リングブロア

リングブロアとは

リングブロアは送風機(ブロワ)の一種で、小型で高い風圧を発生させる装置です。

10m3以下の産業用としては比較的少ない流量に適合します。コンパクトな装置のため、産業機械や機器などの組み込み用として用いられることが多いです。

リングブロアはテラル株式会社の商品名で、以前は富士電機株式会社が製造していました。一般名としては渦流ブロワと呼ばれますが、広く流通しているリングブロアが一般名詞化しています。ボルテックスブロワ(日立産機システム)の名称もよく知られており、機構的にはほとんど同じものです。

リングブロアの使用用途

ブロワには非常にたくさんの種類があり、それぞれの送風原理や機構によって風量や風圧等の特性が異なります。
リングブロアは小風量でも風圧が高いことが大きな特徴です。

上記の特性を利用して、以下の例を代表に多種多様な産業におけるエアー供給やハンドリングに活用されています。

  • 空気の供給または排気
  • 水滴や付着物等の吹き飛ばしによる除去
  • 粉体や顆粒品等の吸引または圧送による空気輸送
  • 紙等の吸着による紙送り、吸着搬送等の操作

リングブロアの原理

リングブロアは多数の羽根車がケーシングに収められた構造であり、外観上はモーターにリング状のケーシングが取り付けられたように見えます。ケーシングと羽根車の隙間はあまり大きくありません。吸排気口はケーシングの外周部付近に位置します。

ターボブロワや軸流ファンは空気が流れ方向に一様な動きをしていますが、リングブロアでは複雑な動きをしています。羽根車から遠心力によって押し出された空気はケーシングに当たって押し戻され次の羽根に入り、次々と渦を描くように搬送されていきます。この運動の過程で圧力がさらに上昇します。空気が繰り返し圧力上昇を行うため再生ブロワとも呼ばれます。

また、多数の羽根車が狭いケーシング内を動くことで乱流が生じ、乱流特性による運動量の伝達によっても圧力が上昇します。これらの複数の作用が重なることにより小型でも高風圧を得ることができています。一方で羽根が小さく流路も狭いため、大容量の搬送には適していません。比較的低圧で大流量が欲しいといった場合はルーツブロワやターボブロワが適しており、目的に応じた機器の選定が必要です。そのため、リングブロアは単純にエアー搬送が必要な場面より、圧力を利用した輸送やハンドリングなどの用途に適しています。

参考文献
https://www.teral.net/classification/blower/
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/fan/blower/index.html

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