ジャンパ

ジャンパとは

ジャンパ

ジャンパ (英: Jumper) とは、ブレッドボードやPCB上の特定のにある2つの点を短絡させる金属線・金属端子・ピンの総称です。

なお、ブレッドボードとは、電子部品やジャンパ線を穴に差し込むだけで電子回路を組むことのできる基板を指します。回路を構成する電子部品はそれぞれ特定の役割を持っており、回路が正しく動作するためにはこれらの部品が正しく接続されている必要があります。

ジャンパを使用すると、回路上の2つのポイントを容易に直接接続することが可能です。

ジャンパの使用用途

一般的に使用されるジャンパには2種類あります。1つは導線タイプのジャンパ線で、もう1つはジャンパピンとジャンパスイッチのセットです。

1. ジャンパ線

ジャンパ線は、ブレッドボードと組み合わせて手軽に回路を組むために利用されます。部品やジャンパ線をブレッドボードの穴に差し込むだけで回路を組むのが可能で、複雑な半田付けが不要なため電子工作で重宝されています。

2. ジャンパピンとジャンパスイッチ

ジャンパピンとジャンパスイッチは、2つで1セットの小型な部品です。PCBの回路動作を切り替えたり、機能を拡張したい場合に使用されます。PCB上に配線切り替え用のジャンパピンを予め搭載しておき、用途に応じてジャンパピンにジャンパスイッチをはめ込んだり、取り外したりすることで信号の接続先を切り替えます。

機能の切り替えや拡張だけでなく、異常のある回路を切り離す場合にも利用されます。ジャンパピンはピンヘッダと呼ばれることがあります。ジャンパスイッチはジャンパキャップ (ジャンパピンに被せる帽子)と呼ばれることがあります。

ジャンパの原理

ジャンパは、金属同士を直接接触させると電流が流れる (短絡する、ショートする) という性質を利用しています。

1. ジャンパ線

ジャンパ線はシンプルな金属線です。先端がブレッドボードに接続しやすい形状に加工されていることが多いです。中にはPCB上のジャンパピンに接続するため、ソケット形状になっているものもあります。

接続部分以外の配線はビニル被覆で覆われています。一般的な配線太さは1mm程度です。回路で扱いたい電流量が大きい場合は配線抵抗を下げるために太い配線を使用する場合があります。

2.ジャンパピンとジャンパスイッチ

ジャンパピンの多くは、金属端子が2.54mmピッチで規則正しく並べられた構造を取ります。ブレッドボードやPCBに差し込んで使用する場合に適したディップ構造と、PCBに表面実装する場合に適したSMD (英: Surface Mounted Device) 構造の2つです。これらは回路やPCBの設計方針によって使い分けられます。

樹脂外装で金属プラグを覆った形状をしており、これによって素手で着脱し易くなります。ジャンパスイッチ内部には、隣り合う2つのジャンパピンに挿した際に、ジャンパピン同士をショートさせる配線が構成されています。

ジャンパのその他情報

1. ジャンパを取り扱う際の注意点

ジャンパを使うと容易に回路の動作を切り替えたり機能追加できるため、回路のテストや実験的な回路製作で重宝します。しかしながら、ジャンパを誤って設定すると回路の動作が不安定になったり、機能しなくなったりする可能性があります。

ジャンパを使う場合は、想定される回路の挙動と適切なジャンパ設定を逐一確認する必要があります。

2. ジャンパを搭載できないもの

ジャンパはその形状や大きさから、小型・高密度・薄型が求められるスマートフォンなどの民生機器用PCBには搭載されません。このような機器では、ジャンパの代わりに0オーム抵抗で配線を切り替えられるようにPCB設計をすることがあります。

一方、デスクトップPCや産業用機器向け機器ではスペースに余裕のある場合が多く、PCBにジャンパを搭載していることがほとんどです。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4190/
https://www.atmarkit.co.jp/icd/root/96/5786096.html

シュリンクラベル

シュリンクラベルとは

シュリンクラベル

シュリンクラベルとは、加熱により収縮する樹脂製のラベルです。

凹凸やカーブのある形状にもフィットするため、飲料や化粧品の容器のラベルなどに使われています。

シュリンクラベルの使用用途

シュリンクラベルは、加熱により収縮し凹凸にもフィットするため、ペットボトルのラベルに多く利用されています。ペットボトルの湾曲および凹凸のある表面に直接写真や文字を印刷するのは難しく、シュリンクラベルに印刷してペットボトルに貼り付ける方法が一般的です。

シュリンクラベルを切り替えるだけでペットボトルのデザインを変えてバリエーションを増やせるため、商用的に非常に価値があります。

シュリンクラベルの原理

シュリンクラベルは、シュリンクフィルムを加工したもので、シート状に加工したシュリンクフィルムの端同士を貼り合わせて筒状に加工した加工品です。すなわち、シュリンクフィルムと同様の材質で製造可能です。ただし、シュリンクラベルはペットボトルのような筒状の製品の装飾や保護に使用されるため、縦方向の縮みがほとんどなく、横方向のみの収縮がある素材を使用しています。

材質としては、ペットボトルと同素材であるPET (ポリエチレンテレフタレート) 、PS (ポリスチレン) が代表的で、PETとPSの混合タイプ (ハイブリッドスチレン) を使用する場合もあります。なお、耐薬品性が必要な場合は、PVC (ポリ塩化ビニル) が好適です。

ペットボトルのラベルとして使用する場合は、まずシュリンクフィルムの状態で所定の印刷を行い、これを筒状のシュリンクラベルに加工します。次にペットボトルに被せ、温風トンネルに通しシュリンクラベルを熱収縮させペットボトルの凹凸に密着させて完成です。

また、加熱工程でペットボトルなど被包装物が熱変形を起こす可能性があります。作業する際には、シュリンクフィルムの熱収縮に必要な温度と被包装物の耐熱温度の確認が必要です。

シュリンクラベルのその他情報

1. シュリンクラベルへの印刷

シュリンクラベルに印刷を行う場合、ラベルを構成するシュリンクフィルムが透明なため、カラー印刷しても透けてしまう現象が生じます。そのため、意図しない色合いになったり、文字が読みにくくなったりする点に注意が必要です。

この対策として、白いインクで下地を塗ることでコントラストや文字をはっきりさせるテクニックがあり、以下の工程で印刷を行います。

  1. 印刷したい画像データをレイヤーに分けて作成し、最下層に白く塗りつぶしたレイヤーを加えます。あえてイラストの一部を透けさせたい場合は、透けさせる部分だけ白く塗らずに残します。

  2. プリンターにシュリンクラベルをセットし、下地のみ印刷します。

  3. プリンターにシュリンクラベルを再セットし、下地以外のレイヤーを印刷します。

2. シュリンクラベルの熱収縮方法

シュリンクラベルを熱収縮させるには温風や熱湯などによる加熱が必要です。熱を加える手段としては、温風トンネルが一般的ですが、他にも温浴やドライヤーなどがあります。

温浴
水槽に水を張り加熱して所定の温度に達したらシュリンクラベルを浸して加熱収縮させます。熱湯に浸した箇所を均一に加熱できること長所ですが、シュリンクラベルが濡れてしまうため、水に触れさせたくない物品には使えません。

ドライヤー
製品によってはヘアドライヤーでも熱収縮でき、通常はシュリンクラベル用の高温ドライヤーを使用します。操作が簡単である点が長所ですが、均一に熱を加えるのが難しい点が短所です。

3. シュリンクラベルのメリットとデメリット

シュリンクラベルのメリットとデメリットについて解説します。

メリット
シュリンクフィルムを貼り合せて筒状にするため、ミリ単位でサイズ設定可能で、容器に合わせてこまめな加工ができます。シュリンクフィルムに印刷してから加工するため、印刷ムラがありません。

デメリット
シュリンクラベルの材質として代表的なPETおびPSのフィルムは収縮温度が高めで、加工できない商品もあります。PSのフィルムは、機械的強度が弱い場合があります。

参考文献
https://chuetsu-web.jp/label/
https://prwarter.com/petbottle-label-design
https://www.orikane.co.jp/orikanelab/5445/
https://www.sunplastic.jp/?cn=100004&bgc=10000074

シールドシート

シールドシートとは

シールドシートとは、電磁波を遮蔽するためのシートです。

電磁波は使用している電子機器に対して誤動作や暴走などの悪影響を及ぼす場合があります。また、人体への悪影響が懸念されることも多いです。シールドシートを使用することで、周囲の電子機器や人体への電磁波の影響を減少させることができます。

また、電磁波を遮断することで、特定の通信におけるプライバシーを保護するために使用されることもあります。したがって、シールドシートは情報漏洩を防ぐための重要な手段です。

電磁波の遮断について、日本国内では電気用品安全法などの規制があり、世界的には国際規格IECにおける規格も存在します。

シールドシートの使用用途

シールドシートは様々な用途で使用されます。以下はその用途一例です。

1. 電子機器

電子機器内で発生する電磁波は、周囲の機器や通信システムに干渉を引き起こす可能性があります。例えば、スマートフォンやコンピュータの内部ではCPUなどが電磁波を発生し、近隣機器に影響を与えることも多いです。これらを未然に防ぐために、シールドシートを電子機器の筐体やケースに組み込んで電磁波の発散を防止します。

2. 医療機器

医療機器には、患者の安全性を確保するために正確な動作が求められます。MRIなどの画像診断機器では高周波を発生させるため、患者や他の医療機器に干渉を引き起こすと深刻な問題が生じるため危険です。したがって、医療機器の設計段階でシールドシートが組み込まれ、電磁波を抑制することが重要です。

3. 建築物

建築物全体にシールドシートを組み込むことで、外部からの電磁波の侵入を制御し、内部の電子機器を保護することが可能です。特に通信インフラを保護する必要がある場合には、建物の外壁にシールドシートを使用します。これにより、建築物内部の情報システムが外部からの干渉を受けにくくなります。

4. 金融機関

シールドシートは情報セキュリティやプライバシーの保護に使用されることも多いです。金融機関では機密情報や重要なデータを保護するためにシールドシートが使用されます。特定の施設にシールドシートを設置することで、外部からの盗聴装置から情報を守ることが可能です。

シールドシートの原理

シールドシートの原理は電磁波を反射・吸収することにあります。軟磁性材料を層状に積み上げていくと、ある周波数帯の電磁波を遮蔽させる特質を有します。この特性を利用し、シート状にした製品がシールドシートです。

軟磁性材料にはフェライトなどが使用されます。フェライトは酸化鉄などの金属酸化物からなる複合材料であり、高周波やマイクロ波を吸収する性質があります。また、ニッケル合金やアモルファス合金が使用されることも多いです。

積層を増加することでより強い磁界のシールドも可能です。加工端面のシールド性能劣化も低減することができます。長尺ロールはシールドルームなどの大規模施工に最適です。

シールドシートの選び方

シールドシートを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. サイズ

遮断したい領域のサイズや形状に応じて、適切なサイズのシールドシートを選びます。必要な寸法よりも大きなシートを選ぶことで余白を作ることができ、遮断性能を向上させることが可能です。また、カット可能な場合もあるため、必要なサイズにカスタマイズできるかも考慮する必要があります。

2. 遮断性能

シールドシートの主な目的は電磁波の遮断です。したがって、選択するシートの遮断性能が重要です。遮断性能は電磁波をどれだけ遮断できるかを示す指標であり、一般には減衰率(dB)や遮断率(%)で表されます。

シールドシートの材料や厚み、構造などによって異なります。遮断性能は遮蔽したい周波数範囲に対して評価することが必要です。

3. 強度

シールドシートは耐久性が必要な場面で使用されます。例えば、電子機器内の電磁波干渉対策や建築物の外部電磁波防護などは、長期間にわたって効果を保持する必要があります。適切な厚みや素材のシールドシートを選択することで、十分な強度を確保することが可能です。

参考文献
https://www.hitachi-metals.co.jp/products/elec/tel/p01_63.html
https://www.toyo-chem.com/ja/products/electronics/column/emishield.html

シャフトモーター

シャフトモーターとは

シャフトモーターとは、電気によって直線運動をするリニアサーボモーターの1つです。

電気によって直線運動を得るための手段には、まずボールねじがあります。シャフトモーターならボールねじに対して、高い位置精度の確保、高速動作、高い静粛性などの他にマルチ駆動という1つの軸上で複数の稼働子をコントロールできるといったメリットがあります。

また、シャフトモーターと同じ直線運動をするフラット型のリニアモーターに対しては、コアレス構造であることが大きな違いです。シャフトモーターでは、コアという鉄芯を使ったリニアモーターの欠点であるコギングという動作のムラが発生しません。

シャフトモーターの使用用途

シャフトモーターは直線運動を制御するための機構に用いられます。大きくは加工・製造装置と、測定・検査装置に分けられます。

1. 加工・製造装置

加工・製造装置での使用例は、金属加工装置、放電加工機械、レーザー加工機、精密XYステージ、ステッパー、コーターディベロッパーなどです。

2. 測定・検査装置

測定・検査装置では、液晶用途や半導体用途の検査装置、整体生物用の顕微鏡、分光・光学測定機、プリント基板の検査装置、表面検査装置、三次元測定装置、プローバ、スキャナなどがあります。

 

シャフトモーターは以上に加えて、同一の軸上で複数の可動子が必要であったり、大型で大きな重量物を移動させるために、2つの軸を使って移動させる場合、高い環境性能が求められる場合にも使われています。

シャフトモーターの原理

シャフトモーターは、シャフト部とコイル部によって構成されています。まずシャフト部は複数の円筒形の磁石が、N極同士、S極同士が向き合うように並べられ、ステンレス製の円柱に収められています。

磁石が同極同士向き合うように並べられているために、強い磁力を発しているのが特徴です。コイル部は可動子として移動する部分であり、シャフト部を覆うようにコイルが巻かれています。コイルに電流を流して磁界が発生すると、フレミングの左手の法則によって推力が生じます。電流を制御することによって、可動子の位置や移動速度を制御するのが、シャフトモーターの動作原理です。

シャフトモーターの特徴

シャフトモーターの特徴は4つあります。

1. 構造がシンプル

シャフトモーターの構造は、シャフト部とコイル部だけです。シャフト部は永久磁石、コイル部は巻線コイルなので、複雑な機構部分がありません。部品同士が接触し合うこともないので摩擦もなく、メンテナンスが容易であること、音や摩耗粉などが発生しないのもシャフトモーターのメリットです。

2. 高い位置精度が得られる

ボールねじは接触を伴う機構であり、バックラッシュという部品同士の隙間による誤差の発生が避けられません。またコアという鉄芯がないコアレス構造であることから、コイル部とシャフト部に吸着力がなく、コギングという動作ムラが発生しないというメリットもあります。

3. さまざまな駆動方式に対応できる

シャフトモーターなら、1つの軸を1つの直線運動をする単軸駆動以外にも、パラレル、タンデム、マルチという駆動方式に対応可能です。まずパラレル駆動とは、平行に並べた二つのシャフトモーターを同時に行動させる方式で、大型、重量物の駆動に用います。

タンデム駆動は同一軸上で2つの可動子を繋げるように並べて駆動させる方式で、大きな推力が得られます。マルチ駆動は同一軸上で2つの可動子に、別々の動作をさせる駆動方式です。

4. 取り付けが容易である

シャフトモーターの取り付けは、シャフトと可動子の間のクリアランスの範囲内において芯出しをすれば使用可能になります。ボールねじでは芯出しの精度が悪いと、装置の寿命に大きな影響を与えかねません。また、コアを持ったフラット型のリニアモーターでは、全長にわたって可動子と固定子との取り付けギャップが均一であることが求められます。

参考文献
https://www.ghc.co.jp/feature/
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor.html

コーティングワイヤ

コーティングワイヤとはコーティングワイヤ

コーティングワイヤとは、ステンレスなどの金属製の細いワイヤを撚り合わせてできたワイヤロープを、ビニールやナイロン等の樹脂でコーティング被覆したワイヤの一般総称です。

金属製のワイヤロープは細くても強度がある上に、コイル状に巻き取れるなど多くの用途で使えるロープです。しかし金属性でかつ細い金属の線を撚り合わせていることから、外周には凹凸が存在します。また錆の発生や薬品に反応してしまう場合もあります。

コーティングワイヤは金属のワイヤロープに樹脂などの皮膜を加えることによって、より利用しやすくしたものです。金属ワイヤロープならではの強度と、コーティングされる樹脂の特性を活かすことによって、幅広い分野で利用されています。

コーティングワイヤの使用用途

コーティングワイヤは電子機器の製造、自動車産業、医療機器、航空宇宙産業、産業機械などに用いられています。ワイヤロープにコーティングが施される理由は様々ですが、目的は耐環境性能の向上、電気の絶縁、表面の平滑化や着色、摩擦抵抗の低減などです。

耐環境性能の向上では、酸やアルカリ、海水などによる金属の腐食を防ぐことができます。自動車や医療、航空産業の機械においては、絶縁性の確保としてコーティングが役割を果たします。

私たちの身近な生活においての一例は、スポーツ用自転車の変速機を動かすシフトワイヤと呼ばれるものです。ワイヤを利用した自転車の変速機では、変速レバーを操作をワイヤで引っ張りデュレーラーと呼ばれる変速機を動かします。ワイヤは同じくワイヤロープで作られたチューブの中で動きますが、ワイヤ同士の摩擦が発生します。そこでナイロンのコーティングを施すことによって、変速操作時の抵抗力を低減させることが可能です。他にはインテリア用に用いられているものもあります。

コーティングワイヤの原理

コーティングワイヤは、金属製のワイヤロープに合成樹脂などの皮膜を染み込ませたものです。被覆工程は溶かした樹脂を押出機と呼ばれる装置の中で、ワイヤを巻き取りながら樹脂を塗布し、その後水槽を通して冷却します。

また樹脂の被覆にはストランドというある程度の本数の金属ワイヤを撚り合わせた状態で被覆した後に、複数の被覆されたストランドを撚り合わせたものと、ストランドを撚り合わせてから最後に被覆したものがあります。

コーティングワイヤのその他情報

樹脂の種類と特性

コーティングワイヤは目的に応じてコーティングする樹脂を選ぶことが大切です。

1. 軟質塩化ビニル (PVC)
軟質塩化ビニルは可塑剤によって柔らかさが確保された樹脂です。透明性が高いため着色性にも優れています。耐環境や耐薬品性にも優れ、高い電気絶縁性も誇ります。

2. ポリエチレン (PE)
ポリエチレンは電気絶縁性、耐薬品性、耐水性に優れた樹脂です。コーティングワイヤでは電線や光ファイバーなどを吊り下げて保持するためのテンションメンバーや、アウターケーシングの外層やライナー、インナーケーブルの被覆材としても用いられます。

3. ポリプロピレン (PP)
ポリプロピレンは私たちの日用品に多く使われるプラスチックです。コーティングワイヤの被覆としては、プッシュプルケーブルと呼ばれる、引っ張りと押しの両方で使われるケーブルを覆うアウターケーシングの外層などがあります。

4. ポリアラミド (PA)
ポリアラミドは樹脂の中でも機能が優れたエンジニアリングプラスチックの一つで、特に機械的性質に優れた樹脂です。一般的にはナイロンという名前で広く知られています。ポリアラミドは耐摩耗性、対疲労性、自己潤滑性に加えて耐環境性能にも優れていることから、自動車部品や産業用機械の用途にも用いられます。

5. フッ素樹脂 (ETFE、FEP、PFA)
フッ素樹脂は特に耐熱性が高い樹脂として知られています。他にも耐化学薬品性や耐候性があり電気特性が良好、摩擦、摩耗特性にも優れているのが特徴です。フッ素樹脂の種類は主に耐最高使用温度に応じて選択されますが、PFAなら200℃以上でも使えます。

参考文献
http://swage.co.jp/product/coated_rope/

コントロールアンプ

コントロールアンプとは

コントロールアンプとは、微小なアナログ信号を通常の増幅器の入力として使えるレベルまで増幅するアンプのことです。

次のような機能を備えているものがあります。

  • イコライジング処理
  • フィルター処理
  • 周波数分離
  • 信号レベルの調整等

マイクロフォン、レコードプレーヤーのカートリッジ、エレキギターなどの出力は、信号レベルや出力インピーダンスからパワーアンプを直接駆動できないので、コントロールアンプを必要とします。しかし、あらゆる信号処理がデジタル演算で実行されるようになったことから、微小なアナログ信号の処理にコントロールアンプを利用する機会は少なくなりました。

多くの場合、高性能なバッファアンプで信号レベルを増幅した後、A/D コンバータを介してPCMデータに変換し、必要な信号処理演算を実行する手順に置き換わっています。

コントロールアンプの使用用途

現在、コントロールアンプの使用用途は、音響製品の世界に限定されつつあります。コントロールアンプは別名をプリアンプとも呼ばれ、パワーアンプの前段で入力信号の選択や音量調整、トーンコントロール、さらにはフォノカートリッジの出力を本来の音楽信号に変換するイコライザー等の機能を備えています。

その上で、後段のパワーアンプを駆動できる信号レベルまで増幅します。CDプレーヤーや音楽配信ソフトを扱うネットワークプレーヤーなどの出力信号は、そのままパワーアンプを駆動できるレベルなので、信号の増幅は不要です。しかし、出力インピーダンスを低下させる目的で、バッファアンプを通すことがあります。

コントロールアンプの原理

コントロールアンプの原理を機能によって解説します。

1. フォノイコライザー回路

レコードの場合、低音は音量を下げて記録していますが、高音は振幅が小さいので、SN比を確保するために実際の音量より大きく記録されています。従って、再生時に正しい音楽信号になるように、フォノカートリッジの信号をフォノイコライザー回路で補正する必要があります。多くのコントロールアンプではフォノイコライザー回路を備え、レコード音楽の再生を可能にしています。

2. 入力切替回路

パワーアンプに出力する信号を選ぶための入力切替回路を備えています。これは、ロータリースイッチやリレーマトリックスなどのスイッチ手段で構成されていて、複数の入力端子から1つの端子を選択し、増幅回路に接続します。

3. 音量調整

音楽信号の音圧を決定する音量調整機構は、嘗ては多連ボリューム (可変抵抗器) によるものでした。最近はそれに加えて、精密抵抗器を組み合わせたアッテネータや電流加算回路を応用した回路、D/Aコンバータ等様々な方式も採用されています。

4. バランス調整

左右のチャンネルの音量差をキャンセルするための機能です。音量差が発生するのは、多連ボリュームにおいて、左チャンネルと右チャンネルのボリュームの抵抗値が微妙に異なることが主な原因です。この抵抗値の差異はギャングエラーと呼ばれ、多連ボリュームでは避けられない問題です。

一方、上記の様な多連ボリュームとは異なる方式では、左右のチャンネルの減衰量はほぼ同一で、ギャングエラーは殆ど発生しません。そのため、バランス調整機能を省略する製品もあります。

5. トーンコントロール

コントロールアンプでは、全周波数帯域一定のゲインで音楽信号を増幅することが基本ですが、「低域もしくは高域を強調したい」等の要望に対応するためにトーンコントロールを備えています。アンプの周波数特性を変化させることになりますが、その方法として従来のアナログフィルターによるものの他、A/D変換した上でデジタルフィルター演算を行い、その後D/A変換してアナログ信号に戻すものもあります。

コントロールアンプのその他情報

コントロールアンプの必要性

コントロールアンプと対になるパワーアンプは、低能率のスピーカーを音楽信号でドライブするため、瞬間的に数Aの大きな電流を流します。電源系にもその影響 (ノイズ) が廻り込むので、微小な信号を扱うフォノイコライザー回路等はコントロールアンプにある方が音質面で有利なのは言うまでもありません。

一方、独立したフォノイコライザーアンプやCDプレーヤーの出力信号は、パワーアンプを直接ドライブするのに十分なレベルです。ここからコントロールアンプを不要とする意見が出てきたと言われています。このあたりの判断は、単なる技術論ではなく再生音楽に対する感性が関連するため、最終的にはユーザー各人の判断に委ねられるものです。

参考文献
https://justfriends.jp/blog/post37
http://area-sasuke.net/hometheater/amp_kind.php
https://www.phileweb.com/review/article/202002/25/3762.html

コベルココンプレッサ

コベルココンプレッサとは

コベルココンプレッサとは、各種汎用の圧縮機の製造・販売を行う企業であるコベルココンプレッサが販売するコンプレッサです。

コベルココンプレッサは、KOBELCO (コベルコ) を統一ブランドとする神戸を拠点とした神戸製鋼グループに所属しています。コベルココンプレッサが会社名であり、コベルコが販売するコンプレッサを一般的にコベルココンプレッサと呼んでいます。

コベルココンプレッサの特徴は、コベルコが手掛ける各種圧縮機による省エネ性能、その実使用診断、及び長年の経験に基づく、多彩なソリューションや改善提案による企業貢献です。

コベルココンプレッサの使用用途

コベルココンプレッサは、国内外で石油化学、空気分離、環境用途など幅広い分野で活用されています。また、客先のニーズにあわせたカスタムメイドや最適な設計も特徴です。

コンプレッサのラインナップは、給油型圧縮機とオイルフリー型圧縮機を始め、蒸気駆動型の空気圧縮機やスクリュー型の蒸気発電機、窒素発生機器など、多彩な圧縮機とその関連装置などです。

又、コベルココンプレッサは、工場やプラントなどの産業用の大型設備において、高性能な省エネ圧縮機と、その圧縮機を駆動するインバータと共に使用されています。

コベルココンプレッサの原理

1. コベルコココンプレッサの構成

コンプレッサは、昔からの日本語で言う圧縮機のことを言いますが、圧縮機は「気体に対して圧力を掛けて、その気体の体積を縮小させる機械」です。

コベルココンプレッサは、圧縮するメカ機構部分とその圧縮機構部分を駆動する電動機部分とで構成されています。主に工場で使う圧縮空気源、プラントにおいて使用しているガスの圧縮、及び冷凍機における冷媒ガスの圧縮などに使われます。

2. コベルコココンプレッサの圧縮機構

メカ部分に関する圧縮方式は色々なものがありますが、コベルコでは従来から大型のコンプレッサ用途が多いため、それに適したレシプロ型やスクリュー型、遠心式と呼ばれる圧縮機構が主流です。

レシプロ型圧縮機は、往復動式とも呼ばれ、シリンダの中でピストンが往復運動してガスや空気を圧縮する方式です。回転運動を往復運動にするため、クランクシャフトとコンロッドを使います。吸入弁と吐出弁を設け、逆流を防止します。レシプロ型は振動が大きいのが難点ですが、多気筒にして振動の緩和が可能です。

スクリュー型圧縮機は、コベルコの場合2個のスクリューを使用して、かみ合い空間を次第に小さくして圧縮します。連続流であり、振動が小さい特徴があります。弁などがなく、単純構造で高耐久性です。

遠心式圧縮機は、ターボ型圧縮機の1つであり、高速で回転する羽根車により遠心力を使って圧縮する方式です。小型で振動が小さい圧縮機であり、化学プラントや大型の冷凍機・空調機などに使われます。

メカ圧縮機構を動かす電動機部分は、昨今の省エネ要求の高さから電動機の駆動は、多くはインバータです。電動機そのものは、永久磁石を内蔵した同期モータを採用し、磁界部分を高性能な磁石にすることで省エネ性能を向上させています。

コベルココンプレッサの種類

1. レシプロ型圧縮機

横型圧縮機は、歴史が古く、シリンダ配置は水平対向です。小型から大型までラインナップしており、給油式・無給油式などを含めて客先の要求に適した製品があります。

縦型圧縮機は、横型に比べ設置面積が小さく、付帯設備を含めたパッケージ設計により最適な運転・制御方法になっています。

2. スクリュー型圧縮機

スクリュー型圧縮機は、省スペース・低メンテナンスコスト・連続運転性・取扱いガスの幅広さなどが特徴で、プロセスガス中に油が混入しない無給油式と油を注入する油冷式及び冷凍機があります。

無給油式スクリュー圧縮機は、オイル&ガス、石油精製・化学、製鉄用など広範囲な分野において、多くの実績があります。

油冷式スクリュー圧縮機は、水素ガス、ヘリウムガス、コークス炉ガス、ガスタービン燃料ガス、最近ではLNG船低圧エンジン燃料ガス等、多分野にわたり実績があります。圧縮機室内に油を注入するタイプであり、給油によるロータ間のシール効果により、容積効率が向上し、高圧用途・高圧縮比に最適です。また、スライド弁機構を用いた圧縮機の容量制御が可能であり、負荷変動に対するエネルギーロスが少なくなります。

3. スクリュー冷凍機

冷凍機本体に油冷式スクリュー圧縮機を採用し、単段機とタンデム2段機があります。ユーザーの要望により、最適な冷媒選定およびエコノマイザーシステム、2元冷凍システム等の冷凍システム設計などが可能です。

4. 遠心式圧縮機

遠心式圧縮機は、遠心力により気体に速度エネルギーを与え、それを圧力に変換して気体を圧縮します。高速で回転するので、小型・軽量であり、圧力を上げるには多段にします。

参考文献
https://www.kobelco.co.jp/products/db/1193597_14789.html

コイルチューブ

コイルチューブとは

コイルチューブ

コイルチューブとは、独特ならせん状の形状と設計を持つ特殊なチューブです。

コイルチューブは曲げや捻じりに対して柔軟性を持ちつつ、一定の剛性も備えています。これにより、コイルチューブはさまざまな用途に適した多くの種類が存在します。

コイルチューブの使用用途

1. 熱交換器

コイルチューブは、熱交換器において液体やガスの熱を効率的に移動させる役割を果たします。らせん状の構造により、長いチューブをコンパクトなスペースに収めることができ、省スペース化が可能です。

冷蔵庫、冷凍庫、空調システムなどの冷却装置に広く利用されています。

2. 冷却装置

コイルチューブはコンデンサーやエバポレーターなどの部品に使用され、熱を吸収または放出して冷却効果を発揮します。家庭用電化製品から産業用の冷凍装置まで、幅広い冷却装置において重要な役割を担っています。

3. 加熱装置

加熱用コイルチューブは、蒸気や加熱媒体を通して物体を加熱するために使用されます。工業プロセスや家庭用電化製品の加熱要素として活用され、製造業、食品加工、医療機器など、さまざまな分野で広く使用されます。

4. メディカル機器

コイルチューブは、内視鏡やカテーテルなどの医療機器に応用されます。柔軟性と剛性を持つコイルチューブは、手術や診断などの医療処置をスムーズかつ安全に行うために重要です。

5. 自動車産業

自動車産業でも、コイルチューブはブレーキシステムや燃料供給装置などの部品に使用され、自動車の性能向上に貢献しています。

コイルチューブの原理

1. 均等な熱交換

コイルチューブはらせん状に巻かれているため、その表面積が増加します。この特性により、液体やガスがコイルチューブの内部を通過する際に、より多くの表面と接触することが可能です。

結果として、均等な熱交換が可能となります。例えば、コイルチューブを熱交換器に使用すると、効率的な熱の伝達が行われ、熱を効率よく移動させることができます。

2. 剛性と柔軟性の両立

コイルチューブはらせん状の構造により、一定の剛性と柔軟性を両立しています。チューブがらせん状に巻かれているため、折り曲げたり捻ったりする際にも一定の抵抗を示しますが、同時に曲げられる柔軟性も持っています。

この特性により、コイルチューブは様々なアプリケーションで使用され、特に狭いスペースや複雑な形状に適が可能です。

3. 強度と耐久性

コイルチューブは、内部に液体やガスの圧力を受けるため、一定の強度と耐久性が求められます。素材や構造の設計によって、適切な強度と耐久性を持つコイルチューブが製造されます。

特に産業分野では、厳しい環境下で使用されるため、高い品質と信頼性が求められます。

コイルチューブの種類

1. 冷却用コイルチューブ

冷却用コイルチューブは、冷媒や冷却液を内部に通し、熱を吸収して冷却するためのチューブです。冷蔵庫やエアコン、冷凍庫などの家庭用電化製品から、工業用の冷凍装置まで幅広いアプリケーションで使用されています。これらのコイルチューブは高い熱伝導性と耐久性を持ち、効率的な冷却を実現します。

2. 加熱用コイルチューブ

加熱用コイルチューブは、蒸気や加熱媒体を内部に通し、熱を加えるためのチューブです。加熱炉や蒸気発生器、ボイラーなどで使用され、さまざまな工業プロセスにおいて重要な役割を果たします。加熱用コイルチューブは高い耐熱性を持ち、高温下での安定した動作が求められます。

3. 熱交換用コイルチューブ

熱交換用コイルチューブは、2つの流体の熱交換を行うために使用されるチューブです。内部のチューブを流れる流体と、外部のコイル表面を流れる別の流体との間で熱が移動し、これにより冷却や加熱、温度調節などが可能です。熱交換器や蒸留装置、太陽熱温水器などに利用されます。

4. 線形コイルチューブ

線形コイルチューブは、直線状に巻かれているコイルで、曲げ半径が大きく、長いチューブです。この種類のコイルチューブは、特に長尺のチューブが必要な場合や、特定の設備に合わせた形状を得るために使用されます。工業用パイプラインや長大な機器での熱交換に適しています。

5. ヘリカルコイルチューブ

ヘリカルコイルチューブは、らせん状に巻かれているコイルで、曲げ半径が比較的小さく、コンパクトな設計が可能です。限られたスペースでの熱交換や冷却に適しています。ヘリカルコイルチューブは、特に機器や装置のコンパクト化が求められる場面で有用です。

参考文献
https://www.nitta.co.jp/product/moore/tool_and_accessories/S/
https://www.smcworld.com/products/ja/get.do?type=GUIDE&id=TCU

コアピン

コアピンとは

コアピンとは、金型の重要な部品の1つで、特に「穴」や「ねじ止め用のボス」などの形状を作る際に使用される部品のことです。

金型における役割は、成形品の形状を正確に再現することであり、コアピンはその目的を果たすための欠かせない要素と言えます。コアピンと似た形状を持つ部品に「イジェクトピン」というものが存在します。

しかし、イジェクトピンは金型が開く際に同時に動いて成形物を押し出す機能があり、成形品を金型から取り出す役割を担っています。対して、コアピンは金型を開く際も固定された状態で動かず、あくまで形状作製のための部品です。

コアピンは金型設計において精度と正確性を求めるために不可欠な部品で、金型産業において品質を向上させるために欠かすことのできない存在です。

コアピンの使用用途

コアピンは、金型において「穴」や「ねじ止め用のボス」などの形状を作るために使用される部品で、その用途は非常に広範囲にわたります。具体的には、自動車部品や家電製品、精密機器など、ねじ止めが多い製品に使用する部品の金型で、頻繁に利用されています。

成形する部品の形状に応じて、コアピンの数も変化し、例えば、ねじ止め用のボスが多い製品の金型では、それに対応する数のコアピンが必要です。そのため、複雑な形状を持つ製品の金型では、多くのコアピンが使用されることが一般的です。

また、小型で精密な製品を成形する場合には、細いコアピンが用いられます。製品の精度が向上し、高品質な成形が可能です。しかし、細いコアピンは破損しやすく、成形時に注意が必要です。そのため、金型設計や製造プロセスにおいて、コアピンの取り扱いに関する知識や技術が重要となります。

コアピンの使用用途は多岐にわたり、その重要性は高まっています。金型産業において、品質を向上させるためには、コアピンの正確な使用が不可欠であり、設計者や製造者がコアピンの特性を理解し、適切な取り扱いを行うことが求められます。

コアピンの原理

棒状の部品であるコアピンは、成形が必要な形状の径や深さに合わせて作られ、金型の一部として使用されます。特に「穴そのものが深い」場合や「金型形状として、穴位置自体が深い位置にある」場合、長いコアピンの作製が求められ、作製難易度が高度です。そのため、強度を確保するために途中まで太い径で作られ、先端形状だけを必要となる細い径にすることもあります。

また、設計時には、コアピンが隣り合うことがあり、コアピンの間隔の最小値に注意が必要です。近接する「穴」や「ボス」が必要な部品では、コアピン同士の間隔に制約があります。単純な形状であるコアピンですが、金属を削る加工方法の特性上、「穴 (ボス) 径を小さくする」ことはコアピンを再度削って対応できる可能性がありますが、「穴 (ボス) 径を大きくする」ことは難しく、最悪の場合は作り直しが必要です。

そのため、穴径やボス径の調整の可能性がある部品を設計する場合には、まず穴 (ボス) 径を大きめにした状態で金型を作製し、径を小さくする方向で微調整を行うという流れが、コスト的にも時間的にも効率的です。

コアピンの種類

コアピンは、主にストレートコアピン、ステップコアピン、タッパードコアピンの3種類が存在します。適切なコアピンの選択は、品質の高い製品を生産するために重要です。

金型設計者や製造者は、それぞれのコアピンの特性を理解し、最適な選択を行うことが求められます。

1. ストレートコアピン

ストレートコアピンは、最も一般的なコアピンのタイプで、円柱状のシンプルな形状をしています。このタイプのコアピンは、様々な産業で幅広く使用されており、特に「穴」や「ねじ止め用のボス」などの成形に適しています。

ストレートコアピンは、耐久性があり、加工が容易なため、多くの金型設計に採用されている点が特徴です。

2. ステップコアピン

ステップコアピンは、複数の径が連続している特徴的な形状を持っています。成形物の内部に段差がある場合や、複雑な形状を持つ部品の成形に適しています。ステップコアピンは、精密な加工が必要であり、設計者や製造者が高い技術を持っていることが求められます。

3. タッパードコアピン

タッパードコアピンは、先端が細くなっている円錐状の形状をしています。成形物の内部に傾斜がある場合や、ねじ穴など特殊な形状を持つ部品の成形に適しています。タッパードコアピンは、加工が難しいため、技術力の高い専門家が必要です。

参考文献
http://www.tetras.uitec.ac.jp/files/data/200006/20000613/20000613.pdf
http://www.techno-labo.com/blog/moldsite/diary/rookie3

オイルダンパー

オイルダンパーとは

オイルダンパー

オイルダンバー(英語:oil damper)とは、オイルの粘性を利用して、振動や衝撃を吸収する装置のことです。オイルダンパーの中には、オイルとピストンが入っています。ピストンには小さなバルブがあり、振動によりピストンが動くと、オイルがこのバルブを通って移動します。

バルブを通る粘性抵抗により、振動のエネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が抑制できます。オイルダンパーは、建物の免振や制振、および、自動車などの振動・衝撃吸収に使用されます。

オイルダンパーの使用用途

オイルダンパーの用途として、建築関係の耐震と一般の振動・衝撃の抑制が挙げられます。建築関係で多く用いられるのは、高層ビルや一般建物の地震対策です。地盤と建物を切り離して建物に地震の揺れが伝わらないようにする免震構造と、地震が起きたときの揺れを吸収する制振構造に使われます。

高層ビルでは、特に長い周期の振動による高層階の揺れが、人体への影響や室内のものの落下や破損に影響します。このため、免震構造や制振構造が使われるようになっています。住宅や事務所などの建物にも小型の制振ダンパーが、部材の接続部に使用されます。

発電所やプラントなどの配管やボイラーの耐震装置にもオイルダンパーが使われます。特に原子力発電所は、高い安全性が要求され、最新のダンパー装置が使用されています。

自動車などでは、サスペンション装置の中にオイルダンパーが組み込まれています。ショックアブソーバとも呼ばれます。操縦安定性や乗り心地を左右する重要な部品です。多くはコイルスプリングの中心に設置し、ダンパーによりスプリングの振動を減衰させて収束させます。

オイルダンパーの原理

オイルダンパーは、シリンダにピストン・ロッド・オイルを入れた構造です。ピストンには小径のバルブを設け、振動によりピストンの両側のオイルがバルブを通って移動を繰り返します。

粘性のあるオイルがバルブを通って往復すると、振動の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が低減します。オイルダンパーには、建築・産業用のバイフロー型とユニフロー型、及び自動車用など多くの種類があります。

1. バイフロー型

オイルダンパーが伸びる場合と縮む場合とで、シリンダ内のオイルの流れる方向が変化する方式です。ピストンのバルブは2個の逆止弁を使い、ピストンの両側の容積を同じにするため、ピストンロッドは両側に付けます。このタイプは取付け角度に制約がない特性があり、制振ダンパーなどに使われます。

2. ユニフロー型

オイルダンパーが伸びる時と縮む時とで、シリンダ内のオイルの流れる方向が変化しない方式で、構成が少し複雑になります。シリンダーを2重にして、ピストンの両側と合わせ、3つの部屋にします。

各部屋を一方向のバルブでつなぎ、オイルの流れは一方向のみです。ピストンロッドは一方向のみでよく、全体のサイズが小さくできます。外側の部屋には空気層があるので、水平方向で使う必要があり、建物の免震構造などに使われます。

3. 自動車用

自動車用のオイルダンパーにも、単筒式と2重筒式があり、縦方向で使用できます。ピストンの背面側が負圧になると、オイルが発泡するので、窒素ガスを封入して圧力を高めています。単筒式はピストン径が大きくできるメリットがありますが、ガス室が同軸上に配置されるため、全長が長くなる短所があります。一般の自動車のサスペンションには、複筒式が主流になっています。

オイルダンパーのその他情報

1. 免震用のオイルダンパー

免震構造は、地盤と建物を切り離して建物に地震の揺れが伝わらないようにしたものす。ユニフロー型のオイルダンパーを地盤と建物の間に水平方向に設置します。オイルダンパーの他に、高減衰積層ゴムなどのアイソレータを使用して建物を支持します。

地震が起きた際には、建物に入力された地震エネルギーは、オイルダンパーにより吸収され、建物の揺れを低減します。制振構造と比べ揺れの激しさが大きく低減されるため、建物の損傷を防ぐだけでなく、地震後も建物機能を維持することが可能です。

2. 制振用のオイルダンパー

制震構造は、地震が起きたときの揺れを吸収することを目的とする装置です。制振用のバイフロー型オイルダンパーを、壁や柱に直接取り付けて地震の揺れのエネルギーを吸収します。高層ビルやマンションでは、各階層に設置して、揺れやすい高層階を揺れにくくします。ブレースのように斜め方向に設置する場合が多く、水平方向だけでなく垂直方向の揺れにも対応しています。

小型な装置であるため、断熱材の欠損箇所が少なく済み、断熱性能への影響が小さい手法です。このため、木造住宅など一般家屋への設置も進められています。

参考文献
https://www.tekki.co.jp/products/list/dampers/product_building01/
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_kensetsufudousan20181017j-02-w490
https://www.nabeya.co.jp/vibration/academy/elasticity-viscosity.html
https://www.lifehacker.jp/2016/12/161206_161206gizmodo_mediagene.html
http://www.ubm-rheology.co.jp/kouza/kiso01.shtml
https://material-r.co.jp/iroha/917/
https://www.kenzai-navi.com/column/colum0084.php