コントロールアンプ

コントロールアンプとは

コントロールアンプとは、微小なアナログ信号を通常の増幅器の入力として使えるレベルまで増幅するアンプのことです。

次のような機能を備えているものがあります。

  • イコライジング処理
  • フィルター処理
  • 周波数分離
  • 信号レベルの調整等

マイクロフォン、レコードプレーヤーのカートリッジ、エレキギターなどの出力は、信号レベルや出力インピーダンスからパワーアンプを直接駆動できないので、コントロールアンプを必要とします。しかし、あらゆる信号処理がデジタル演算で実行されるようになったことから、微小なアナログ信号の処理にコントロールアンプを利用する機会は少なくなりました。

多くの場合、高性能なバッファアンプで信号レベルを増幅した後、A/D コンバータを介してPCMデータに変換し、必要な信号処理演算を実行する手順に置き換わっています。

コントロールアンプの使用用途

現在、コントロールアンプの使用用途は、音響製品の世界に限定されつつあります。コントロールアンプは別名をプリアンプとも呼ばれ、パワーアンプの前段で入力信号の選択や音量調整、トーンコントロール、さらにはフォノカートリッジの出力を本来の音楽信号に変換するイコライザー等の機能を備えています。

その上で、後段のパワーアンプを駆動できる信号レベルまで増幅します。CDプレーヤーや音楽配信ソフトを扱うネットワークプレーヤーなどの出力信号は、そのままパワーアンプを駆動できるレベルなので、信号の増幅は不要です。しかし、出力インピーダンスを低下させる目的で、バッファアンプを通すことがあります。

コントロールアンプの原理

コントロールアンプの原理を機能によって解説します。

1. フォノイコライザー回路

レコードの場合、低音は音量を下げて記録していますが、高音は振幅が小さいので、SN比を確保するために実際の音量より大きく記録されています。従って、再生時に正しい音楽信号になるように、フォノカートリッジの信号をフォノイコライザー回路で補正する必要があります。多くのコントロールアンプではフォノイコライザー回路を備え、レコード音楽の再生を可能にしています。

2. 入力切替回路

パワーアンプに出力する信号を選ぶための入力切替回路を備えています。これは、ロータリースイッチやリレーマトリックスなどのスイッチ手段で構成されていて、複数の入力端子から1つの端子を選択し、増幅回路に接続します。

3. 音量調整

音楽信号の音圧を決定する音量調整機構は、嘗ては多連ボリューム (可変抵抗器) によるものでした。最近はそれに加えて、精密抵抗器を組み合わせたアッテネータや電流加算回路を応用した回路、D/Aコンバータ等様々な方式も採用されています。

4. バランス調整

左右のチャンネルの音量差をキャンセルするための機能です。音量差が発生するのは、多連ボリュームにおいて、左チャンネルと右チャンネルのボリュームの抵抗値が微妙に異なることが主な原因です。この抵抗値の差異はギャングエラーと呼ばれ、多連ボリュームでは避けられない問題です。

一方、上記の様な多連ボリュームとは異なる方式では、左右のチャンネルの減衰量はほぼ同一で、ギャングエラーは殆ど発生しません。そのため、バランス調整機能を省略する製品もあります。

5. トーンコントロール

コントロールアンプでは、全周波数帯域一定のゲインで音楽信号を増幅することが基本ですが、「低域もしくは高域を強調したい」等の要望に対応するためにトーンコントロールを備えています。アンプの周波数特性を変化させることになりますが、その方法として従来のアナログフィルターによるものの他、A/D変換した上でデジタルフィルター演算を行い、その後D/A変換してアナログ信号に戻すものもあります。

コントロールアンプのその他情報

コントロールアンプの必要性

コントロールアンプと対になるパワーアンプは、低能率のスピーカーを音楽信号でドライブするため、瞬間的に数Aの大きな電流を流します。電源系にもその影響 (ノイズ) が廻り込むので、微小な信号を扱うフォノイコライザー回路等はコントロールアンプにある方が音質面で有利なのは言うまでもありません。

一方、独立したフォノイコライザーアンプやCDプレーヤーの出力信号は、パワーアンプを直接ドライブするのに十分なレベルです。ここからコントロールアンプを不要とする意見が出てきたと言われています。このあたりの判断は、単なる技術論ではなく再生音楽に対する感性が関連するため、最終的にはユーザー各人の判断に委ねられるものです。

参考文献
https://justfriends.jp/blog/post37
http://area-sasuke.net/hometheater/amp_kind.php
https://www.phileweb.com/review/article/202002/25/3762.html

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