シャフトモーター

シャフトモーターとは

シャフトモーターとは、電気によって直線運動をするリニアサーボモーターの1つです。

電気によって直線運動を得るための手段には、まずボールねじがあります。シャフトモーターならボールねじに対して、高い位置精度の確保、高速動作、高い静粛性などの他にマルチ駆動という1つの軸上で複数の稼働子をコントロールできるといったメリットがあります。

また、シャフトモーターと同じ直線運動をするフラット型のリニアモーターに対しては、コアレス構造であることが大きな違いです。シャフトモーターでは、コアという鉄芯を使ったリニアモーターの欠点であるコギングという動作のムラが発生しません。

シャフトモーターの使用用途

シャフトモーターは直線運動を制御するための機構に用いられます。大きくは加工・製造装置と、測定・検査装置に分けられます。

1. 加工・製造装置

加工・製造装置での使用例は、金属加工装置、放電加工機械、レーザー加工機、精密XYステージ、ステッパー、コーターディベロッパーなどです。

2. 測定・検査装置

測定・検査装置では、液晶用途や半導体用途の検査装置、整体生物用の顕微鏡、分光・光学測定機、プリント基板の検査装置、表面検査装置、三次元測定装置、プローバ、スキャナなどがあります。

 

シャフトモーターは以上に加えて、同一の軸上で複数の可動子が必要であったり、大型で大きな重量物を移動させるために、2つの軸を使って移動させる場合、高い環境性能が求められる場合にも使われています。

シャフトモーターの原理

シャフトモーターは、シャフト部とコイル部によって構成されています。まずシャフト部は複数の円筒形の磁石が、N極同士、S極同士が向き合うように並べられ、ステンレス製の円柱に収められています。

磁石が同極同士向き合うように並べられているために、強い磁力を発しているのが特徴です。コイル部は可動子として移動する部分であり、シャフト部を覆うようにコイルが巻かれています。コイルに電流を流して磁界が発生すると、フレミングの左手の法則によって推力が生じます。電流を制御することによって、可動子の位置や移動速度を制御するのが、シャフトモーターの動作原理です。

シャフトモーターの特徴

シャフトモーターの特徴は4つあります。

1. 構造がシンプル

シャフトモーターの構造は、シャフト部とコイル部だけです。シャフト部は永久磁石、コイル部は巻線コイルなので、複雑な機構部分がありません。部品同士が接触し合うこともないので摩擦もなく、メンテナンスが容易であること、音や摩耗粉などが発生しないのもシャフトモーターのメリットです。

2. 高い位置精度が得られる

ボールねじは接触を伴う機構であり、バックラッシュという部品同士の隙間による誤差の発生が避けられません。またコアという鉄芯がないコアレス構造であることから、コイル部とシャフト部に吸着力がなく、コギングという動作ムラが発生しないというメリットもあります。

3. さまざまな駆動方式に対応できる

シャフトモーターなら、1つの軸を1つの直線運動をする単軸駆動以外にも、パラレル、タンデム、マルチという駆動方式に対応可能です。まずパラレル駆動とは、平行に並べた二つのシャフトモーターを同時に行動させる方式で、大型、重量物の駆動に用います。

タンデム駆動は同一軸上で2つの可動子を繋げるように並べて駆動させる方式で、大きな推力が得られます。マルチ駆動は同一軸上で2つの可動子に、別々の動作をさせる駆動方式です。

4. 取り付けが容易である

シャフトモーターの取り付けは、シャフトと可動子の間のクリアランスの範囲内において芯出しをすれば使用可能になります。ボールねじでは芯出しの精度が悪いと、装置の寿命に大きな影響を与えかねません。また、コアを持ったフラット型のリニアモーターでは、全長にわたって可動子と固定子との取り付けギャップが均一であることが求められます。

参考文献
https://www.ghc.co.jp/feature/
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です