静電容量が固定されたコンデンサを固定コンデンサと呼ぶことがあります。可変コンデンサはさらに、半固定コンデンサ (トリマコンデンサ) と、必要に応じて常に静電容量を変化させることができるバリアブルコンデンサ (バリコン) があります。

半固定コンデンサは、比較的小容量でかつ静電容量を変化させることのできる構造をしたものです。初期設定時にドライバを用いて調整し、以降は固定コンデンサとして用いられます。バリコンは半円形の電極板を同じ軸上に配置し、電極板の片側を固定し、他方は回転軸を中心に回る構造となっています。

この構造により回転軸を回すと電極板が重なる面積が変化し、電極板間の静電容量を可変することが可能です。実際のバリコンは複数枚の電極板から構成されていて、2枚の電極板から成るバリコンより大きな静電容量を得ています。

可変コンデンサの使用用途

可変コンデンサは、主にLC共振回路で共振周波数を変化させる目的で使用されます。例えば、チューナーの同調回路、バンドパスフィルターの通過帯域周波数、発振器の発振周波数等を連続的に変化させるためなどです。

1. 半固定コンデンサ

主な用途として、回路補正などの微調整用に使うコンデンサが挙げられます。静電容量の可変は調整用ドライバー (調整棒) で行うもので、定常的に容量を変更できる構造ではありません。

オシロスコープのパッシブプローブに設けられている位相補償用コンデンサはその一例です。

2. バリアブルコンデンサ

バリコンの身近な例として、昔のラジオが挙げられます。選局する際に、バリコンのつまみを回して感度が最大になるポイントを探していました。その他、無線通信機の送受信周波数の調整や同調のためにも使われています。

可変コンデンサの原理

一般的なバリコンは、電極板間の距離と重なる部分の面積、空気の誘電率から静電容量が決まります。空気の誘電率は比較的小さいことから、大きな形状にも拘らず数百pF程度の静電容量です。

一方、これを小型化するため、電極間にポリエチレンフィルムを挿入した「ポリバリコン」があります。空気を誘電体としたものをエアバリコンと呼んで、両者を区別しています。ポリバリコンは、主に小型化を優先するトランジスタラジオに採用されていました。ただし、コンデンサとしてはエアバリコンの方が優れた特性を有しており、共振回路のQはエアバリコンの方が高くなります。

また、バリコンには複数のバリコンを直列に並べて、一本の回転軸で複数のバリコンの静電容量を同時に可変できる多連バリコンと言わわれるものがあります。良く用いられるのが3個のバリコンを一体化した3連バリコンです。スーパーヘテロダイン方式のラジオや通信機では、アンテナに接続される同調回路、高周波増幅回路の出力部に設置する帯域通過フィルタ、中間周波数に変換する為の局部発振回路では、同期して周波数を変化させる必要があります。

3連バリコンを使うと、1本の回転軸を回転させることで3つのバリコンの静電容量が変化するので、各回路の特性や発振周波数を同時に変化させることが可能です。仮に各回路に独立してバリコンを設置すると、回路毎に最適値に調整する必要があり、非常に使いにくいものとなります。

可変コンデンサのその他情報

バリコンの需要

かつては通信機器やラジオ、チューナーに多用されていたバリコンですが、大型で高価な部品であり、現在はあまり使われません。その理由の1つは、バリアブルキャパシタの登場です。

これは制御電圧によって静電容量を自在に可変できる部品で、制御回路と組み合わせて周波数調整の自動化が実現しました。また、発振回路はコイルとコンデンサを用いたLC発振回路からシンセサイザーに置き換わっています。

シンセサイザーは水晶発振回路をベースにしているため、発振周波数の安定性に優れている上、周波数の設定も容易です。このような技術的な進歩により、バリコンは徐々に使われなくなり、生産は極めて少なくなりました。

また、トリマーコンデンサも大部分がバリアブルキャパシタに置き換わっていますが、一部のローコスト製品ではまだ使われることがあります。

参考文献
http://sudoteck.way-nifty.com/blog/2010/09/post-115d.html

外観検査ソフト

外観検査ソフトとは

外観検査ソフト

製品や部材の外観検査は通常、作業者の目視によるチェックにより行われています。

正常な製品や部材と比較して、形状や色に違いはないか、傷やくぼみなどが出来ていないか、異物などが混入していることはないかなどの視点でチェックを行います。

この様な作業はスキルや経験に加え集中力の持続が欠かせません。集中力を欠くと途端に見落としが発生し、そのまま不良品を出荷することになりユーザからのクレームにつながります。

この様な事態を回避するために画像認識および比較技術を使い、正常な製品、部材をコンピュータ上にメモリして置きこれをリファレンスとして自動的に被検査物をチェックして良品、不良品を振り分けるのが外観検査ソフトです。

外観検査ソフトの使用用途

外観検査ソフトの利用分野は非常に多岐にわたります。

金属や木目、樹脂製品などの表面の傷や汚れ、食品類の外観的な形状や汚れ、異物混入のチェックなどに使われます。

また、製品などになされている印字などのずれや欠け、汚れなどのチェックなどにも使われます。

更にコンタクトレンズの欠け、CD/DVD表面の傷や、プリント基板における部品実装状態やはんだ付け不良の検出、半導体への異物混入や傷のチェックなどを行える外観検査ソフトもあります。

外観検査ソフトの原理

外観検査ソフトの基本的な構成は次の通りです。
カメラにて比較対象となる良品画像を撮影します。撮影された画像データから特徴を抽出し、コンピュータ上に記憶しておきます。

次に被検査対象の画像データを撮影し、同様にして特徴抽出を行います。その結果両者のデータ間の類似度により、良品もしくは不良品の判定を行うという処理となります。

以上の様な基本的な外観検査ソフトに対して、最近ではAIの機能を搭載することでより精度の高い判定を行うことができるシステムがリリースされています。

カメラにてリファレンスとなる画像をキャプチャするところまでは同じですが、この場合、多くの良品画像をキャプチャし、そこから良品画像の特徴を抽出します。これをリファレンス画像データとして、システムに組み込みテストを行います。

いくつもの被検査物に対して良品、不良品の判定を行います。その判定結果が妥当か否かをシステムに学習させ、再度、特徴抽出データを修正しますて試験を繰り返すというサイクルを何度か回すことにより、不良品の検出率を上げていきます。 

参考文献

https://www.screen-icts.co.jp/works/imagedefectdetection/
https://www.macnica.co.jp/business/ai_iot/solutions/inspection/
https://www.jnovel.co.jp/service/mv/
https://www.uis-inf.co.jp/urcp/software.html

整流用ショットキーダイオード

整流用ショットキーダイオードとは

整流用ショットキーダイオードとは、交流電圧を直流に変換するために使用されるダイオードの1種です。

一般的な整流ダイオードと比較して、ショットキーダイオードはより高速なスイッチング特性と低い逆方向漏れ電流特性を持ち、効率的な電力変換が可能です。ショットキーダイオードは、通常は金属とn型半導体の接合から構成されます。

この接合はショットキーバリアと呼ばれる電子のバリアを形成し、高速スイッチングを実現します。また、ショットキーダイオードは低い順方向電圧降下を持つため、電力損失を抑えることが可能です。

整流用ショットキーダイオードの使用用途

整流用ショットキーダイオードは、高周波整流回路やパワーエレクトロニクス、電力変換装置などのアプリケーションで広く使用されています。特に高速スイッチングが必要な場合やエネルギー効率が重要な要素となる用途に適したものです。

最近は、DC/DCコンバータのスイッチング周波数が高くなっていますが、その整流回路ではショットキーダイオードの特徴が活かせることから、PN接合のダイオードに代えて採用されています。

整流用ショットキーダイオードの原理

整流用ショットキーダイオードは、ショットキーバリアと呼ばれる特殊な接合を持つ半導体デバイスです。ショットキーダイオードの原理は、ショットキーバリアの以下のような特性に基づいています。

  • 一般的なPN接合のダイオードとは異なり、ショットキーダイオードは金属とn型半導体の接合を持ち、この接合によって形成されるショットキーバリアは、電子に対するバリア (障壁) となります。
  • ショットキーバリアでは、金属側と半導体側の間に電子が移動する際にバリアを越えなければなりません。バリアの高さは、金属と半導体の種類や物性に依存しますが、このバリア高さによりショットキーダイオードの特性が決まります。
  • ショットキーダイオードに順方向バイアスを印加すると、容易にバリアを越えて電子が移動できるようになります。その結果、ショットキーダイオードは非常に低い順方向電圧降下を示します。
  • 逆方向バイアス印加時にはバリアがより高くなり、逆方向電流が減少します。

順方向電圧降下が少ないことから、低損失で交流電圧を直流に変換することができます。

整流用ショットキーダイオードの特徴

整流用ショットキーダイオードは、見た目は一般の整流用ダイオードと同じように見えます。しかし、下記のような点が大きく異なります。

1. 低い順方向電圧

PN接合による一般の整流用ダイオードの場合おおよそ0.6~0.7V程度であるのに対して、整流用ショットキーダイオードの場合0.2~0.3Vです。したがって、極力電圧降下を発生させたくない部分で使用すると効果的です。

2. 短い逆回復時間

ダイオードがオン状態から完全にオフ状態に切り替わるまでの逆回復時間が非常に短いことから、高周波の整流回路に良く使われます。

3. 熱暴走による破壊の危険性

逆方向電流 (漏れ電流) が一般のダイオードと比較して大きいため、熱暴走による破壊を起こすことがあります。逆方向電圧が高くなる場合、その電圧と逆方向電流の積が熱となってダイオード内部が発熱するので、逆方向電流が大きいショットキーダイオードは熱暴走によるデバイス破壊が発生しやすいです。

従って、整流用ショットキーダイオードの持つ利点と同様に欠点を十分に考慮した回路設計が必要です。

整流用ショットキーダイオードの種類

整流用ショットキーダイオードには、以下の種類があります。用途に合わせて選択され、電子回路や電力制御装置など様々なアプリケーションで使用されています。

1. レギュラータイプ

一般的な整流目的で使用される標準的なショットキーダイオードです。

2. 超高速タイプ

高速スイッチングが必要なアプリケーションに使用されるもので、より速い反応速度を持ち、高周波数での動作が可能です。

3. 低電圧タイプ

低い順方向電圧降下を持つダイオードで、低電力アプリケーションに適しています。但し、逆方向電流が大きくなる傾向があります。

4. 超低リークタイプ

非常に低い逆方向漏れ電流を持つダイオードで、高精度な測定や感度の要求が厳しいアプリケーションに適しています。但し、順方向電圧が高くなる傾向があります。

5. ダイオードアレイ

複数のショットキーダイオードを1つのパッケージに統合したものです。主に高密度実装や高電流アプリケーションに使用されます。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://kurashi-no.jp/I0021164
http://www.nteku.com/diode/silicon_diode.aspx
https://detail-infomation.com/diode-type/
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what5

電気炉

電気炉とは

電気炉

電気炉とは、電気的な力を利用して試供体を加熱・溶融・燃焼させるための試験用機器のことです。

ヒーター (発熱体) を内蔵し、金属やガラス、セラミック、半導体部品などを高温状態にすることが可能です。電気炉は、新素材の開発や化学的な材料の分析、燃焼試験や耐熱性試験などの目的で使用されます。

素材の特性や性能を詳細に調べられるため、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。庫内の最高温度は製品によって異なり、一般的には1,000℃前後のものから3,000℃前後まで設定可能なタイプがあります。研究者や技術者は、目的に応じた最適な温度設定で試験を行うことが可能です。

電気炉の使用用途

電気炉は、金属やガラス、セラミック、半導体部品などを高温状態にする際に使用されています。電気炉には、高温に設定できるタイプのものや、庫内を真空に近い状態にできる真空炉と呼ばれるものがあります。真空炉は、高純度な材料の加工や薄膜の作製などに活用可能です。

また、庫内に置かれた試料を自動的に回転させることで、熱を均一に与えられるロータリーキルンというタイプも存在します。試料の出し入れも自動化されており、効率的に作業を進めることが可能です。さらに、電気炉のヒーターとして使用される発熱体は多種多様です。

鉄ニクロム線やカンタル線は、1,300℃程度までの発熱体として利用され、炭化ケイ素発熱体は1,500℃程度まで、二ケイ化モリブデンは1,800℃程度まで対応可能です。さらに、カーボン (グラファイト) は3,000℃程度までの発熱体として使用されます。

電気炉の原理

電気炉は、発熱用ヒーター、断熱材、および制御系の仕組みによって構成されています。操作部のパネルを使って、試験したい温度を設定後、電気炉の制御マイコンは目標温度に達するまで温度制御を行い、設定温度に到達したらその温度を維持します。

また、プログラム可能なタイプの電気炉では、A温度をt1時間維持した後、B温度に設定しt2時間維持するなど、複数の温度設定が可能です。庫内の温度制御のために、制御マイコンは庫内に設置された温度センサーから定期的に温度情報を取得します。

現在の温度が設定温度より低い場合、ヒーターの加熱を継続し、逆に現在の庫内温度が設定温度より高い場合、ヒーターによる加熱を停止します。一般的に、庫内の温度制御にはPID制御という方法が採用されており、温度の設定と維持が高精度で行えるため、試験の信頼性を向上させることが可能です。電気炉の原理に基づいたこの温度制御技術は、試験や研究において重要な役割を果たしています。

電気炉の種類

電気炉は主に抵抗加熱式電気炉、真空炉、インダクション加熱式電気炉、ロータリーキルン、マイクロ波加熱式電気炉の5種類があります。それぞれ異なる用途や条件に対応しており、適切な種類を選択することで効果的な加熱が可能となります。

1. 抵抗加熱式電気炉

抵抗加熱式電気炉は、鉄ニクロム線やカンタル線などの発熱体に電流を流し、その抵抗による熱を利用して試料を加熱するタイプの電気炉です。一般的には、1,000℃前後の温度まで対応可能で、金属やガラスの加熱・溶融に適しています。

2. 真空炉

真空炉は、庫内を真空に近い状態にできる電気炉です。高純度な材料の加工や薄膜の作製など、酸素や水分との反応を避ける必要がある場合に適しています。

3. インダクション加熱式電気炉

インダクション加熱式電気炉は、高周波の電流を流したコイルによって試料周囲に磁界を発生させ、試料自体に電流が流れることで発熱させる原理で動作します。金属や導電性のセラミックスの加熱に適しており、高温・短時間での加熱が可能です。

4. ロータリーキルン

ロータリーキルンは、庫内に置かれた試料を自動的に回転させることで、熱を均一に与えられる電気炉です。試料の出し入れも自動化されており、効率的に作業を進めることが可能です。セメントや窯業製品などの製造に適しています。

5. マイクロ波加熱式電気炉

マイクロ波加熱式電気炉は、マイクロ波を利用して試料を加熱するタイプの電気炉です。マイクロ波は、試料内部に浸透し、分子レベルで効果的に熱を発生させられます。そのため、外部から内部への熱伝導が不要で、従来の加熱方式に比べて効率的かつ短時間で加熱が可能です。

参考文献
https://www.motoyama.co.jp/engineer/engi101.htm
https://www.kajiyamakougei.co.jp/technology/heater.html
https://www.msl.titech.ac.jp/~hosono/facilities/Furnaces.html
https://www.rkcinst.co.jp/technical_commentary/13090/
https://www.motoyama.co.jp/engineer/engi101.htm

大電流基板

大電流基板とは

大電流基板とは、大電流への対応を可能にした回路を搭載するプリント基板です。

ハイブリッド、EV、PHEV等自動車の電動化が進み、プリント基板にも大電流の対応の電子部品が求められるようになってきています。プリント基板の大電流化では、パターン幅を広くすることで対応することも可能です。しかし、同時に電子部品の小型化も要求されている現在では、パターン幅の拡大にも限界があります。

そこで、プリント基板の銅箔厚を厚くすることで、大電流に対応できるようになります。一般的なプリント基板の銅厚が35μmであるのに対し、2,000μmまで厚銅による回路を実現することにより、大電流への対応を可能にしたのが大電流基板です。

大電流基板の使用用途

大電流基板は、電子化が進むガソリンエンジン車はもちろん、電気自動車、ハイブリット、PHEVにも使用されています。また、ロボットなどの大電流制御回路やハイパワー電源、スイッチング、モーター回路、ブレーカやヒューズボックスなど、電気的負荷の大きい電気部品の小型化に有用です。

IGBTパワーMOSFET、ショットキーダイオード、サイリスタなどの高温に発熱するパワーデバイス、信号機や屋外掲示板などのLED放熱対策の一部においては、熱拡散と放熱にも優れたプリント基板として活用されます。

大電流基板の原理

プリント基板のパターンに大電流を流すには、銅パターンの断面積を広くする必要があります。これは、パターン幅を太くすることと銅箔厚を厚くすることで実現しています。

1. パターン幅の変化

パターン幅を太くする場合、導体厚が薄い配線と厚い配線が混在することが容易です。流す電流量にあった銅パターンの断面積をパターン幅で調整することで、通常の信号伝送用基板と同じ感覚で設計が可能です。

2. 銅箔厚の変化

銅箔厚を厚くする場合、大電流経路でも比較的小さいパターン幅で設計することが可能です。銅箔厚と流せる電流量は比例関係にあるため、ある電流を流す経路を設計する際に銅箔厚を2倍にするとパターン幅を半分にすることができます。

一方で、配線の幅と隣り合う配線同士の間隔との比であるラインアンドスペース (L/S) が通常基板より大きくなってしまう点がデメリットです。L/Sが大きくなってしまうとパッド間隔が小さいパッドを設計できなかったり、大きな部品を持つパッドを搭載できなくなります。設計と部品選定で制約が生まれるため、注意が必要です。

大電流基板のその他情報

1. 大電流基板の作成方法

大電流基板は普通のプリント基板に比べ、非常に大きい電流を扱います。例えば、自動車用の電子機器では、おおよそ2A~100Aが必要です。パターンに流す電流量に見合った銅パターンの断面積を作成しなければなりません。

現在のプリント基板の一般的な製造方法は、エッチング法 (銅箔を溶解する方法) です。銅表面に描いたエッチングレジストのパターンを元に、のエッチング (溶解) を行います。

対して大電流基板は、銅箔厚が厚いため、この手法では銅箔の上面より溶解が進みます。深さ方向だけでなくパターン間もエッチングが進行するので、パターンの断面が台形です。これは断面積の精度低下に繋がります。

そのため、普通の信号用のプリント回路基板の設計と同じ手法で大電流基板を設計することは好ましくありません。厚銅配線の多層化製造技術を最適化し、プリプレグ工法と真空積層プレスで厚銅回路を実現するといったメーカー独自の工法で大電流基板を作成します。

2. 製造コスト

大電流基板は、銅箔の厚い銅張積層板を使用しています。標準材料でないため割高となり、製造コストが高くなってしまう点がデメリットです。

一般のプリント基板に比べかなりコストアップとなりますが、大電流製品を量産するユーザにとっては大きなメリットがあります。

参考文献
https://www.noise-counterplan.com/tweet/678/
https://integran.co.jp/development/current/
http://tssg.com/pwb-products-daidenryu.html
https://h-network-s.net/board/high_current/

リングブロア

リングブロアとは

リングブロアは送風機(ブロワ)の一種で、小型で高い風圧を発生させる装置です。

10m3以下の産業用としては比較的少ない流量に適合します。コンパクトな装置のため、産業機械や機器などの組み込み用として用いられることが多いです。

リングブロアはテラル株式会社の商品名で、以前は富士電機株式会社が製造していました。一般名としては渦流ブロワと呼ばれますが、広く流通しているリングブロアが一般名詞化しています。ボルテックスブロワ(日立産機システム)の名称もよく知られており、機構的にはほとんど同じものです。

リングブロアの使用用途

ブロワには非常にたくさんの種類があり、それぞれの送風原理や機構によって風量や風圧等の特性が異なります。
リングブロアは小風量でも風圧が高いことが大きな特徴です。

上記の特性を利用して、以下の例を代表に多種多様な産業におけるエアー供給やハンドリングに活用されています。

  • 空気の供給または排気
  • 水滴や付着物等の吹き飛ばしによる除去
  • 粉体や顆粒品等の吸引または圧送による空気輸送
  • 紙等の吸着による紙送り、吸着搬送等の操作

リングブロアの原理

リングブロアは多数の羽根車がケーシングに収められた構造であり、外観上はモーターにリング状のケーシングが取り付けられたように見えます。ケーシングと羽根車の隙間はあまり大きくありません。吸排気口はケーシングの外周部付近に位置します。

ターボブロワや軸流ファンは空気が流れ方向に一様な動きをしていますが、リングブロアでは複雑な動きをしています。羽根車から遠心力によって押し出された空気はケーシングに当たって押し戻され次の羽根に入り、次々と渦を描くように搬送されていきます。この運動の過程で圧力がさらに上昇します。空気が繰り返し圧力上昇を行うため再生ブロワとも呼ばれます。

また、多数の羽根車が狭いケーシング内を動くことで乱流が生じ、乱流特性による運動量の伝達によっても圧力が上昇します。これらの複数の作用が重なることにより小型でも高風圧を得ることができています。一方で羽根が小さく流路も狭いため、大容量の搬送には適していません。比較的低圧で大流量が欲しいといった場合はルーツブロワやターボブロワが適しており、目的に応じた機器の選定が必要です。そのため、リングブロアは単純にエアー搬送が必要な場面より、圧力を利用した輸送やハンドリングなどの用途に適しています。

参考文献
https://www.teral.net/classification/blower/
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/fan/blower/index.html