シールドシートとは
シールドシートとは、電磁波を遮蔽するためのシートです。
電磁波は使用している電子機器に対して誤動作や暴走などの悪影響を及ぼす場合があります。また、人体への悪影響が懸念されることも多いです。シールドシートを使用することで、周囲の電子機器や人体への電磁波の影響を減少させることができます。
また、電磁波を遮断することで、特定の通信におけるプライバシーを保護するために使用されることもあります。したがって、シールドシートは情報漏洩を防ぐための重要な手段です。
電磁波の遮断について、日本国内では電気用品安全法などの規制があり、世界的には国際規格IECにおける規格も存在します。
シールドシートの使用用途
シールドシートは様々な用途で使用されます。以下はその用途一例です。
1. 電子機器
電子機器内で発生する電磁波は、周囲の機器や通信システムに干渉を引き起こす可能性があります。例えば、スマートフォンやコンピュータの内部ではCPUなどが電磁波を発生し、近隣機器に影響を与えることも多いです。これらを未然に防ぐために、シールドシートを電子機器の筐体やケースに組み込んで電磁波の発散を防止します。
2. 医療機器
医療機器には、患者の安全性を確保するために正確な動作が求められます。MRIなどの画像診断機器では高周波を発生させるため、患者や他の医療機器に干渉を引き起こすと深刻な問題が生じるため危険です。したがって、医療機器の設計段階でシールドシートが組み込まれ、電磁波を抑制することが重要です。
3. 建築物
建築物全体にシールドシートを組み込むことで、外部からの電磁波の侵入を制御し、内部の電子機器を保護することが可能です。特に通信インフラを保護する必要がある場合には、建物の外壁にシールドシートを使用します。これにより、建築物内部の情報システムが外部からの干渉を受けにくくなります。
4. 金融機関
シールドシートは情報セキュリティやプライバシーの保護に使用されることも多いです。金融機関では機密情報や重要なデータを保護するためにシールドシートが使用されます。特定の施設にシールドシートを設置することで、外部からの盗聴装置から情報を守ることが可能です。
シールドシートの原理
シールドシートの原理は電磁波を反射・吸収することにあります。軟磁性材料を層状に積み上げていくと、ある周波数帯の電磁波を遮蔽させる特質を有します。この特性を利用し、シート状にした製品がシールドシートです。
軟磁性材料にはフェライトなどが使用されます。フェライトは酸化鉄などの金属酸化物からなる複合材料であり、高周波やマイクロ波を吸収する性質があります。また、ニッケル合金やアモルファス合金が使用されることも多いです。
積層を増加することでより強い磁界のシールドも可能です。加工端面のシールド性能劣化も低減することができます。長尺ロールはシールドルームなどの大規模施工に最適です。
シールドシートの選び方
シールドシートを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. サイズ
遮断したい領域のサイズや形状に応じて、適切なサイズのシールドシートを選びます。必要な寸法よりも大きなシートを選ぶことで余白を作ることができ、遮断性能を向上させることが可能です。また、カット可能な場合もあるため、必要なサイズにカスタマイズできるかも考慮する必要があります。
2. 遮断性能
シールドシートの主な目的は電磁波の遮断です。したがって、選択するシートの遮断性能が重要です。遮断性能は電磁波をどれだけ遮断できるかを示す指標であり、一般には減衰率(dB)や遮断率(%)で表されます。
シールドシートの材料や厚み、構造などによって異なります。遮断性能は遮蔽したい周波数範囲に対して評価することが必要です。
3. 強度
シールドシートは耐久性が必要な場面で使用されます。例えば、電子機器内の電磁波干渉対策や建築物の外部電磁波防護などは、長期間にわたって効果を保持する必要があります。適切な厚みや素材のシールドシートを選択することで、十分な強度を確保することが可能です。
参考文献
https://www.hitachi-metals.co.jp/products/elec/tel/p01_63.html
https://www.toyo-chem.com/ja/products/electronics/column/emishield.html