可変コンデンサ

可変コンデンサとは

可変コンデンサ

可変コンデンサとは、静電容量を変化させられる構造を持ったコンデンサのことです。

対して、静電容量が固定されたコンデンサを固定コンデンサと呼ぶことがあります。可変コンデンサはさらに、半固定コンデンサ (トリマコンデンサ) と、必要に応じて常に静電容量を変化させることができるバリアブルコンデンサ (バリコン) があります。

半固定コンデンサは、比較的小容量でかつ静電容量を変化させることのできる構造をしたものです。初期設定時にドライバを用いて調整し、以降は固定コンデンサとして用いられます。バリコンは半円形の電極板を同じ軸上に配置し、電極板の片側を固定し、他方は回転軸を中心に回る構造となっています。

この構造により回転軸を回すと電極板が重なる面積が変化し、電極板間の静電容量を可変することが可能です。実際のバリコンは複数枚の電極板から構成されていて、2枚の電極板から成るバリコンより大きな静電容量を得ています。

可変コンデンサの使用用途

可変コンデンサは、主にLC共振回路で共振周波数を変化させる目的で使用されます。例えば、チューナーの同調回路、バンドパスフィルターの通過帯域周波数、発振器の発振周波数等を連続的に変化させるためなどです。

1. 半固定コンデンサ

主な用途として、回路補正などの微調整用に使うコンデンサが挙げられます。静電容量の可変は調整用ドライバー (調整棒) で行うもので、定常的に容量を変更できる構造ではありません。

オシロスコープのパッシブプローブに設けられている位相補償用コンデンサはその一例です。

2. バリアブルコンデンサ

バリコンの身近な例として、昔のラジオが挙げられます。選局する際に、バリコンのつまみを回して感度が最大になるポイントを探していました。その他、無線通信機の送受信周波数の調整や同調のためにも使われています。

可変コンデンサの原理

一般的なバリコンは、電極板間の距離と重なる部分の面積、空気の誘電率から静電容量が決まります。空気の誘電率は比較的小さいことから、大きな形状にも拘らず数百pF程度の静電容量です。

一方、これを小型化するため、電極間にポリエチレンフィルムを挿入した「ポリバリコン」があります。空気を誘電体としたものをエアバリコンと呼んで、両者を区別しています。ポリバリコンは、主に小型化を優先するトランジスタラジオに採用されていました。ただし、コンデンサとしてはエアバリコンの方が優れた特性を有しており、共振回路のQはエアバリコンの方が高くなります。

また、バリコンには複数のバリコンを直列に並べて、一本の回転軸で複数のバリコンの静電容量を同時に可変できる多連バリコンと言わわれるものがあります。良く用いられるのが3個のバリコンを一体化した3連バリコンです。スーパーヘテロダイン方式のラジオや通信機では、アンテナに接続される同調回路、高周波増幅回路の出力部に設置する帯域通過フィルタ、中間周波数に変換する為の局部発振回路では、同期して周波数を変化させる必要があります。

3連バリコンを使うと、1本の回転軸を回転させることで3つのバリコンの静電容量が変化するので、各回路の特性や発振周波数を同時に変化させることが可能です。仮に各回路に独立してバリコンを設置すると、回路毎に最適値に調整する必要があり、非常に使いにくいものとなります。

可変コンデンサのその他情報

バリコンの需要

かつては通信機器やラジオ、チューナーに多用されていたバリコンですが、大型で高価な部品であり、現在はあまり使われません。その理由の1つは、バリアブルキャパシタの登場です。

これは制御電圧によって静電容量を自在に可変できる部品で、制御回路と組み合わせて周波数調整の自動化が実現しました。また、発振回路はコイルとコンデンサを用いたLC発振回路からシンセサイザーに置き換わっています。

シンセサイザーは水晶発振回路をベースにしているため、発振周波数の安定性に優れている上、周波数の設定も容易です。このような技術的な進歩により、バリコンは徐々に使われなくなり、生産は極めて少なくなりました。

また、トリマーコンデンサも大部分がバリアブルキャパシタに置き換わっていますが、一部のローコスト製品ではまだ使われることがあります。

参考文献
http://sudoteck.way-nifty.com/blog/2010/09/post-115d.html

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