位置決めピン

位置決めピンとは

位置決めピン

位置決めピンとは、機械加工および製造設備組み立てにおいて対象物を正確に位置決めをする部品です。

位置決めする物として、代表的に以下のものがあります。

  1. 射出成形機等金型を使用して加工する際の金型合わせ
  2. 加工機へのワーク搬送にてワークの停止位置等位置決め 等

位置決めピンは多くの場合、寸法精度の高い穴に挿入されており、そのピンに向かって相手の部品をはめ込む方式が多く、ピンの寸法公差はh7もしくはm6が主です。

位置決めピンの使用用途

今日の工業製品には無くてはならない物となっており、大型の製品から精密機器まで様々な製品に使用されています。

位置決めには、ラフに位置決めかつ着脱が容易な平行ピンと、位置決めを正確にし、かつ、ワークを繰り返し当てて使用するノックピン等に分類されます。下記に特徴および使用用途を示します。

  • 特徴
    平行ピンは硬度指定が無いため、繰り返しの使用には向いていません。
    ノックピンは硬度指定がある(金型用ダウエルピン)ので繰り返しの使用に向いています。
  • 使用用途
    平行ピンは当てて動かさない条件で使用します。
    ノックピンは表面が硬いため繰り返し使用する条件で使用します。

位置決めピンの原理

ノックピンというのはノックつまり打ち込みのピンの事であり、一般的にダウエルピンの事をノックピンとも言います。

ダウエルピンはJISB5062及びJISB1355で規格が記されており、機器の心出しや位置決めに用いるピンのことを指します。

軸径にプラス公差が適用されており、打ち込まないと穴に入らないためノックピンとも言われ、硬度指定によりピンが硬いので繰り返して脱着するような場所に使用される傾向があります。

一方、平行ピンはプラスとマイナス公差を有し焼入れがされていないピン(ただし、タップ加工されているのは焼きが入っている)のため硬度はピンの材質特性に影響されます。そのためラフに位置決めをするときや静的な位置決めにのみ適していますが、その代わり着脱は容易に出来るため作業性はノックピンと比較すると大幅に優れています。

位置決めピンを使用する際は、その使用目的、性能等を考慮しそれに応じたピンを使用する必要があります。

参考文献

(1) JISB1355 ダウエルピン
(2) JISB5062:金型用ダウエルピン
(3) JISB1354:平行ピン
(4)JISB1359:メネジ付き平行ピン

ラックギア

ラックギアとは

ラックギア

ラックギア (英: Rack Gear, Gear Rack) とは、角もしくは丸棒や板材に、同形状の歯が等間隔に並べられた無限大直径の歯車です。

ピニオンギア (小径歯車) と組み合わせて使用します。ラック&ピニオンと呼ばれ、回転運動と直動運動を双方向に変換可能です。

JIS B0102 歯車用語-第1部: 幾何形状に関する定義 では、ラック (英: Rack) として「1つの面に一連の同じ形状の歯を等間隔にもつ、平らな板又はまっすぐな棒」と定義されています。

なお、ラックは直径が無限に大きな歯車の一部分とみなすことができます。

ラックギアの使用用途

ラックギア_図1

図1. ラックギア (ラック&ピニオン) の使用例

ラックギアは単体で使用することはなく、主にピニオンギアとの組み合わせで使用し、用途は回転運動と直動運動が行われる機械や装置です。図1は工場の製造ラインの使用例で、搬送されたワーク (対象物) をレバーのマグネットで吸着し、180度反転後に脱着して、ワークを次の工程に渡す機構です。

エアシリンダーの直線運動をラック&ピニオンによって回転運動に変換しています。また、自動車のラック&ピニオン式ステアリング機構があり、ステアリングシャフトの回転をタイロッドの直線運動に変換しています。下記は、その他の代表的な使用例です。

  • 望遠鏡や顕微鏡の光学機器のピント合わせ機構
  • ボール盤スピンドルとテーブルの上下位置調整機構
  • 工作機械の位置決め調整機構
  • 工事用エレベーターの昇降機構

ラックギアの原理

1. 寸法と仕様

ラックギア_図2

図2.ラック&ピニオンの寸法

ラックギアは、歯車の歯を直線状に並べた無限大直径の歯車で、減速比という概念がなく減速比は1となります。ラックギアの基本寸法は、標準基準ラックとして下記JIS規格で規定されています。

  • JIS B1701-1 円筒歯車-インボリュート歯車歯形- 第1部: 標準基準ラック歯形

図2は標準基準ラックとピニオンギアの寸法および相互の位置関係、下表は寸法図の記号説明です。

項目

記号

計算式

説明

モジュール

m

P/n

歯の大きさをミリメートル単位で表したもの

ピッチ

P

Nm

基準線上の隣接する歯間の距離

圧力角

α

20度など

基準線の法線に対する歯の角度

歯末のたけ

ha

1.00m

基準線と歯先の距離

歯元のたけ

hf

1.25m

基準線と歯底の距離

歯たけ

hp

2.25m

歯底と歯先の距離

歯数

z

歯の数

転位係数

x

転位量をモジュールで割った値

ピッチ線高さ

H

ピッチ線までの高さ

組立距離

a

zm/2 + H + xm

 

基準円直径

d

zm

 

ラックギアの移動量

L

πmz

ピニオンギア1回転におけるラックギアの移動距離

2. 長さ

ラックギアの歯数は理論的には制限がありませんが、歯数が多くなり長尺になるほど曲がりや変形が大きくなり、製作精度が低下します。また、歯切り加工機により製作可能な長さが限定されます。

そのため、長尺ラックギアの場合は、ラック両端面を加工し歯ピッチが合うように、複数本を連結します。連結したラックギア全長には制限はありませんが、ラックギア単体長さは、一般的に2,000mm程度です。

ラックギアの種類

ラックギア_図3

図3.ラック&ピニオンの種類

1. 歯すじ形状による分類

ラックギアの歯すじ形状は、すぐ歯ラックギアとヘリカルラックギア (はす歯ラックギア) があります。

すぐ歯ラックギア
歯面がラックギアの長手方向に対して直角で、歯は平行で等間隔に並んでいます。形状がシンプルで製作しやすいことが特長です。

ヘリカルラックギア (はす歯ラックギア)
歯面がラックギアの長手方向に対して斜めで角度 (ねじれ角) があり、歯は平行で等間隔に並んでいます。強度が高く、優れた静粛性で、高速度の使用に適しているのが特長です。ただし、ピニオンの軸中心方向にスラスト荷重がかかり対策が必要です。

なお、ラックギアとピニオンギアの歯ピッチは同一であり、ヘリカルギアの場合は、ラックギアとピニオンギアの歯は同一のねじれ角で、逆のねじれ方向の必要があります。

2. 断面形状による分類

代表的なラックギアの断面形状は、矩形形 (角棒) と円形 (丸棒)の2つがあります。

3. 材質による分類

ラックギアに使用する代表的な材質は下記のとおりで、材質によって強度や特性に応じて熱処理を行うことがあります。

  • JIS G4051 機械構造用炭素鋼鋼材 Carbon steels for machine structure use, S45Cなど
  • JIS G4053 機械構造用合金鋼材 Low-alloyed steels for machine structure use, SCM415、SCM440など
  • JIS G4303 ステンレス鋼棒 SUS304など
  • ポリアセタール (POM) 、MC901 (エンジニアリングプラスチック) などの樹脂材
  • JIS H3250 銅及び銅合金の棒 Copper and copper alloy rods and bars, C3604 (快削黄銅) など

4. その他

ラックギア_図4

図4. リニアドモーター

上記以外に、ラック&ピニオンと減速機があらかじめ組み込まれているリニアヘッドに、モーターが付属しているリニアドモーターがあります。

ラックギアのその他情報

ラック&ピニオンの特徴

長所

  • ロングストロークに対応可能
  • モジュールを変更し大きな荷重にも対応可能
  • 高速搬送に対応可能
  • 材質、研磨や焼入れの有無、形状等を変更しさまざまな用途に対応可能

短所

  • 高い負荷 (摩擦力) を受ける
  • 騒音が大きくなる傾向が強い
  • バックラッシを避けることができない

参考文献
https://www.khkgears.co.jp/khk_products/Rack_cp.html

PLD

PLDとは

PLD (Programmable Logic Device)とは、製造後にユーザの手元で内部論理回路を定義・変更できる集積回路です。

ASIC (特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路) やASSP (分野・アプリケーションを限定して、機能・目的を特化させたLSI) に比べて、設計の柔軟性が高く、コストも安価です。そのため、様々な電子機器に広く用いられています。

PLDには、FPGA (英: Field Programmable Gate Array) やCPLD (英: Complex Programmable Logic Device) など、様々な種類があります。FPGAは、ゲートアレイと呼ばれる論理演算を行う回路を多数備えたPLDです。CPLDは、FPGAよりもゲートアレイの数は少ないですが、FPGAよりも安価なPLDです。

PLDの使用用途

PLDはその高い柔軟性と効率性から、多種多様な業界で広範に利用されています。以下に具体的な使用事例を説明します。

1. 通信業界

通信業界では、通信プロトコルの多様化と高速化が求められるため、ハードウェアの設計も頻繁に変更されることが一般的です。このような状況下でPLDはその再プログラム可能な特性を活かし、迅速にハードウェアの再設計を可能にします。これにより、新しい通信規格への対応時間を大幅に短縮し、製品の市場投入までの短時間化が可能となります。

2. 自動車業界

自動車業界では、先進運転支援システムや車内体験の急速な進化や標準規格化に対応するためにPLDを採用して開発サイクルを縮めています。その他、安全規格への対応やハイブリッドカーや電気自動車のモーター制御やバッテリー管理などにも利用されています。

3. 家電業界

家電機器メーカーは多くの競合他社との競争にさらされ、また消費者の変化する要求に迅速に対応する必要があります。各種動画規格の対応やAI機能の追加などに利用されています。

PLDの原理

PLDの原理は、内部構造とハードウェア記述言語を理解する必要があります。内部構造とHDLの利用により、PLDは高度な柔軟性と効率性を持つことが可能で、様々な応用に適応できるようになります。

1. PLDの内部構造

PLDの基本的な内部構造は、プログラム可能な論理ゲートと、これらのゲートを接続するためのプログラム可能な結線から成り立っています。論理ゲートは、入力信号に対する特定の論理操作 (AND、ORなど) を実行する電子デバイスであり、これらを組み合わせることで複雑な論理関数を実装が可能です。

PLDの中には、基本的なゲートレベルのデバイス (例: プログラム可能なロジックアレイ(PAL) やプログラム可能なアレイロジック (PAL) ) から、より高度な機能を持つデバイス (例: 複雑なプログラム可能なロジックデバイス (CPLD) やフィールドプログラム可能なゲートアレイ (FPGA) ) まで様々な種類があります。

2. ハードウェア記述言語

PLDをプログラムする際には、ハードウェア記述言語 (HDL) が使用されます。HDLは、デジタルシステムを記述するための特別なプログラミング言語であり、論理設計や物理設計に使用される場合が多いです。

HDLには、VHDL (英: VHSIC Hardware Description Language) やVerilogなどがあります。HDLを用いると、エンジニアはハードウェアの動作を精密に記述し、その動作をシミュレーションできます。さらに、この記述はツールによって論理ゲートのネットワークに変換され、最終的にPLDにプログラムされます。

PLDの種類

PLDはその内部構造とプログラム可能性により、さまざまな種類に分類されます。以下に主要な種類を紹介します。

1. PLA (英: Programmable Logic Device)

PLAは、最も基本的なPLDの1つです。PLAは複数の論理ゲートを持つアレイ (配列) を備えており、これらのゲートをプログラムして特定の論理関数を実行できます。PLAは非常にシンプルなデバイスで、比較的小規模な論理システムの設計に適しています。

2. PAL (英: Programmable Array Logic)

PALはANDアレイがプログラム可能で、ORアレイが固定のものです。数百ゲート程度の規模で、シンプルな回路に適しています。

3. CPLD (英: Complex Programmable Logic Device)

CPLDはPALよりも多数のケートを持ち、より大規模なデジタルシステムの設計に適しています。CPLDは高い密度と大きな容量を持ち、複数のデバイスを1つに集積してシステムの複雑さを管理しやすくします。

4. フィールドプログラマブルゲートアレイ (FPGA)

FPGAは最も高度なPLDであり、最大数百万ゲートもの論理ゲートをプログラム可能な形で内蔵しています。FPGAは高度な柔軟性を持ち、非常に大規模なデジタルシステムの設計やプロトタイピングに使用されます。

参考文献
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/programmable/products/cpld/cpld.html
https://www.dempa.co.jp/productnews/trend/h150723/h0723.html
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/pdf/ELS0298_S000_10__1.pdf
http://mix.kumikomi.net/index.php/PLD
https://core.ac.uk/download/pdf/61359759.pdf

ノックピン

ノックピンとは

ノックピン

ノックピンは、工業製品の組付け精度を確保するために用いられる治具です。

工業製品の分解整備の際、特に組み付け精度が求められる接合部に用いられ、接合時のガイドとしての役割のほか、組み付け時のズレや外部からの衝撃によるズレを防止しています。

通常、機械部品にノックピンが入る穴を設け、片方にノックピンを打ち込んだ後もう片方の部品を組み合わせるという方法で、接合部1箇所あたり2本使用されるのが一般的です。

ノックピンの使用用途

ノックピンは、高精度な位置決めが必要な部品同士の組み合わせに使用されます。特に、自動車部品で使用される場合が多いです。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • シリンダーヘッドとシリンダーブロック (クランクケース) の接合部
  • エンジンとトランスミッション (クラッチハウジング・トルクコンバータハウジング) の接合部
  • ディファレンシャルギヤとアクスルハウジングの接合部等

そのほか、回転部分や駆動部分など、動力伝達を行う部分の合わせ面にもノックピンが使用されています。

ノックピンの原理

ノックピンはラジアル方向 (軸と垂直) のズレを食い止めるものです。一般的に、1本だけではその部分を支点としたズレが発生してしまうため、2本以上が等間隔もしくは対角線上に並ぶようにして使用されます。ピン径公差がプラス側にしか設定されておらず、圧入による使用が前提とされているため、平行ピンよりも精密な組付けを行うことができます。

ノックピンの種類

ノックピンはJISにおいては、ダウウェルピンと呼びます。ダウウェル (Dowel) はダボと訳され、ダボとは木材や石材同士を接合するためのものです。主に木工事や石工事などで使用されます。

部材間の位置ずれを防ぐために、互いの部材に穴を開けて差し込まれるものであり、ノックピンと同じ役割を果たします。またJISではダウウェルピンについて、2つの規格があります。

  • JIS B1355: ダウウェルピン
  • JIS B5062: 金型用ダウウェルピン

JIS B5062は名前の通り、金型に使われるダウウェルピンの規格です。プレス金型、プラスチック金型、ダイカスト金型、ゴム金型に使うノックピンについては、こちらのJISに従って製造されています。特徴的なのは、ねじ穴があるものが規定されていることです。

ピンの内径にねじ穴があり、相手部品にねじ込むことで固定することができます。ねじがないタイプをA形と呼び、ねじ穴があるものはB形と呼びます。

ノックピンのその他情報

1. 平行ピンとダウウェルピンの違い

ノックピンと同様に扱われるものとして、平行ピンがあります。平行ピンは外観上はノックピンと同じです。また、前述したダウウェルピンのJIS B1355は、「Dowel pins (Parallel pins, hardend) 」という意味で、ダウウェルピンを硬化した平行ピンと表記しています。実用上両者を厳密に区分けする必要性は低いのですが、JISの定義は異なります。

平行ピンはJIS B1354で定められており、ダウウェルピンとの大きな違いは以下の3つです。

  • 直径
    ダウウェルピンが直径d=1~20mmで定めているのに対して、平行ピンは直径d=0.6~50mmとより幅広く規定しています。
  • 材料と熱処理
    ダウウェルピンは硬化処理したものに限定していますが、平行ピンでは硬化処理については言及していません。ただし、硬さについての規格は設けられています。材料はダウウェルピンが鋼製およびマルテンサイト系ステンレス鋼製であるのに対して、平行ピンは鋼製およびオーステナイト系ステンレス鋼製としています。
  • はめあい公差域
    ピンの直径の公差が異なります。ダウウェルピンの公差域はm6であるのに対して、平行ピンではm6かh8で規定しています。m6はH7の穴と組み合わせた場合、組立・分解に鉄ハンマ・ハンドプレスを使用する程度のはめあいとされています。h8の軸はH8と穴と組み合わせた場合、潤滑剤を使用すれば手で動かせるはめあいです。

2. ノックピンの使用上の注意

ノックピンがついた部品の脱着の際には、ノックピンも共に引っ張られてしまい抜けてしまう場合があります。再組付け時にはノックピンがきちんと奥まで挿入されているか確認してから組み付ける必要があります。

セレクタスイッチ

セレクタスイッチとは

セレクタスイッチ

セレクタスイッチとは、複数の選択肢から1つを選ぶスイッチです。

一般的には円盤状や角型のノブを持ち、それを回転させることで異なる選択肢を選ぶことができます。セレクタスイッチは、一般的に回転させるだけで選択ができるシンプルな操作方法です。特に複数の選択肢やモードがある場合に、迅速に切り替えられます。

また、物理的な操作に基づいており、操作が確実で信頼性が高いです。ただし、セレクタスイッチはあらかじめ定義された選択肢から選ぶ方式です。そのため、新しいオプションや設定が追加された場合に、既存のセレクタスイッチでは対応が難しいことがあります。

セレクタスイッチの使用用途

セレクタスイッチはさまざまな用途で使用されることがあります。以下はセレクタスイッチの使用用途です。

1. オーディオ機器

オーディオ機器におけるセレクタスイッチは、異なる入力ソースや音量レベルを選択するための部品です。これにより、ユーザーは好きな音楽やコンテンツを選択し、音量を調節できます。

また、一部のオーディオ機器では音響効果やイコライザーの設定を変更するセレクタスイッチも付属することが多いです。

2. 産業用制御パネル

産業用制御パネルにおいては、製造プロセスの運転モードや作業モードを切り替えるために使用されます。例えば、生産ラインの開始や停止、異なる生産モードの切り替えなどを行う際に利用されます。セレクタスイッチは、作業者が手動で制御する必要がある場合に重要です。

3. 電子機器

電子機器におけるセレクタスイッチは、異なる操作モードや設定モードを切り替えるために使用されます。カメラでのシャッタースピードや絞り値の調整、携帯電話での通話モードや静音モードの切り替えなどがその一例です。セレクタスイッチによって、機能の変更が直感的かつ迅速に行えます。

セレクタスイッチの原理

セレクタスイッチは物理的な操作に基づいて、異なる電気回路を切り替えるために使用されるデバイスです。ノブや接点、ハウジングなどで構成されます。通常、操作を行うためのノブやレバーを持っています。

これらをユーザーが回転操作することにより、自由に選択することが可能です。一般的には硬質樹脂製の製品が多いです。セレクタスイッチ内部には、各選択肢に対応する電気接点が存在します。接点は銅や銀・金などの導電率が高い金属で作られ、ノブの動きによって開閉する仕組みです。接点が閉じたときには、電流が通るために回路が形成されます。

セレクタスイッチ全体を包み込む外部のケースやハウジングが存在します。一般的に硬質樹脂を使用し、導通部分と外部を絶縁する役割を持つ場合が多いです。セレクタスイッチを保護しつつ、操作時の快適性や安定性を提供します。

セレクタスイッチの選び方

セレクタスイッチは、さまざまな要素を考慮して選ぶ必要があります。

1. ノッチ数

ノッチ数とは、セレクタスイッチの選択肢やポジションの数です。ノッチ数が多いほど、多くの選択肢を切り替えることができます。使用する選択肢の数に応じて選択する必要があります。

2. フレーム寸法

フレーム寸法はセレクタスイッチの外部寸法です。装置やパネルに取り付ける際に、十分なスペースが確保できるかどうかを確認するために重要です。複数のボタンを同じパネルに配置する場合には、フレーム寸法に注意する必要があります。

3. 接点構成

セレクタスイッチの接点構成は、各選択肢に対応する接点の仕組みです。接点の数や各ノッチにおける動作を選択する必要があります。用途に応じて適切な接点構成を選ぶことが重要です。

4. 復帰方式

復帰方式は、セレクタスイッチを操作した後に自動的に元の位置に戻るかどうかです。復帰しないタイプは操作した位置に留まり、復帰するタイプは操作を終えた後に元の位置に戻ります。一時的な操作ではなく、確実な選択が必要な場合には復帰しないタイプが最適です。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki4/remo.html
https://www.mskw.co.jp/support/car/relay
https://www.megasoft.co.jp/3d/drawingsymbols/switch/selectorswitch.php
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/switch/

RFフィルタ

RFフィルタとは

フィルタとは、周波数を弁別して必要な周波数帯域の信号のみ通過させて、それ以外の信号を阻止する働きの素子もしくは回路を言いローパスフィルタ(LPF)、バンドパスフィルタ(BPF)、ハイパスフィルタ(HPF)に分類されます。

RFフィルタとはRadio Frequency:高周波を用いた放送波や無線通信信号のためのフィルタです。

地上デジタル放送の場合、80~800MHzの周波数帯の信号が使用されます。スマートフォンなどの携帯電話の場合800~3500MHzの周波数帯の信号が使用されます。従って、RFフィルタはの使用例としては、これらの放送や通信の周波数帯以外の信号が混入されてきた場合にこれを阻止するためなどに使われます。

RFフィルタの使用用途

放送や通信で使用する周波数は国の有限な資産として位置づけられており、これらを有効に活用するために夫々のサービスでは使用する周波数帯が取り決められています。

夫々のサービス間で干渉したりして、互いのサービスに悪影響を与えないような対応が必要です。この様な目的からRFフィルタは有効な手段となります。

例えば地上デジタル放送を受信する場合に使用されるRFフィルタはがあります。80~800MHzの放送電波のみを通し、この範囲以外の電波を遮断する目的で使用されます。

アンテナケーブルと同等な太さとコンパクトなイサイズで、アンテナケーブルに縦続接続して取り付けて使用するRFフィルタが販売されています。

RFフィルタの原理

RFフィルタは、前述のようにテレビ受信用や携帯電話用、更にその他、産業用機器などにおいても使用されています。

テレビの放送周波数は80~800MHzである一方、携帯電話の通信周波数は、その上側である800~3500MHzを使用しています。基本的に両者で使用している周波数帯は、分離されていますので、問題が起きることはないはずです。

しかし、何らかのトラブルや機器設計上の問題で例えば、携帯電話の内部回路で扱う周波数がテレビの周波数帯まで踏み込んできた場合にテレビ側の映像や音声にノイズとして影響を及ぼす可能性がありえます。

この様な際にテレビ側に自身の放送周波数帯の信号のみを通過させるRFフィルタを挿入しておくことにより対策が可能です。

テレビを一般家庭で視聴する場合にはここまでの対応は不要かもしれませんが、業務用途でテレビを使用する場合に視聴途中でノイズの混入によるトラブルを回避するためには安全策としては十分に考えられます。

産業用機器の場合、民生用機器以上に精度の高い動作が要求され誤動作の原因となりうる不要な電波の受信は可能な限り排除する必要があります。

特殊な例で言うと半導体製造装置などでは、その製品の特性から13.6MHz、27.1MHz、
40.7MHz付近の周波数帯の信号のみを通過させるためのRFフィルタが使用されます。

この様な理由から多様なRFフィルタが用意されています。特定の周波数帯のみを取り出すことのできるタイプ、取り出すことのできる周波数帯を設定により変更することができるタイプなどもあります。

参考文献

https://corporate.murata.com/ja-jp/about/newsroom/techmag/metamorphosis20/productsmarket/ihp-saw
https://www.globetech.co.jp/products/import/rf-filter/
https://www.pasternack.jp/rf-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BF-category.aspx
https://www.st.com/ja/emi-filtering-and-signal-conditioning/rf-filters.html
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/review/1225018.html

基板間コネクタ

基板間コネクタとは

基板間コネクタ

2つのプリント基板上の回路を電気的に結合させるために使用される部品が基板間コネクタです。

基板間コネクタは接続する双方のプリント基板上に直接実装され、その両端にコネクタが取り付けられたケーブルによって橋渡しされて接続されます。

例えばプリント基板上のコネクタとしてオス側、ケーブル側の両端がメス側のコネクタを夫々用意してやることにより両者をつなぎ合わせることで、基板間を電気的に直結します。

更に基板間コネクタには、橋渡し用のコネクタ付きケーブルは使用せず、双方のプリント基板上の基板間コネクタを直接接続することで両者を電気的に直結するものもあります。

基板間コネクタの使用用途

基板間コネクタは、使用する場所や必要な電流容量により信号ケーブルおよびコネクタ内のピンのサイズも様々なタイプのものがあります。

基板間コネクタに求められることは、コネクタ内にどれだけ多くの信号線を収容できるかということ、更にこれを安定して電気的・物理的に接続状態を維持できるかという点にあります。

ほとんどの民生機器や業務用機器も含め、プリント基板を使用している各種機器では基板間コネクタは、ほぼ間違いなく使用されています。

これらの機器は、例外なく、高機能・高性能化が進み、これに伴い、基板スペースの削減が求められ、その結果基板間コネクタを含めたすべての電気部品の小型化、薄型化、軽量化が求められています。 

基板間コネクタの原理

前述の通り基板間コネクタは、2枚のプリント基板を電気的に直結することが目的です。

本来は1枚の基板で全ての機能を実現できれば、基板間コネクタも不要となるため、この方法が最もコスト的にも安価にできと考えられます。

しかし、限られた機器内の物理的スペースの中に要求される全ての機能を実装するためには、適度なサイズの複数の基板に分割し、機器内のスペースを確保して入れ込む方法が現実的です。

加えて機能単位で基板を分割することで得られる大きなメリットがあり、このことが結果的に機器のコスト削減につながります。

プリント基板を夫々の機能単位で複数の基板に分割し、これら複数の基板を組み合わせることにより、多様な機能を有数る多種類の製品を同時に実現することができます。この際に複数の基板を結合する基板間コネクタが有効となります。

例えば、今、ある製品を設計するにあたり必要な機能を実現するための基板として、基本機能用基板A、付加機能実現用基板B、付加機能実現用基板Cがあったとします。

基板Aのみで最もベーシックな機能を有する製品を実現でき、A+Bの基板を使用することで付加機能Bを有する製品、A+C、A+B+Cにより夫々、付加機能Bを有する製品、付加機能B+Cを有する製品を実現できます。

つまり、3つの機能単位の基板を用意し、これを組み合わせることで4種類の製品を実現できることになります。 

参考文献

https://search.yahoo.co.jp/image/search?p=%E5%9F%BA%E6%9D%BF%E9%96%93%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%81%A8%E3%81%AF&aq=-1&ai=3dfe172f-5209-4284-af36-f86728cb76cc&ts=2771&ei=UTF-8&fr=crmas
https://www.jae.com/column/01-advantages-of-connectors/

FET

FETとは

FET

FET (Field Effect Transistor) とは、ゲート電極に電圧をかけ、チャネルの電界により電子または正孔の流れを制御することで、ソース-ドレイン間に流れる電流を変化させる半導体素子です。

正孔もしくは電子どちらか一種類のキャリアしか用いないことからユニポーラトランジスタ、日本語では電界効果トランジスタとも呼ばれています。FETもバイポーラトランジスタと同様に3本の電極を有していて、ベースに対応する端子がゲート、コレクタに対応する端子がドレイン、エミッタに対応する端子がソースです。

FETの使用用途

FETが採用される回路分野は多岐に渡り、デジタル回路では論理回路を構成する素子として使用されています。また、アナログ回路では一般的なアンプ以外にも、アナログスイッチや電子ボリューム回路などに使われることも多いです。

特にMOSFETはゲート電流が非常に小さいことに加え、構造が平面的であることが特徴で、バイポーラトランジスタと比べると製造プロセスが簡単で消費電力が少ないことから、集積回路に適しています。マイコンなどの大規模なデジタル集積回路は、多くの場合MOSFETで構成されています。

また、電源などのパワーエレクトロニクスの分野では、FETはオン抵抗が小さい上、ON/OFFのスイッチングスピードが速いことから、電流のスイッチング素子として使用されています。

FETの原理

JFETとMOSFETの動作原理は異なります。なお、下記ではNチャネル型を例に記述しますが、Pチャネル型も各電極に印加する電圧の極性を反対にすれば、同様に扱うことができます。

1. JFET

P型半導体のゲート電極にN型半導体のドレイン電極とソース電極を接続する構成のNチャネル型において、ゲート電極とソース電極間のPN接合部に逆方向電圧VGS (ゲート電極側がマイナス) を加えると、N型領域内に空乏層が広がります。空乏層にはキャリアが存在しないため、N型領域の電流が流れる通路 (チャネル) の幅が狭まり、ドレインからソースに流れる電流IDが減少します。

このような原理によりVGSの大きさを変えることでIDの制御が可能です。なお、この使い方ではゲートとソース間は逆方法電圧になるため、ゲート電流はほとんど流れません。すなわち、入力インピーダンスが大きいことになります。

2. MOSFET

MOSとは Metal-Oxide-Semiconductor (金属-酸化膜-半導体) の略で、ベースとなる半導体の上に絶縁層としての酸化膜、その上に電極としての金属を積層した3層構造となっています。また、前項に記した通り、MOSFETにはエンハンスト型とデプレション型の2種類があります。

P型半導体の中にN型半導体の領域を2つ設けて各々ドレインとソースとしたNチャネルエンハンスメント型MOSFETにおいて、ゲート電極に電圧をかける前はドレインとソースの間はN-P-Nとなっているため電流は流れません。しかし、ゲートに正の電圧を印加すると、絶縁層 (酸化膜) を通してゲートの下側に負電荷が集まって薄いN形半導体の層が形成され、ドレイン-ソース間がN-N-N、即ち連続したN型半導体になり電流が流れるようになります。

ゲートの下に形成されたN形半導体の層を「チャネル」と言い、チャネルの厚さはゲート-ソース間に印加される電圧VGSによって変化し、ソースからドレインに流れる電流IDはチャネルの厚さに応じて変化します。すなわち、VGSの値でIDを制御することが可能です。また、ゲート電極は絶縁層に接しているだけであるため、微小な漏洩電流しか流れません。つまり、入力インピーダンスが極めて大きいことになります。

なお、エンハンスト型は上記の通りVGS=0ではドレインに電流は流れませんが、デプレション型ではVGS=0 の状態でドレインに電流が流れるように、あらかじめドレイン、ソース間に薄いチャネルを形成しておきます。従って、デプレション型FETではゲート電極に加わる信号レベルが非常に小さい場合でもドレイン電流が追従することから、増幅回路として使い易いものです。

FETの種類

FETはその構造により、接合型電界効果トランジスタ (JFET) と絶縁ゲート型電界効果トランジスタ (MOS FET) に分類され、回路図上でも異なる回路記号で表示されます。また、N型半導体のベースに2つのP型半導体領域を形成を埋め込んだPチャネル型と、P型半導体のベースに2つのN型半導体領域を形成したNチャネル型があり、用途に応じて使い分けます。

更にMOSFETでは、ゲート-ソース間に電圧を印加しないとソース-ドレイン間に電流が流れないエンハンスメント型と、ゲート-ソース間が同電位であっても電流がある程度流れるデプレッション型とがあります。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4779/
https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/mosfet/mosfet.html

EDAツール

EDAツールとは

EDAツール

EDA(Electric Design Automation)ツールとは電気設計の各プロセスにおいて、作業の効率化や自動化を図るためにこれをサポートするソフトウェアやハードウェアツールのことを言います。

機構/機械設計の分野で使用されるCADやCAMと呼ばれるツールの電気設計版と理解すればよいです。

これらの製品の中で、家電製品を例に取るとその設計プロセスは、システム(構想)設計から始まり、回路設計を行い、これを組み上げて試作を繰り返し、完成度を上げ、最終的な製品に仕上げていくという流れになります。このプロセスにおいてEDAツールは製品設計に大きな力を発揮するものです。

EDAツールの使用用途

EDAツールには設計プロセスによりそれに合ったツールが夫々用意されています。家電などの製品設計用として用意されているのは、最も上流設計に位置するシステム(構想)設計とそのシミュレーションを行うツール、回路設計とそのシミュレーションを行うツール、プリント基板のレイアウト用ツール、不要輻射への対応設計を行うためのツールなどがあります。

更に半導体設計の分野においては、半導体デバイス設計ツールとそのシミュレーション用ツール、論理設計やタイミング設計用ツールおよびシミュレーションツール、更に半導体内のレイアウト設計用ツール及びシミュレーションツールです。 

EDAツールの原理

EDAツールを使わなくとも設計を進めることは可能です。また、前述のツールの一部を使うことも当然可能です。

しかし、家電機器など各種製品や各種半導体デバイスを開発するメーカーは、今や世界の企業としのぎを削り競い合っています。

残念ながら今や、ものを作れば売れるという古き良き時代はとうに過ぎ去り、いかに早く、高機能で高性能な製品をいかに安く提供できるかによって勝負が決まる時代です。そのために、回路はどんどん高密度化、小型化、軽量化、省電力化が進んでいます。

競合他社に対して優位性を維持していくためには、以上の環境下で圧倒的な開発力、開発スピードが求められ、これを強力に支援するのがEDAツールです。

製品の設計は、まずどのような製品を作るか?どのような機能を搭載するか?コストはどれくらいで作ればい良いか、からスタートし、これを実現するためのシステム構成の検討からスタートします。

この際に有効なのがシステム設計ツールです。仮に一度コンピュータ上で作り上げた仮想のシステム構成が最適がどうかを検証するためにシステム設計ツールのシミュレーション機能により検証を行います。性能、機能、コストが期待値をクリアできるか検証するわけです。

シミュレーションの結果、満足するシステムではなかった場合、システムを再構築して再度シミュレーションするというトライアンドエラーを繰り返して、最適なシステムに到達するわけです。もしこの作業を実際にモノを作って行おうとすると、大きな時間が必要となるところを、EDAツールを使うことにより、コンピュータ上にて実現できるので、短期間で検証することが可能になります。

以降の設計プロセスにおいても同様のアプローチにより、トータルの設計期間を短縮することが可能となります。

参考文献

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1003/24/news094_2.html
https://www.americabu.com/eda
https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20150701/425860/

RFIDIC

RFIDICとは

RFIDIC

RFIDICとは、RFIDシステムを構成する1要素であるRFIDICのことです。

RFIDシステムとは、電磁波を用いて、製品に取り付けられたRFIDIC内の情報を認識するシステムです。RFID用リーダライタ、RFIDIC、データ処理機器から構成されています。

情報を認識するシステムとしてバーコードによる読み取りもありますが、RFIDは下記のようなメリットが存在します。

  • 時間短縮
    バーコードの場合、接近して読み取る必要があります。一方、RFIDでは離れた場所でも使えます。また、同時に複数のRFIDICを読み取れるので、時間短縮につながります。
  • データの修正が容易
    タグ内のデータ修正が必要な場合、バーコードでは貼りかえる必要があります。RFIDではRFIDICを外さず、簡単にデータの修正すが可能です。
  • 耐久性
    バーコードは汚れたら読み取れないので、貼りかえる必要があります。RFIDICでは汚れても読み取れるため、長時間の使用が可能です。

RFIDICの使用用途

RFIDICは、そのユニークな識別とトラッキング能力により、幅広い産業とアプリケーションで利用されています。以下はその主な使用例です。

1. 在庫管理

RFIDICは、商品の位置情報や数量などをリアルタイムで追跡し、在庫管理の効率化が可能です。これにより、物流とサプライチェーン管理が大幅に改善されます。

2. 資産追跡

企業はRFIDICを使用して、コンピューター、ツール、機器などの貴重な資産の位置と状態を監視できます。財産の管理と保護の効率化につながります。

3. 小売

小売業者はRFIDICを使用して商品を追跡し、棚上の在庫を正確に管理します。これにより、販売機会の損失を防ぎ、顧客体験を改善します。

4. 医療

医療機関はRFIDICを使用して医療器具を追跡し、迅速な医療サービス提供を可能にします。また、患者のIDブレスレットにRFIDICを取り付けることで、患者の身元確認と治療プロセスの追跡が可能になります。

5. ライブストック追跡

農業業者はRFIDICを使用して家畜の移動を監視し、病気の早期発見や追跡を可能にします。

 

RFIDICは効率化、精度の向上、そしてコスト削減を実現するだけでなく、企業がよりリアルタイムな意思決定を下す能力を向上させます。

RFIDICの原理

RFIDシステムの構成要素は、主にリーダライタ、RFIDIC、データ処理機器の3つです。リーダライタから、情報をもった電磁波がRFIDICに向けて送信されます。RFIDICが電磁波を受信すると、RFIDIC内で電力が生じます。

発生した電力により処理が行われ、今度はRFIDICから情報を載せた電磁波が発信されます。リーダライタが情報を読み取り、データ処理機器へ転送される仕組みです。データ処理機器にはPCやマシンオートメーションコントローラなどがあります。

RFIDは用途により、電磁波の周波数が異なります。高い周波数では、情報伝達の高速化が可能です。一方、低い周波数では遠くまで安定して情報を伝えることができます。

目的に合わせて、周波数を使い分けることが大切です。近年は、5Gのように情報伝達の速さが重視されているため、高周波帯であるUHF帯の周波数が多く用いられています。

RFIDICの種類

1. 周波数帯による分類

RFIDで利用されている周波数帯には以下のものがあります。

  • LF帯 (Low Frequency、125〜135kHz)
    LF帯は金属面での読み取りに強く、動物の管理タグなどに用いられます。
  • HF帯 (High Frequency、13.56MHz)
    HF帯は国際ISO規格が存在し、Suicaなどの交通系ICカードに利用されています。
  • UHF帯 (Ultra High Frequency、800〜960MHz)
    UHF帯は読み取り距離が長く、物流やアパレル店のタグなどに用いられています。
  • マイクロ波帯(2.45GHzなど)

2. 電源による分類

  • アクティブタグ
    電池内蔵して長距離をカバーできます。
  • セミパッシブタグ
    電池内蔵し読み取り感度向上できます。
  • パッシブタグ
    電池なしでリーダーからの電波で動作します。

RFIDICのその他情報

利用上の注意点

RFIDシステムは電磁波を利用しているため、下記のことに気を付ける必要があります。

  • 金属から離す
    特に高周波帯では、電磁波により金属が熱を発生します。熱による悪影響も考えられるので、近づけない方が望ましいです。
  • RFIDICを重ねない
    タグ同士が重なると干渉してしまい、正しく読み取りができないことがあります。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/47/219/index.html
https://www.toshibatec.co.jp/products/rfid_totalsolution.html
https://www.nif.or.jp/glossary/
https://artfinex.co.jp/case/case-category/stock/
https://www.denso-wave.com/ja/adcd/fundamental/rfid/rfridtec/index.html
http://www.fujidempa.co.jp/technology/mili/