グリスポンプとは
グリスポンプとは、各種機械の摺動部を円滑に作動させるために用いられるグリスを充填する器具です。
関節部や回転部分に取り付けられているグリスニップルに噛み込ませ、グリスを圧送することによりグリスを充填できます。圧送方法には手動によるものの他、電動・エア駆動によるものもあり、メンテナンス時の時間短縮をを図ることが可能です。
また、定期的にあらかじめ決められた部分に一定量のグリスを充填するものもあり、「オートグリスター」と呼称されることがあります。
グリスポンプの使用用途
グリスポンプは、機械作動時に繰り返し摺動する部分に使用されています。金属部品が直接接しないようにするのが目的で、摺動部分の摩耗を防いでいます。
特に、砂地や工事現場などの未舗装路を走行するダンプカーやホイールローダなどの建設機械をはじめ、トラクターを代表とする農業機械は、砂塵や粉塵が舞う環境下で長時間使用されます。そのため、グリスポンプを使用し、頻繁に新しいグリスの充填が必要です。
また、このような機械を整備する工場においては、作業の効率化を図るため、エア駆動のものが使用される場合があります。グリスポンプには小さいものから大きなものまであり、作業する場所によって使い分けることが可能です。
小さければ軽量であること、そして狭く作業性が悪いところでもグリスを充填することができますが、頻繁にグリスを補充する必要があります。現場によってはグリスの種類を使い分けている場合も多く、種類毎にグリスポンプを用意することは稀ではありません。
グリスポンプの原理
グリスポンプはグリスニップルを介してグリスを充填しますが、このときニップルの形状とノズルの形状を合わせなければなりません。それぞれの形状が合っていないと、高圧で押し出されるグリスがグリスニップルの中に入らずに隙間から吹き出てしまいます。
複数種のニップルがあることに加えて、ノズルにも様々な種類があります。グリスポンプからまっすぐ伸びるストレートタイプは安定したグリスの充填が可能です。
中に入り組んでいる場所にグリスニップルがある場合は、自由に曲がるホースタイプのものがあるので、使用箇所によって使い分けることが大切です。
グリスポンプの種類
グリスポンプはグリスを圧送するための器具ですが、圧送するための動力として手動のものと電動・エア駆動のものがあります。
1. 手動式
手動式は比較的小型で携帯性が良いというメリットがあります。しかし、グリースカードリッジをこまめに交換する必要がある他、ポンピングを手元で行う関係上狭いスペースでの作業には向かないというデメリットがあります。
安価であり動力源を必要としないため、頻度や充填箇所が特別多くない場合は、基本的に手動式が選ばれます。
2. 電動式・エア式
対して電動式・エア式のものはトリガーを操作するだけでグリスが圧送されるため、ガンの先端が入る場所であれば狭いスペースでもグリスアップが可能です。作業者の負担を減らすことができますが、可搬性が悪い、動力源を確保しなければならないというデメリットがあります。
建設機械などを整備する工場においては作業の効率化を図るため、エア駆動のものが使用される場合があります。また、電動式・エア式のものはグリス缶交換の際などにグリス経路内にエア (気泡) が噛み込んでしまうことも多いです。
エア抜きに多少時間がかかってしまうため、グリス交換作業の際には極力エアが噛み込まないように、ある程度グリスポンプ内にグリスを充填しておく必要があります。
グリスポンプのその他情報
グリスの補充方法
グリスポンプは、グリスの補充によっても種類が分けられています。グリスポンプに直接グリスを補充する直入れ用は、様々なグリスポンプの形状の中から選ぶことができる一方、グリスのそのままグリスポンプに補充する必要があるため、グリスの補充に手間がかかります。
手軽にグリスを補充したい場合は、取り付けネジによってカートリッジグリスを補充できるカートリッジ用を使用します。直入れ用・カートリッジ両用のものありますが、形状はカートリッジグリスに合わせて作られています。
参考文献